2.2 タイプメソッド

この節ではさまざまな実装可能なタイプメソッドと、 それらが何をするものであるかについて、ざっと説明します。

以下は PyTypeObject の定義です。デバッグビルドでしか使われない いくつかのメンバは省いてあります:

typedef struct _typeobject {
    PyObject_VAR_HEAD
    char *tp_name; /* For printing, in format "<module>.<name>" */
    int tp_basicsize, tp_itemsize; /* For allocation */

    /* Methods to implement standard operations */

    destructor tp_dealloc;
    printfunc tp_print;
    getattrfunc tp_getattr;
    setattrfunc tp_setattr;
    cmpfunc tp_compare;
    reprfunc tp_repr;

    /* Method suites for standard classes */

    PyNumberMethods *tp_as_number;
    PySequenceMethods *tp_as_sequence;
    PyMappingMethods *tp_as_mapping;

    /* More standard operations (here for binary compatibility) */

    hashfunc tp_hash;
    ternaryfunc tp_call;
    reprfunc tp_str;
    getattrofunc tp_getattro;
    setattrofunc tp_setattro;

    /* Functions to access object as input/output buffer */
    PyBufferProcs *tp_as_buffer;

    /* Flags to define presence of optional/expanded features */
    long tp_flags;

    char *tp_doc; /* Documentation string */

    /* Assigned meaning in release 2.0 */
    /* call function for all accessible objects */
    traverseproc tp_traverse;

    /* delete references to contained objects */
    inquiry tp_clear;

    /* Assigned meaning in release 2.1 */
    /* rich comparisons */
    richcmpfunc tp_richcompare;

    /* weak reference enabler */
    long tp_weaklistoffset;

    /* Added in release 2.2 */
    /* Iterators */
    getiterfunc tp_iter;
    iternextfunc tp_iternext;

    /* Attribute descriptor and subclassing stuff */
    struct PyMethodDef *tp_methods;
    struct PyMemberDef *tp_members;
    struct PyGetSetDef *tp_getset;
    struct _typeobject *tp_base;
    PyObject *tp_dict;
    descrgetfunc tp_descr_get;
    descrsetfunc tp_descr_set;
    long tp_dictoffset;
    initproc tp_init;
    allocfunc tp_alloc;
    newfunc tp_new;
    freefunc tp_free; /* Low-level free-memory routine */
    inquiry tp_is_gc; /* For PyObject_IS_GC */
    PyObject *tp_bases;
    PyObject *tp_mro; /* method resolution order */
    PyObject *tp_cache;
    PyObject *tp_subclasses;
    PyObject *tp_weaklist;

} PyTypeObject;

たくさんのメソッドがありますね。でもそんなに心配する必要はありません。 定義したい型があるなら、実装するのはこのうちのごくわずかですむことが ほとんどです。

すでに予想されているでしょうが、これらの多様なハンドラについて、 これからより詳しい情報を提供します。しかしこれらのメンバが構造体中で 定義されている順番は無視します。というのは、これらのメンバの現れる 順序は歴史的な遺産によるものだからです。型を初期化するさいに、これらの メンバを正しい順序で並べるよう、くれぐれも注意してください。 ふつういちばん簡単なのは、必要なメンバがすべて含まれている (たとえそれらが 0 に初期化されていても) 例をとってきて、 自分の型に合わせるよう変更をくわえることです。

    char *tp_name; /* 表示用 */

これは型の名前です。前節で説明したように、これはいろいろな場面で 現れ、ほとんどは診断用の目的で使われるものです。 なので、そのような場面で役に立つであろう名前を選んでください。

    int tp_basicsize, tp_itemsize; /* 割り当て用 */

これらのメンバは、この型のオブジェクトが作成されるときにどれだけのメモリを 割り当てればよいのかをランタイムに指示します。Python には可変長の構造体 (文字列やリストなどを想像してください) に対する組み込みのサポートが ある程度あり、ここで tp_itemsize メンバが使われます。 これらについてはあとでふれます。

    char *tp_doc;

ここには Python スクリプトリファレンス obj.__doc__ が doc string を 返すときの文字列 (あるいはそのアドレス) を入れます。

では次に、ほとんどの拡張型が実装するであろう基本的な タイプメソッドに入っていきます。



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