製作著作 © 2002, 2003, 2004, 2005 Ben Collins-Sussman, Brian W. Fitzpatrick, C. Michael Pilato
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(TBA)
目次
図目次
表目次
例目次
.svn/entries
ファイルだめな「よくある質問集(FAQ)」には実際にユーザが聞きたいことでは なく、著者がユーザに聞いて欲しいことが書いて あります。おそらく経験があるでしょう:
Q: チームの生産性を最大にするにはどうやって Glorboソフト社の XYZ を使えばよいのでしょう?
A: 顧客の多くは私たちの特許であるオフィスグループ ウェアテクノロジを通じた生産性の向上の方法について知りたいと考えて います。答えは簡単: まず「
ファイル
」 メニューをクリックし、「生産性 向上
」 メニューを選択しましょう、それから …
このような FAQ の問題点は、文字通り FAQ でも何でもないというところ です。技術サポートに電話をして「どうやったら生産性が最大になる のでしょうか?」などと聞く人は一人もいないのです。そうではなく、 本当はもっとずっと具体的な質問がしたいのです、たとえば「どうやったら カレンダーシステムを変更して一日前でなく、二日前に通知するように できますか?」のような。しかし本当の問題点を明らかにするより、 仮想的な FAQ を作るほうがずっとやさしいのです。本当の FAQ を作るには 忍耐強い、組織的な努力が必要なのです: ソフトウェアの一生を通じて やってくる問いを追いかけ、それに対する答えを見守り、それらすべてを 集めて経験の浅いユーザの集約的な経験を反映するように検索可能な形に まとめる必要があります。それは忍耐が必要で、自然主義者のように物事 を黙って観察する態度が必要になります。ここには権威に基づいた仮定や 希望的な観測が入り込む余地はありません—開かれた態度と正確に 物事を記録する態度こそが必要なのです。
この本について私が気に入っているところは、そんな過程を通じて絶えず 本が育っていくところであり、それはすべてのページに現れています。 この本はユーザに対する著者の対峙そのものの結果なのです。それは Subversion メーリングリストで繰り返し問われた基本的な質問を Ben Collins-Sussman が観察することから始まりました: Subversion を使う場合の標準的なワークフローとはいったいどのような ものなのだろうか? ブランチやタグは他のバージョン管理システムと 同じように機能するのだろうか? 誰が特定の変更を加えたということを どうやって把握すればよいのだろうか?
毎日毎日同じ質問を目にすることに強い不満を感じ、Ben は 2002 年の 夏に一ヵ月以上かけて The Subversion ハンドブック を書き上げました。これは 60 ページのマニュアルで、Subversion を利用 する際のすべての基本を扱っていました。マニュアルは完成したような 顔をしませんでしたが、Subversion と共に配布され、学習曲線の最初の 障害を取り除きました。O'Reilly and Associates が完全な Subversion の本を出版しようと決めたとき一番手っ取り早い方法は明らかでした: 単に Subversion ハンドブックを拡張すればよかったのです。
新しい本の三人の共著者は普通ではない幸運に恵まれていました。公式には 彼らの仕事は本をトップダウンに書き下すために目次を作ることからはじめ、 最初の版を作ることでした。しかし彼らはまた確固とした— 確かにそれは制御不能な形でわきあがるような性質のものでしたが— 生の素材に直接触れることもしました。Subversion はすでに何千と言う 初期ユーザの手にあり、それらのユーザは無数のフィードバックをもたらし それは Subversion 本体のみならず、すでに存在しているドキュメントに 対してもそうなのでした。
彼らがこの本を書いている間じゅう、Ben, Mike そして Brian は Subversion メーリングリストとチャットチャンネルをうろつき、 注意深く実際の状況下でユーザが実際に陥る本当の問題を記録してきました。 そのようなフィードバックを監視することは、とにかく CollabNet での彼ら の作業の一部だったわけで、このフィードバックは Subversion をドキュメン ト化する上で非常に有益なものでした。 彼らが書き上げたこの本は、そんな作業を反映しています。しっかりとした 経験を基礎とし、希望的観測に流されず、この本はユーザマニュアルと FAQ の最良の部分をまとめたものです。この二重性は一度読んだだけでは 気がつかないでしょう。順序良く、最初から最後まで、この本はソフトウェア の一片の率直な記述になっています。概略について書かれ、不可欠な同伴 ガイドがあり、管理用設定の章があり、いくつかの進んだトピックに触れ、 そしてもちろんコマンドリファレンスと、障害時の対応法があります。 それは具体的な問題の解法を探しに後で戻ってきてはじめて意味が理解 できるでしょう: そこで語られている詳細は不測の事態に陥った時にしか 関係してきませんし、利用例は本当のユースケースを洗練したものですし ほとんどすべての部分がユーザのニーズとユーザの視点への配慮であふれて います。
もちろん、誰もこの本がSubversion についてのすべての疑問に
答えられるとは約束できる人はいません。質問の期待に、ときどき
テレパシーのような精密さで答えることがあるかと思えば、Subversion
コミュニティーの知識の中の落とし穴にはまりこんでしまい、手ぶらで
出てくるようなことも、しばしばおこるでしょう。そんな時の一番よい
方法は、<users@subversion.tigris.org>
にメールを
送って自分の問題を示すことです。著者らはまだそこにいますし、依然と
してリストを監視していますし、本の扉に書かれた三人以外にもたくさんの
人が誤りの訂正や最初の資料について貢献してくれています。コミュニティー
の観点から言うと、あなたの問題の解決は単にもっとずっと大きなプロジェクト
の喜ばしい副作用でしかありません— そのプロジェクトとはつまり、
ゆっくりとこの本の内容を調整し、そして最終的には Subversion そのものが
実際に利用する人々に、より役立つものにすることです。皆は単にあなたを
助けることができるということだけではなく逆に皆を助けるということができる
という理由であなたの話しによろこんで耳を貸すでしょう。これはSubversion も
他のすべての活発なフリーソフトウェアプロジェクトでも同じです。
あなたは一人ではないのです。
どうかこの本をあなたの最良の共とせんことを。
—
, Chicago, 14 March, 2004目次
「If C gives you enough rope to hang yourself, think of Subversion as a sort of rope storage facility.」 —Brian W. Fitzpatrick
オープンソースの世界では、コンカレントバージョン管理システム(CVS) が長い間よく使われてきました。またそれは正しい選択でした。CVSは フリーソフトですし、その制約のないワークフローモデル と、ネットワーク機能のサポート— それは地理的に さまざまな場所に分散したプログラマに作業内容を共有させるものですが— は、オープンソースの世界での共同作業のやり方に非常によく合っています。 CVSと、CVSのある程度ルーズな開発手法モデルは、オープンソース文化のかなめになりました。
しかし、どんなツールでもそうですが、CVSも年をとりました。 Subversionは比較的新しいバージョン管理システムで、CVSの後継となるように 設計されています。設計者は二つの方法で CVSユーザのハートをつかもうとして います。CVSとよく似たデザイン(と、「見栄え」)を持ったオープンソースシステムを 作ることによって、もう一つは、CVSでわかっている欠点のほとんどを 解決しようとすることによって、です。その結果は、バージョン管理システム ソフトの世界に次世代革命をもたらすものではないかも知れませんが、Subversion は確かに とても強力で使いやすく柔軟です。
この本は Subversion バージョン管理システムのバージョン1.2系のために 書かれたものです。私たちはできるだけ完全な記述を目指しましたが、Subversion は 活発で精力的な開発コミュニティーを持ち、既に今後計画されているさまざまな機能や 改良点があるため、この本にあるコマンドや特殊な注意事項のいくつかは変更される かも知れません。
この本はデータを管理するのにSubversionを使おうとする コンピュータの知識のある人たちのために書かれています。Subversionはいろいろな オペレーティングシステム上で動きますが、一番力を入れているユーザインターフェースは コマンドラインベースのものです。それでこの本で議論したり利用するのもコマンド ラインツール((svn)が対象になります。一貫性を保つためこの 本での例は読者が Unix 風のオペレーティングシステムを利用し、Unix と Unix の コマンドラインインターフェースに比較的慣れていることを前提にしています。
しかしsvnはMicrosoft Windowsのような Unix 以外の
プラットフォームでも動かすことができます。バックスラッシュ(¥
)
をスラッシュ (/
)のかわりにパス区切り文字として利用しなくては
ならないなどの僅かな違いをのぞけば、Windows 上でこのツールを動作させた時の
入力と出力の内容は Unix のものと同一です。しかし、Windows ユーザは
Cygwin Unix エミュレータ環境下でこの本の例を実行すれば、よりよい結果を
得られるかも知れません。
ほとんどの読者はおそらくプログラマか管理者で、ソースコードの 変更内容を追う必要のある人になると思います。それが Subversionの 一番普通の使い方なので、この本の例もそういう状況を前提にしています。 ただ、Subversionはどのようなタイプの情報に対しても変更点を管理するのに 使えます。画像、音楽、データベース、ドキュメント、 などなどにも利用できます。Subversionにとっては、どんな種類のデータも、 単なるデータにすぎません。
この本は読者がいままでバージョン管理システムを一度も使ったことは ないものとして書かれていますが、CVSの利用者に対しては、Subversion への 移行を楽にするように工夫しました。しばしば補足としてCVSに触れるかも知れませんし、 特に用意した補遺では、CVSとSubversionの大部分の相違点をまとめて あります。
この本は非常にさまざまな背景を持った人々にとって有用であることを 目的としています— つまりバージョン管理についてまったく経験のない人から、経験を 積んだシステム管理者までのすべての人たちです。どのような知識を既に持っているか に応じて、特定の章が何らかの意味で重要になるでしょう。以下はさまざまな読者層 ごとの「おすすめの読み方」と考えてください。
あなたはおそらく既に CVS を利用したことがあり、とっとと Subversion を ダウンロードしてサーバを立ち上げたいのでしょう。章 5. リポジトリの管理 と 章 6. サーバの設定を読めばどのよう にして最初のリポジトリを作り、ネットワーク越しに利用できるようになるかが わかるでしょう。それが済んだら章 3. 同伴ツアー と 付録 A. CVSユーザのためのSubversion をものにするのが CVS 経験者と してのあなたが Subversion クライアントを理解するのに一番早い方法です。
あなたの管理者は多分もうSubversion を設定しているはずで、あなたに 必要なのはどうやって Subversion クライアントを利用するかを理解する ことだけです。CVS を利用した経験がないのなら(あるいはバージョン管理 システムなどといったものを一度も使ったことがないのなら)、 章 2. 基本概念 と 章 3. 同伴ツアー は粋な とっかかりになります。既に CVS を使ったことがあるので あれば第3章と補遺A から始めるのが最良でしょう。
ユーザであれ管理者であれ、最終的にはあなたのプロジェクトは大きくなって いくでしょう。そして Subversion のより進んだ機能を理解したくなるはず です。たとえばブランチ化とマージ(章 4. ブランチとマージ)、 メタデータの設定と実行時オプションの設定(章 7. より進んだ話題)、 などなどです。このふたつの章は最初はピンとこないかも知れません が、基本的なことを理解した後でぜひ読んでみてください。
おそらくあなたは既に Subversion になじんでいて、どうやってそれを拡張するか、 あるいは Subversion のたくさんある API を使ってどうやって新しいソフトウェア を作るかに興味があるでしょう。章 8. 開発者の情報はまさにそんな人に うってつけです。
この本のしめくくりはリファレンス情報です—章 9. Subversion リファレンスは、 すべてのSubversionコマンドのリファレンスガイドと、いろいろな役に立つトピック に関する補足情報です。この本全体を一度読み終えたあとで戻ってくる のはきっとこの章でしょう。
ここではこの本で利用されるさまざまな規約について触れます。
このアイコンは周りにあるテキストに関連した注意を 表します。
このアイコンは周りにあるテキストに関連したヘルプ 情報を表します。
このアイコンは回りにあるテキストに関連した警告を 表します。
ソースコードのサンプルは、単なる一例です. 普通のやり方でコンパイルできるとは思いますが、問題点を簡単に示すためのものであり、 良いプログラミングスタイルの例として載せたものではありません。
以下の章とその内容をここで一覧にしておきます:
Subversionの歴史、その機能、構成、 構成要素、そしてインストール方法についての章です。またクイック スタートガイドもあります。
バージョン管理の基礎と異なるバージョン管理モデルを、Subversion の リポジトリ、作業コピー、リビジョンとの関連で説明します。
Subversion ユーザとしての日常的な利用方法に沿った説明をします。 Subversion を使ってどのようにデータを取得し、修正し、コミットするか についてのデモンストレーションです。
ブランチ、マージ、そしてタグについて議論しますが、これにはブランチと マージの最良の方法、一般的な利用例、変更をどうやって取り消すか、 そしてあるブランチから別ブランチにどうやって簡単に乗り換えるかなども 含まれます。
Subversion リポジトリの基本について議論します。どうやってリポジトリを 作成し、設定し、管理するかについて、また、そのためにどんなツールを 利用できるかについても議論します。
Subversion サーバの設定方法と、リポジトリにアクセスする三種類の方法に
ついて説明します: HTTP
、svn
プロトコル、そしてローカルアクセスです。また認証、認可、匿名アクセス
についての詳細にも触れます。
Subversion クライアントの設定ファイル、ファイルとディレクトリの
属性、作業コピー中のファイルを無視
する方法、
作業コピー中に外部ツリーを含める方法、そして最後にベンダーブランチ
の取り扱いについて説明します。
Subversion の内部構造、Subversion ファイルシステム、そして作業コピー の管理領域についてプログラマーの視点から説明します。 Subversion を利用するプログラムを書くために公開された API を使う 例をあげ、そして最も大切なことですが、どうやって Subversion の開発に 貢献するかを示します。
svn、svnadmin、そしてsvnlook のそれぞれのサブコマンドについてすべてのケースでの豊富な例をまじえながら詳細に 説明します。
Subversion と CVS の間の類似点と相違点に触れ、CVS を長年使ってきたことによる 悪い習慣からどうやって抜け出すかについてのさまざまなアドバイスをします。 具体的には Subversion のリビジョン番号、バージョン化されたディレクトリ、 オフラインでの操作、updateとstatus の違い、ブランチ、タグ、メタデータ、衝突の解消、そして認証です。
WebDAVとDeltaVの詳細と、DAV共有を読み書き可能な形にマウントするために どうやってSubversion リポジトリを設定するかを説明します。
Subversion を支援したり利用したりするツールについて議論します。これには 別のクライアントプログラム、リポジトリ参照ツール、などが含まれます。
この本はSubversionプロジェクト開発チームによって書かれたちょっとしたドキュメント から始めたものを、一つにまとめて書き直したものです。そんなわけで、この本は 常にフリーライセンス下にあります(付録 D. Copyrightを参 照してください)。実際、この本は公開された状況のもとで、Subversionの一部として書かれました。 これは二つのことを意味します:
この本の最新版は、この本専用のSubversionリポジトリにあります。
フリーライセンスの下で、誰でもこの本を好きなように変更し、配布することができます。 もちろんこの本のプライベートバージョンを配布するよりも、Subversion開発チームに パッチの形で送ってもらうほうがずっと助かりますが。 コミュニティへの参加方法についてはSubversionへの貢献項 を参照してください。
この本の比較的最近のバージョンは、 http://svnbook.red-bean.comにあります。
この本は Subversion が存在しなければ不可能でした(し、役に立つものに なることもありませんでした)。そういうわけで、著者はこのようなハイリスク で野心的な新しいオープンソースプロジェクトを支援してくれたBrian Behlendorf とCollabNetにまず感謝します; 次にSubversion の名称とその原型を設計したJim Blandy に対して感謝します— Jim、みな君を愛しているよ; そして最後に 良き友であると同時に偉大なコミュニティー指導者であるKarl Fogelに感謝します。 [1]
O'Reilly と我々の編集者であるLinda Muiと、Tatiana Diaz の忍耐と支援にたいして感謝します。
最後に、この本に対して非公式のレビュー、示唆、修正をしてくれた無数の人々に 感謝します: 確かに完全なリストではありませんが、この本は以下の人々の支援なしに は不完全で不正確なものだったでしょう: Jani Averbach, Ryan Barrett, Francois Beausoleil, Jennifer Bevan, Matt Blais, Zack Brown, Martin Buchholz, Brane Cibej, John R. Daily, Peter Davis, Olivier Davy, Robert P. J. Day, Mo DeJong, Brian Denny, Joe Drew, Nick Duffek, Ben Elliston, Justin Erenkrantz, Shlomi Fish, Julian Foad, Chris Foote, Martin Furter, Dave Gilbert, Eric Gillespie, Matthew Gregan, Art Haas, Greg Hudson, Alexis Huxley, Jens B. Jorgensen, Tez Kamihira, David Kimdon, Mark Benedetto King, Andreas J. Koenig, Nuutti Kotivuori, Matt Kraai, Scott Lamb, Vincent Lefevre, Morten Ludvigsen, Paul Lussier, Bruce A. Mah, Philip Martin, Feliciano Matias, Patrick Mayweg, Gareth McCaughan, Jon Middleton, Tim Moloney, Mats Nilsson, Joe Orton, Amy Lyn Pilato, Kevin Pilch-Bisson, Dmitriy Popkov, Michael Price, Mark Proctor, Steffen Prohaska, Daniel Rall, Tobias Ringstrom, Garrett Rooney, Joel Rosdahl, Christian Sauer, Larry Shatzer, Russell Steicke, Sander Striker, Erik Sjoelund, Johan Sundstroem, John Szakmeister, Mason Thomas, Eric Wadsworth, Colin Watson, Alex Waugh, Chad Whitacre, Josef Wolf, Blair Zajac, そして Subversion コミュニティー全体に対して。
Thanks to my wife Frances, who, for many months, got to hear, 「But honey, I'm still working on the book」, rather than the usual, 「But honey, I'm still doing email.」 I don't know where she gets all that patience! She's my perfect counterbalance.
Thanks to my extended family for their sincere encouragement, despite having no actual interest in the subject. (You know, the ones who say, 「Ooh, you're writing a book?」, and then when you tell them it's a computer book, sort of glaze over.)
Thanks to all my close friends, who make me a rich, rich man. Don't look at me that way—you know who you are.
Huge thanks to my wife Marie for being incredibly understanding, supportive, and most of all, patient. Thank you to my brother Eric who first introduced me to UNIX programming way back when. Thanks to my Mom and Grandmother for all their support, not to mention enduring a Christmas holiday where I came home and promptly buried my head in my laptop to work on the book.
To Mike and Ben: It was a pleasure working with you on the book. Heck, it's a pleasure working with you at work!
To everyone in the Subversion community and the Apache Software Foundation, thanks for having me. Not a day goes by where I don't learn something from at least one of you.
Lastly, thanks to my Grandfather who always told me that 「freedom equals responsibility.」 I couldn't agree more.
Special thanks to my wife, Amy, for her love and patient support, for putting up with late nights, and for even reviewing entire sections of this book—you always go the extra mile, and do so with incredible grace. Gavin, when you're old enough to read, I hope you're as proud of your Daddy as he is of you. Mom and Dad (and the rest of the family), thanks for your constant support and enthusiasm.
Hats off to Shep Kendall, through whom the world of
computers was first opened to me; Ben Collins-Sussman, my
tour-guide through the open-source world; Karl Fogel—you
are my .emacs
; Greg
Stein, for oozing practical programming know-how; Brian
Fitzpatrick—for sharing this writing experience with me.
To the many folks from whom I am constantly picking up new
knowledge—keep dropping it!
Finally, to the One who perfectly demonstrates creative excellence—thank you.
バージョン管理は情報に対する変更を管理するための技法です。 それは小さな変更をソフトウェアにしたあと、次の日にはその変更を取り消すという ような作業をするプログラマにとっては、長い間非常に重要なことでした。 しかしバージョン管理ソフトウェアの有用性はソフトウェア開発の世界をはる かに越えた汎用性があります。頻繁に変更されるような情報を管理しなくては ならないようなコンピュータを使っている人々がいる場所では常にバージョン 管理システムを導入する余地があります。そしてSubversionが力を発揮する のはそのような場所においてです。
この章にはSubversion の高レベルの導入があります—つまりそれは何であり、 何をするものであり、そしてそのためにはどうしたらよいか、についての導入 です。
Subversion は、フリーなオープンソースのバージョン管理システムで、 時間とともに変化するファイルやディレクトリを管理します。 ファイルの階層構造全体は、リポジトリと呼ばれる 中心的な場所に置かれます。リポジトリは通常のファイルサーバとよく似ていますが メンバーがファイルやディレクトリにしたすべての変更を記録しています。 このため、メンバーは古いバージョンのデータを戻したり、変更履歴を確認したり することができます。この意味で、バージョン管理システムを、 「タイムマシン」の一種と考える人も います。
Subversion はリポジトリにネットワーク越しにアクセスするので、別々の コンピュータで作業する人々によって利用することができます。ある範囲で それぞれの場所からの同じデータの集まりをさまざまな人が修正し管理する 仕組みは共同作業を支援することができます。すべての変更を一つの流れに そって行うわけではないので作業効率をより高めることができます。 さらに作業はバージョン化されているので、作業品質が流れを中断 するかどうかの兼ね合いであるかどうかを心配する必要はありません— データに対して間違った変更をしてしまった場合には単にそれを取り消せばよい のです。
バージョン管理システムのいくつかは、ソフトウェア構成管理システム(SCM) でもあります。そういうシステムは、ソースコードのツリーを管理するために 特別便利に作られています—たとえばプログラム言語をじかに理解する ことができたり、ソフトウェアを構成するのに必要なツールが付属していたり といった具合です。しかし Subversion はそのような種類のシステムでは ありません。 Subversionはどのような タイプのファイルの集合も管理できる一般的なシステムです。あなたにとって それはプログラムのソースコードかも知れません—しかし別の人にとっては 食料品の買い物リストから、デジタルビデオの編集、そしてもっと他のもの ですらあるでしょう。
2000年の初め、CollabNet, Inc. (http://www.collab.net)は CVS の置き換えを 書く開発者を探し始めていました。CollabNet は CollabNet Enterprise Edition (CEE) [2] という 共同作業用のソフトウェアを提供しています。それはバージョン管理システムをその 一部として含んでいました。CEE は最初のバージョン管理システムと して CVS を利用していましたが、CVS の持っている制限は最初から明らかで あり、CollabNet は最終的にもっと良いものを見つけなくてはならないと悟り ました。不幸にも CVS はオープンソースの世界において 事実上の標準となって いましたが、それは単に、少なくともフリーライセンスの下ではそれより良いも のが何もなかったというのが理由の大部分でした。 そこで CollabNet は一から新しいバージョン管理システムを開発することを決め ました。ただし、CVS の基本的な考え方は保持したまま、バグやまずい実装を 含まないようにする形で、です。
2000年の 2 月、彼らはOpen Source Development with CVS (Coriolis, 1999)の著者である Karl Fogel に連絡をとり、この新しい プロジェクトに参加する気はないかどうかたずねました。ちょうど同じころ Karl は既に新しいバージョン管理システムの設計について友人の Jim Blandy と 議論していました。1995 年に二人は CVS のサポート契約を提供する会社、 Cyclic Software を設立し、後にそのビジネスを売却しはしましたが、やはり 自分たちの日常の作業に CVS を利用していました。CVS に関する不満がもと で Jim はバージョン化されたデータの管理について、より良い方法を注意深く 考えることになり、「Subversion」 という名前だけではなく、Subversion リポジトリ の基本的な設計についても既に思いついていました。CollabNet が Karl を 呼ぶと彼はすぐにそのプロジェクトで働くことに同意し、また Jim は 雇用主である Red Hat Software が、不定期の期間にわたって彼を事実上 そのプロジェクトに無償で送り込ませることに成功しました。CollabNet は Karl と Ben Collins-Sussman を雇い、5月から詳細設計が始まりました。 CollabNet の Brian Behlendorf と Jason Robbins、そして Greg Stein (当時はWebDAV/DeltaVの仕様決めを独立した開発者として行っていました が) からのタイミングの良い刺激に助けられ、Subversion は急速に活発な 開発者コミュニティの注意を引きました。多くの人々は CVS について不満を 持っていたことがわかり、最終的に自分たちがその企画に対して何らか貢献 できることを歓迎しました。
最初の設計チームはいくつかのシンプルな目標を決めました。それはバージョン 管理手法の新しい地平を切り開くようなことを目的とはせず、単に CVS の 不具合を修正するものであるとされました。Subversion は CVS の機能に合致し、 同じ開発モデルを踏襲するが、CVS のほとんどの明らかな不具合については 繰り返さないと決められました。そしてそれは CVS を単純な置き換えである必要 はないにせよ、CVS ユーザがわずかな労力によって移行できる程度には十分 似ているべきであるとされました。
14ヶ月のコーディングの後、Subversion は 2001/8/31 に 「自分で自分自身のソースコード管理」が できるようになりました。Subversion開発者は、Subversionの自身のソースコード 管理にCVSを使うのをやめてSubversion自身を使えるようになったということです。
CollabNet がこのプロジェクトを始め、いまだに作業の大部分に出資している わけです(Subversion のフルタイム開発者の給料を払っています)が、Subverion は大部分のオープンソースプロジェクトのように実力主義を促進するような緩やかで オープンないくつかの規則によって成り立っています。CollabNet のコピーライト ライセンスは Debian Free Software Guidelines に完全に合致したものです。 言い換えると、 誰でも自由にSubversionをダウンロードし、修正し、再配布できるということです。 CollabNet や他の誰かの許可を得る必要はありません。
Subversion がバージョン管理の問題に提供しようとする機能についての議論 は CVS のデザインをどのように改良したかという観点から話しをすることが しばしば有用です。CVS になじみがないのであればこれらのすべての機能を 理解する必要はありません。そしてバージョン管理についてまったく知らない のであれば、眠くなるだけかも知れません。まず最初に章 2. 基本概念を読んでください。バージョン管理システム一般 についての親切な手引きを用意してあります。
Subversion は以下の機能を提供します:
CVS は個々のファイルの履歴を追うことができるだけですが、 Subversion は時間とともにディレクトリツリー全体の変化も追うことのできる、 「仮想的な」バージョン化ファイルシステムを実装しています。 ファイルと、さらに ディレクトリもバージョン付け します。
CVS はファイルのバージョン化に機能が制限されているので、コピー や名称変更— これはファイルだけではなくディレクトリの内容も 変更する可能性があります— は CVS ではサポートされていません。 さらに CVS では古い履歴を継承しなければ同じ名前の全く新しい ファイル— おそらく全く無関係のファイル—によってすでに バージョン化されているファイルを置き換えることはできません。 Subversion ではファイルとディレクトリの両者に対して追加、削除、 コピー、名称変更をすることができます。そして新規追加されるすべての ファイルは、そこから新しく始まるきれいな履歴を持つことになります。
変更点の集まりは、それ全体がリポジトリに完全に反映されるか、 まったく反映されないかのどちらかです。これにより開発者は 論理的にひとまとまりの変更を作りコミットすることができ、 一部だけがリポジトリに反映されてしまうような問題を回避する ことができます。
ファイルとディレクトリはそれぞれ関連した属性— キーと 値の組のことです— を持つことができます。任意の キー/値の組を生成し保存することができます。属性もファイルの内容と 同じようにバージョン化されます。
Subversion はリポジトリアクセス用の抽象レイアがあり、新しい ネットワークプログラムを簡単に実装できるようになっています。 Subversion は HTTP サーバの拡張モジュールとして組み込むことも できます。こうすると Subversion は信頼性や相互連携性において 非常に有利になりサーバが提供している既存の機能をすぐに利用 できるようになります—認証、認可、データ圧縮、などです。 より簡易なスタンドアロンの Subversion プロセスも利用できます。 このサーバは独自のプロトコルによって SSH を利用したトンネル 通信を簡単に実行できます。
Subversion は、バイナリ差分アルゴリズムを使ってファイルの差分を 表現します。これはテキスト(読むことのできるデータ)にも、バイナリ( 簡単に読むことのできないデータ)に対しても同じ方法で働きます。 どちらのタイプのデータもリポジトリ中に同じ形式で圧縮されて格納され、 差分はネットワーク上どちらの方向にも転送されます。
ブランチとタグを作成するコストはプロジェクトのサイズに比例するわけでは ありません。Subversionはハードリンクとして知られている方法とよく似た方法を使って、 単にプロジェクトをコピーすることでブランチとタグを作ります。そのため ブランチ、タグの作成は非常に短い、一定の時間しかかかりません。
Subversionは歴史的な遺物ではありません。よく設計された APIでできたCの共有ライブラリの集まりとして実装されています。 このことはSubversionの保守をとてもやりやすいものにしますし、 他のアプリケーションや 言語から利用しやすいものにします。
図 1.1. 「Subversion の構成」は Subversion の「概略」と でも呼べるようなものです。
一方の端はバージョン化されたすべてのデータがある Subversionリポジトリ です。もう一方はクライアントプログラムで、バージョン化されたデータの ローカルマシン上のコピー(これを「作業コピー」と言います)を 管理します。この二つの間にさまざまなリポジトリアクセス(RA)層を通じた 通信路があります。そのいくつかはコンピュータネットワークをまたいで リポジトリにアクセスするためのネットワークサーバ越しに通信します。 他のものはネットワークを利用せず直接リポジトリにアクセスします。
Subversion はAPR (the Apache Portable Runtime library)と呼ばれる 可搬性のあるインターフェースの上に作られています。これで Subversionは Apache の httpd サーバが使えるオペレーティングシステムならどれでも 実行させることができます: Windows, Linux, すべての BSDの変種、Mac OS X, ネットウェア、その他です。
Subversion is built on a portability layer called APR—the Apache Portable Runtime library. The APR library provides all the interfaces that Subversion needs to function on different operating systems: disk access, network access, memory management, and so on. While Subversion is able to use Apache as one of its network server programs, its dependence on APR does not mean that Apache is a required component. APR is a standalone library useable by any application. It does mean, however, that like Apache, Subversion clients and servers run on any operating system that the Apache httpd server runs on: Windows, Linux, all flavors of BSD, Mac OS X, Netware, and others.
Subversionを手に入れる一番簡単な方法は自分のオペレーティング システム用のバイナリパッケージをダウンロードすることです。Subversionの ウェブサイト(http://subversion.tigris.org) には、ボランティアによって作られたダウンロード可能なパッケージが たくさんあります。このサイトには普通、Microsoft Windows のための グラフィックインストーラパッケージもあります。Unix系のオペレーティング システムを使っているなら、(RPMs, DEBs, ports tree などといった、)システム 固有のパッケージ配布システムを使うこともできます。
あるいは直接ソースコードからSubversionを作ることもできます。Subversion
ウェブサイトから最新のソースコードリリースを取得してください。解凍した
あとINSTALL
ファイル中の説明に従って作ってください。ソースパッケージには
リモートリポジトリにアクセスするためのコマンドラインクライアントを
作るのに必要なものはすべてそろっていますが、(特に apr, apr-util,
そして neon ライブラリなど)、Subversionのオプション部分は Berkeley DB や、
潜在的にはApache httpd など、ほかのいろいろなソフトに依存していることに
注意してください。もし完全に
ビルドしようとするなら、INSTALL
ファイルに書かれた
すべてのパッケージが手元にあることを確認してください。既にある
Subversion リポジトリの上で作業するなら、クライアントプログラムを使っ
て、最新の一番新しいソースコードを取得することができます。
このやり方はソースコードの取得項
の章に書いてあります。
Subversion はさまざま部品からできています。以下はその簡単な概要です。 ここでの簡単な説明で混乱してもあわてないでください; —混乱を 減らすために非常に多くのページがこの後に用意して ありますので。
コマンドラインのクライアントプログラムです。
作業コピーの(アイテムが存在するリビジョンに関係した)状態についての報告をするプログラムです。
Subversionのリポジトリを調べるためのツールです。
Subversionのリポジトリを調整したり修復するためのプログラムで主 システム管理者によって使われます。
Subversion リポジトリのダンプファイル形式のデータに対 するフィルタプログラムです。
Apache HTTP サーバ用のプラグインモジュールです。 リポジトリをネットワーク上の別のユーザが利用できるようにするものです。
デーモンとして、またはSSHから起動されるスタンドアロンのサーバプログラムです。 ネットワーク越しにリポジトリを使えるようにする別の方法です。
Subversionが正しくインストールされていれば、これで利用できるようになって いるはずです。次の二つの章では、コマンドラインクライアントプログラム、 svnの使い方を説明します。
人によってはこの本での「トップダウン」的なアプローチによって 新しい技術を習得するのが困難かも知れません。この節では Subversion の 非常に短い導入方法を用意し、「ボトムアップ」的な読者にも挑戦の機会を与える ことにします。あなたが経験によって学ぶやり方を好むようなタイプの人であ れば、以下のやり方がうまくいくでしょう。途中、この本の関連した章へのリ ンクをつけてあります。
バージョン管理モデルや CVS と Subversion の両者で利用される 「コピー・修正・マージ」モデルについて全く聞いたことがない のであればまず章 2. 基本概念を読んでから先に進んだほうが よいでしょう。
以下の例では Subversion のコマンドラインクライアントで あるsvn、管理用ツールである svnadminが利用可能な形で手元にあることを前提とします。 さらに Subversion 1.2 かそれ以降を利用していることも仮定します (これを確認するにはsvn --versionを実行してください)。
Subversion はすべてのバージョン化されたデータを中心的な リポジトリに格納します。最初に新しいリポジトリを作りましょう:
$ svnadmin create /path/to/repos $ ls /path/to/repos conf/ dav/ db/ format hooks/ locks/ README.txt
このコマンドはSubversion リポジトリを含む新しいディレクトリ
/path/to/repos
を作ります。
この新しいディレクトリには(他のファイルに混じって)データベースファイルの
集まりを含んでいます。内部を詳細に知る必要がないのであれば
このバージョン化されたファイルを見る必要はないでしょう。
リポジトリ生成と保守についてのより詳しい情報は
章 5. リポジトリの管理を見てください。
Subversion には「プロジェクト」という概念はありません。 リポジトリは単なる仮想的にバージョン化されたファイルシステム であり、どんなデータも含むことのできる大きなツリー構造です。 管理者によってはひとつのリポジトリにひとつのプロジェクトだけを 入れることを好みますが、他の管理者はディレクトリを分割した形で 複数のプロジェクトを格納することを好みます。両者のメリット、 デメリットについてはリポジトリレイアウトの選択項 で議論します。どちらの方法でもリポジトリは単にファイルとディレクトリ を管理するだけなので、特定のディレクトリを「プロジェクト」 であると解釈するかどうかは人間にまかされています。それでこの本をつうじて プロジェクトを参照するときには、リポジトリに存在する、いま言ったような形 のいくつかのディレクトリ(あるいはディレクトリの集まり)についてだけ話を することに注意してください。
この例では、新しく作った Subversion リポジトリにインポートを済ませた
何かのプロジェクト(ファイルとディレクトリの集まり)があるものと
仮定しています。このデータ内容は myproject
という単一のディレクトリに編成されているものとしましょう(
もちろん実際には好きな名前にすることができます)。
後で説明する理由により(章 4. ブランチとマージ
参照)、ツリーの構造はbranches
,
tags
, そして trunk
という
名前の三つの最上位ディレクトリを含む必要があります。
trunk
ディレクトリはすべてのデータを含んでいる
はずですが、branches
とtags
ディレクトリは空です:
/tmp/myproject/branches/ /tmp/myproject/tags/ /tmp/myproject/trunk/ foo.c bar.c Makefile …
branches
, tags
,
trunk
サブディレクトリは実際には Subversion に
必要なものではありません。後で利用する時におそらくもっとも便利になる
ように考えられた、よく利用される命名規約にすぎません。
ツリー中にデータを作ったらsvn import コマンドでリポジトリにインポートします(svn import項を見てください):
$ svn import /tmp/myproject file:///path/to/repos/myproject -m "initial import" Adding /tmp/myproject/branches Adding /tmp/myproject/tags Adding /tmp/myproject/trunk Adding /tmp/myproject/trunk/foo.c Adding /tmp/myproject/trunk/bar.c Adding /tmp/myproject/trunk/Makefile … Committed revision 1. $
これでリポジトリにツリーのデータが入りました。この時点で
trunk
ディレクトリの「作業コピー」
を作ります。ここが実際の作業を行う場所になります:
これでリポジトリにツリーのデータが入りました。
すでに注意したように、リポジトリ中のファイルやディレクトリを詳しく
調べる必要はありません; すべてはデータベース中に格納されているもの
だからです。しかしリポジトリの仮想的なファイルシステムを考えると、
いまの場合、最上位にディレクトリmyproject
が
あり、その下にあなたのデータが含まれている形になります。
もとの
/tmp/myproject
にはなにも変更がないことに注意してく
ださい。(実際、必要ならこのディレクトリを消してしまうこともできま
す)。リポジトリのデータを操作するためには、このデータのために、一種の
個人用の作業領域となる新しい「作業コピー」を作らなくてはな
りません。Subversion に、リポジトリのmyproject/trunk
ディレ
クトリ用の作業コピーを「チェックアウト」するように指示して
みましょう:
$ svn checkout file:///path/to/repos/myproject/trunk myproject A myproject/foo.c A myproject/bar.c A myproject/Makefile … Checked out revision 1.
これでmyproject
という名前の新しい
ディレクトリ中にリポジトリのプライベートなコピーを手にしたことに
なります。作業コピー中のファイルを編集し、その変更点をリポジトリに
書き戻すためにコミットすることができます。
作業コピーに行ってファイル内容を修正します。
svn diff を実行して 変更点に対する unified diff 出力を確認します。
svn commit を実行して リポジトリに自分のファイルの新しいバージョンをコミットします。
svn update を実行して リポジトリの「最新の」状態を自分の作業コピーに反映します。
作業コピーに対してできるすべてのことについての完全な手引き については章 3. 同伴ツアーを読んでください。
この時点で、ネットワーク越しに別の人々にリポジトリを 利用可能にすることもできます。 章 6. サーバの設定を読んで利用可能ないくつかのサーバプロセス の違いについて把握し、どのように設定すれば良いかを理解してください。
目次
この章ではSubversionの概要を説明します。 バージョン管理システムの利用が初めての人は、必ずこの章を読んでください。 一般的なバージョン管理の概念から始めて、Subversionの背後にあるアイディア を説明し、Subversionの使い方の簡単な例をお見せします。
この章の例では複数のプログラムソースコードの共有を扱いますが、Subversion はどのようなファイルの集まりも管理できることに注意してください— コンピュータプログラマだけを助けるものではないのです。
Subversion は共有情報の一元管理システムです。最も重要なのは リポジトリと呼ばれる、データの格納庫 です。リポジトリは情報をファイルシステムツリー —一般的なファイルとディレクトリの階層構造—の形で格納します。 任意の数のクライアントがリポジトリにアクセスし このようなファイルの読み書きをします。データを書き込むことでクライアントは 他の人たちがその情報を使えるようにします。データを読み出すことでクライアントは 他の人たちの情報を受け取ります。図 2.1. 「典型的なクライアント/サーバシステム」はこれ を表したものです。
どうしてこんなことが興味深いのか? ここまでのところでは、典型的なファイルサーバの 定義にすぎないように思います。そして実際、リポジトリはファイルサーバの 一種です。が、普通言うようなものとは少し 違います。Subversionのリポジトリの特徴はそれまで書き込まれた すべての修正をすべて憶えているところ です。すべてのファイル変更についても、また、ディレクトリツリーの自身の変更に ついてもそうです。このような変更は、ファイルやディレクトリの追加、削除、 再配置、などによって起こります。
クライアントがリポジトリからデータを読み出すときには、普通はファイルシステム ツリーの最後のバージョンだけが見えます。が、ファイルシステムの 以前の状態も閲覧することができます。 たとえばクライアントは、 「先週の水曜日にこのディレクトリにはどのファイルがあったの?」、とか 「最後にこのファイルを変更したのは誰で、その人は何を変更したの?」 といった履歴に関する質問をすることができます。 この手の質問はすべてのバージョン管理システム のキモになるような質問です。つまりバージョン管理システムとは時間と共に 修正されるデータを記録したり、修正内容を追跡したりするようにデザイン されています。
バージョン管理システムの中核となる役割は共同作業での編集とデー タの共有を可能にすることです。しかしこれにはシステムごとに違った戦略が必要 になります。
あらゆるバージョン管理システムはどれも基本的な一つの問題を解かなくてはなりません: どうやってユーザに情報を共有させつつ、お互いの変更点が重ならないようにするか、です。 リポジトリ上の別の人の変更を間違って上書きしてしまうことは簡単に 起こりえます。
図 2.2. 「避けなくてはならない問題」に示したこんな状況を考えてみてください: 二人の同僚、Harry と Sally がいます。 二人は同時に同じリポジトリ内のファイルを編集することにしました。 もし Harry が先に彼の変更をリポジトリに書き込めば、多分、(その少し あとで) Sally は間違って彼女の新しいバージョンでそれを上書きしてしまう でしょう。Harry のバージョンは永久に失われることはありません(と、いうのは バージョン管理システムはすべての変更を記録しているため)が、 Harry がやった修正は、どれも Sally の新しいバージョンには 現れることがありません。編集時には 彼女は Harry の変更を見ることはできないからです。Harry の作業は、 実質的には失われてしまい、—あるいは少なくとも最新のバージョンからは 失われてしまい、— しかもおそらくそれは二人が意図したことではないで しょう。これこそわれわれが避けなくてはならない状況です。
多くのバージョン管理システムでは、 ロック・修正・ロック解除のモデルを使ってこの問題 を扱います。そのようなシステムでは リポジトリ中のファイルを変更できるのは一度に一人だけです。 最初 Harry はファイルに変更を加える前に、「ロック」しなくては なりません。ファイルのロックは、図書館から本を借りるのにいろんな意味で よく似ています。もし Harry がファイルをロックすると、Sally は同じ ファイルに変更することができなくなります。ロックしようとすれば、 リポジトリはその要求を拒否します。彼女ができるのはそのファイルを 読むことと、Harryが仕事を終えてロック解除してくれるのを待つことだけ です。Harry がロックを解除したあと、彼の番は終わり、今度はSallyが ロックして編集することができる番になります。図 2.3. 「ロック・修正・ロック解除の解法」はこの単純な解法の例です。
ロック・修正・ロック解除のモデルの問題は、ファイル管理が少し厳しすぎる ことで、しばしば、ユーザとって作業の障害になります:
ロックすることは管理上の問題を起こすかも知れません。 ときどきHarryはファイルをロックしたあとでそのことを忘れてしまいます。 いっぽう Sally はずっと自分の番を待っているので、その間何もすることが できません。そしてHarryはそのままバカンスに行ってしまい、Sallyとしては 管理者に対してHarryのロックを解除してもらうように頼まなくてはならなく なります。この状況は不要な遅れと、時間の無駄を起こします。
ロックは不要な直列化を起こすかも知れません。 Harryはそのテキストファイルの先頭の部分を修正して、Sally は同じファイルの 最後の部分を修正したいだけだとしたら? 二人の修正はまったく重なって いません。適当な形でマージされることさえ保証できれば、二人は同じファイル を同時に編集することができ、それが大きな問題にはならないでしょう。
ロックは間違った意味の安心感を与えてしまう場合 があります。 HarryがファイルAをロックしてから編集し、一方Sallyは同時にファイルBを ロックしてから編集しているとします。しかしここでAとBとは意味的に 依存しあっていて、それぞれに対する独立した変更は両立しないとしましょう。 突然 A と B はもう一緒に動作しなくなります。ロックを使ったシステムは このような状況には無力です。— これはある意味で、間違った意味の 安心感を与えてしまっています。HarryやSallyが、ファイルをロックする ことでそれぞれ安全な状態に入り、自分の作業は他人から分離されていると 錯覚することは簡単に起こりえます。このことが、最初に述べたような 実は両立しない変更についての議論を妨げてしまうかも知れません。
Subversion, CVS, その他のバージョン管理システムはロックに変わる アイディアとしてコピー・修正・マージモデルを 使います。このモデルではユーザごとのクライアントプログラムはプロジェクト リポジトリにアクセスして自分だけの作業コピーを 作ります—それはリポジトリにあるファイルやディレクトリをローカルに コピーしてきたものです。それからユーザは ひとりひとりが平行して作業をし、自分の作業コピーを修正します。 最後に自分のコピーは最終的な新しいバージョンにマージされます。 このバージョン管理システムは大部分のマージを手伝いますが 最終的には正しいマージかどうかについては人が責任を持ちます。 ユーザは平行して作業し、変更を同じファイル、ただしそれぞれの作業コピー である"A"に対して行います。
例をあげます。 Harry とSally が同じプロジェクトに対するそれぞれの作業コピーをリポジトリ の内容をコピーして作ったとします。 彼らは平行して作業し、変更をまずは自分の作業コピーの同じファイルAに対して 行います。Sally は自分の変更を先にリポジトリに保存します。 Harry が変更をあとで保存したいと思ったとき、リポジトリは、彼に対して Aは既に最新ではないことを伝えます。 言い換えると、リポジトリにあるファイルAは彼がそれをコピーした後で 別の人によって修正されていることを伝えます。そこで Harry は、Subversion のクライアントプログラムに、自分の作業コピーAに対して、リポジトリにある 新しい変更点をマージするように要求します。 Sally の変更が彼のもので上書きされることはありえません。ひとたび彼が 両方の変更を統合してしまえば、自分の作業コピーをリポジトリに書き戻す ことができます。図 2.4. 「コピー・修正・マージの解法」と 図 2.5. 「コピー・修正・マージの解法(続き)」 はこの処理を示しています。
しかし、Sallyの変更点がHarryのと重なって いたら? そのときはどうなるのでしょう? この状況は衝突と 呼ばれ、普通はあまり大きな問題にはなりません。 Harry がSubversionクライアントプログラムにリポジトリの最新の変更を 自分の作業コピーにマージするように要求したとき、彼のAファイルの作業 コピーは、衝突の状態としてマークされます。彼は両方の変更の衝突した 部分を見ることができ、どちらを選ぶかを選択します。ソフトウェア自体が 自動的に衝突を解決することはできないのに注意してください; 人間だけが 理解し、正しく選択する力を持っています。Harry がいったん重なっている 部分の修正を手で解消したら—たぶんSallyと衝突について話し合った あと—マージされたファイルをリポジトリに安全に書き戻すことが できます。
コピー・修正・マージのモデルは少々混沌としているように 思うかも知れませんが、実際にはとてもスムーズに行きます。 ユーザは平行して作業することができ、相手の修正を待つことはありません。 同じファイルに対して変更するときでも、ほとんどの変更は、まったく重ならない ことがわかります。そして、衝突を解消するのにかかる時間は、ロックする システムで失われる時間よりもずっと短いのです。
最終的に、これは一つの重要な要因に行き着きます: ユーザ間の コミュニケーションです。ユーザがお互いにあまり意見のやり取りをしなければ、 両方の構文上の、また意味の上の衝突は増えます。どんなシステムも ユーザに完全な意思の疎通を強制することはできないので、意味上の衝突を 検出することはできません。そういうわけで、ロックするシステムが衝突を 回避することができるという間違った保証に安心する理由はありません。 実際には、ロックは生産性を落とす以外のなにものでもないように見えます。
そろそろ抽象論から具体的な議論に移るときがきました。この章で はSubversion が利用される実際の例をお見せします。
既に作業コピーについて読んできたことと思いますので、Subversionのクライアント プログラムが作業コピーを作ったり使ったりする様子を見てみます。
Subversion 作業コピーは、自分のローカルシステム上の普通の ディレクトリツリーで、その中には複数のファイルがあります。あなたは 望むファイルを編集することができ、ソースコードファイルなら、それを 普通にコンパイルすることができます。作業コピーは自分だけの作業領域 です: Subversion はほかの人の変更を持ち込んだりしませんし、明示的に そうしてくれと言うまで、自分の変更を他の人に見せたりすることも ありません。同じプロジェクト用に一人で複数の作業コピーを持つことさえできます。
作業コピーのファイルに変更を加え、それがうまく動作することを 確認したあとで、Subversion はその変更を同じプロジェクトであなたと一緒に 作業しているほかの人に「公開」するためのコマンドを(リポジトリに 書き込むことで)用意します。もし他の人が自分自身の変更を公開したとき にはSubversionはその変更を自分の作業コピーにマージするコマンドを用意します。 (リポジトリの内容を読み出すことで。)
作業コピーには、Subversionによって管理される、いくつかの特殊な
ファイルもあり、その助けによって(読み出し、書き込みなどの)コマンドを
実行します。特に作業コピー中のディレクトリには.svn
という名前の、管理ディレクトリとして知られる
サブディレクトリがあります。管理ディレクトリのそれぞれのファイルは
Subversionがどのファイルにまだ公開していない変更があるか、どのファイルが
他の人の作業によって最新でなくなっているか理解するのを助けるものです。
典型的な Subversion リポジトリは複数のプロジェクトのファイル (またはソースコード)をつかんでいます。普通、それぞれのプロジェクトは リポジトリのファイルシステムツリー中のサブディレクトリになっています。 この構成によって、ユーザの作業コピーは普通、リポジトリの特定の 部分木に対応しています。
たとえば二つのソフトウェアプロジェクト、paint
と
calc
を含むリポジトリが
あるとします。それぞれのプロジェクトはそれぞれの最上位サブディレクトリ
にあります。図 2.6. 「リポジトリのファイルシステム」のような状況です。
作業コピーを持ってくるため、リポジトリ中のどれかのサブツリーを
チェックアウトしなくてはなりません。
(「check out」 という言葉は何かをロックしたり保護したり
するような響きがありますがそうではありません; それは単に自分のための
プロジェクトのコピーを作るだけです。)
たとえば/calc
をチェックアウトするとこんな
感じで作業コピーを手に入れることができます:
$ svn checkout http://svn.example.com/repos/calc A calc/Makefile A calc/integer.c A calc/button.c Checked out revision 56. $ ls -A calc Makefile integer.c button.c .svn/
Aの文字で始まる一覧はSubversionがあなたの作業コピーにいくつかの
ファイルを追加したことを示しています。これでリポジトリにある
/calc
ディレクトリの作業コピーを
持ってくることができました。最初に言ったように、この取得時に
は、もう一つ、.svn
が
作成されますが、これがSubversionに必要な追加情報を格納する
ための場所になります。
button.c
に変更を加えることを考えてみます。
.svn
ディレクトリがファイルの修正時刻と
もともとの内容を記憶しているので、Subversionはあなたがファイルを
変更したかどうかを見分けることができます。しかしSubversionは明示的に
そうしてくれと言われるまでその変更を公にはしません。
自分の変更を公開する操作のことを変更点のコミット
(あるいは チェックイン)と言います。
変更点を他の人に公開するにはSubversionのcommit コマンドを使います:
$ svn commit button.c Sending button.c Transmitting file data . Committed revision 57.
これでbutton.c
への変更はリポジトリに
コミットされました。もし別のユーザが/calc
の作業コピーを作るのにチェックアウトすれば、最新バージョン中に
あなたの変更点を見ることになるでしょう。
一緒に作業している Sally が、あなたがチェックアウトしたのと同じ時刻に
/calc
の作業コピーを自分用にチェックアウト
したとしましょう。あなたがbutton.c
への自分の
変更をコミットしても、Sallyの作業コピーは変更されない状態のままです。
Subversionはユーザの要求によって初めて作業コピーの内容を変更します。
作業内容をプロジェクトの最新の状態にするには、SallyはSubversionに 自分の作業コピーを更新 するように依頼しなくては なりません。これにはupdate コマンドを使います。 これはあなたの変更を彼女の作業コピーにマージしますし、彼女がチェック アウトしたあとで他の人がコミットしたすべての部分についてもマージします。
$ pwd /home/sally/calc $ ls -A .svn/ Makefile integer.c button.c $ svn update U button.c Updated to revision 57.
svn updateコマンドからの出力は
Subversionがbutton.c
の内容を
更新したことを示しています。Sally はどのファイルを更新
するかを指定する必要がないのに注意してください。Subversion
は .svn
ディレクトリの情報と
リポジトリの情報を使って、どのファイルを更新しなくてはならないか
を決定します。
svn commit操作は一つのトランザクション として任意の数のファイル、ディレクトリに対する変更点を公開する ことができます。作業コピー中で、ファイルの内容を変えたり、新しい ファイルを作ったり、削除したり、名前を変えたり、ファイルや ディレクトリをコピーしたあと、それらの変更点の全体を完全なひと かたまりのものとしてコミットすることができます。
リポジトリでは、それぞれのコミットは、一つの分割できないひと かたまりのトランザクションとして扱います。すべてのコミットに よる変更は、完全に実行されるか、まったく実行されないかの どちらかです。Subversionは、この不分割の性質を、プログラム 障害、システム障害、ネットワーク障害、その他の操作があった 場合でも保とうとします。
リポジトリがコミットを受け付けるときは常に リビジョンと呼ばれるファイルシステム ツリーの新しい状態を作ります。それぞれのリビジョンには 一意な自然数が割り当てられます。前のバージョンよりも 後のバージョンのほうが数が大きくなります。 リポジトリ新規作成時の最初のバージョンはゼロで、ルートディレクトリ 以外には何も含まれていません。
図 2.7. 「リポジトリ」はリポジトリを視覚化するうまい方法 を示しています。0から始まるリビジョン番号が、左から右に追加されていく 状況を想像してください。それぞれのリビジョン番号には対応した ファイルシステム木があり、それぞれの木はコミット 後のリポジトリの状態を示す「スナップショット」 です。
作業コピーは常にリポジトリのどれか一つのリビジョン対応しているとは 限らないことに注意してください。複数の異なるリビジョンのファイル を含んでいるかも知れません。たとえば、最新リビジョン番号が4である リポジトリから作業コピーをチェックアウトしたとします:
calc/Makefile:4 integer.c:4 button.c:4
この時点では、作業コピーはリポジトリのリビジョン4と完全に一致しています。
しかし、ここで button.c
に変更を加え
その変更をコミットしたとします。他にコミットした人がいない場合、
今回のコミットはリポジトリのバージョンを5にあげ、作業コピーの内容は
以下のようになります:
calc/Makefile:4 integer.c:4 button.c:5
この時点でSallyがinteger.c
に対する修正を
コミットし、リビジョンを6にあげたとします。ここでもし、svn update
コマンドであなたの作業コピーを更新すると、次のようになるでしょう:
calc/Makefile:6 integer.c:6 button.c:6
Sallyのinteger.c
への変更は
あなたの作業コピーに現れますが、button.c
に対するあなたの変更はそのままです。この例では、
Makefile
のテキストは、リビジョン4,5,6で
まったく同一のものですが、Subversionはあなたの作業コピー中の
Makefile
のリビジョンを6として、
それが最新であることを表現します。それで自分の作業コピーに
きれいなアップデートをかけたときには、一般に作業コピーは
リポジトリのある特定のバージョンと完全に一致します。
作業コピー中のそれぞれのファイルについて、Subversionは
二つの本質的な情報を.svn/
管理領域に
記録します:
あなたの作業ファイルは、どのリビジョンに基づいているか (これはファイルの作業リビジョンと呼ばれます)、 そして
リポジトリとの対話によって作業コピーが最後に更新された時刻
これらの情報とリポジトリとの対話によって、Subversionは作業ファイルの それぞれが、以下の四つの状態のどれにあるかを見分けることができます:
作業コピーのファイルは変更されていないし、その作業リビジョン 以降に起きたリポジトリに対するコミットでもそのファイルに対する変更が ない状態。 そのファイルに対するsvn commitは何も実行しませんし、 svn updateも何もしません。
作業コピー中のファイルは変更されましたが、そのベースリビジョン以降の リポジトリへのコミットで、そのファイルに対する変更が何もなかった 場合。作業コピーにはまだリポジトリにコミットしていない変更がある ので、そのファイルに対するsvn commitは、 あなたの変更点をそのまま公開することで成功します。svn update は何も実行しません。
ファイルは作業コピー中では変更されていませんが、リポジトリには 変更がありました。このファイルは、公開リビジョンによって最新とするために どこかで更新する必要があります。そのファイルに対するsvn commit コマンドは何もしません。そのファイルに対するsvn updateは あなたの作業コピーに最新の修正点をマージします。
ファイルは作業コピーでも、リポジトリでも変更されています。 ファイルに対するsvn commitは「out-of-date」 エラーになります。そのファイルはまず更新しなくてはなりません。 ファイルに対するsvn updateは公開されている変更点 を作業コピーの変更にマージしようとします。これが自動的にできないような 状況の場合、Subversionはユーザに衝突の解消をさせるためそのままにして おきます。
これにはいろいろな情報の変化を追う必要があるように思いますが、 svn status コマンドを使えば、あなたの作業コピーの どのファイルの状態も表示できます。このコマンドについてのより詳しい情報は svn status項 を見てください。
原則として、Subversionはできる限り柔軟であろうとします。 この特別な例として、作業コピーに、いろいろな異なる作業リビジョン番号を もったファイルとディレクトリを共存させることが できます。前の例での混合リビジョンに戸惑っている人のために、 なぜこのような機能が必要で、どのように利用したらよいかを以下に示します。
Subversion での基本的な原則の一つは、「作業コピーへの取得(push)」の動作 が「リポジトリへの反映(pull)」動作を自動的に引き起こすことは ないし、逆もないということです。これは、あなたがリポジトリへの新しい変更点を 送信する用意ができているということが、他の人たちの変更点を受け取る用意が できていることを意味していることはないという、当たり前の理由によります。 そして自分がまだ引き続き新しい修正を加えている場合、 svn update は自分自身の作業コピー中にリポジトリの内容をうまく反映してくれるはずで、 このさい、あなたの側の変更点を強制的に他の人々に公開する必要はありません。
この規則はまた副次的に、作業コピーには混合リビジョンの状態を記録する ための特殊な仕組みが必要になり、またその状態に対して寛容でなければならない ことを意味しています。これはディレクトリ自身もバージョン管理できる ためさらに複雑な話になります。
たとえば、作業コピーが完全にリビジョン 10 にあるとします。foo.html
を編集してsvn commitを実行した結果、リポジトリにリビジョン 15
ができたとします。このコミットが成功した直後では、多くの不慣れなユーザは
作業コピーは完全にリビジョン 15 にあるだろうと期待するかも知れませんがそうでは
ないのです!。リビジョン10 とりビジョン15 までの間にリポジトリに対していろいろな変更が
起こったかも知れないのです。クライアント側ではリポジトリに起きたこの変更については
何も知りません。まだ svn update を実行していませんし、
svn commit は新しい変更点をリポジトリから取得したりはしないからです。
一方、もしかりにsvn commitが自動的に最新の変更点をダウンロード
するとすれば、作業コピー全体を完全にリビジョン 15 に設定することも可能
でしょう—しかしこれでは「push」と「pull」
が独立した処理であるという基本的な原則を侵すことになります。
このため Subversion クライアントができる唯一の安全な方法は、ある特定の
ファイル—foo.html
—がリビジョン 15 にある
という印をつけることだけです。作業コピーの残りのファイルはリビジョン 10 の
ままなのです。svn updateを実行することだけが、最新の変更点
をダウンロードする方法であり、これで作業コピー全体にリビジョン 15 の印がつきます。
事実として、svn commitを実行するときは 常に、あなたの作業コピーはあるいくつかのリビジョンの 混合状態となります。コミット対象となったファイルだけは、それ以外のファイル よりも新しい作業リビジョンになります。何度かのコミットの後で( その間に update を含めなければ)、作業コピーはいくつかのリビジョンの 混合状態になります。あなたがリポジトリを利用している唯一のユーザであったと してもやはりこの現象に出会うでしょう。作業リビジョンの混合状況を見る にはsvn status --verboseコマンドを利用して ください(さらに詳しい情報については svn status項を見てください)。
不慣れなユーザは自分の作業コピーが混合リビジョンになっていることには まったく気づかないことがよくあります。多くのクライアントコマンドは 処理対象となるアイテムの作業コピー上でのリビジョンが問題になるので 混乱することになります。例えばsvn logコマンドは ファイルあるいはディレクトリの変更履歴を表示するために利用されます (svn log項参照)。ユーザがこのコマンド を作業コピー上野オブジェクトに対して実行するとき、そのオブジェクト の完全な履歴を見れるものだと考えるでしょう。しかしそのオブジェクトの 作業コピー上のりビジョンが非常に古いものであった場合(これは svn updateが長い期間にわたって実行されなかったような 場合におこります)、そのオブジェクトの より古い バージョン履歴が表示されるでしょう。
プロジェクトが非常に複雑になった場合、作業コピー中の一部のファイル を強制的に「古い日付」をもった以前のリビジョンに戻すことが 有用であることに気づくでしょう; どうやるかについては 3 章で説明します。 たぶん、あるサブディレクトリにあるサブモジュールの以前のバージョンを テストしたいか、特定のファイルに存在するバグが最初に紛れ込んだ リビジョンを知りたいとかいった場合でしょう。これはバージョン管理 システムの 「タイムマシン」としての性質の一つです— つまり、作業コピーの任意の部分を履歴の中のより新しい状態や古い状態に 移動することができるのです。
作業コピー中を混合リビジョン状態に置くことはできますが、 この柔軟性には制約があります。
まず、完全に最新状態ではないファイルやディレクトリの削除を コミットすることができません。より新しいバージョンのアイテムが リポジトリに存在する場合、この試みは拒否されます。まだあなたが 見ていない変更点を間違って消してしまうことを防ぐためです。
次に、完全に最新状態ではないディレクトリに対するメタデータの変更 はコミットできません。アイテムに対する 「属性」の 付与は 6 章で扱います。ディレクトリの作業リビジョンは特定の エントリと属性の組を定義し、最新のディレクトリへの属性の 変更点のコミットは、やはりまだ見ていない変更点を間違って消して しまうかも知れないからです。
この章では、さまざまなSubversionの基本的な概念を扱いました:
中心となるリポジトリ、クライアント作業コピー、リポジトリリビジョンツリーの 並び、といった概念を導入しました。
どのように二人の共同作業者がSubversionを利用してお互いの修正点を公開したり 受け取ったりするかの簡単な例を見てきました。これには、「コピー・修正・マージ」 のモデルを利用するのでした。
Subversionが作業コピー内の情報をたどったり管理したりする方法について 少し触れました。
ここでは、最も一般的な意味で、Subversionがどのように動作するかについての 良い考え方が身に着いたはずです。この知識をもとに、次の章に進むことが できます。ここは、Subversionのコマンドと機能についての詳しいツアーに なっています。
目次
さて、Subversionを使った詳細を見ていくことにしましょう。この章を 終えるころには、Subversionを使った日常的にしなくてはならない操作のほとんど すべてをやることができるようになっているでしょう。 ソースコードの最初のチェックアウトから始まって、修正し、その修正内容を 調べます。他の人の修正をどうやって自分の作業コピーにマージし、それが どのようなものかを調べ、起きるかも知れない衝突をどのように扱えば 良いかもわかるでしょう。
この章は、Subversionコマンドの全体を列挙するのではないのに注意してください。 —そうではなく、普段一番よく利用するSubversionの操作についての対話的な手引き にしてあります。この章は、 章 2. 基本概念 を読み、理解していることと、Subversionの一般的モデルをよく知っていることを前提 としています。コマンドの完全なリファレンスは、 章 9. Subversion リファレンス を見てください。
読み進める前に、Subversionを使うときに必要な一番重要なコマンドを載せて おきます: svn help Subversionコマンドラインクライアントは、自分自身の中にドキュメントを 持っています。—いつでも svn help <サブコマンド>とやれば 構文、オプションスイッチ、その サブコマンドの振る舞いを見ることができます。
svn importで、Subversionのリポジトリに新しいプロジェクトを インポートできます。Subversionサーバを設定するときには、一番最初に 実行するコマンドかも知れませんが、それほどしばしば利用するものでは ありません。import の詳細についてはこの章の後のほうにある、 svn import項 を見て ください。
話を進める前に、リポジトリ中の特定のリビジョンを特定する方法について少し 知っておく必要があります。 リビジョン項 で 見たように、リビジョンは、リポジトリのある特定の時点における 「スナップショット」です。 コミットを繰り返してリポジトリが大きくなるにつれ、スナップショットを特定する 仕組みが必要になってきます。
リビジョンの特定には、
--revision
(-r
) スイッチの
あとにほしいリビジョン番号を続けます。
(svn --revision REV) とするか、
二つのリビジョンをコロンで区切って範囲指定することもできます
(svn --revision REV1:REV2).
また、リビジョンは、番号、キーワード、日付で参照することもできます。
新しいSubversionのリポジトリを作ると、最初はリビジョンゼロとなり、その後の コミットのたびにリビジョン番号は一つずつ大きくなります。 コミットが完了した後では、Subversionクライアントはあなたに一番新しい リビジョン番号を知らせます:
$ svn commit --message "Corrected number of cheese slices." Sending sandwich.txt Transmitting file data . Committed revision 3.
その後、いつでもこのリビジョンを参照したければ、 (この章の後のほうで、どうしてそんなことが必要かを説明します。) 「3」として参照することができます。
Subversionクライアントはさまざまな
リビジョンキーワードを理解できます。
このようなキーワードは
--revision
スイッチの整数引数のかわりに
使うことができ、Subversionによって、特定のリビジョン番号に変換されます。:
作業コピーのすべてのディレクトリには.svn
と呼ばれる管理用のサブディレクトリがあります。Subversionはディレクトリ
中のそれぞれのファイルごとの
コピーをこの管理領域中に保存しています。このコピーは修正されることは
なく(キーワード展開は起こりませんし、行末変換もしませんし、その他
いっさい何もしません)、最後のリビジョン(これを「BASE」リビジョン
といいます)に存在しているファイルで、作業コピーを更新したときのファイルその
もののコピーです。このファイルのことを、
プリスティン・コピーあるいはファイルの
テキスト-ベースバージョンと言い、
リポジトリに存在している元のファイルの厳密なコピーです。
リポジトリにある最新のリビジョンです。
作業コピーにあるファイル、ディレクトリの、「修正元」リビジョン です。
ファイル、ディレクトリが変更されたBASE
以前の(または
BASE
リビジョンを含む)最後のリビジョンです。
変更があった最後のリビジョンの
直前 のリビジョンです。
(COMITTED
- 1 番ということになります)。
PREV
, BASE
, そして
COMMITTED
はローカルパス名として参照する
のに利用できますが、URL では利用できません。
コマンド実行時のリビジョンキーワードの例です。 コマンドの意味はわからなくても大丈夫です。章を進めるごとに 説明します:
$ svn diff --revision PREV:COMITTED foo.c
# foo.c にコミットした最後の変更を表示
$ svn log --revision HEAD
# 最後のリポジトリへのコミットで付けたログメッセージを表示
$ svn diff --revision HEAD
# 作業コピー内ファイルを、リポジトリの最新バージョンと比較
$ svn diff --revision BASE:HEAD foo.c
# 作業コピーの「修正元」 foo.c を
# リポジトリの最新バージョンと比較
$ svn log --revision BASE:HEAD
# 最後に更新した後のすべてのコミットログを表示
$ svn update --revision PREV foo.c
# foo.c の最後の変更をもとに戻す
# (foo.c の作業リビジョン番号は減少する)
これらのキーワードを使って特定のリビジョン番号や作業コピーの正確な リビジョンを憶えておくことなしに、いろいろな(役に立つ)処理を することができます。
リビジョン番号やリビジョンキーワードを指定できるところではどこでも、 中かっこ、「{}」 の中に日付を入れて指定することもできます。 日付とリビジョン番号の両方を使ってリポジトリ中の変更範囲にアクセスする ことさえできます。
ここでは Subversion が受け入れることのできる日付形式の例をあげておきます。 空白を含むような日付は常に引用符でくくるのを忘れないでください。
$ svn checkout --revision {2002-02-17} $ svn checkout --revision {15:30} $ svn checkout --revision {15:30:00.200000} $ svn checkout --revision {"2002-02-17 15:30"} $ svn checkout --revision {"2002-02-17 15:30 +0230"} $ svn checkout --revision {2002-02-17T15:30} $ svn checkout --revision {2002-02-17T15:30Z} $ svn checkout --revision {2002-02-17T15:30-04:00} $ svn checkout --revision {20020217T1530} $ svn checkout --revision {20020217T1530Z} $ svn checkout --revision {20020217T1530-0500} …
リビジョンとして日付を指定するときはSubversionはその日付に 一番近いリビジョンを見つけようとします:
$ svn log --revision {2002-11-28} ------------------------------------------------------------------------ r12 | ira | 2002-11-27 12:31:51 -0600 (Wed, 27 Nov 2002) | 6 lines …
日付範囲を使うこともできます。 Subversionは両方の日付の間にあるすべてのリビジョンを検索対象と します。両端の日付は検索に含みます:
$ svn log --revision {2002-11-20}:{2002-11-29} …
既に指摘したように、日付とリビジョン番号を混在させることもできます:
$ svn log --revision {2002-11-20}:4040
Subversion で日付を扱う場合、面倒なことが起こるかも知れないことに注意 してください。リビジョンのタイムスタンプはリビジョン属性として保存 されます—つまりバージョン化されていない、修正可能な属性と して、ということです—リビジョンのタイムスタンプは本当の時間 を完全に偽造する形で変更可能ですし、削除してしまうことすら可能です。 このようなことは Subversion が処理する内部的な日付-リビジョン変換 に大混乱を与えるかも知れません。
たいていの場合、Subversionはリポジトリからプロジェクトを
チェックアウト することで始まります。
リポジトリをチェックアウトすると
あなたのマシンにはリポジトリの作業コピーができます。
このコピーはコマンドラインで指定したSubversionリポジトリの
HEAD
(最新のリビジョン) になります:
$ svn checkout http://svn.collab.net/repos/svn/trunk A trunk/subversion.dsw A trunk/svn_check.dsp A trunk/COMITTERS A trunk/configure.in A trunk/IDEAS … Checked out revision 2499.
上の例はtrunkディレクトリのチェックアウトでしたが、チェックアウトの URL中にサブディレクトリを指定することでどのような深い階層にある サブディレクトリも簡単にチェックアウトできます:
$ svn checkout http://svn.collab.net/repos/svn/trunk/doc/book/tools A tools/readme-dblite.html A tools/fo-stylesheet.xsl A tools/svnbook.el A tools/dtd A tools/dtd/dblite.dtd … Checked out revision 2499.
Subversionは 「ロック・修正・ロック解除」 のかわりに 「コピー・修正・マージ」 モデルを使うので (章 2. 基本概念)、すでに作業コピーのファイルやディレクトリ に対して変更する準備ができています。作業コピーはあなたのシステムに ある他のファイルやディレクトリのようなものです。編集したり変更を 加えたり移動することもできますし、作業コピー全体を削除してから、その ことを忘れてしまうこともできます。
作業コピーは「システム中のほかのファイルやディレクトリ の集まり」となんら変わることはありませんが、作業コピー中のファイル やディレクトリを編成しなおした場合には常にSubversionにそのことを知らせ なくてはなりません。もし作業コピー中のファイル、ディレクトリをコピーまたは 移動したい場合には、オペレーティングシステムで用意されているコピーや 移動コマンドを使うかわりにsvn copyやsvn move を使ってください。この章の後のほうでこれについてもっと詳しく 説明します。
新しいファイルやディレクトリを作ったり、既に存在するものを 変更したりした結果をコミットする用意が できるまで、何をやろうと Subversionサーバに追加報告する必要はまったく ありません。
リポジトリのURLを唯一の引数として作業コピーをチェックアウトする こともできますが、リポジトリURLの後に、ディレクトリを指定することも できます。この場合、指定した新規のディレクトリ中に作業コピーを作ろうとします。 たとえば:
$ svn checkout http://svn.collab.net/repos/svn/trunk subv A subv/subversion.dsw A subv/svn_check.dsp A subv/COMITTERS A subv/configure.in A subv/IDEAS … Checked out revision 2499.
これは、既にやったような
trunk
という名前のディレクトリのかわりに
subv
という名前のディレクトリに、作業コピーを作ります。
Subversionはたくさんの機能、オプション、おまけが付いていますが、 日々の作業では、おそらくその中のいくつかを使うだけでしょう。 この章では一番よく起こることを説明します。
典型的な作業サイクルは次のようなものです:
作業コピーの更新
svn update
変更
svn add
svn delete
svn copy
svn move
自分の変更点の確認
svn status
svn diff
svn revert
他の人の変更の、作業コピーへのマージ
svn update
svn resolved
自分の変更のコミット
svn commit
チームを作って作業してるプロジェクトでは、自分の作業コピーを 更新してプロジェクトの他のメンバーが自分の 更新処理後に加えた変更点をすべて受け取りたくなるでしょう。 svn updateを使って自分の作業コピーを リポジトリの最新バージョンにあわせてください。
$ svn update U foo.c U bar.c Updated to revision 2.
この場合、あなたが最後に更新してから、誰か別の人が
foo.c
と bar.c
の両方に加えた変更をコミットし、Subversionはこの変更をあなたの
作業コピーに加えるために更新しました。
svn update の出力をもう少し詳しく見てみましょう。 サーバが変更点を作業コピーに送るとき、文字コードがそれぞれのファイル の横に表示されて、あなたの作業コピーを最新にするために、どのような 動作を起こしたかを知らせます:
U foo
ファイル foo
は
更新(U
pdated) されました(サーバから
変更を受け取りました)。
A foo
ファイルかディレクトリである foo
は
あなたの作業コピーに追加(A
dded)
されました。
D foo
ファイルかディレクトリである foo
は
あなたの作業コピーから削除(D
eleted)
されました。
R foo
ファイルかディレクトリである foo
は
あなたの作業コピー中で置き換え(R
eplaced)
られました。つまり foo
は削除されて、同じ名前の
新しいファイルまたはディレクトリが追加されました。両方は同じ名前ですが、
リポジトリはそれらを別の履歴を持った別のものであるとみなします。
G foo
ファイル foo
は新しい変更点を
リポジトリから受け取りましたが、そのファイルのローカルコピーにも
修正が加えられていました。しかし両方の修正は重なっていないか、あるいは
変更の内容が自分自身のものとまったく同じであったため、Subversion
はリポジトリの変更を、問題を起こすことなしにマージ
(merG
ed)しました。
C foo
ファイル foo
は、サーバから
衝突(C
onflicting)のある変更を
受け取りました。サーバからの変更は、あなた自身の変更と直接重なっています。
でも心配はいりません。この衝突は人間(つまりあなた)が解消しなくては
なりません。この章の後でこの状況について議論します。
さて、これで自分の作業コピーに変更を加えることができます。 以下のような、比較的特殊な変更をすることもできます。新しい機能 を書いたり、バグをフィックスしたり、などです。このような場合に 使うSubversionコマンドは、 svn add, svn delete, svn copy, svn moveなどです。しかし、既にSubversion 管理下にあるファイルを単に編集するだけなら、コミットするまでに そのようなコマンドを使う必要はありません:
これは一番単純なタイプの変更です。ファイルを変更することについて Subversionに報告する必要はありません。どのファイルが変更された についてはSubversion自身が自動的に検出することができます。
Subversionに対して、削除、追加、コピー、移動の予告として ファイルやディレクトリを「マーク」するように 依頼することができます。このような変更は作業コピー上では直ちに 起こりますが、次にあなたがコミットするまでリポジトリ上では 追加削除は一切起きません。
ファイルを変更するには、テキストエディタ、ワードプロセッサ、 グラフィックプログラム、その他の通常利用しているツールなら なんでも使うことができます。Subversionはバイナリファイルを テキストファイルを扱うのと同じくらい簡単に扱うことができます— し、十分効率的にあつかえます。
ここでは、Subversionでツリーの変更として一番よく利用される 四つのサブコマンドを概観しておきます (あとで、svn import と svn mkdir も見ていきます)。
どんなツールを使ってファイルを編集する場合でも、その内容 を Subversion に伝えずに作業コピーの構成を変えるべきではあり ません。作業コピーの構成を変えるときには svn copy, svn delete, svn move コマンドを使い、新たにファイルやディレクトリ をバージョン管理下におく場合にはsvn addコ マンドを使うようにしてください。
通常ファイル、ディレクトリ、シンボリックリンクのどれかである
foo
をリポジトリに追加する予告をします。
次のコミットでfoo
は正式に親ディレクトリの
子供になります。foo
がディレクトリの場合は
foo
にあるすべてのファイルは追加予告の対象に
なります。foo
だけを追加予告したい場合は
--non-recursive
(-N
)
スイッチを指定してください。
通常ファイル、ディレクトリ、シンボリックリンクのどれかである
foo
をリポジトリから削除する予告をします。
foo
が通常ファイルまたはシンボリックリンクの場合は作業コピーから直ちに
削除されます。ディレクトリの場合は削除されませんが、Subversion
はそれを削除予告の状態に設定します。変更をコミットすると
foo
は作業コピーとリポジトリから削除されます。
[3]
新しいアイテムbar
をfoo
の複製として作ります。bar
は自動的に
追加予告されます。bar
が次のコミットでリポジトリ
に追加される時点で、コピーの履歴が記録されます(それが
foo
のコピーである、という履歴)。
svn copyは中間ディレクトリを作成しません。
このコマンドはsvn copy foo bar; svn delete foo
を実行することとまったく同じです。つまり、
bar
はfoo
のコピーとして
追加予告され、foo
は削除予告されます。
svn moveは中間ディレクトリを作成しません。
変更が完了したら、リポジトリにコミットする必要がありますが、普通 そうする前に、正確には自分が何を変更したのかを見ておくのは良い考え です。コミットの前に変更点を確認することで、より正確なログメッセージ を付けることができます。また、不十分な修正をしただけであることを 発見するかも知れませんし、コミットする前にその変更を破棄したりする 機会にもなります。さらに、公開する前に変更点を再検討したり詳しく調査 する機会にもなります。 svn status, svn diff, svn revert を使って正確にはどんな変更をしたかを 見ることができます。最初の二つのコマンドで、作業コピー中のどのファイル を変更したかを調べ、三番目のコマンドでそのうちのいくつか(あるいは全部) の変更を取り消すかも知れません。
Subversionはこの作業をやるために効率よく作られていて、多くの操作に
ついてはリポジトリと通信することなしに実行できます。特に、
作業コピーには、.svn
という隠れたディレクトリが
あり、ここに作業コピーの「元なるリビジョン」 のコピーが
あります。これをうまく使って Subversionは、あなたの作業ファイルのどれが
変更されたかをすばやく知ることができますし、リポジトリと通信すること
なしに、変更を取り消すことすらできます。
多分、どのSubversionコマンドよりもsvn status コマンドはよく利用されるはずです。
自分の作業コピー最上位階層で引数なしにsvn status
を実行すると、自分がツリーにしたすべての修正が検出できます。
以下の例はsvn status が返すことのできる
異なる状態コードです。
(以下で、#
の後に書いてあるテキストは
svn statusからのものではないのに注意してください。)
L some_dir # svn left a lock in the .svn area of some_dir M bar.c # the content in bar.c has local modifications M baz.c # baz.c has property but no content modifications X 3rd_party # dir is part of an externals definition ? foo.o # svn doesn't manage foo.o ! some_dir # svn manages this, but it's missing or incomplete ‾ qux # versioned as file/dir/link, but type has changed I .screenrc # svn doesn't manage this, and is set to ignore it A + moved_dir # added with history of where it came from M + moved_dir/README # added with history and has local modifications D stuff/fish.c # file is scheduled for deletion A stuff/loot/bloo.h # file is scheduled for addition C stuff/loot/lump.c # file has textual conflicts from an update C stuff/loot/glub.c # file has property conflicts from an update R xyz.c # file is scheduled for replacement S stuff/squawk # file or dir has been switched to a branch K dog.jpg # file is locked locally; lock-token present O cat.jpg # file is locked in the repository by other user B bird.jpg # file is locked locally, but lock has been broken T fish.jpg # file is locked locally, but lock has been stolen
この出力形式の中で、svn statusは 五つの文字を表示していて、その後にいくつかの空白が続き、 ファイルまたはディレクトリ名称がそのあとに続いています。 最初のコラム (左から一文字目の部分) は、ファイルまたはディレクトリの 状態をあらわしています。ここで表示されているコードは:
A item
通常ファイル、ディレクトリ、シンボリックリンクのいずれかである
item
はリポジトリに追加予告されています。
C item
ファイルitem
は衝突の状態にあります。つまり、自分の作業コピーにあるローカルな変更が
更新時にサーバから受け取った変更部分と重なっています。リポジトリに
自分の変更点をコミットする前にこの衝突を解決しなくてはなりません。
D item
通常ファイル、ディレクトリ、シンボリックリンクのいずれかである
item
は
リポジトリからの削除予告をされています。
M item
ファイルitem
の内容は
修正されています。
R item
ファイル、ディレクトリ、シンボリックリンクのいずれか
であるitem
はリポジトリ中の
item
を置き換えるように準備されています。
これはまずそのオブジェクトがいったん削除され、次に同じ名前の
別のオブジェクトが追加されます。そしてそれは単一のリビジョンで
ひとまとまりに実行されます。
X item
ディレクトリ item
はバージョン化
されていませんがSubversionの外部定義に関連付けられています。外部定義についての
詳細は外部定義項を見てください。
? item
通常ファイル、ディレクトリ、シンボリックリンクのいずれかである
item
は
バージョン管理下にはありません。--quiet
(-q
) スイッチをsvn status
に渡すか、親ディレクトリにsvn:ignore
属性を
設定することで疑問符の表示を抑制できます。
無視できるファイルについての詳細は
svn:ignore
項を見てください。
! item
通常ファイル、ディレクトリ、シンボリックリンクのいずれかである
item
は
バージョン管理下にありますが、それは失われているか、何か不完全な
状態にあります。Subversion以外のコマンドを使って削除された場合
には、そのアイテムは失われてしまいます。ディレクトリの場合、
チェックアウトか、更新が中断された場合、不完全な状態になることが
あります。svn updateを使えばすぐにリポジトリから
ファイルまたはディレクトリをもう一度取り出すことができます。
svn revert fileを使えば、失われたファイルを
復元することができます。
‾ item
通常ファイル、ディレクトリ、シンボリックリンクのいずれかである
item
は
あるタイプのオブジェクトとして存在しますが、作業コピーには別の
タイプのオブジェクトとして存在しています。
たとえばSubversionはリポジトリ中にファイルを持っているが、
svn delete や svn addを
使わずに、作業コピー中の対応するファイルを削除し、同じ名前の
ディレクトリを作ったような場合です。
I item
ファイル、ディレクトリ、シンボリックリンクのいずれかである
item
はバージョン管理下にはなく、Subversion
は svn add, svn import
svn status の実行時にはこれを
無視します。無視されるファイルについてのより詳しい情報は
svn:ignore
項 を見てください。
このシンボルは svn statusに--no-ignore
オプションを渡したときにだけ表示されることに注意してください。
—そうでなければファイルは無視され、まったく表示されません!
二番目のコラムはファイルまたはディレクトリの属性を示しています
(詳しくは属性項 参照してください)。
もしM
が表示されていれば
属性は修正されたことを示しています。そうでなければ空白が
表示されます。
三番目のコラムは空白か、L
が
表示され、後者の場合は Subversionがそのディレクトリの
.svn
作業領域をロックしていることを意味して
います。svn commit が実行されている途中で
svn status を実行すると
L
が表示されます—
多分ログメッセージを変更している最中かも知れません。
Subversionが実行されていないのなら、Subversionは多分中断され
たため、ロックは、svn cleanupの実行によって
解除しなくてはなりません。(これについてはこの章の後で触れます)
四番目のコラムは空白か+
が
表示され、あとの場合はファイルまたはディレクトリは
追加または修正され、それが履歴に追加予告されていることを意味します。
これはファイルやディレクトリに対してsvn move か
svn copy をしたときによく起こります。
A +
の表示がある場合
そのアイテムは履歴付きの追加予告されていることを意味します。
それはファイルか、コピーされたディレクトリのルートであるかです。
+
はそのアイテムが、履歴に追加
予告されたサブツリーの一部であることを意味します。つまり、
そのアイテムのどれかの親がコピーされ、コミットを待っています。
M +
はアイテムが履歴
に追加予告されたサブツリーの一部であり、
かつ ローカルの修正も受けているという場合です。
コミットするとき、最初に親が履歴付き追加されます(コピーされます)
その意味はこのファイルはコピーによって自動的に存在するということ
です。次いでローカルの修正はコピーにアップロードされます。
五番目のコラムは空白か、S
に
なります。これはファイルかディレクトリは作業コピーの残り
パスから、ブランチに(svn switchコマンドで)
切り替わっていることを意味します。
六番目のコラムはロックに関する情報を示しています。 詳細は ロック項で説明します。
svn statusにパスを指定すると、そのアイテムに 関する情報のみを表示します:
$ svn status stuff/fish.c D stuff/fish.c
svn status も
--verbose
(-v
) スイッチを
とりますが、その場合作業コピー中のすべてのアイテム
に対して、たとえ変更がなくてもステータスを表示するという意味になります:
$ svn status --verbose M 44 23 sally README 44 30 sally INSTALL M 44 20 harry bar.c 44 18 ira stuff 44 35 harry stuff/trout.c D 44 19 ira stuff/fish.c 44 21 sally stuff/things A 0 ? ? stuff/things/bloo.h 44 36 harry stuff/things/gloo.c
これは svn statusの「長い表示形式」 の出力です。再処理コラムは同じですが、二番目はアイテムの作業リビジョン になります。三番目と四番目はそれぞれアイテムが最後に変更されたリビジョン と、誰がそれをしたかの表示です。
いままで出てきたsvn status の実行は
いずれもリポジトリと通信をしません。それは単に作業コピー中の
.svn
ディレクトリのメタデータを比較する
ことによって、ローカルマシン上だけで動作します。
最後に、--show-updates
(-u
)
スイッチがありますが、これはリポジトリと通信して、古くなった
ファイルなどの情報を追加表示します:
$ svn status --show-updates --verbose M * 44 23 sally README M 44 20 harry bar.c * 44 35 harry stuff/trout.c D 44 19 ira stuff/fish.c A 0 ? ? stuff/things/bloo.h Status against revision: 46
二つのアスタリスク ('*') に注意してください:この状態で
svn update を実行すると
README
とtrout.c
の変更点を受け取ることになります。
これは非常に役に立つ情報です—コミットする前には更新して
README
に関するサーバ上の変更点を取得
しなくてはなりません。さもなければ、最新でないという理由で
コミットは失敗するでしょう(詳しくは後で述べます)。
自分の変更点を調べる別の方法は、svn diff コマンドを使うことです。svn diff を引数 なしに実行することで、自分がどんな変更をしたかを 正確に 知ることができます。このときの 出力形式はunified diff 形式です: [4]
$ svn diff Index: bar.c =================================================================== --- bar.c (revision 3) +++ bar.c (working copy) @@ -1,7 +1,12 @@ +#include <sys/types.h> +#include <sys/stat.h> +#include <unistd.h> + +#include <stdio.h> int main(void) { - printf("Sixty-four slices of American Cheese...¥n"); + printf("Sixty-five slices of American Cheese...¥n"); return 0; } Index: README =================================================================== --- README (revision 3) +++ README (working copy) @@ -193,3 +193,4 @@ +Note to self: pick up laundry. Index: stuff/fish.c =================================================================== --- stuff/fish.c (revision 1) +++ stuff/fish.c (working copy) -Welcome to the file known as 'fish'. -Information on fish will be here soon. Index: stuff/things/bloo.h =================================================================== --- stuff/things/bloo.h (revision 8) +++ stuff/things/bloo.h (working copy) +Here is a new file to describe +things about bloo.
svn diff コマンドは.svn
領域
にある、「修正元リビジョン」 のコピーに対して作業コピー
中のファイルを比較した結果を出力します。
追加予告ファイルはすべて追加されたテキストとして表示され
削除予告されているファイルはすべて削除されたファイルとして表示
されます。
出力は、unified diff 形式で表示されます。
つまり、削除された行は先頭に -
が付き、追加された
行は先頭に +
がつきます。svn diff
はさらにpatch に便利なようにファイル名称とオフセット
情報を表示します。このためdiffの出力をファイルにリダイレクトすることで
「パッチ」 を生成することができます:
$ svn diff > patchfile
たとえば、パッチファイルを別の開発者に送り、コミット前に再検討や テストをすることができます。
上のdiff出力を見て、README
に対する修正が間違っていることがわかったとしましょう: 多分
エディタで間違ったファイルに保存してしまったりしたのでしょう。
これは、svn revertを使うことの できるとても良い機会です。
$ svn revert README Reverted 'README'
Subversion はそのファイルを.svn
領域に
ある「修正元リビジョン」のコピーを上書きすることに
よって、修正以前の状態に戻します。
しかし、svn revert はどのような
予告操作も取り消すことができるのに注意してください—たとえば
最終的に新しいファイルを追加することをやめることができます:
$ svn status foo ? foo $ svn add foo A foo $ svn revert foo Reverted 'foo' $ svn status foo ? foo
svn revert
ITEM
は、作業コピーから
ITEM
を削除し、それからsvn update -r BASE
ITEM
を実行したのとまったく同じ効果があります。
しかし、もしファイルをもとに戻そうとしているのなら、
svn revertには一つ重要な違いがあります—それはファイル
を元に戻すにあたってリポジトリと通信する必要がないのです。
あるいは間違ってバージョン管理からファイルを消して しまったのかも知れません:
$ svn status README README $ svn delete README D README $ svn revert README Reverted 'README' $ svn status README README
いままでで、svn status -uがどうやって衝突を 予告できたかを知っています。svn update を実行して、面白いことが起こったとします:
$ svn update U INSTALL G README C bar.c Updated to revision 46.
U
と
G
のコードは考える
ことはありません。この二つはリポジトリからの変更を
きれいに吸収することができました。
U
でマークされたファイルは
ローカルでは何の変更もありませんでしたが、リポジトリからの
修正分で更新(U
pdated)されました。
G
はマージ(
merG
ed)されたことを意味して
いますが、これは、ファイルはローカルで変更されていたが、
リポジトリからの変更部分とまったく重ならなかったことを意味
しています。
しかし C
は衝突を
あらわしています。これはサーバからの変更場所があなた自身の
ものと重なっていることを意味していて、あなたは手で
どちらかを選択しなくてはなりません。
衝突が起こると、普通はその衝突を知らせて解決することができるように 三つのことが起こります:
そのファイルがマージ可能なタイプのときには
Subversion は更新処理中にC
を
表示して、そのファイルが「衝突している」ことを知らせます。
(行番号に基づいた文脈マージ可能なファイルかどうかは
svn:mime-type
属性によって決まります。
詳しくはsvn:mime-type
項を見てください。)
Subversion は衝突マーカ —衝突を 起こした「両方」の内容を区切る特別なテキスト文字列 のことです—を重なっている場所に置き、衝突内容を見てわかるように します。
衝突しているファイルのそれぞれについて、Subversionは最大で三つの バージョン管理対象にはならない特殊なファイルを作業コピーに置きます:
filename.mine
これは作業コピーを更新する前に作業コピー中にあったファイル
です—つまり、衝突マーカを含んでいません。このファイルは
自分のやった最後の変更が含まれているだけのものです。(Subversion
がこのファイルがマージ可能なものではないとみなした場合には
.mine
ファイルは作成されませんが、それは
作業ファイルと同一の内容になってしまうだろうからです。)
filename.rOLDREV
これは、作業コピーを更新する前のBASE
リビジョンにあったファイル
の内容です。つまり、そのファイルは最後にした編集の直前にした
チェックアウト時点でのファイルです。
filename.rNEWREV
これは Subversionクライアントプログラムが作業コピーを更新したときに
サーバから受け取ったファイルです。これは、リポジトリのHEAD
リビジョンに対応しています。
ここで OLDREV
は .svn
ディレクトリにあるファイルのリビジョン番号で、NEWREV
は
HEAD
リポジトリのリビジョン番号です。
たとえば Sally がリポジトリにあるsandwich.txt
に変更を加えるとします。たった今、Harryは自分の作業コピーのそのファイルを変更
してコミットしました。Sally は自分が加えた変更をコミットする前に
作業コピーを更新しますが、そのとき衝突の報告を受けます:
$ svn update C sandwich.txt Updated to revision 2. $ ls -1 sandwich.txt sandwich.txt.mine sandwich.txt.r1 sandwich.txt.r2
このときSubversionは三つの一時ファイルが削除されるまで
sandwich.txt
のコミットを許可
しません。
$ svn commit --message "Add a few more things" svn: commit failed (details follow): svn: Aborting commit: '/home/sally/svn-work/sandwich.txt' remains in conflict
もし衝突があった場合は、三つのうちのどれかを する必要があります:
「手で」 衝突テキストをマージします。( ファイル中の衝突マーカを調べ編集することによって)。
作業ファイルに、一時ファイルのどれかを上書きします。
svn revert <filename>を 実行して、ローカルでしたすべての変更を捨てます。
ひとたび衝突を解消したら、svn resolvedを実行 してSubversionにそのことを伝えます。これは三つの一時ファイルを 削除して、Subversionはもうそのファイルが衝突の状態にあるとは 考えなくなります。 [5]
$ svn resolved sandwich.txt Resolved conflicted state of 'sandwich.txt'
手で衝突をマージするのは最初とても嫌なものですが、 少し練習すればバイクから降りるのと同じくらい簡単に できるようになります。
例をあげます。コミュニケーション不足により、あなたとあなたの同僚
である Sally の両方がsandwich.txt
というファイルを同時に
編集したとします。Sallyは自分の変更をコミットし、それからあなた
が作業コピーを更新しようとすると、衝突を受け取ります。それで
sandwich.txt
を編集しなくてはなりません。
最初にファイルを見てみます:
$ cat sandwich.txt Top piece of bread Mayonnaise Lettuce Tomato Provolone <<<<<<< .mine Salami Mortadella Prosciutto ======= Sauerkraut Grilled Chicken >>>>>>> .r2 Creole Mustard Bottom piece of bread
小なり記号の文字列、イコールサイン、そして 大なり記号の文字列を衝突マーカと呼びますが、これは実際の 衝突を起こしたデータの一部ではありません。一般的には次のコミットの 前に取り除く必要があります。最初の二つのマーカの間のテキストは衝突領域に あなた自身がした変更です:
<<<<<<< .mine Salami Mortadella Prosciutto =======
二番目と三番目の衝突マーカの間のテキストは、 Sallyのコミットからのテキストです:
======= Sauerkraut Grilled Chicken >>>>>>> .r2
通常、衝突マーカとSally の変更部分を単に削除するわけには いきません—そのようなことをするとSallyはsandwichを 受け取ったときにびっくりしますし、それは彼女が望んでいる ものではないでしょう。あなたは電話をかけるか、オフィスを またいで、Sallyに、二人の変更が衝突していることを説明 します。 [6] ひとたびコミットする変更内容について合意がとれたら、 ファイルを編集し衝突マーカを削除します。
Top piece of bread Mayonnaise Lettuce Tomato Provolone Salami Mortadella Prosciutto Creole Mustard Bottom piece of bread
これで、svn resolved を実行し 自分の変更をコミットする用意ができました:
$ svn resolved sandwich.txt $ svn commit -m "Go ahead and use my sandwich, discarding Sally's edits."
衝突ファイルを編集中に混乱したら、Subversionがあなたのために作った、 作業コピーにある三つの一時ファイルを見てどうするかを考えることができます —その中には更新前にあなたが修正したバージョンのファイルもありま す。この三つのファイルを確認するためにサードパーティー製の対話的な マージツールを使うこともできます。
衝突が起こり、自分のした変更を捨てようとするときにはSubversionが作った 一時ファイルのどれかを単に作業コピー上に上書きすることができます:
$ svn update C sandwich.txt Updated to revision 2. $ ls sandwich.* sandwich.txt sandwich.txt.mine sandwich.txt.r2 sandwich.txt.r1 $ cp sandwich.txt.r2 sandwich.txt $ svn resolved sandwich.txt
衝突が起こり、調査の結果、自分の変更を捨てて編集をやり直す場合は 単に変更を revert することができます:
$ svn revert sandwich.txt Reverted 'sandwich.txt' $ ls sandwich.* sandwich.txt
衝突ファイルを元に戻すときはsvn resolvedを 実行する必要はないことに注意してください。
これで自分の変更をコミットする用意ができました。 svn resolvedはこの章であつかう ほかのほとんどのコマンドとは違って、引数を必要とします。 どのような場合でも十分注意して、ファイル中の衝突を 解消したことが確かな場合だけsvn resolved を実行してください—一時ファイルが削除されてしまうと、 Subversion はファイルが衝突マーカを含んでいたとしてもコミット します。
やっとここまできました。編集は終了し、サーバからの変更を すべてマージしました。これで自分の変更をリポジトリにコミット する準備ができました。
svn commit コマンドは自分の変更点の
すべてをリポジトリに送ります。変更をコミットするときには
変更点を説明するログメッセージを
与えてやる必要があります。ログメッセージは自分が作った
新しいリビジョンに付けられます。ログメッセージが簡単な
場合は--message
(あるいは-m
)
オプションを使ってコマンドライン上で指定することができます:
$ svn commit --message "Corrected number of cheese slices." Sending sandwich.txt Transmitting file data . Committed revision 3.
しかし、既にログメッセージを作ってある場合は、
--file
スイッチでファイル名称を指定することで、Subversionに
そのファイルの内容を使うように指示できます:
$ svn commit --file logmsg Sending sandwich.txt Transmitting file data . Comitted revision 4.
--message
も--file
も
指定しなかった場合は、Subversionは自動的にエディタを
起動し、(config項の
editor-cmd
セクションを見てください)
ログメッセージを作成しようとします。
もしコミットメッセージをエディタを起動して書いて いて、そのコミットを中止したいと思った場合には、単に保存せずに そのエディタを抜けてください。既にコミットメッセージを保存して しまった場合であれば、テキストを削除してもう一度保存してください。
$ svn commit Waiting for Emacs...Done Log message unchanged or not specified a)bort, c)ontinue, e)dit a $
リポジトリは、変更点の内容に意味があるかどうかはまったく 気にしません。Subversionはあなたが見ていないところで、同じファイルに 他の人が修正していないことだけを確認します。もし他の人がそのような 変更を していたら 、コミットはあなたの変更 したファイルのどれかが最新ではないというメッセージを出して失敗します:
$ svn commit --message "Add another rule" Sending rules.txt svn: commit failed (details follow): svn: Out of date: 'rules.txt' in transaction 'g'
このような場合は、svn updateを実行し その結果のマージや衝突を解消し、もう一度コミットしてください。
これでSubversionを使う基本的な作業サイクルを説明しました。 Subversionにはこのほかにもたくさんのリポジトリや作業コピーを管理するための 機能がありますが、この章でいままで説明してきたコマンドだけを使っても、 非常に多くのことができます。
以前指摘したように、リポジトリはタイムマシンのようなところが あります。いままでコミットされたすべての変更を記録し、 ファイルやディレクトリ、それに付随したメタデータの以前のバージョン を見ることによって履歴を調べることができます。一つのSubversion コマンドを使って、過去の任意の日付やリビジョン番号時のリポジトリ の状態をチェックアウト(あるいは既にある作業コピーの復元)すること ができます。しかし、過去に戻る のではなく、 単に過去がどうだったかをちょっと覗いて みたい こともよくあります。
リポジトリからの履歴データをあつかうためのコマンドがいくつか あります:
全般的な情報を表示します: リビジョンに付随した日付、修正者つきの ログメッセージとそれぞれのリビジョンでどのパスが変更されたかを表示します。
時間とともにあるファイルがどのように変更されてきたかを 表示します。
これは特定のリビジョン番号時点でのファイルを抽出し 画面に表示します。
任意の指定したリビジョンのファイルやディレクトリを一覧 表示します。
ファイルやディレクトリの履歴に関する情報を見たいときは svn logコマンドを使ってください。 svn log は、あるファイルやディレクトリを 誰が変更したかの記録を表示し、どのリビジョンでそれが変更され たか、そのリビジョンの時刻と日付、さらにもし存在すれば、 コミットに付随したログメッセージを表示します。
$ svn log ------------------------------------------------------------------------ r3 | sally | Mon, 15 Jul 2002 18:03:46 -0500 | 1 line Added include lines and corrected # of cheese slices. ------------------------------------------------------------------------ r2 | harry | Mon, 15 Jul 2002 17:47:57 -0500 | 1 line Added main() methods. ------------------------------------------------------------------------ r1 | sally | Mon, 15 Jul 2002 17:40:08 -0500 | 1 lines Initial import ------------------------------------------------------------------------
ログメッセージはデフォルトでは
時間と逆の順序で 表示されることに注意して
ください。別の順序であるリビジョン範囲を見たい場合や、一つの
リビジョンを見たいときには、--revision
(-r
)スイッチを渡します:
$ svn log --revision 5:19 # shows logs 5 through 19 in chronological order $ svn log -r 19:5 # shows logs 5 through 19 in reverse order $ svn log -r 8 # shows log for revision 8
一つのファイルやディレクトリのログ履歴を見ることもできます。 たとえば:
$ svn log foo.c … $ svn log http://foo.com/svn/trunk/code/foo.c …
これは作業ファイルが(またはURLが)変更されたリビジョン だけを表示します。
もしファイルやディレクトリについてもっと詳細な
情報がほしいときには、svn log は
--verbose
(-v
) スイッチを
とることもできます。Subversionはファイルやディレクトリの
移動やコピーもできるので、ファイルシステム中のパスの
変化を追えることは重要です。冗長モードでは、
svn log は出力リビジョンの中に
変更されたパス情報の一覧も含めます:
$ svn log -r 8 -v ------------------------------------------------------------------------ r8 | sally | 2002-07-14 08:15:29 -0500 | 1 line Changed paths: M /trunk/code/foo.c M /trunk/code/bar.h A /trunk/code/doc/README Frozzled the sub-space winch. ------------------------------------------------------------------------
svn log は --quiet
(-q
) スイッチも指定でき、これはログメッセージの本文を
表示しません。--verbose
と組み合わせて指定すると
変更したファイルの名前だけを表示します。
svn diffは既に見てきました— unified diff形式でファイルの差分を表示するのでした。 リポジトリにコミットする前に作業コピーにされたローカル 修正点を表示するのに使えます。
実際にはsvn diffには異なる 三種類 の使い方があります:
ローカルの変更内容の確認
作業コピーとリポジトリの比較
リポジトリとリポジトリの比較
見てきたように、スイッチなしでsvn diff を
実行すると、作業コピーの内容と、.svn
領域にキャッシュされている「修正元リビジョン」 のコピー
とを比較します:
$ svn diff Index: rules.txt =================================================================== --- rules.txt (revision 3) +++ rules.txt (working copy) @@ -1,4 +1,5 @@ Be kind to others Freedom = Responsibility Everything in moderation -Chew with your mouth open +Chew with your mouth closed +Listen when others are speaking $
--revision
(-r
) を一つ
指定すると、作業コピーはリポジトリの特定のリビジョンと比較
されます。
$ svn diff --revision 3 rules.txt Index: rules.txt =================================================================== --- rules.txt (revision 3) +++ rules.txt (working copy) @@ -1,4 +1,5 @@ Be kind to others Freedom = Responsibility Everything in moderation -Chew with your mouth open +Chew with your mouth closed +Listen when others are speaking $
--revision
(-r
)の引数と
してリビジョン番号を二つ、コロンで区切って指定すると
二つのリビジョンが直接比較されます。
$ svn diff --revision 2:3 rules.txt Index: rules.txt =================================================================== --- rules.txt (revision 2) +++ rules.txt (revision 3) @@ -1,4 +1,4 @@ Be kind to others -Freedom = Chocolate Ice Cream +Freedom = Responsibility Everything in moderation Chew with your mouth open $
作業コピーとリポジトリのファイルを比較するためにだけ svn diff を利用できるのではなく、URL引数を与えることで作業コピー を用意しなくてもリポジトリ中のアイテムの間の差を調べることができます。 これは、ローカルマシンに作業コピーがないときに、ファイルの変更点を 知りたいような場合に非常に便利です:
$ svn diff --revision 4:5 http://svn.red-bean.com/repos/example/trunk/text/rules.txt … $
もし、以前のバージョンのファイルを見たいが、二つのファイル間の違い を見る必要はないような場合には、 svn catが使えます:
$ svn cat --revision 2 rules.txt Be kind to others Freedom = Chocolate Ice Cream Everything in moderation Chew with your mouth open $
直接ファイルに出力することもできます:
$ svn cat --revision 2 rules.txt > rules.txt.v2 $
もしかすると、どうして古いリビジョンに戻すためのファイルの更新に 単にsvn update --revisionを使わないのか、と 思うかも知れません。 svn catを使ったほうが 良い理由がいくつかあります。
まず、外部のdiff(多分、GUIかも知れないし、unified diff 形式の出力が 意味を持たないようなファイルなのかも知れません) プログラムによって二つのリビジョンのファイル間の差分を見たいかも知れません。 この場合、古いバージョンのコピーを取得する必要があり、その内容をファイル に出力したものと、作業コピー中のファイルの両方を外部diffプログラムに 渡さなくてはなりません。
しばしば、他のリビジョンとの間の差分をとるよりも、その古いバージョン のファイル全体を見るほうが簡単なことがあります。
svn list コマンドはローカルマシンに 実際にファイルをダウンロードすることなしに、リポジトリ にどんなディレクトリがあるかを表示します:
$ svn list http://svn.collab.net/repos/svn README branches/ clients/ tags/ trunk/
もっと詳しい表示がほしいときには
--verbose
(-v
) フラグを
指定します。出力は以下のようになります:
$ svn list --verbose http://svn.collab.net/repos/svn 2755 harry 1331 Jul 28 02:07 README 2773 sally Jul 29 15:07 branches/ 2769 sally Jul 29 12:07 clients/ 2698 harry Jul 24 18:07 tags/ 2785 sally Jul 29 19:07 trunk/
それぞれの項目の意味は、左から順に、ファイルまたはディレクトリが最後に 更新されたリビジョン、修正した人、ファイルであればそのサイズ、日付、そして そのアイテムの名前になります。
いままで述べてきたすべてのコマンドに加えて
svn update と svn checkout
を、--revision
付きで実行することも
できます。これは作業コピー全体を「過去のある時点」
に戻します。
[7]:
$ svn checkout --revision 1729 # Checks out a new working copy at r1729 … $ svn update --revision 1729 # Updates an existing working copy to r1729 …
この章でいままで述べてきたほど利用されるわけではありませんが、 以下のコマンドがときどき必要になります。
Subversionが作業コピー(や.svn
に
ある情報)を修正するときには、できるだけ安全にやろうと
します。
作業コピーの内容を変更する前にSubversionはまず変更手順をログファイル
に書きます。次に実際に変更を適用するためにログファイルの中の
コマンドを実行していきます。最後にSubversionはログファイルを削除します。
プログラムの構成という意味では、これはジャーナル化ファイルシステムと
よく似ています。
Subversionの操作が中断されると(プロセスが異常終了
したり、マシンがクラッシュしたり、といった場合)ログファイルは
ディスクに残ります。ログファイルを再実行することでSubversionは
以前に開始された操作を完結することができ、作業コピーを正常で
一貫した状態に戻すことができます。
svn cleanupがやるのは、まさにこのことです。
作業コピーを探して、残ったログを実行し、プロセスのロックを
取り除きます。Subversionに作業コピーのどこかが「ロック」
されていると言われたときには、このコマンドを実行してください。
同様にsvn status はロックされているアイテム
の隣に L
を表示してそのことを示します:
$ svn status L somedir M somedir/foo.c $ svn cleanup $ svn status M somedir/foo.c
svn importコマンドはバージョン管理されていない複数のファイル をリポジトリにコピーし、必要に応じて直ちにディレクトリを作るための簡単 な方法です。
$ svnadmin create /usr/local/svn/newrepos $ svn import mytree file:///usr/local/svn/newrepos/some/project ¥ -m "Initial import" Adding mytree/foo.c Adding mytree/bar.c Adding mytree/subdir Adding mytree/subdir/quux.h Committed revision 1.
上の例はディレクトリmytree
の内容を
リポジトリ中のsome/project
ディレクトリの下に
コピーしています:
$ svn list file:///usr/local/svn/newrepos/some/project bar.c foo.c subdir/
インポートが終わった後で、もとのツリーが作業コピーに変換さ れたわけではないのに注意してください。作業を始めるには、さらにこのツリー のための最初の作業コピーをsvn checkoutする 必要があります。
これで、Subversionクライアントのコマンドの大部分について 説明しました。触れなかったもののうちで重要なのはブランチと マージ (章 4. ブランチとマージ参照) 、そして属性です (属性項参照)。 Subversionが持っているたくさんのコマンドの感じをつかむには 章 9. Subversion リファレンス をざっと見るのもいいかも知れません —自分の仕事がどれだけ楽になるか、わかるでしょう。
[3]
もちろんリポジトリから完全に削除されてしまうわけではありません—
単に、リポジトリのHEAD
から削除されるだけです。削除したリビジョンより
前のリビジョンを指定してチェックアウトすれば(あるいは作業コピーを
更新すれば)削除前の状態に戻ることができます。
[4]
Subversion は内部 diff エンジンを利用し、デフォルトでは unified diff
形式を生成します。もし別の形式の diff 出力がほしい場合には、
--diff-cmd
で外部diffプログラムを指定し、
--extensions
スイッチを使ってフラグを渡して
ください。たとえばファイルfoo.c
のローカルな
変更点を context 出力形式で見たいが、空白の変更は無視したい場合、
svn diff --diff-cmd /usr/bin/diff --extensions '-bc' foo.c
のように実行することができます。
[5] 一時的なファイルは常に自分で削除することができます が、Subversionがせっかくコマンドを用意しているのに本当にそうしたい のでしょうか? そうは思えませんが。
[6] そして、あなたが頼めば、彼らは電車で町の外まであなたを つれていってくれるかも知れませんよ。
[7] おわかりでしょうか? これが Subversionが タイムマシンだと言った意味です。
目次
ブランチ、タグ、マージはほとんどすべてのバージョン管理システムで 共通の概念です。もしあまりなじみがないのであれば、この章は良い とっかかりになるでしょう。既に詳しいのであれば、これらの概念 をSubversionがどのように実装しているかを知るのに興味深い章である ことがわかるでしょう。
ブランチ化は、バージョン管理の基本にあります。Subversionで自分の データをマージするときには、この機能はときどき必要となる機能です。 この章では、あなたがSubversionの基本コンセプトを既に理解している ことを前提とします(章 2. 基本概念)。
あなたの仕事が、何かのハンドブックを扱う企業の一部署で、ドキュメントの 管理をすることだとします。ある日別の部署から同じハンドブックが必要 なのだが、ある部分を「ちょっとだけ」変えたものがほしい、ほんの少しだけ 業務形態に違いがあるから、といわれたとします。
この状況で、あなたはどうしなくてはならないでしょうか? 答えはあたりまえです: ドキュメントのコピーを作って二つのコピーを 別々に管理することにします。それぞれの部署が小さな変更を依頼して くるたび、一方を修正したり、もう一方を修正したりします。
両方のコピーに同じ修正を加えたいこともよくあります。たとえば 最初のコピーにスペルミスがあったとします。もう一方のコピーにも おそらく同じ間違いがあるでしょう。両方のドキュメントはほとんど同じ なのですから。二つはほんの少し違っているだけです。
これは ブランチの基本的な概念です— つまり、一つの開発の流れが、もう一方と独立して存在しているが、 もし過去にさかのぼれば、同じ履歴を共有している、という状況です。 ブランチは必ず、何かのコピーから始まり、枝分かれして、 自分自身の歴史を持っていくようになります(図 4.1. 「開発のブランチ」を参照してください)。
Subversionはファイルやディレクトリの平行したブランチを管理するのを 手助けするコマンドがあります。データをコピーしてブランチを作ったり、 どのように二つのコピーが関係しているかを記憶しておくことができます。 片方のブランチに対する修正をもう一方にも追加する作業を助けることも できます。最後に、作業コピーの一部だけ別のブランチにすることもできる ので、通常の作業で、別の作業のラインを「混ぜあわせる」こともできます。
これまでのところで、それぞれのコミットがどうやってリポジトリに完全に新しい ファイルシステムツリー(「リビジョン」と呼ばれます)を作るかを知っていると思います。 まだ知らないのであれば、戻ってリビジョンに関するリビジョン項を 読んでください。
この章では、第2章と同じ例を使います。同僚のSally とあなたが
paint
とcalc
という
二つのプロジェクトのあるリポジトリを共有していたことを思い出して
ください。しかし、図 4.2. 「リポジトリレイアウトの開始」を見ると、個々の
プロジェクトディレクトリはtrunk
と
branches
というサブディレクトリを含んでいること
に注意してください。この理由はすぐに明らかになります。
以前と同様、あなたと Sally はそれぞれ 「calc」
プロジェクトの作業コピーを持っているとします。特に両者はそれぞれ
/calc/trunk
の作業コピーを持っています。
プロジェクトのすべてのファイルは /calc
に
ではなくこのサブディレクトリ中にありますが、それは皆が開発の「主系」
を /calc/trunk
に置くことに決めたからです。
あなたはプロジェクトの大胆な再編成を任されたとします。
それには長い時間が必要で、プロジェクトの全ファイルに影響
を与えます。問題はあなたは Sally に干渉したくない
ということにあります。彼女はまだあちこちにある小さなバグを
潰している最中だからです。彼女はプロジェクトの最終バージョンが
(これは/calc/trunk
にあるのですが)
利用可能だということに依存しています。もし、あなたが自分の
変更をちょっとづつコミットすれば、Sallyの作業を確実に中断させて
しまうでしょう。
一つのやり方として、閉じこもってしまう方法があります:あなたと
Sallyは1,2週間、情報を共有するのをやめます。つまり、自分の
作業コピー中の全ファイルに対する大手術を始めるのですが、
それが完了するまで、コミットも更新もしないという方法です。
しかしこれにはいろいろな問題があります。まず安全ではありません。
ほとんどの人は、作業コピーにヘンなことが起こらないように、
リポジトリに対してこまめに自分の作業を保存するのを好みます。
次に、まったく柔軟ではありません。もし、あなたがたが別の
マシンで仕事をしているなら、(多分二つの別のマシンに
/calc/trunk
の作業コピーがあるのでしょう)
自分の変更を手であちこちにコピーしなくてはならないか、
一つのマシン上に作業全体をフルコピーするかになります。
同じようにして他の誰との間でも自分の進行中の変更部分を共有する
ことは困難です。通常のソフトウェア開発で「一番よいやり方」
はあなたの作業の進行状況を他の人からも参照できるようにすることです。
もしあなたの中間的なコミットを誰も見ることができないとすると
あなたは他の人からフィードバックしてもらうことができなくなって
しまいます。
最終的に自分の変更作業が完了したとき、その変更を
コミットするのは非常に困難であることに気づくでしょう。Sally(と
他のメンバー)はリポジトリに対してたくさんの別の変更を加えており、
それをあなたの作業コピーにマージするのは困難です—
何週間も孤立した作業の後にsvn updateを実行する
ような場合には特にそうです。
もっとましなやり方はリポジトリに自分用のブランチ、あるいは 自分用の作業の別ラインを作ることです。これは他の人に干渉 せずに、自分の中途半端な作業をときどき保存できるように しますが、それでも同僚との間で、一部の情報については共有する ことができます。どうやったらこんなことができるかは後で説明 します。
ブランチの作成はとても簡単です — svn copy
コマンドでリポジトリ中のプロジェクトをコピーするだけです。
Subversionでは一つのファイルをコピーするだけでなく、ディレクトリ
全体をコピーすることができます。今回は、/calc/trunk
ディレクトリのコピーがほしいでしょう。新しいコピーはどこに置けば
良いのでしょう? 好きな場所に置けます — あとはプロジェクトのポリシーに
よります。チームのポリシーは、リポジトリの/calc/branches
領域にブランチを作ることで、ブランチ名は 「my-calc-branch」
としましょう。この場合、/calc/trunk
のコピーとして、
/calc/branches/my-calc-branch
という新しいディレクトリ
を作る必要があります。
コピーを作るには、二つの方法があります。面倒な方法を最初に
説明して、概念をはっきりさせます。最初にプロジェクトのルートディレクトリ
である /calc
を作業コピーにチェックアウトします:
$ svn checkout http://svn.example.com/repos/calc bigwc A bigwc/trunk/ A bigwc/trunk/Makefile A bigwc/trunk/integer.c A bigwc/trunk/button.c A bigwc/branches/ Checked out revision 340.
あとは、 svn copyコマンドに作業コピーパスを 二つ渡すだけでコピーを作れます:
$ cd bigwc $ svn copy trunk branches/my-calc-branch $ svn status A + branches/my-calc-branch
この場合、svn copy コマンドは再帰的に
trunk
作業ディレクトリの内容を
新しい作業ディレクトリbranches/my-calc-branch
にコピーします。svn status コマンドで
確認できますが、これで新しいディレクトリはリポジトリへの追加として
予告されます。ただ、Aの後に、「+」サインが表示されるのに注意して
ください。これは、追加予告が、新規のものではなく、何かの
コピー であることを示しています。
変更をコミットすると、Subversionは、ネットワーク越しに
作業コピーデータの全体を再送信するのではなく、
/calc/trunk
をコピーすることで
リポジトリに
/calc/branches/my-calc-branch
を作ります:
$ svn commit -m "Creating a private branch of /calc/trunk." Adding branches/my-calc-branch Committed revision 341.
さて、ブランチを作るもっと簡単な方法は、先に説明すべきでした が: svn copy は 引数に直接URLを二つとることが できるということです。
$ svn copy http://svn.example.com/repos/calc/trunk ¥ http://svn.example.com/repos/calc/branches/my-calc-branch ¥ -m "Creating a private branch of /calc/trunk" Committed revision 341.
この二つの方法には何の違いもありません。
両方とも新しいリビジョン341のディレクトリを作り、新しい
ディレクトリは/calc/trunk
のコピーに
なります。図 4.3. 「新しいコピーのあるリポジトリ」にこれを示しました。
ただし二番目の方法は同時に
コミットも発行します。
[8]
二番目のほうが楽です。リポジトリの
大きなコピーをチェックアウトしなくていいからです。
実際、この方法では、作業コピーそのものを用意する必要
すらありません。
これでプロジェクトにブランチを作ることができたので それを使った新しい作業コピーをチェックアウトできます:
$ svn checkout http://svn.example.com/repos/calc/branches/my-calc-branch A my-calc-branch/Makefile A my-calc-branch/integer.c A my-calc-branch/button.c Checked out revision 341.
この作業コピーについては何も特別なことはありません。単に
別のディレクトリにあるリポジトリのコピーだというだけです。
ただし、あなたが変更をコミットして、その後にSallyが更新しても
その変更を見ることはありません。彼女の作業コピーは、
/calc/trunk
からのものだからです。
(この章の作業コピーの切り替え項を読んでください:
svn switchコマンドはブランチの作業コピー
を作る別の方法です。)
一週間が経過する間に、以下のコミットが起こったとしましょう:
/calc/branches/my-calc-branch/button.c
,
に変更を加え、リビジョン342を作った。
/calc/branches/my-calc-branch/integer.c
,
に変更を加え、リビジョン343を作った。
Sallyは
/calc/trunk/integer.c
に
修正を加え、リビジョン344を作った。
これで、図 4.4. 「あるファイルの履歴のブランチ化」に示すように
integer.c
に二つの独立した開発ラインができました:
integer.c
のコピーに起きた変更履歴を
見ると面白いことがわかります:
$ pwd /home/user/my-calc-branch $ svn log --verbose integer.c ------------------------------------------------------------------------ r343 | user | 2002-11-07 15:27:56 -0600 (Thu, 07 Nov 2002) | 2 lines Changed paths: M /calc/branches/my-calc-branch/integer.c * integer.c: frozzled the wazjub. ------------------------------------------------------------------------ r341 | user | 2002-11-03 15:27:56 -0600 (Thu, 07 Nov 2002) | 2 lines Changed paths: A /calc/branches/my-calc-branch (from /calc/trunk:340) Creating a private branch of /calc/trunk. ------------------------------------------------------------------------ r303 | sally | 2002-10-29 21:14:35 -0600 (Tue, 29 Oct 2002) | 2 lines Changed paths: M /calc/trunk/integer.c * integer.c: changed a docstring. ------------------------------------------------------------------------ r98 | sally | 2002-02-22 15:35:29 -0600 (Fri, 22 Feb 2002) | 2 lines Changed paths: M /calc/trunk/integer.c * integer.c: adding this file to the project. ------------------------------------------------------------------------
Subversion はブランチにあるinteger.c
の履歴を
時間を逆向きにたどり、これにはコピーされた地点も含まれることに注意
してください。それはブランチの生成を履歴上の一つのできごととして
表示しますが、それはinteger.c
も
/calc/trunk/
全体がコピーされたときに暗黙に
コピーされたものだからです。今度は Sally が自分のファイルコピー上
で同じコマンドを実行した結果を見てみましょう:
$ pwd /home/sally/calc $ svn log --verbose integer.c ------------------------------------------------------------------------ r344 | sally | 2002-11-07 15:27:56 -0600 (Thu, 07 Nov 2002) | 2 lines Changed paths: M /calc/trunk/integer.c * integer.c: fix a bunch of spelling errors. ------------------------------------------------------------------------ r303 | sally | 2002-10-29 21:14:35 -0600 (Tue, 29 Oct 2002) | 2 lines Changed paths: M /calc/trunk/integer.c * integer.c: changed a docstring. ------------------------------------------------------------------------ r98 | sally | 2002-02-22 15:35:29 -0600 (Fri, 22 Feb 2002) | 2 lines Changed paths: M /calc/trunk/integer.c * integer.c: adding this file to the project. ------------------------------------------------------------------------
Sallyは自分のリビジョン344の変更を見ることができますが、あなたが リビジョン343にやった変更は見ることができません。Subversionでは、 この二つのコミットはリポジトリの別の場所にある別のファイルに 対して起こります。しかし、Subversionは、二つのファイルが共通の履歴を 持っていることを示してもいます。リビジョン341 で起きたブランチコピーの前は両者は同じファイルを使っていました。 Sallyとあなたがどちらもリビジョン 303と98での変更を見ることができるのは そのためです。
この節での重要事項は二つです。
他のたくさんのバージョン管理システムとは違ってSubversionの ブランチはリポジトリ中の普通のファイルシステム のディレクトリ として存在します。特別な仕組みが あるわけではありません。これらのディレクトリは単にある特別な 履歴情報も保持しているというだけのことです。
Subversionは内部的にはブランチという概念を持ちません —それはただのコピーです。ディレクトリをコピーした とき、結果としてできたディレクトリが「ブランチ」であるのは、 あなたが そのような意味で見ることに したからです。そのディレクトリを別の意味合いにとらえたり 取り扱ったりすることもできますが、いずれにせよSubversionに とっては、コピーによって作成された普通のディレクトリの 一つにすぎません。
さて、あなたとSallyはプロジェクト上の平行したブランチで作業しています。 あなたは自分のプライベートなブランチで作業していて、Sally は trunk、あるいは、開発の主系の上で作業していると します。
たくさんの貢献者がいるようなプロジェクトでは、ほとんどの人たちは trunkのコピーを持っているのが普通です。trunk を壊してしまうかも知れない ような長い期間をかけての変更を加える必要がある場合は常に、標準的な手続き としてはまずプライベートなブランチを作り、すべての作業が完了するまで変更 点をそのブランチにコミットします。
そのようなやり方の利点としては、二人の作業はお互いに干渉しないところです。 欠点は二人の作業内容はすぐにひどく 違っていって しまうことです。「引きこもり」戦略の問題の一つは自分のブランチの作業が 完了するときに起こることを思い出してください。恐ろしくたくさんの衝突 なしに、あなたの変更をtrunkにマージするのはほとんど不可能でしょう。
そのかわりに、作業中に、あなたとSallyは変更を共有し続けるのが良い でしょう。どのような変更が共有する価値があるのかはあなたが決める ことです。Subversionを使うとブランチ間の選択的な「コピー」ができます。 そしてブランチ上での作業が完全に終ったら、ブランチ上にした変更点の 全体をtrunkに書き戻すことができます。
前の節で、あなたとSallyは別ブランチ上でinteger.c
に変更を加えたと言いました。もしリビジョン344のSallyのログメッセージ
を見れば、何かのスペルミスを直したことがわかるかも知れません。
この場合間違いなく、同じファイルのあなたのコピーもやはり同じスペルミスが
あるはずです。このファイルに対する今後のあなたの修正はスペルミスのある
場所に影響を与えるかも知れず、自分のブランチをいつかマージするときに
は衝突が起こってしまいます。そうなるくらいなら、あまりひどいことになる
前に、Sallyの修正をいま受け取ったほうが良いでしょう。
svn merge コマンドを使うときがやってきました。 このコマンドは、 svn diff に非常に近い 親戚だということがわかります。(このコマンドは第3章で説明しました)。 両方ともリポジトリ中の二つのオブジェクトを比較して、その差を 調べることができます。たとえばsvn diff に Sallyがリビジョン344でやった変更点を正確に表示することができます:
$ svn diff -r 343:344 http://svn.example.com/repos/calc/trunk Index: integer.c =================================================================== --- integer.c (revision 343) +++ integer.c (revision 344) @@ -147,7 +147,7 @@ case 6: sprintf(info->operating_system, "HPFS (OS/2 or NT)"); break; case 7: sprintf(info->operating_system, "Macintosh"); break; case 8: sprintf(info->operating_system, "Z-System"); break; - case 9: sprintf(info->operating_system, "CPM"); break; + case 9: sprintf(info->operating_system, "CP/M"); break; case 10: sprintf(info->operating_system, "TOPS-20"); break; case 11: sprintf(info->operating_system, "NTFS (Windows NT)"); break; case 12: sprintf(info->operating_system, "QDOS"); break; @@ -164,7 +164,7 @@ low = (unsigned short) read_byte(gzfile); /* read LSB */ high = (unsigned short) read_byte(gzfile); /* read MSB */ high = high << 8; /* interpret MSB correctly */ - total = low + high; /* add them togethe for correct total */ + total = low + high; /* add them together for correct total */ info->extra_header = (unsigned char *) my_malloc(total); fread(info->extra_header, total, 1, gzfile); @@ -241,7 +241,7 @@ Store the offset with ftell() ! */ if ((info->data_offset = ftell(gzfile))== -1) { - printf("error: ftell() retturned -1.¥n"); + printf("error: ftell() returned -1.¥n"); exit(1); } @@ -249,7 +249,7 @@ printf("I believe start of compressed data is %u¥n", info->data_offset); #endif - /* Set postion eight bytes from the end of the file. */ + /* Set position eight bytes from the end of the file. */ if (fseek(gzfile, -8, SEEK_END)) { printf("error: fseek() returned non-zero¥n");
svn merge コマンドもほとんど同じです。差分を 画面に表示するかわりに、それはローカルな 修正分として直接あなたの作業コピーに適用 します:
$ svn merge -r 343:344 http://svn.example.com/repos/calc/trunk U integer.c $ svn status M integer.c
svn merge の出力は、あなた用の
integer.c
のコピーがパッチされた
結果です。これでSallyの変更が含まれるようになりました—
それはtrunkからあなたのプライベートなブランチの作業コピーに
「コピー」され、ローカルな修正の一部となりました。この修正を再検討し、
正しく動作することを確認するのはあなたの仕事です。
別のシナリオとして、そんなにうまくはいかず、
integer.c
が衝突の状態になることもあります。
標準的な方法を使って衝突を解消するか(第3章を見てください)、
結局マージが悪いアイディアだったと思ったときには、あきらめて
svn revert でローカルの変更を取り消すことも
できます。
しかし、マージされた変更を確認して、svn commit をかけるのが普通です。これで、変更は自分のリポジトリブランチに マージされました。バージョン管理の言い方では、このようなブランチ間の 修正点のコピーを、普通porting による変更と いいます。
ローカルな修正をコミットするときには、あるブランチから別のブランチ に対して特定の変更を移したことを示すようなログメッセージになって いることを確認してください。たとえば:
$ svn commit -m "integer.c: ported r344 (spelling fixes) from trunk." Sending integer.c Transmitting file data . Committed revision 360.
次の節で見るように、これは参考にすべき 「最善の方法」 です。非常に重要です。
注意: svn diff と svn merge は とてもよく似たコンセプトを持っていますが、いろいろな場合で 別の構文になります。関連した第9章をよく読むか、svn help を使ってください。たとえばsvn mergeは作業コピー パスを引数とします。つまりツリーの変更を適用する場所の指定が必要 になります。この指定がなければ、よく利用される以下の操作のどちらか を実行しようとしているとみなされます:
現在の作業ディレクトリ中に、ディレクトリの変更点をマージ しようとしている。
現在の作業ディレクトリ中にある同じ名前のファイルに対して、 ある特定のファイルに起きた修正をマージしようとしている。
ディレクトリをマージしようとしている場合で、目的のパスを指定しなかった 場合、svn mergeは、上にあげた第一の場合であると みなし、現在のディレクトリ中のファイルに対して適用しようとします。 もし、ファイルをマージしようとしている場合で、そのファイル(または 同じ名前のファイル)が作業コピーディレクトリに存在している場合、 svn mergeは第二の場合であるとみなし、同じ名前の ローカルファイルに対して変更を適用しようとします。
上記以外の場所に適用したい場合には そのことを明示的に指定する必要があります。たとえば作業コピーの親ディレクトリ にいて、変更を受け取るための対象ディレクトリを指定する必要がある場合なら:
$ svn merge -r 343:344 http://svn.example.com/repos/calc/trunk my-calc-branch U my-calc-branch/integer.c
ここまでのところで svn merge の例を見てきましたが、さらにいくつかの例を あげます。マージが本当のところどのように機能するかについて何か混乱 した気になるのは何もあなただけではありません。多くのユーザは(特に バージョン管理システムになじみのない人にとっては) まず最初にコマンド の構文に戸惑い、さらにどのようにして、またいつその機能をつかえば良い かということにも戸惑います。しかし怖がることは何もありません。このコマンドは 実際にはあなたが思っているよりずっと単純なものです。svn merge がどのように動作するかを正確に知るためのとても簡単な方法があります。
混乱の一番の原因はこのコマンドの名前です。「 マージ(merge)」という言葉は、何か二つのブランチが統合されたり、 データ同士が、何か神秘的な方法で混ぜ合わされてしまったりするような表現 です。しかし、そんなことがおこるわけではありません。多分このコマンドに 対するもっとふさわしい名前はsvn diff-and-apply(差分 をとってから、それを適用する)かも知れません。実際、起こることは本当に それだけなのですから: つまり、二つのリポジトリのツリーが比較され、その 差分が、作業コピーに適用されるのです。
このコマンドは三つの引数をとります:
最初の状態を示すリポジトリ・ツリー ( 比較時の左側 などとよく言われます),
最終的な状態を示すリポジトリ・ツリー (often called the 比較時の右側 などとよく言われます),
上記二つの間の差分をローカルな変更として受け入れる作業コピー (マージの ターゲットなどとよく言われます).
この三つの引数が指定されると二つのツリーが比較され、結果の 差分がターゲットの作業コピーに対して、ローカルな修正点の形で反映されま す。この結果はあなた自身が手作業でファイルを編集したり、svn add や svn deleteコマンドをいろいろと実行 したのとなんら変わるところはありません。結果の修正内容が満足のいくもの であれば、それをコミットすることができます。気に入らなければ、単に svn revertを実行しさえすればすべての変更は元に戻り ます。
svn merge の構文は必要な三つの引数をある程度 柔軟に指定できるようになっています。以下がその例です:
$ svn merge http://svn.example.com/repos/branch1@150 ¥ http://svn.example.com/repos/branch2@212 ¥ my-working-copy $ svn merge -r 100:200 http://svn.example.com/repos/trunk my-working-copy $ svn merge -r 100:200 http://svn.example.com/repos/trunk
最初の構文は三つのすべての引数を明示的に指定するもので、ツリーについては それぞれ URL@REV の形で指定し、ターゲットの作業コピー はその名前で示します。二番目の構文は、同じ URL 上にある異なるリビジョンを 比較する場合の略記法です。最後の構文は作業コピーを省略した場合の例です; デフォルトではカレントディレクトリが指定される決まりです。
変更のマージは非常に単純なことに思えますが実際には厄介な ものです。問題は、もし一つのブランチを別のブランチに対して 変更点を繰り返しマージすると、間違って同じ変更を 二度やってしまうかも知れないということです。 こういうことが起こっても、問題が起こらないこともあります。 ファイルをパッチするとき、Subversion はファイルが既に変更されている 場合にはそれに気がついて、何もしません。しかし、既に存在している 変更が何らかの方法で修正されていた場合、衝突が起こります。
理想的には、バージョン管理システムはブランチに対して変更点の重複 した適用を回避すべきです。ブランチが既に受け取った変更点を自動的に 記憶し、その一覧を表示できるようにすべきです。そしてバージョン管理システム は自動マージを支援するために可能な限りこの情報を利用すべきです。
残念ながら Subversion はそのようなシステムではありません。CVS と同様 Subversion はまだマージ操作に関するどのような情報も記録しません。 ローカルな修正をコミットしても、リポジトリはそれがsvn merge を実行したものによるのか、あるいは単に手でファイルを修正した ものによるのか区別できません。
これはユーザにとって何を意味するのでしょうか? それはSubversionにこの 機能がいつか実装されるまではマージの情報を自分で記録しておく必要が あるということです。一番良い場所はコミットログメッセージ中でしょう。 以前の例で説明したように、あなたのブランチにマージした特定のリビジョン 番号(あるいはリビジョン番号の範囲)をログメッセージ中で示しておくこと をお勧めします。あとでsvn logを実行してあなたの ブランチがどの変更点を既に含んでいるかを知ることができます。これで svn mergeコマンドを繰り返し実行する際に以前に 取り込んだ変更点を再び取り込むことがないように注意することが できます。
次の節ではこの技法の例を実際にお見せします。
マージは作業コピーを変更するだけなので、それほど危険な操作では ありません。マージに失敗しても、単にsvn revertを実行すれば元に戻せるのでもう一度 やり直すことができます。
しかし作業コピーには既にローカルな修正が加えられていることもあります。 マージによって適用された修正は既に加えていた修正と混じってしまう のでこの場合にはsvn revertは使えません。 この二つの修正の組を分離することは不可能です。
このような場合には、実際にマージする前に、マージしたとしたらどうなるか
を調べておくべきです。このための一つの簡単な方法としてはsvn
mergeに渡そうとしているのと同じ引数でsvn diff
を実行する方法があります。それは既にマージの最初の例で見たものです。
もう一つの方法は、マージコマンドに対して --dry-run
オプションを渡す方法です:
$ svn merge --dry-run -r 343:344 http://svn.example.com/repos/calc/trunk U integer.c $ svn status # nothing printed, working copy is still unchanged.
--dry-run
オプションは、実際には作業コピーに対してローカルな
修正を適用しません。実際のマージで表示されるであろう
状態コードを表示するだけです。これはsvn diffではあまりにも詳細
な内容が表示されてしまうような場合に、潜在的なマージの概要を確認するための
「高度な」方法です。
svn update コマンドと同様 svn merge は変更を作業コピーに対して行うので 衝突を起こすこともあります。しかし svn mergeによっておきた衝突については様子が 違うこともあり、以下ではこの違いについて説明します。
まず、作業コピーにはローカルな修正が加えられていないとします。 特定のリビジョンに対してsvn updateを実行すると サーバから送られてきた変更点は作業コピーに対して常に 「きれいに 」適用されます。サーバは二つのツリーを比較することで差分を 生成します: 作業コピーの仮想的なスナップショットと、適用しようとして いるリビジョンとの間の差分です。前者は作業コピーと全く同じものなので この差分が作業コピーをきれいに後者に変換することは保証されています。
しかしsvn mergeの場合はそのような保証はなく、 結果はもっと混沌としたものになる可能性もあります: ユーザは全く 任意の二つのツリーの比較をするようサーバに 指示することもでき、作業コピーとは全く無関係なものであるかも知れないのです!。 これは人間の側の操作ミスが起こる潜在的な可能性が大きいことを 意味します。場合によってはユーザは間違った二つのツリーを比較し、 きれいに適用できないような差分を作ってしまうかも知れません。 svn merge はできる限りこの差分を適用しようと しますが、ある部分は不可能かも知れません。ちょうど Unix の patchコマンドが「適用できなかったハンク 」について文句を言ってくることがあるのと同じように svn mergeは「処理を飛ばしたファイル」 について文句を言うかも知れません:
$ svn merge -r 1288:1351 http://svn.example.com/repos/branch U foo.c U bar.c Skipped missing target: 'baz.c' U glub.c C glorb.h $
この例では比較対象となる二つのブランチのスナップショットの両方に
baz.c
が存在していたため、生成された差分もその
ファイルの内容を変更しようとしますが、作業コピー中には対応するファイル
が存在しなかったような場合だと考えられます。いずれにせよ
「スキップ」のメッセージはユーザが間違った二つのツリーを
比較してしまったことを意味することがほとんどです。ユーザ側のエラー
を示す典型的な状況です。こうなった場合でも(svn revert
--recursiveを使って)、マージによって実行されたすべての変更
点を再帰的に元に戻し、バージョン化されていないファイルやディレクトリ
が残っている場合にはそれらも削除し、正しい引数でsvn
mergeを再実行するのは難しいことではありません。
前の例ではglorb.h
に衝突が起きたことにも注意
してください。今回の場合作業コピーに対してローカルな修正がされていない
ことはすでに述べました: ではなぜ衝突が起きるのでしょうか? この場合
でもやはりユーザはsvn mergeで古い差分を作ってから
作業コピーに適用することができるので、ローカルな修正がなかったと
しても、その差分が作業コピーに対してきれいに適用できないような変更を
含んでしまうことはありうるのです。
その他svn update と svn mergeの
小さな違いとしては衝突がおきたときにできるテキストファイルの名前です。
衝突の解消(他の人の変更点のマージ)項で見たように、update の場合には
filename.mine
, filename.rOLDREV
,
filename.rNEWREV
という名前のファイルができます。
これにたいしてsvn mergeの場合には
filename.working
, filename.left
,
filename.right
という名前になります。
この場合「left」 と 「right」 は、それぞれの
ファイルが比較した二つのツリーのどちら側に由来するものかを示しています。
いずれにせよファイル名称の違いは、衝突が update コマンドの結果である
のか merge コマンドの結果であるかを区別する助けになるでしょう。
Subversion 開発者と会話するとき系統 (ancestry)という言葉を非常によく耳にするでしょう。 この言葉はリポジトリ中の二つのオブジェクト間の関係を記述するた めに用いられるものです:もし両者が互いに関係している場合、ある オブジェクトはもう一方の祖先(ancestor)といわれます。
例えば、リビジョン100をコミットし、それが
foo.c
というファイルへの変更を含んでいると
します。するとfoo.c@99
は
foo.c@100
の「祖先」ということ
になります。一方リビジョン 101 でfoo.c
を
削除するコミットがあり、リビジョン102 で同じ名前の新しいファイ
ルを追加したとしましょう。この場合
foo.c@99
とfoo.c@102
は関係しているように見えます(なぜなら同じファイル名なのですか
ら)が、実際にはリポジトリ中ではまったく別のオブジェクトです。
両者は履歴、あるいは「系統」を共有していないからで
す。
ここでこんな話をするのは、svn diffと
svn mergeの間の重要な違いを指摘したいからです。前者
は系統を無視しますが、後者は系統を非常に慎重に考慮します。例えば
svn diffでリビジョン99 と102 の
foo.c
を比較した場合、行単位の差分を見ることになる
でしょう; diff
コマンドは二つのファイル名を無条件に比較するからです。
しかしsvn mergeを使っていまと同じ二つのオブジェクトを比較す
るとそれらが無関係であることを検知し古いファイルをいったん削除し、それ
から新しいファイルを追加しようとするでしょう; 出力は追加のあとに削除した
ことを示すものとなるでしょう:
D foo.c A foo.c
ほとんどのマージはお互いに系統上関係したツリーを比較する
ので、svn mergeはデフォルトで上記のような動
作になります。しかし、二つの無関係なツリーを比較するために
merge
コマンドを使いたいと思うこともあるかも知れません。
たとえばあるソフトウェアプロジェクトの、異なる
二つのベンダーリリースを表すようなソースコードツリーをインポー
トするかも知れません(ベンダーブランチ項参照)。
この二つのツリーをsvn mergeで比較すると最初
のツリー全体がいったん削除され、次いで後のツリー全体が追加され
たように見えるでしょう!
このような場合、svn mergeは単にファイ
ル名ベースの比較のみを実行し、ファイルやディレクトリの系統上の
関係を無視したいと考えるでしょう。こんなときはマージコマンドに
--ignore-ancestry
オプションをつければ
ちょうどsvn diffと同じように振舞うようにな
ります。(逆にsvn diffコマンドに
--notice-ancestry
オプションをつけると
svn diffコマンドはmerge
コマンドと同じよう
に振舞うことになります。)。
ブランチの作り方とsvn mergeにはいくつもの異なったやり方があり、この節では あなたが出くわしそうな一番よくあるパターンについて説明します。
いま、考えてきた例を完結させるため、少し時間が経過したとします。何日か 経過し、たくさんの変更がtrunkにもあなたのプライベートなブランチにも 起こったとましす。そしてあなたはプライベートなブランチ上での作業を 終えたとしましょう; 機能追加、またはバグフィッックスが完了し、他の 人がその部分を使えるようにするために、あなたのブランチ上の変更点の すべてを trunk にマージしたいとします。
さて、このような状況では、どのようにしてsvn merge
を使えば良いのでしょうか? このコマンドは二つのツリーを比較し、その差分を
作業コピーに適用するものであったことを思い出してください。変更点
を受け取るためには、あなたはtrunkの作業コピーを手に入れる必要があります。
ここではあなたは(完全に更新された)もともとの作業コピーをまだ持っているか、
/calc/trunk
の新しい作業コピーをチェックアウトしたもの
と仮定します。
しかし、どのツリーとどのツリーを比較すれば良いのでしょうか? ちょっと考えると、 その答えは明らかに思えます: 単にtrunkの最新のツリーと、あなたのブランチの最新の ツリーです。しかし、気をつけてください — この仮定は間違い です。そしてこの間違いに、たいていの初心者はやられてしまいます! svn mergeはsvn diffのように働くので 最後のトランクとブランチのツリーの比較は単にあなたが自分の ツリーに対して行った変更点のみを示すものではない のがわかります。 そのような比較は、非常にたくさんの変更を表示するでしょう: それは、あなたのブランチに対する追加点だけを表示するのではなく、 あなたのブランチでは決して起こらなかった、trunk上の変更点の 取り消しも表示してしまうことでしょう。
あなたのブランチ上に起きた変更のみをあらわすには、あなたのブランチの
初期状態と、最終的な状態を比較する必要があります。
svn logコマンドをあなたのブランチ上で使えば、
そのブランチはリビジョン341で作られたことがわかります。そして、ブランチ
の最終的な状態は、単に、HEAD
リビジョンを指定すればわかります。
これはブランチディレクトリのリビジョン 341 と HEAD
を比較しその違いを
トランクの作業コピーに適用したいと考えていることを意味します。
ブランチが作成されたリビジョンを見つけるうまい方法は
(ブランチの「ベース」リビジョンのことですが)svn
logで--stop-on-copy
オプションを利用
することです。log サブコマンドは通常ブランチに対するすべての変更を表示
し、それはブランチが作成されたコピーよりも前にさかのぼります。このた
め通常トランクの履歴も表示されてしまいます。
--stop-on-copy
は、svn logがターゲットのコピーあ
るいは名称変更の個所を見つけると直ちにログの出力を中止します。
それで現在の例で言うと、
$ svn log --verbose --stop-on-copy ¥ http://svn.example.com/repos/calc/branches/my-calc-branch … ------------------------------------------------------------------------ r341 | user | 2002-11-03 15:27:56 -0600 (Thu, 07 Nov 2002) | 2 lines Changed paths: A /calc/branches/my-calc-branch (from /calc/trunk:340) $
期待したとおり、このコマンドによって表示される最後のリビ
ジョンはコピーによってmy-calc-branch
が作成された
リビジョンになります。
結局、最終的なマージ処理は以下のようになります:
$ cd calc/trunk $ svn update At revision 405. $ svn merge -r 341:405 http://svn.example.com/repos/calc/branches/my-calc-branch U integer.c U button.c U Makefile $ svn status M integer.c M button.c M Makefile # ...examine the diffs, compile, test, etc... $ svn commit -m "Merged my-calc-branch changes r341:405 into the trunk." Sending integer.c Sending button.c Sending Makefile Transmitting file data ... Committed revision 406.
ここでもトランクにマージされた変更範囲についてコミットログメッセージは 非常に具体的に触れていることに注意してください。このことを常に憶えて おいてください。後になって必要になる非常に重要な情報だからです。
たとえば、独自の機能拡張やバグフィックスなどのために、もう一週間自分の
ブランチ上で作業を続けることにしたとしましょう。リポジトリの
HEAD
リビジョンはいま 480 となり、あなたは自分のプライベートなブランチから
トランクに対するマージの用意ができています。しかしマージの一番うまいやり方項で議論したように既に以前マージした
変更を再びマージしたくはありません; 最後にマージしてからブランチ上に
「新しく起きた」変更だけをマージしたいのです。問題はどうやって
新しい部分を見つけるかです。
最初のステップはトランク上でsvn logを 実行し最後にブランチからマージしたときのログメッセージを見ます:
$ cd calc/trunk $ svn log … ------------------------------------------------------------------------ r406 | user | 2004-02-08 11:17:26 -0600 (Sun, 08 Feb 2004) | 1 line Merged my-calc-branch changes r341:405 into the trunk. ------------------------------------------------------------------------ …
ああ、なるほど。341 と 405 の間のリビジョンに起きたすべてのブランチ上での
変更はリビジョン 406 として既にトランクにマージされているので、それ以降にブランチ上で起きた
変更のみをマージすれば良いことがわかります— つまり、リビジョン 406 から
HEAD
までです。
$ cd calc/trunk $ svn update At revision 480. # 現在の HEAD が 480 であることがわかったので、以下のようにマージすれ # ばよいことになります $ svn merge -r 406:480 http://svn.example.com/repos/calc/branches/my-calc-branch U integer.c U button.c U Makefile $ svn commit -m "Merged my-calc-branch changes r406:480 into the trunk." Sending integer.c Sending button.c Sending Makefile Transmitting file data ... Committed revision 481.
これでトランクはブランチに起きた変更の第二波全体を含むことになりました。 この時点でブランチを削除する(これについては後で議論します)ことも、 ブランチ上で引き続き作業し、以降のマージについて上記の手続きを繰り返す こともできます。
svn mergeのほかのよくある使い方としては、既にコミット
した変更をもとに戻したい場合です。/calc/trunk
の
作業コピー上で作業中に、integer.c
を修正したリビジョン 303
は完全に間違いであったことを発見したとしましょう。それはコミットすべき
ではありませんでした。作業コピーの変更を「取り消す」のにsvn
mergeを使い、その後リポジトリに対してローカルな変更を
コミットすることができます。やらなくてはならないことは反対向きの
差分を指定することだけです:
$ svn merge -r 303:302 http://svn.example.com/repos/calc/trunk U integer.c $ svn status M integer.c $ svn diff … # verify that the change is removed … $ svn commit -m "Undoing change committed in r303." Sending integer.c Transmitting file data . Committed revision 350.
リポジトリリビジョンについてのもう一つの考え方は、それを
特定の変更のあつまりと考えることです(いくつかのバージョン管理
システムでは、これを、changesetsと
呼んでいます)。-r
スイッチを使って
svn merge を呼び出すことで、あるチェンジ
セットを適用するか、もしくはある範囲のチェンジセット全部を作業コピーに
適用することができます。私たちの場合だとsvn merge
を使ってチェンジセット#303を作業コピーに反対向きに
適用します。
このような変更の取り消しは、普通のsvn merge
の操作にすぎないので、作業コピーが望む状態になったかどうかは
svn status とsvn diff を
使うことができ、その後svn commit でリポジトリに
最終的なバージョンを送ることができるのだ、ということを押さえておいて
ください。コミット後はこの特別なチェンジセットはもはや
HEAD
リビジョンには反映されません。
こう思うかも知れません: とすると、それは「取り消し」じゃない
じゃないか。変更はまだリビジョン303に存在しているのでは、と。
もし誰かがcalc
プロジェクトのリビジョン303
と 349の間のバージョンをチェックアウトしたとしたら、間違った
変更を受け取るのではないか、違うか、と。
おっしゃる通り。私たちが、変更の「取り消し」について語るとき、
本当はHEAD
から取り除くことを言っています。もともとの変更は
リポジトリの履歴に依然として残っています。ほとんどの状況では
これで十分です。とにかくほとんどの人たちはプロジェクトの
HEAD
を追いかける
ことだけに興味があるからです。しかし、コミットに関するすべての
情報を削除したいという例外的な状況もあるでしょう。(多分、誰かが
極秘のドキュメントをコミットしてしまった、など) これはそんなに
やさしいことではありません。Subversionは意図的に決して情報が
失われないように設計されているからです。履歴からのリビジョンの
削除は、連鎖的な影響を与え、すべての後続リビジョンと、多分
すべての作業コピーに混乱を起こします。
[10]
バージョン管理システムの偉大なところは情報が決して失われないという
ところです。ファイルやディレクトリを削除した場合でもそれは
HEAD
リビジョン
から消えただけであり、以前のリビジョン中には依然として存在し続けます。
新規ユーザからの一番よくある質問の一つは: 「どうやって古いファイルや
ディレクトリを戻せば良いのですか?」 というものです。
最初のステップはあなたが復活させようとしているものは正確には何であるかをはっきりさせることです。 うまいたとえがあります: リポジトリ中のそれぞれのオブジェクトは 一種の二次元座標系の中に存在していると考えることができます。第一の軸 は特定のリビジョンツリーで第二の軸はそのツリー中のパスです。すると ファイルあるいはディレクトリのそれぞれのバージョンは特定の座標の組で 定義することができます。
Subversion は CVS のような Attic
ディレクトリを持ちません
[11]
ので復活させたいと思う正確な座標ペアを見つける
のにsvn logを使わなくてはなりません。うまいやり方
としては削除されたアイテムがあったディレクトリでsvn log --verbose
を実行することです。--verbose
オプションはそれぞれの
リビジョン中でのすべての変更アイテムのリストを表示します; 必要なことは
ファイルやディレクトリをどのリビジョンで削除したかを調べることです。
これはビジュアルにやることもできますし、ログ出力を解析する別のツールを
使うこともできます(grepコマンドを通じて、あるいは
エディタでのインクリメンタル検索機能を使う形かも知れません)。
$ cd parent-dir $ svn log --verbose … ------------------------------------------------------------------------ r808 | joe | 2003-12-26 14:29:40 -0600 (Fri, 26 Dec 2003) | 3 lines Changed paths: D /calc/trunk/real.c M /calc/trunk/integer.c Added fast fourier transform functions to integer.c. Removed real.c because code now in double.c. …
例では削除してしまったファイル real.c
を探している
とします。親ディレクトリのログを見ることでこのファイルはリビジョン 808
で削除されたことを突き止めました。それでこのファイルが存在していた
最後のバージョンはそのリビジョンの直前であることになります。結論:
リビジョン 807 から /calc/trunk/real.c
のパスを
復活させれば良いことになります。
これが面倒な部分です — つまりファイルを見つける作業です。 これで復元したいものが何であるか突き止めました。後は二つの方法が あります。
最初のやり方はリビジョン 808 を 「逆向きに」 適用するために
svn mergeを利用することです。(変更の取り消し
の仕方については既に議論しました。 変更の取り消し項
を参照してください。) これはローカルな変更としてreal.c
をもう一度追加する効果があります。ファイルは追加予告され、コミット後には
HEAD
上に再び存在するようになります。
しかしこの例は多分最善の方法ではないでしょう。リビジョン 808 の逆向き
の適用はreal.c
の追加予告だけではなく、ログメッセージ
が示すように、今回必要としないinteger.c
への変更点
も取り消してしまいます。確かにリビジョン 808 を逆向きにマージした後
integer.c
のローカル変更を svn revert
することもできますが、この技法はファイルが多くなるとうまくスケールしません。
リビジョン 808 で 90 個のファイルが変更されていたとしたらどうなりますか?
もっと洗練された二番目の方法はsvn mergeは利用せず、 そのかわりにsvn copyコマンドを使います。正確な リビジョンとパスの 「座標の組」 を指定してリポジトリから自分の作業コピーに 単にコピーするだけです:
$ svn copy --revision 807 ¥ http://svn.example.com/repos/calc/trunk/real.c ./real.c $ svn status A + real.c $ svn commit -m "Resurrected real.c from revision 807, /calc/trunk/real.c." Adding real.c Transmitting file data . Committed revision 1390.
ステータス表示中のプラス記号はそのアイテムは単に追加予告されただけではなく
「履歴と共に」 追加予告されたことを示しています。Subversion はどこからそれが
コピーされたかを記憶しています。今後このファイル上に svn
logを実行するとファイルの復活についてと、リビジョン 807
以前のすべての履歴をたどることができます。言いかえるとこの新しい
real.c
は本当に新しいわけではありません;それは
削除されたもとのファイルの直接の子孫になっています。
私たちの例はファイルの復活でしたが、同じ技法が削除されたディレクトリ の復活についても利用できることに注意してください。
バージョン管理システムはソフトウェア開発で一番よく使われるので、ここで 何かの開発チームによって利用される典型的なブランチ化/マージのパターン をちょっと見てみましょう。Subversion をソフトウェア開発に使うのでなけ ればこの節は読み飛ばしてもかまいません。ソフトウェア開発にバージョン 管理システムを使うのが初めてなのであれば、よく読んでください。 ここでのパターンは経験を積んだ多くの開発者によって最良の方法だと考えられて いるからです。このようなやり方は Subversion に限った話ではありません; どのようなバージョン管理システムにでも応用できる考え方です。また同時に 他のシステムのユーザに対しては Subversion ではどんな言葉を使ってこの標 準的なやり方を表現するかを理解する手がかりになるでしょう。
ほとんどのソフトウェアは典型的な作業サイクルがあります: コーディング、 テスト、リリース、この繰り返しです。このようなやり方には二つの問題が あります。まず開発者は新しい機能を追加し続けなくてはならない一方で 品質保証チームはそのソフトウェアの安定版だと考えられるバージョンを テストするのに時間をついやさなくてはなりません。テスト途中だからといっ て新しい機能追加を中断することはできません。次に開発チームはほとんど の場合、すでにリリースされた古いバージョンのソフトウェアを保守しなくては なりません; もし最新のコードにバグが見つかった場合、すでにリリースしている バージョンにも同じバグが潜んでいる可能性は高く、利用者は次のリリースを 待たずにこのバグを修正して欲しいと望んでいることでしょう。
バージョン管理システムの出番です。典型的なやり方は以下のようなものです:
開発者は新規開発部分をトランクにコミットします。
日々の変更点は/trunk
にコミットされます: 新しい機
バグ修正、その他もろもろです。
トランクの内容は「リリース」ブランチにコピーされます。
あるチームが、そのソフトウェアがリリースできる状態になったと考えた
時点で(つまり、1.0 のリリースのような場合)、/trunk
は/branches/1.0
のような名前でコピーされる
ことになります。
これと並行して、他のチームが作業を続けます。
あるチームがリリースブランチの内容を徹底的なテストを開始する一方で
他のチームは新規開発分(つまり、バージョン 2.0 に向けた作業)を
/trunk
上で継続して行います。どちらかの場所で
バグが見つかれば、必要に応じてその修正がお互いの間を行き来します。
しかしこの作業もやがては終わります。このブランチはリリース直前の
最終的なテストに向けて「凍結」されます。
ブランチはタグづけされ、リリースされます。
テストが完了したら/branches/1.0
は
/tags/1.0.0
にコピーされ、これが参照用のスナップ
ショットになります。このタグの内容はパッケージ化され、利用者に対して
リリースされます。
ブランチはその後も保守されます。
バージョン 2.0に向けた作業が/trunk
上で進む一方、
バグ修正個所については/trunk
から
/branches/1.0
に引き続き反映されます。
十分なバグ修正が反映されたら、管理者は 1.0.1 をリリースする決断をする
かも知れません: /branches/1.0
は
/tags/1.0.1
にコピーされ、このタグはパッケージ
化されてからリリースされます。
このような作業の流れを繰り返すことでソフトウェアは安定していきます: 2.0 の開発が完了したら新しい 2.0 のリリースブランチが作られ、テスト され、タグがつけられ、最終的にリリースされることになります。 何年かしてリポジトリは「保守対象」の状態になったいくつかの リリースブランチと最終的にリリースされたバージョンを示すタグの集まり になるでしょう。
開発用ブランチ(feature branch) はこの章での
例として中心的な役割を果たしてきたようなタイプのブランチで、その
ブランチ上であなたが作業をするのと同時に並行してSally は
/trunk
上で作業を継続することができるような
ものでした。それは一時的なブランチで、安定している
/trunk
に影響を与えることなく複雑な変更をする
ためのものです。リリース用ブランチ(これはずっと保守しつづけなければ
ならないかも知れません)とは違って、開発用ブランチは作成されたあと
ある程度の期間利用され、変更部分がトランクに反映された後で完全に
削除されてしまいます。利用されるのは、ある決まった期間の中だけです。
プロジェクトの考え方によって、開発用ブランチをいつ作るのが適切である
かにはかなりの幅があります。プロジェクトによっては開発用ブランチを
全く使いません: /trunk
に対するコミットは
全員に許されています。このやり方の長所はその単純さです—誰も
ブランチ化やマージについて理解する必要がありません。欠点はこの方法
だとトランクのソースコードが不安定になったりまったく利用できなく
なったりしやすいことです。逆に別のプロジェクトではブランチを極端な
形で使います: どんな変更もトランクに対して直接
コミットすることは認められていません。まったくささいな変更に対しても
短い生存期間をもつブランチを作り、それを注意深く検討し、
トランクに反映させます。それから、そのブランチを削除します。この方法は
トランクを常に非常に安定して利用できる状態に置くことができますが
それには無視できない処理効率の低下が伴います。
ほとんどのプロジェクトではこの中間のやり方をとります。普通は
/trunk
は常にコンパイル可能な状態であり、
一度フィックスしたバグが元に戻っていないことを保証するためのテスト
もクリアした状態にあることを要求します。ある変更をするのに
プログラムを不安定にするようなコミットを何度も必要とする場合に
だけ開発ブランチが作られます。基本的な方針としては次のようなことを
考えてみることです: もし開発者が孤立した状態で何日も作業した後で
一度に変更点全体をコミットしたとしたら(/trunk
が
不安定にならないようにするためにそうするのでしょうが)、その変更
内容が正しいかどうかを検討するには大きすぎませんか? もし答えが
「イエス」なら、その変更は開発用ブランチでやるべきで
しょう。開発者はブランチに対して変更点を少しずつコミットするので
他の人たちはそれぞれの部分について簡単に内容を検証することができ
ます。
最後に、開発用ブランチでの作業が進むにつれて、どうやってそれを トランクの内容に「同期」させるのがよいかについて 考えてみます。すでに注意したようにブランチ上で数週間あるいは数ヶ月 ものあいだ作業しつづけるのには大きなリスクが伴います; トランクへの 変更はその間次々と発生し、ついには二つの開発ラインはあまりにもかけ離れて しまい、ブランチの変更内容をトランクにマージによって戻すのは全く 非現実的な話になってしまうかも知れないのです。
この状況を避けるためにはトランクの内容を定期的にブランチにマージする ことです。次のようなルールを決めておきましょう: 一週間に一度、 先週トランク上におきた変更をブランチにマージすること。これは注意して 実行する必要があります; マージは手作業で実行し、繰り返してマージする のを避ける必要があります(これについては 手でマージする方法項で説明しました)。ログメッセージ を書く時には注意して、どの範囲のリビジョンが既にマージされているか を正確に控えておきましょう(これはブランチ全体を別の場所にマージすること項 でやってみせました)。大変な作業に思えるかも知れませんが、実際には 非常に簡単なことです。
あるところまで作業が進んだら、開発用ブランチの内容をトランクに 「同期」させるためのマージの準備が整います。これには まず、最新のトランクの変更部分をブランチに取り込む最後のマージ 処理を実行することで始めます。この処理の後では、ブランチ上の最後のリビ ジョンとトランク上の最後のリビジョンは、ブランチでの変更部分を のぞけば、完全に同じ状態になります。このような特定の状況下では ブランチとトランクの内容を比較することによってマージすることが できるはずです:
$ cd trunk-working-copy $ svn update At revision 1910. $ svn merge http://svn.example.com/repos/calc/trunk@1910 ¥ http://svn.example.com/repos/calc/branches/mybranch@1910 U real.c U integer.c A newdirectory A newdirectory/newfile …
トランクのHEAD
リビジョンとブランチの
HEAD
リビジョンを比較することで、ブランチにだけ
加えた修正点を含む差分を作ることができます; 両方の開発ラインとも
トランクに起きた修正についてはすでに取り込んでいるからです。
このような作業パターンは、自分のブランチに対して 毎週トランクを同期させる処理は、作業コピーに対してsvn update を実行するのとよく似ていて、最後のマージ処理に ついては作業コピーからsvn commitを実行するのに よく似ていると考えることができます。結局、作業コピーと、ちょっと作った プライベートなブランチと、他に何が違うと言うのでしょう? 作業コピー とは、一度に一つの変更しか保存できないような単なるブランチにすぎ ません。
svn switch コマンドは存在している作業コピーを
別のブランチに変換します。このコマンドはブランチで作業するのに
常に必要というわけではありませんが、ユーザに対して便利なショートカット
を用意します。前の例で、プライベートなブランチを作ったあと、その新しい
リポジトリディレクトリの作業コピーをチェックアウトしました。そうする
かわりに、単に/calc/trunk
の作業コピーを新しい
ブランチの場所のコピーに変更することができます:
$ cd calc $ svn info | grep URL URL: http://svn.example.com/repos/calc/trunk $ svn switch http://svn.example.com/repos/calc/branches/my-calc-branch U integer.c U button.c U Makefile Updated to revision 341. $ svn info | grep URL URL: http://svn.example.com/repos/calc/branches/my-calc-branch
ブランチに「スイッチ」したあとでは、作業コピーの内容はそのディレクトリ を新しくチェックアウトした場合とまったく同じものになります。そして 普通このコマンドを使うほうがより効率的です。というのは、たいてい ブランチはほんの少し内容が違うだけです。サーバはそのブランチディレクトリ を反映させるために作業コピーにしなくてはならない最小限の変更だけを 送信すれば済むのです。
svn switch は--revision
(-r
) オプションをとることもできるので、常に作業コピー
をブランチの「最新状態」にに移す必要があるわけではありません。
もちろん、ほとんどのプロジェクトはcalc
よりは
もっと複雑で、複数のサブディレクトリを含んでいます。Subversionユーザは
ブランチを利用するときにはよく、特定のやり方をします。:
プロジェクトの「幹(trunk)」全体を新しいブランチディレクトリ にコピーする。
幹(trunk)の作業コピーの一部のみを ブランチにミラーする。
言い換えると、ユーザが特定のサブディレクトリ上でだけブランチの作業が起きる ことを知っている場合にはsvn switchを使ってブランチに そのサブディレクトリのみを移動します。(あるいは、たった一つの作業ファイル だけをブランチに switch することさえあります!) その方法では、作業コピー のほとんどすべての更新を普通の「幹(trunk)」から従来どおり受け取ることが できますが、切り替えた部分だけは変更されることなく残ります(もしブランチ に対して誰かが変更点をコミットしさえしなければ)。この機能は 「混合作業コピー」という概念にまったく新しい次元を付け加える ことになります—作業コピーは作業リビジョンの混合を含むことができる だけではなく、リポジトリ位置の混合も含むことができます。
もし作業コピーが異なるリポジトリ位置からのスイッチされたサブツリー をいくつか含むなら、それは普通に機能し続けます。更新すると、 それぞれのサブツリーのパッチを適切に受け取るでしょう。コミットすると ローカル修正は一つの不可分の変更をリポジトリに適用するでしょう。
リポジトリ位置の混合を作業コピーに反映させることはできますが、 このようなリポジトリ位置はすべて同じ リポジトリ の中になくてはなりません。Subversionのリポジトリはまだお互いに通信 することはできません。これはSubversion1.0以降で計画されている機能です。 [12]
svn switch は本質的にはsvn update の変種なので、同じ動作を共有します。作業コピー中のどのようなローカルの 変更もリポジトリから新しいデータが届くときに保存されます。これで あらゆる利口な小技がきくようになります。
たとえば/calc/trunk
の作業コピーがありそれにいくつか
変更を加えたとします。それから突然、本当はブランチにやる変更だったことに
気づきます。問題ありません。作業コピーをsvn switch
でブランチにスイッチしても、ローカルの変更はそのまま残ります。で、
それをブランチに対してテストし、コミットすることができます。
別のバージョン管理の概念に、タグがあります。 タグはある時点でのプロジェクトの「スナップショット」です。Subversion ではこのアイディアは既にさまざまな場所にあるように見えます。それぞれ のリポジトリリビジョンはまさにそれです—つまり、それはコミット直後の ファイルシステムのスナップショットです。
しかし、人はしばしばタグに対して人間になじみのある名前を付けたいと 思うものです。たとえば、「release-1.0」のような。また、ファイルシステム のもっと小さなサブディレクトリのスナップショットがほしいこともあります。 結局、あるソフトの一部のrelease-1.0 がリビジョン4822の特定のサブディレクトリ であることを思い出すのは簡単ではありません。
もう一度、svn copy の助けを借ります。
もしHEAD
リビジョンの/calc/trunk
のスナップ
ショットを作りたいときには、そのコピーをとればいいのでした:
$ svn copy http://svn.example.com/repos/calc/trunk ¥ http://svn.example.com/repos/calc/tags/release-1.0 ¥ -m "Tagging the 1.0 release of the 'calc' project." Committed revision 351.
この例では/calc/tags
ディレクトリが既に
存在しているものとしています。(もしそうでないなら、svn mkdir を見てください)。
コピー完了後、新しい
release-1.0
ディレクトリは、あなたがコピーした
時点のHEAD
リビジョンにおいてプロジェクトがどう見えていたかをスナップ
ショットとして永遠に残すものです。
もちろん、どのリビジョンをコピーするかについてもっと正確でありたいと
思うかも知れません。他の人があなたが見ていないときにプロジェクトに
対して変更点をコミットしていたかも知れませんから。もしあなたが
/calc/trunk
のリビジョン350が自分のほしいスナップ
ショットだと知っていればsvn copy コマンドに
-r 350
を指定することができます。
でもちょっと待ってください: このタグ作成の手続きはブランチを作る ために使ってきた手続きと同じじゃないの? 実はその通りです。 Subversion ではタグとブランチには違いはありません。両方とも コピーで作られた普通のディレクトリです。ちょうどブランチのように コピーされたディレクトリが「タグ」であるといわれるのは、単に 人間がそうやって扱うことに決めたから、ただ それだけです。そのディレクトリに誰もコミットしない限り、それは 永遠にスナップショットとして残ります。もし誰かがそれにコミット し始めると、それはブランチになります。
もしリポジトリを管理しているなら、タグを管理するには二通りの 方法があります。最初のアプローチは、「ユーザ任せ」です。 プロジェクトポリシーとして、あなたのタグを置く場所を決め、 すべてのユーザにそのディレクトリをコピーするときにはどうやって扱うか を知らせます。(つまり、みんながそこにコミットしないように約束します) 二番目のやり方はもっとガチガチです。Subversionが提供するアクセス 制御スクリプトのどれかを使って、タグ領域には新しいコピーを 作ることだけができて、それ以外の操作を禁止します。 (章 6. サーバの設定を参照してください。) ガチガチ方式は、普通は不要です。もしユーザが間違ってタグディレクトリ に自分の変更をコミットしてしまったら、前の章で説明した方法で その変更を取り消せばいいのですから。結局、Subversionはバージョン 管理システムなのです。
ときどき、一つのリビジョンの一つのディレクトリよりも もっと複雑な「スナップショット」がほしいことがあります。
たとえば、プロジェクトが私たちのcalc
よりも
もっと大きいとします。たくさんのサブディレクトリともっとたくさん
のファイルがあるとします。仕事の過程で、特定の機能とバグ修正を含んだ
作業コピーが必要になったと判断します。特定のリビジョンの
以前のファイルとディレクトリを選んで(svn update
-r liberally を使って), これを作ることもできますし、
特定のブランチにファイルとディレクトリをスイッチすることによっても
できます。 (svn switchを使う)
これをやると、あなたと作業コピーは別々のリビジョンからなる別々の
リポジトリ位置のつぎはぎになります。しかしテスト後、自分がまさに必要と
している組み合わせであることがわかりました。
さあスナップショットをとります。一つのURLを作業していない別の 場所にコピーします。この場合、やりたいことは特定の作業コピー状態 で、それをリポジトリに格納したいのです。幸運なことに svn copy は実際には四種類の異なる使い方が あります。(第9章を読んでください)その中には作業コピーツリー をリポジトリにコピーする、というのもあります:
$ ls my-working-copy/ $ svn copy my-working-copy http://svn.example.com/repos/calc/tags/mytag Committed revision 352.
これでリポジトリに新しいディレクトリができました。
/calc/tags/mytag
です。これはあなたの作業コピー
の正確なスナップショットです— 混合リビジョン、URLそして
すべてです。
別のユーザはこの機能の面白い使い方を見つけました。 ときどき、自分の作業コピーにローカルな修正をした ブランチがあるが、それを他のメンバーに見せたいというような 状況です。svn diff を使ってパッチファイル (それはツリーの変更、シンボリックリンクの変更、あるいは属性の変更を取得できません) を送るかわりに、svn copyを使って、作業コピーをリポジトリの プライベートな領域に「アップロード」します。他のメンバーは 作業コピーを新しくチェックアウトするか、svn merge を使って変更点のみを受け取ることができます。
ここまでで、Subversionは非常に柔軟なシステムであることがおわかり いただけたかと思います。ディレクトリのコピーという同じ基本的な 仕組みの上にブランチもタグも実装しており、ブランチもタグも普通の ファイルシステムの空間の中にあるので、多くの人々はSubversionの 仕組みにびっくりします。それは柔軟すぎるくらい です。この節では時間経過と共にどのようにデータを配置し管理するのが 良いかについて、少し説明します。
リポジトリの編成にはある程度、標準化された、おすすめの方法が
あります。ほとんどの人々はtrunk
ディレクトリ
に開発の「主系」、ブランチのコピーがあるbranches
ディレクトリ、そしてタグのコピーがあるtags
ディレクトリ
を入れます。リポジトリがただ一つのプロジェクトを含む場合には
しばしば、この三つのディレクトリをリポジトリ最上位に作ります:
/trunk /branches /tags
リポジトリが複数プロジェクトを含む場合は、プロジェクトごとに レイアウトをインデックス化します (「プロジェクトルート」についての詳細は リポジトリレイアウトの選択項 を読んでください):
/paint/trunk /paint/branches /paint/tags /calc/trunk /calc/branches /calc/tags
もちろん、この標準的なレイアウトを無視してもかまいません。 あなたと、チームが最も作業しやすいように、このレイアウトは どのように変化させてもかまいません。どれを選んでもそれは 永久に固定されたものではありません。いつでもリポジトリを 再編成することができます。ブランチとタグは普通のディレクトリ にすぎないのでsvn moveコマンドを使えば 好きなように移動、名称変更ができます。あるレイアウトから別の レイアウトへの切り替えは単にサーバ側での何回かの移動の話になります。 もしリポジトリ中の編成に何か気に入らないところがあるなら、ディレクトリ に関連した小技を使ってください。
しかし、ディレクトリの移動は簡単ではありますが、ユーザのこともよく 考える必要があります。この変更は既にある各自の作業コピーの場所 を再配置します。もしユーザが特定のリポジトリのディレクトリの作業 コピーを持っている場合、あなたの svn move操作 は最新リビジョンのパスを削除してしまうかも知れません。ユーザが 次にsvn updateを実行すると、作業コピーは すでに存在しないパスを示しているとされ、新しい場所に移動する ためにsvn switchの実行を強要されてしまう でしょう。
Subversionモデルの別の良い機能としては他のバージョン
管理されたアイテムと同様、ブランチとタグは有限の寿命しか持たない
ようにもできることです。たとえばcalc
プロジェクト
の個人的なブランチ上ですべての作業が完了したとします。すべての
変更を、/calc/trunk
にマージしたあとでは
その個人的なブランチのディレクトリがまったく不要になります:
$ svn delete http://svn.example.com/repos/calc/branches/my-calc-branch ¥ -m "Removing obsolete branch of calc project." Committed revision 375.
これでブランチはなくなってしまいました。もちろん本当に削除された
わけではありません: ディレクトリは単に HEAD
リビジョンからなくなった
だけで、誰もわずらわせることはなくなりました。
前のバージョンを調べるためにsvn checkout、
svn switch、あるいは svn list
を使えば依然として古いブランチを見ることができます。
削除したディレクトリを閲覧するだけでは不十分な場合は、いつでも
戻すこともできます。データの復活はSubversionではお手のものです。
HEAD
に戻したい削除ディレクトリ(またはファイル)がある場合は、単に
svn copy -r を使って古いリビジョンから
コピーしてください:
$ svn copy -r 374 http://svn.example.com/repos/calc/branches/my-calc-branch ¥ http://svn.example.com/repos/calc/branches/my-calc-branch Committed revision 376.
私たちの例では個人的なブランチは比較的短い生存時間を持ちます。バグを
直したり新しい機能を追加するのに利用したからです。作業が終われば、
ブランチの寿命もそこで終わりです。しかし、開発内容によっては
非常に長い時間にわたって二つの「主要な」ブランチが並行して生きつづけることも
あります。たとえば、安定版のcalc
プロジェクトを
公にリリースするときがやってきて、そのソフトのバグをとるのには
何ヶ月かかかるとします。リリースバージョンに新しい機能を追加させたくは
ありませんが、すべてのメンバーに開発を中止するように言いたくもありま
せん。そこでかわりに、あなたはそれほど大きな修正は発生しない
「安定版」のブランチを作ります:
$ svn copy http://svn.example.com/repos/calc/trunk ¥ http://svn.example.com/repos/calc/branches/stable-1.0 ¥ -m "Creating stable branch of calc project." Committed revision 377.
これで開発者は最先端の機能(あるいは実験的な機能)を
/calc/trunk
に追加し続けることが
でき、バグフィックスだけを/calc/branches/stable-1.0
にコミットするようなポリシーで進めることができます。
つまり、メンバーがtrunk上で作業し続けるときに、バグフィックスに
ついては安定版ブランチ上に持っていくことができます。安定版ブランチ
が出荷されたあとでも、そのブランチを長い時間かけて保守し続ける
でしょう—つまり、顧客に対してそのリリースをサポートし続ける
限り。
この章では、いろいろな基本に触れました。タグとブランチの概念を議論し、 Subversionがsvn copyでディレクトリをコピーする ことによってこれらの概念を実装していることを説明しました。 svn mergeであるブランチから別のブランチに変更点 をコピーしたり、間違った変更を戻したりする方法をお見せしました。 svn switchを使って、混合状態の作業コピーを 作ってみせました。そして、どのようにしてリポジトリ内のブランチの 編成と寿命を管理するかについて話しました。
Subversionについて、このことだけは憶えておいてください: ブランチやタグを作る処理はとても軽いのです。好きなだけ使ってください!
[8] Subversion はリポジトリ間コピーをサポートしていません。svn copyやsvn moveで URLを指定する場合、 同じリポジトリ内でのみコピーすることができます。
[9] 将来的にはSubversionプロジェクトはツリー構造と属性の変更点を表現する ような拡張したパッチ形式を使う(あるいは開発する)計画があります。
[10] しかしながら、Subversionプロジェクトはいつの日か svnadmin obliterateコマンドを 実装する計画があります。これは情報の完全な消去を実行するコマンド です。それまでは回避策としてsvndumpfilter項 の方法を利用してください。
[11]
CVS はツリーのバージョン管理ができないので削除されたファイルを
記憶しておくためにリポジトリ用のディレクトリ中に Attic
領域を
作ります。
[12] しかし、サーバ上の URL が変更されたが、既存の作業コピー
を捨てたくない場合には、--relocate
スイッチ付きで
svn switchを使うことはできます。
より詳しい情報と例については章 9. Subversion リファレンスの
svn switchの章を見てください。
目次
Subversionのリポジトリは複数のプロジェクトのためのバージョン管理 されたデータを格納する中心的な場所です。こんなわけで、リポジトリは 管理する人間にとってはたまらない魅力のある場所になるかも知れません。 リポジトリは一般的にはそれほど複雑な管理が必要なものではありません が、正しく設定し、潜在的な問題を避け、実際に起こる問題を安全に解決する ためにはどうすれば良いかを理解することは重要です。
この章では、Subversionのリポジトリをどうやって作成し設定するかについて 議論します。リポジトリ管理についても述べますが、 これには svnlookと svnadmin (この二つはSubversionが提供するツールです)の利用も含まれています。 よくある質問と間違いをとりあげ、リポジトリ中でどのようにデータを 配置するのか良いかについてアドバイスします。
もし、Subversionのリポジトリのバージョン管理下にあるデータに ユーザとしてアクセスするだけなら、(つまり、Subversionのクライアント としてだけ利用するなら)この章は読み飛ばすことができます。しかし、 Subversionのリポジトリ管理者か、そうなろうと思っている人は [13] この章に特別の注意を払ってください。
リポジトリ管理についての広範囲な話題に飛び込む前に、リポジト リとはいったい何であるかをもう少し突っ込んで定義しておきましょう。それ はどんな風に見えるのでしょうか? いったいどんなコなんでしょう? 飲み物の好みは? ホット? アイス? 砂糖はいくつ? レモンは? 管理者としては、論理的な見え方 —つまり、リポジトリ内でデータがどのように表現されているか— から物理的な細部に到るまで—つまり Subversion 以外のツールから リポジトリはどう見え、どう振舞うか—の両方について理解している ことが期待されます。以下の節は非常に高レベルの基本的な概念のいくつか について説明します。
概念的に言うと、Subversionのリポジトリはディレクトリツリーの 並びです。それぞれのツリーはある時刻で、リポジトリ中に 管理されたファイルやディレクトリがどのように見えるか、という ことについてのスナップショットです。 このクライアントの操作によって作られるスナップショットを リビジョンといいます。
それぞれのリビジョンはトランザクションツリーとして生まれます。 コミットすると、クライアントは、自分のローカルな変更(と、クライアント のコミット処理の最初にリポジトリに起きる附加的な変更)を反映 したSubversionのトランザクションを作り、次のスナップショットとして このツリーを格納するようにリポジトリに命令します。 コミットが成功すれば、トランザクションは新しいリビジョンツリーが できたことを知らせ、新しいリビジョン番号を割り当てます。 コミットが何かの理由で失敗すれば、トランザクションは消されて、クライアント は失敗した旨の通知を受けます。
更新処理も同様に動作します。クライアントは作業コピー の状態を反映した一時的なトランザクションツリーを作ります。リポジトリは そのトランザクションツリーを要求されたリビジョンのツリー(普通は 最新の、あるいは「一番若い」ツリー)と比較し、作業コピーを リビジョンツリーの形に変形するにはどのような変更が必要であるかに ついての情報を戻します。更新が完了した後、その一時的なトランザクションは 削除されます。
トランザクションツリーの利用がリポジトリのバージョン管理された ファイルシステムに普遍的な変更を起こす唯一の方法です。しかし、 トランザクションの生存時間が完全に任意であることを理解するのは 重要です。更新の場合トランザクションはすぐに消滅する一時的なツリー です。コミットの場合は、トランザクションは普遍的なリビジョンに 変わります。(あるいはコミットが失敗したときは削除されますが) エラーやバグがあると、トランザクションはリポジトリの周辺に 取り残されてしまうかも知れません(しかしこれは領域を食うだけで、 何かに悪い影響を与えたりはしませんが)
理論的には、いつの日か、統合された作業環境をサポートする アプリケーションはトランザクションの生存期間をもっと柔軟に 管理することができるようになるかも知れません。 クライアントがリポジトリに対する修正内容の記述を終えたあとでも、 リビジョンになる候補のトランザクションが 静止した状態にとどまるようなシステムを考えることもできます。 これはそれぞれの新しいコミットを別の人、たとえば管理者やエンジニアの QAチームによって再検討することを可能にし、そのトランザクション を本当のリビジョンにしたり、取り下げたりすることができるようになるでしょう。
Subversionリポジトリでのトランザクションとリビジョンは 付随した属性を持つことができます。そのような属性は 一般的なキー・値のマッピングで、関連したツリーについての 情報を格納するのに一般的に利用されます。属性の名前と値はリポジトリの ファイルシステム中に、残りのツリーデータと一緒に格納されます。
リビジョンとトランザクションの属性はファイルやディレクトリ
にそれほど強く結びついていないツリーの情報を記憶して
おくのに便利です—作業コピーによって管理できないような
情報です。たとえば新しいコミットトランザクションが
リポジトリに作られるとSubversionはそのトランザクションに
svn:date
という名前の属性を追加します
—トランザクションが作られた時刻を示すタイムスタンプです。
コミットが完了し、トランザクションが普遍的なリビジョンとなる
時点で、ツリーにはリビジョン作成者のユーザ名称(svn:author
)
とリビジョンに付けられたログメッセージ(svn:log
)の
属性が追加されます。
リビジョンとトランザクションの属性は
バージョン化されない属性です—
修正されると、それ以前の値は永久に失われてしまいます。
同様にリビジョンツリー自身は不変ですが、ツリーに付けられた
属性はそうではありません。いつでもリビジョン属性を追加、削除、修正
することができます。新しいリビジョンをコミットしたあとで、
間違った情報だったり、ログメッセージにスペルミスがあったり
したことがわかったときには、単にsvn:log
属性の値を正しいログメッセージで置き換えてやるだけです。
Subversion 1.1 からは、Subversion リポジトリに二つの保存形 式が選べます。一つはすべてのデータを Berkeley DB データベースに保存 する方法です; もう一つは、独自の形式で構成した通常のフラットファイルの 形にデータを保存する方法です。Subversion 開発者はリポジトリを、 「(バージョン化された) ファイルシステム」 という名前でよく言い表すので、 この習慣に合うように後者のリポジトリをFSFS [14] と呼びますが—それは最初から OS がもっているファイルシステムを使っ てバージョン化されたファイルシステムを作る方法です。
リポジトリを作成する時には、管理者は Berkeley DB を使うか、FSFS を使うかを決めなくてはなりません。両方とも、利点と欠点がありますが、そ れについては後で少し触れます。どちらか一方がもう一方よりも「公式 のもの」であるということはありませんし、リポジトリへのアクセスは これらの実装の詳細とは分離されています。プログラムはどうやって保存して いるデータにアクセスするかを知ることはありません; リポジトリ API 全体 を通じて、抽象化されたリビジョンとトランザクションツリーが見えるだけで す。
表 5.1. 「Repository 保存形式の比較」 に Berkeley DB と FSFS リポジトリの比較表があります。 詳細についてはは次の節を見てください。
表 5.1. Repository 保存形式の比較
機能 | Berkeley DB | FSFS |
---|---|---|
リポジトリの壊れやすさ | 非常に壊れやすい; リポジトリが壊れたりパーミッショ ンの問題が起こった場合にはデータベースは「中途半 端な」状態になり、ジャーナル復帰処理が必要にな ります。 | それほどでもない |
リードオンリーでマウントできるか | いいえ | はい |
プラットフォームに独立した保存形式か | いいえ | はい |
ネットワークファイルシステムでも使えるか | いいえ | はい |
リポジトリサイズ | わずかに大きい | わずかに小さい |
スケール性: リビジョンツリーの数が増えるとどうな るか | データベースなので問題なし | OS のファイルシステムが古い場合、一つのディ レクトリ中に数千のエントリがあるとうまく動かなくなるこ とがある。 |
スケール性: たくさんのファイルのあるディレクトリ | 遅い | 速い |
スピード: 最新コードのチェックアウト | 速い | 遅い |
スピード: 大きなコミット | 遅いが、処理の負荷はコミット全体に分散する | 速いが、最終処理はクライアントのタイムアウトにつ ながるかも知れない |
グループパーミッション制御 | umask の問題に敏感; ひとつのユーザによってアクセ スされるのが一番よい。 | umask の問題を回避できる |
コードは枯れているか | 2001 年から使われている | 2004 年から使われている |
Subversion の最初の 設計段階で、開発者はさまざまな理由で Berkeley DB を利用することに決めました。 その理由にはそのオープンソースライセンス、トランザクションのサポート、 信頼性、パフォーマンス、API の公開、スレッドの安全性、カーソルのサポート などが含まれていました。
Berkeley DB は本当のトランザクション機能をサポートしています—おそらく 上であげた理由の中で最も強力な機能です。Subversion リポジトリにアクセスする 複数のプロセスはそれぞれ他のデータを間違って破壊することを心配する必要はありません。 トランザクションシステムによって提供されている分離機能はどんな操作においても Subversion リポジトリのコードにデータベースを静的に見せることができるように するものです—他のプロセスによってときどき変更を受けているように見えるのを 防ぐものです— そしてそのような静的な見え方に基づいて、何を実行するか を決めることができるのです。もしその決定が他のプロセスがやったことと衝突 した場合、操作全体は、それがまったく実行されなかったかのようにロールバック され、Subversion はもう一度、新しく更新された(そしてやはりまた静的に見える ような状態での)データベースに対してその処理を再実行することができます。
Berkeley DB のほかのすばらしい機能はホットバックアップ — 「オフライン」にせずにデータベース環境をバックアップできる 能力です。リポジトリのバックアップ方法についてはリポジトリのバックアップ項で議論しますが、オフラインに せずにリポジトリの完全なコピーをとることができる利点は明白でしょう。
Berkeley DB はまた非常に信頼性の高いデータベースシステムです。Subversion は Berkeley DB のログ機能を利用しますが、これはまず最初にこれからやろうと する操作内容をいったんディスク上のログファイルに書き込み、それからその 修正を実際に行うものです。これは何かまずいことが起きた場合にデータベースシステム が直前のチェックポイント— ログファイル中の最後の 問題のない地点— をバックアップすることと、データが利用可能な 状態に復元されるまでトランザクションを再実行することを保証するものです。 Berkeley DB ログファイルについての詳細はディスク領域の管理項を 見てください。
しかしどんなバラにもトゲがあるわけであり、Berkeley DB についてわかっている 制約を記しておく必要があります。まず Berkeley DB 環境は可搬性がありません。 Unix システムで作った Subversion リポジトリをWindowsシステムに単にコピー して動作することを期待してはいけません。ほとんどの Berkeley DB データベース 形式はプラットフォーム独立ですが、環境中にはそうではない部分もあります。 次にSubversion では Berkeley DB を Windows 95/98 システム上で利用できません — ウィンドウズマシン上でリポジトリを管理しなくてはならない のであれば Windows 2000 か Windows XP 上に構築してください。また Berkeley DB リポジトリをネットワーク共有上には決して置かないでください。Berkeley DB は 仕様の一部に合致するようなネットワーク共有上での正しい動作を保証していますが、 現在実際に利用されているネットワーク共有方式で、そのすべての仕様を満たすよう なものは知られていません。
最後に、Berkeley DB は Subversion に直接リンクされたライブラリな
ので典型的なリレーショナルデータベースよりも割り込みに関して敏感です。
例えばほとんどの SQL システムでは、テーブルに対するアクセス全体を取り持つサー
バプロセスがあります。何かの理由でデータベースにアクセスするプログラム
に異常があった場合でもデータベースデーモンは接続が中断したことを検知し
て問題のある中間的な状態をきれいにします。またデータベースデーモンはテー
ブルにアクセスする唯一のプロセスなのでアプリケーションはパーミッション
の衝突に関して心配する必要はありません。このような性質は Berkeley DB
にはありません。Subversion (と Subversion ライブラリを使うプログラム)
はデータベーステーブルに直接アクセスしますが、これはプログラムで異常が
あると、データベースが中間的な矛盾のある状態、アクセスできない状態のま
ま残ってしまうことを意味します。このようなことがおこると、管理者は
Berkeley DB に問い合わせてチェックポイントを回復する必要がありますが、
これは少し面倒な作業です。リポジトリが 「中途半端な」状態に
なるのはプログラムの異常のほかにも、データベースファイルに対して与えら
れたオーナーやパーミッションに関係することもあります。このように、
Berkeley DB は非常に速くスケール性にも富んでいますが、一つのサーバプロ
セスを一つのユーザで実行する—たとえば Apache's
httpd や svnserve (章 6. サーバの設定 を見てください。)— のが最善の利用
方法であり、file:///
や
svn+ssh://
のような URL を使ってたくさん
の異なるユーザがアクセスするのは避けたほうがよいでしょう。複数ユーザか
ら直接 Berkeley DB をアクセスする場合には、かならず複数リポジトリアクセス方法のサポート項を読むようにしてください。
2004年の半ばから、第二のリポジトリ保存形式が使えるようになりまし た: これはデータベースをまったく利用しないものです。FSFS リポジトリは リビジョンツリーを単一のファイルに保存し、すべてのリポジトリリビジョン は単一のサブディレクトリの下の複数ファイルになります。トランザクション は分離されたサブディレクトリに作られます。トランザクションが完了すると 単一のトランザクションファイルが作られ、それがリビジョンディレクトリに 移動されます。このためコミットの不分割性が保証されます。そして、リビジョ ンファイルは永続的なものであり、それ以上変更されないのでリポジトリは Berkeley DB リポジトリのように「ホット」バックアップするこ とができます。
リビジョンファイルの形式は、そのリビジョンのディレクトリ構造、ファ イル内容、そして他のリビジョンツリーのファイルに対する差分を表現したも のです。Berkeley DB データベースとは違いこの保存形式は異なるオペレーティ ングシステム間でもそのまま利用することができ、CPU のアーキテクチャには 依存しません。ジャーナリングのしくみや共有メモリーを使っていないので、 リポジトリはネットワークファイルシステムごしに安全にアクセスすることが でき、リードオンリーな環境を作ることもできます。またデータベース保存形式特 有のオーバーヘッドがないので、リポジトリの大きさは比較的小さくなります。
FSFS はパフォーマンスの特性にも独自の性質があります。非常にたく さんのファイルのあるディレクトリをコミットすると、FSFS は O(N) アルゴ リズムを使ってエントリーを追加しますが、Berkeley DB は O(N^2) のアルゴ リズムを使ってディレクトリ全体を書き換えます。いっぽう FSFS は以前の バージョンと、今回の最新バージョンのファイルの差分を書き込みます。 これは最新ツリーをチェックアウトする場合 Berkeley DB の HEAD リビジョンに保管されている完全な内容にアクセスするよりも少し遅くなる ことを意味しています。FSFS はコミットの最終処理でも相対的に長い遅延が 起こりますが、これは極端な場合には応答を待つ クライアントプログラムをタイムアウトさせてしまうかも知れません。
しかし一番大きな違いは FSFS では何かおかしなことが起こったときで も、「中途半端な」状態にはならないところです。Berkeley DB データベースを使ったプロセスがパーミッションの問題や突然異常終了したよ うな場合だと、データベースは管理者が復帰処理をしない限り利用できない状態に とどまります。もし同じことが FSFS リポジトリに起きても、リポジトリはまっ たく影響を受けません。せいぜいトランザクションデータが見えない場所に取 り残されてしまうだけです。
FSFS に対する唯一の問題は Berkeley DB に比較してそれほど枯れてい ないところです。 Berkeley DBほどの耐久性テストはされていないので、スピー ドとスケール性についてここで述べた多くの内容は: 妥当な推測に基づくもの です。理屈の上では FSFS は新しい管理者がとりかかる時の敷居を下げて、問 題の影響を受けにくくするはずです。実際にどうかは、いずれ時が答えてくれ るでしょう。
Subversionリポジトリの作成は非常に簡単な作業です。 Subversion付属のsvnadmin ユーティリティー にそれをやるサブコマンドがあります。新しいリポジトリを作るには 単に:
$ svnadmin create /path/to/repos
これで/path/to/repos
ディレクトリに
新しいリポジトリが作成されます。この新しいリポジトリはリビジョン0
で誕生しますが、これは最上位のルート(/
) ファイル
システムディレクトリに中身が空の状態で存在しているだけです。
初期状態でリビジョン0はリビジョン属性を一つ持っていて、
svn:date
は、リポジトリが作られた時刻が設定
されています。
Subversion 1.2 では、リポジトリはデフォルトで FSFS のバッ
クエンドになります。(リポジトリの保存形式項
を見てください)。バックエンドは--fs-type
の引数で
明示的に指定することができます:
$ svnadmin create --fs-type fsfs /path/to/repos $ svnadmin create --fs-type bdb /path/to/other/repos
ネットワーク上で共有された Berkeley DB リポジトリを作らないで ください—NFS, AFS あるいは Windows の SMB のようなリモートファイルシステム 上にリポジトリを置くことはできません。Berkeley DB は利用する ファイルシステムが POSIX のロックの方式に厳密に従っていること、そしてさらに 重要なことは、ファイルをプロセスメモリに直接マップできること、を要求します。 ネットワークファイルシステムでこの性質を持っているものはほとんどありません。 ネットワーク上で共有された場所の上で Berkeley DB を利用した結果については予測できません— すぐに正体不明のエラーが起きるかも知れませんし、自分のデータベースがわずかに 壊れてしまったことに気づくのに何ヶ月もかかるかも知れません。
もしリポジトリに対して複数のコンピュータがアクセスする必要がある なら、ネットワーク共有上に Berkeley DB リポジトリではなく、FSFS リポジ トリを作ってください。あるいはもっと良い方法として、実際の(Apache か svnserveのような)サーバプロセ スを設定し、サーバがアクセスできるようなローカルファイルシステム上にリ ポジトリを格納し、リポジトリがネットワークからも利用できるようにしてく ださい。章 6. サーバの設定でこのやり方の詳細を説明しています。
svnadmin の引数であるパスは単なるファイルシステム
パスであってsvn クライアントプログラムがリポジトリ
を参照するときのようなURLではないことに注意してください。
svnadmin も svnlook も、
サーバ側のユーティリティーだと考えてください—
この二つはリポジトリを調べたり状態を変更するため、リポジトリがある
マシン上で利用され、ネットワーク越しに実行することはできません。
Subversion初心者によくある間違いは、二つのプログラムに、URLを
渡してしまうことです。(あるいは、「local」なURLとして
file:
のように指定してしまうことです。)
svnadmin createコマンド実行後には、ディレクトリ にはピカピカの新しいSubversionリポジトリができます。サブディレクトリ には実際には何ができたかをちょっと見てみましょう。
$ ls repos conf/ dav/ db/ format hooks/ locks/ README.txt
README.txt
ファイルと format
ファイル以外は、リポジトリディレクトリは
サブディレクトリの集まりです。Subversionの一般的な設計思想と同様
モジュール化に非常に配慮されています。階層化した編成は混沌とした
状態よりも望ましいものです。新しいリポジトリディレクトリについて
簡単に説明しておきます:
リポジトリ設定ファイルのあるディレクトリです。
Apacheと、内部データ管理用 mod_dav_svn の ためのディレクトリです。
すべてのバージョン化されたデータが可能されています。こ のディレクトリは Berkeley DB 環境 (DB テーブルとその他必要な全体)か、 リビジョンファイルを含む FSFS 環境になります。
一つの整数値が書いてあるファイルで、この整数はリポジトリレイアウトの バージョン番号になります。
フックスクリプトテンプレート全体が格納されたディレクトリです (また、インストールされたフックスクリプト自身も)。
Subversionリポジトリのロックされたデータのためのディレクトリで リポジトリにアクセスしている人を記録するのに使われます。
Subversionリポジトリを見る人のための情報が書かれている だけのファイルです。
一般的に、「手で」リポジトリをいじるべきではありません。 svnadmin ツールはリポジトリに対するどのような 変更にも十分対応できますし、サードパーティーのツール(たとえば Berkeley DBツールスイート)でリポジトリの関連した部分を調整する ことができます。いくつかの例外もあるので、それについては後で触れます。
hook は、新しいリビジョンの生成やバージョン化されて いない属性の修正といったリポジトリに対するイベントをきっかけに実行される プログラムです。フックのそれぞれは、どんなイベントが起こったか、 何を対象にして操作をしたのか、そのイベントを起こした人のユーザ名 などの情報を扱うことができます。フックの出力や戻り値によって フックプログラムは処理を続けたり終了したり、いくつかの方法で中断したりします。
hooks
サブディレクトリには、デフォルトでは
さまざまなリポジトリフックのテンプレートがあります。
$ ls repos/hooks/ post-commit.tmpl post-unlock.tmpl pre-revprop-change.tmpl post-lock.tmpl pre-commit.tmpl pre-unlock.tmpl post-revprop-change.tmpl pre-lock.tmpl start-commit.tmpl
Subversionが実装しているフックごとに一つのテンプレートがあり、
テンプレートスクリプトの内容を見ればどんなトリガーを実行し、
どんなデータがそのスクリプトに渡されるかがわかります。
またこれらたくさんのテンプレートはスクリプトを書こうとする人の例
になっていて、他のSubversion付属のプログラムと協調して、よく出くわす
作業を実行します。
動作するフックをインストールするには、何かの実行ファイルかスクリプト
をrepos/hooks
ディレクトリに置くだけで良く、
そのフックの名前で実行されます。(start-commit とか
post-commitとかいう感じです。)
Unixでは、これは正確にフックの名前を持つスクリプトやプログラムを
置いてやる必要があるという意味です(シェルスクリプトでもいいし、
Python, コンパイルされた Cのプログラム、などなどです。)
もちろんテンプレートファイルはそういう情報を与えるためだけに
あるわけではありません—Unixで一番簡単にフックをインストール
するにはテンプレートファイルを.tmpl
の拡張子を
とった新しいファイルにコピーして、内容をカスタマイズし、スクリプトに
実行権限を与えるだけです。Windowsでは、ファイルが実行できるかどうか
は拡張子によって決まるので、ベース名がフックの名前で、拡張子がWindows
で実行形式として認識される拡張子のどれかにしてやればOKです。
たとえば、プログラムなら.exe
か .com
ですし、バッチファイルなら.bat
です。
セキュリティー上の理由で、Subversion リポジトリはフックスクリプト
を空の環境で実行します— つまり$PATH
や
%PATH%
を含め、環境変数は全く設定されない
状態で実行します。このため多くの管理者は手でフックスクリプトを実行
するとうまくいくのに、Subversion によって実行されたときにはうまくいかな
いことに困惑します。環境変数を明示的に設定するか、実行するプログラム
を絶対パスで参照していることを確認してください。
Subversionリポジトリには9種類のフックが実装されています:
start-commit
これは、コミットトランザクションが作られる前に実行されます。 典型的にはユーザがコミット権限があるかどうかを決定するのに 使われます。リポジトリはこのプログラムに二つの引数を渡します: リポジトリへのパスと、コミットしようとしているユーザ名です。 もしプログラムがゼロ以外の値を返した場合、コミットは ランザクションが作られる前に中止します。フックが標準エラー出力にデータ を書き込むと、それは適切なデータ形式でクライアントに戻されます。
pre-commit
これは、トランザクションの完結後、実際のコミットの前に実行 されます。典型的には、コミットの内容や場所(たとえば あなたのサイトでは、すべてのコミットはバグトラッカーの管理番号 を含むようなブランチに対してしなくてはならないとか、 ログメッセージが空であってはいけないというようなポリシーが あるかも知れません) によってコミットを許可しないようにするために使われます。 リポジトリはこのプログラムに二つの引数を渡します: リポジトリのパスと、コミットされるはずのトランザクションの名前 です。もしこのプログラムがゼロ以外の値を返した場合、 コミットは中断され、トランザクションは削除されます。 フックが標準エラー出力にデータ を書き込むと、それは適切なデータ形式でクライアントに戻されます。
Subversionの配布パッケージは、アクセス制御を細かく実装するために
pre-commitから呼び出すことのできるいくつかの
アクセス制御スクリプトを含んでいます(Subversionソースツリーの
tools/hook-scripts
ディレクトリにあります)。
他の選択子はApache の httpd モジュールであるmod_authz_svn
を使うもので、個別のディレクトリに対する読みこみ書き込みのアクセス制御
をすることができます(ディレクトリごとのアクセス制御項を見てください)。
Subversion の今後のバージョンでは、ファイルシステムに直接アクセス制御リス
ト(ACL)を実装する計画があります。
post-commit
これはトランザクションがコミットされ、新しいリビジョンが 作られた後に実行されます。ほとんどの人はこのフックを リポジトリのコミットやバックアップに関する連絡メールを 送るのに使います。リポジトリはこのプログラムに二つの引数を 渡します:リポジトリのパスと、今回作られた新しいリビジョン番号 です。このプログラムの終了コードは無視されます。
Subversion配布パッケージはmailer.pyと
commit-email.pl
スクリプトを含んでいます。(Subversionソースツリーの
tools/hook-scripts/
ディレクトリにあります)
それは、今回のコミットに付けられた説明をメールするために使う
ことができます。このメールの内容は変更されたパスの一覧、コミットに
付けたログメッセージ、コミットした人、コミットの時刻、そして、
コミットの変更部分のGNU のdiffスタイルでの表示です。
Subversionが提供するほかの役に立つツールはhot-backup.py
スクリプトです。(Subversionソースツリーのtools/backup/
ディレクトリにあります)。このスクリプトはSubversionリポジトリの
オンラインバックアップをとるので、(今後はBerkeleyDBデータベース
のバックエンドとしてサポートする予定です)リポジトリのアーカイブ化
や緊急リカバリのためのコミットごとのスナップショットを作るのに
使うことができます。
pre-revprop-change
Subversionのリビジョン属性はバージョン化されていないので、そのような
属性に対する修正は(たとえば、コミットメッセージ属性である
svn:log
)以前の属性値を永久に上書きしてしまいます。
データはここで失われてしまうので、Subversionはこのフック(そして
この相補的な部分である post-revprop-change
)
を使って、必要に応じてリポジトリ管理者がこのような変更記録を残すことが
出来ます。バージョン化されていない属性データを失うことに対するあらかじめ
の警告の意味で、Subversion クライアントはこのフックが自分のリポジトリに
実装されているのではない限りリビジョン属性をリモートに変更することは
決してありません。
このフックはリポジトリにそのような変更が発生する直前に実行されます。 リポジトリはこのフックに四つの引数を与えます: リポジトリのパス、修正される属性があるリビジョン、 変更しようとしている、認証の済んだユーザ名、そして属性の名前自身です。
post-revprop-change
以前に指摘したように、このフックはpre-revprop-change
フックのもう片割れです。実際、神経質な人のことを考えて、このスクリプト
はpre-revprop-change
フックが存在しなければ
実行されません。両方のフックが存在する場合、
post-revprop-change
フックはリビジョン属性が変更
された直後に実行されます。典型的には、変更された属性の新しい値を
メールするのに使います。リポジトリは四つの引数をこのフックに渡します:
リポジトリへのパス、属性があるリビジョン番号、変更しようと
している認証済みのユーザ名称、そして属性の名前自身です。
Subversion配布パッケージは
propchange-email.pl
スクリプトを含んでいます。(これは、tools/hook-scripts/
ディレクトリにあります)これは、リビジョン属性の変更についての詳細を
メールするために使われます。Emailはリビジョンと変更属性の名前、
変更した人、そして新しい属性値です。
pre-lock
このフックは誰かがファイルをロックしようとしたときには常に実行されます。 これはロックを防ぐのにも利用するこどかできますし、誰が特定のパスに対して ロックできるかという複雑なポリシーを正確に設定するのにも使えます。 フックが既にロックがかかっていることに気づいた場合にはユーザはそのロック が外れるのを 「待つ」 かどうかを決めることもできます。リポジトリはフックに 三つの引数を渡します: リポジトリへのパス、ロックされているパス、そして ロックしようとしているユーザです。プログラムが 0 ではない値で終了すると ロック処理は異常終了し、標準エラー出力へのメッセージはすべてクライアント 側に転送されます。
post-lock
このロックはパスがロックされた後に実行されます。ロックされたパスはフックの 標準入力に渡されるほか、フックはまた二つの引数も受け取ります: リポジトリ へのパスと、ロックを実行したユーザです。その後フックは email 通知を送ったり 好きな方法で出来事を記録したりすることが自由にできます。ロックはすでに 実行されてしまっているのでフックの出力は無視されます。
pre-unlock
このフックは誰かがファイルのロックを取り除こうとした時には常に 実行されます。これを使ってどのユーザがどの特定のパスに対して ロック解除できるかを決めるポリシーを作るために利用できます。 ロック解除に関するポシリーを決めることは非常に重要です。 ユーザ A がファイルをロックした場合、B はそのロックを解除できる でしょうか? ロックが一週間以上も前のものだった場合は? これらの ことはフックによって決定され、強制することができます。リポジトリ は三つの引数をフックに送ります: リポジトリのパス、ロック解除される パス、ロックを解除しようとしているユーザ。プログラムが 0 以外の 終了値を返した場合、ロック解除の処理は異常終了し標準エラーへの 出力はすべてクライアント側に転送されます。
post-unlock
このフックはパスがロック解除された後で実行されます。ロックが解除 されたパスはフックの標準入力に渡され、その他にも二つの引数がフック に渡されます: リポジトリのパスと、ロックを解除したユーザです。 その後フックは email 通知を送ったり、好きな方法で出来事を記録する ことができます。ロックの解除は既に起こってしまっているのでフックの 出力は無視されます。
フックスクリプトによってトランザクションを修正しようとしないで
ください。このような例としてよくあるのは、コミットの途中に
svn:eol-style
や svn:mime-type
のような属性を自動的に設定してしまうことです。いっけん良いアイディア
に見えますが、問題を起こします。一番の問題はクライアントはフックスクリ
プトでされた変更について知ることができないので、クライアントに対して
最新ではなくなったことを伝える方法がないことです。この矛盾した状況
が予測できないような動作の原因になることがあります。
トランザクションで修正するかわりにpre-commit
フック中のトランザクションで チェックをし、
正しい要件を満たさない場合にはコミットを拒否するのがずっと良い
方法です。
SubversionはSubversionリポジトリにアクセスしているプロセス の所有者としてフックを実行しようとします。ほとんどの場合 リポジトリはApache HTTPサーバとmod_dav_svn越しにアクセスされる ので、このユーザはApacheを実行しているユーザと同じになります。 フックは、実行しようとするユーザに対するOSレベルでの実行権限 が必要です。また、これはフックが直接的に、間接的にアクセスする ファイルやディレクトリ(これにはSubversionのリポジトリ自身も 含みますが)もそうでなくてはならないことを意味します。 言い換えるとフックを実行する際に、このようなファイル権限に 関係した問題に注意してください。
Bkerlekey DB 環境は一つあるいはそれ以上のデータベース、ログファイル、 領域ファイル、設定ファイルを一つにまとめたものです。 Berkeley DB 環境には、一度にいくつのロックが許されるか、 とか、ジャーナルログファイルの一つの大きさについて、固有のデフォルト 値があります。Subversionのファイルシステムコードはこれに追加して Berkeley DB 設定値のデフォルト値を選んであります。しかし、 ときどき特定のリポジトリが特徴的なデータやアクセスパターンを 持っているために別のオプション設定値を持つのが望ましいことがあります。
Sleepycat 系のプログラム(Berkeley DBの手続き)は異なるデータベース
が異なる要求を持つことを理解していて、Berkeley DB環境のいろいろな
設定値を実行時に上書きするような仕組みがあります。Berkeley は
それぞれの環境ディレクトリ中のDB_CONFIG
という名前のファイルの存在をチェックして、特別の Berkeley 環境
を使う場合には、その中のオプションを調べます。
あなたのリポジトリ用のBerkeley設定ファイルは
repos/db/DB_CONFIG
の中の、
db
環境ディレクトリにあります。
Subversion自身はこのファイルをリポジトリの残りの部分を作るときに
作ります。ファイルは初期状態でいくつかのデフォルト値と、Berkeley
DB のオンラインドキュメントへの場所があるので、どのオプションが
何をするかについて読んでおくことができます。もちろんどのような
Berkeley DBオプションもDB_CONFIG
に追加
することができます。Subversionはこのファイルの内容を読んだり
解釈したりすることはありませんし、その中にオプション値を設定
したりすることもありませんが、Subversionの残りのコードに
予測できないような影響を与える設定変更は避けてください。
同様にDB_CONFIG
に対する変更はデータベース
環境を復旧するまで効果を持ちません(svnadmin recover
)。
Subversion リポジトリの管理はぞっとするような仕事になること もあります。大部分はデータベースバックエンドのもつシステムから引き継い だ複雑さによります。作業をうまくこなすには、とにかくツールについて深く理解する ことです—そのようなツールがいったい何であり、いつ使えば、またど うやって使えばよいのかを知ることです。この節ではSubversionによって提供 されるリポジトリ管理用ツールを紹介し、リポジトリの移行、更新、バックアッ プ、クリーンアップのような作業でどうやって使いこなせばよいかを説明しま す。
Subversion はリポジトリの作成、調査、修正、修復に便利なユー ティリティーをいくつも提供しています。それぞれについてもっと詳し く見てみましょう。その後 Berkeley DB のディストリビューションに含 まれるユーティリティーのいくつかを簡単にためしてみます。 Berkeley DB は Subversion 自身のツールとしては提供していないリポ ジトリデータベースバックエンドに特化した機能を提供しています。
svnlookはSubversionが提供するツールで リポジトリ中のいろいろなリビジョンやトランザクションを調査 するのに使われます。このプログラムのどの部分もリポジトリを 変更することはありません—これは単なる「読み出し専用 」のツールです。 svnlookは典型的には、まさにコミットされようとして いる変更を報告したり(pre-commit フック)、 コミット直後の報告(post-commitフック)のために リポジトリフックによって使われます。リポジトリ管理者は診断のために このツールを使うこともできます。
svnlook は単純な構文です:
$ svnlook help general usage: svnlook SUBCOMMAND REPOS_PATH [ARGS & OPTIONS ...] Note: any subcommand which takes the '--revision' and '--transaction' options will, if invoked without one of those options, act on the repository's youngest revision. Type "svnlook help <subcommand>" for help on a specific subcommand. …
ほとんどのsvnlookのサブコマンドは
リビジョンかトランザクションツリーのどちらかに対して働き、
ツリー自身の情報か、以前のリポジトリのリビジョンとの違いを
表示します。--revision
と
--transaction
オプションを使ってどの
リビジョンまたはトランザクションについて調査するかを指定する
ことができます。リビジョン番号は自然数として表示されますが、
トランザクション名称は英数字の文字列だということに注意してください。
ファイルシステムはコミットされていないトランザクションのみを表示
できることを憶えておいてください(新しいリビジョンを作れなかった
トランザクション)。ほとんどのリポジトリにはそのようなトランザクション
はありません。トランザクションは普通、コミットされる(そうすると
見えなくなります)か、中断後、削除されるからです。
--revision
も
--transaction
も指定しないと、
svnlook は最新の(あるいは「HEAD」)
リビジョンをリポジトリの調査対象とします。それで、以下の二つの
コマンドは/path/to/repos
にあるリポジトリで
19が最新リビジョンである場合はまったく同じ意味になります:
$ svnlook info /path/to/repos $ svnlook info /path/to/repos --revision 19
サブコマンドに関する唯一の例外はsvnlook youngest
で、これはオプションをとらず、単に、HEAD
リビジョンの番号を表示します。
$ svnlook youngest /path/to/repos 19
svnlook の出力は人間にも
マシンにも理解できるように設計されています。
info
サブコマンドを例にします:
$ svnlook info /path/to/repos sally 2002-11-04 09:29:13 -0600 (Mon, 04 Nov 2002) 27 Added the usual Greek tree.
info
サブコマンドの
出力は、以下のように定義されています:
作業者、改行
日付、改行
ログメッセージの長さ、改行
ログメッセージ自身、改行
この出力は人間が読むことができます。日付のタイムスタンプ などは、何かバイナリ表現のようなものではなく、テキスト形式になっています。 しかし、これはまたマシンも解析できる形式のものです— ログメッセージは複数行にわたることができ、長さの制限がないので、 svnlook はメッセージ自身の前にその長さを 表示します。これで、このコマンドのスクリプトやほかのラッパープログラムは 賢い判断ができるようになります。たとえば、メッセージにどれだけの メモリを割り当てれば良いか、とか、イベント中で少なくとも何バイト スキップしてもデータストリームの終わりにならないか、などを知ることが できます。
よくある別の svnlook の使い方はリビジョンまたは
トランザクションツリーの実際の内容を見ることです。
svnlook tree コマンドは要求されたツリー中の
ディレクトリとファイルを表示します。--show-ids
オプション
を指定するとそれらのパスごとのファイルシステムノードリビジョン ID も
表示します(そのようなパスは一般的に言ってユーザよりも開発者に有用なもの
でしょう)。
$ svnlook tree /path/to/repos --show-ids / <0.0.1> A/ <2.0.1> B/ <4.0.1> lambda <5.0.1> E/ <6.0.1> alpha <7.0.1> beta <8.0.1> F/ <9.0.1> mu <3.0.1> C/ <a.0.1> D/ <b.0.1> gamma <c.0.1> G/ <d.0.1> pi <e.0.1> rho <f.0.1> tau <g.0.1> H/ <h.0.1> chi <i.0.1> omega <k.0.1> psi <j.0.1> iota <1.0.1>
ツリー中のディレクトリのファイルの構成が理解できればsvnlook cat, svnlook propget, そして svnlook proplistのようなコマンドを 使ってそれらのファイルやディレクトリについてのより詳細な情報を 取得することができます。
svnlook は他にもいろいろな問い合わせをしたり、 いままで説明した情報の一部を表示したり、指定したリビジョンや トランザクションのどのパスが修正されたかを報告したり、ファイルや ディレクトリに対するテキストや属性の相違点を表示したり、などなど ができます。以下はsvnlookが理解できる現時点 でのサブコマンドの簡単な説明の一覧と、その出力です:
author
そのツリーの実行者です
cat
ツリーの特定のファイルの内容を表示します。
changed
ツリー中で変更のあったファイルとディレクトリの一覧
date
ツリーのタイムスタンプです
diff
変更されたファイルの unified diffの表示
dirs-changed
ツリー自身に変更があるか、その子供のファイルに変更が あったディレクトリの一覧表示
history
バージョン化されたパスの履歴中での、興味深い場所の表示 (どこで変更やコピーが起きたかを示します)。
info
ツリーの変更者、タイムスタンプ、ログメッセージ文字数、そして ログメッセージの表示
lock
パスがロックされている場合にロックの属性を表示します。
log
ツリーのログメッセージの表示
propget
ツリー中のパスに設定された属性値を表示します。
proplist
ツリー中のパスに対して設定された属性の名前と値を表示します。
tree
ツリーの一覧表示をします。オプションでそれぞれのパスに 結びついたファイルシステムノードリビジョンのIDを 表示します。
uuid
リポジトリの UUID — つまり Universal Unique IDentifier(普遍的に一意な識別子) を表示します。
youngest
最新のリビジョン番号を表示します。
svnadmin プログラムはリポジトリ管理者によって 一番よく利用されます。Subversionリポジトリを作成することのほか このプログラムはリポジトリに対してさまざまな保守操作をします。 svnadmin の構文は、svnlook のものとよく似ています:
$ svnadmin help general usage: svnadmin SUBCOMMAND REPOS_PATH [ARGS & OPTIONS ...] Type "svnadmin help <subcommand>" for help on a specific subcommand. Available subcommands: create deltify dump help (?, h) …
既にsvnadminのcreate
サブコマンドを見てきました(リポジトリの作成と設定項参照)。
他のサブコマンドのほとんどをこの章の後のほうで説明します。いまは
利用可能なサブコマンドの全体を軽く見ておきます。
create
Subversionリポジトリを新規に作成します。
deltify
リビジョン範囲を指定して実行すると、それらの
リビジョンで変更されたパス上で祖先の差分を計算します。リビジョンが指定
されなければこのコマンドは単に HEAD
リビジョンの差分を計算します。
dump
指定範囲のリビジョンのリポジトリの内容をダンプ します。ポータブルダンプ形式で出力します。
hotcopy
リポジトリのホットコピーをとります。いつでも実行することが でき、他のプロセスがリポジトリを利用しているかどうかにかかわらず、安心して リポジトリのコピーをとることができます。
list-dblogs
(Berkeley DB リポジトリの場合のみ)リポジトリに関係したBerkeley DBログファイルのパスを一覧表示します。 このリストはすべてのログファイルを含みます—現在Subversionが利用しているもの、もう 利用していないものも含みます。
list-unused-dblogs
(Berkeley DB リポジトリの場合のみ)リポジトリに関係したBerkeley DBログファイルで、既に利用していない もののパスを一覧表示します。そのようなログファイルはリポジトリレイアウトから 安全に削除することができますが、リポジトリの壊滅からの復旧には必要となる事態にそなえて アーカイブすることもできます。
load
データストリームから、リビジョンの集まりをリポジトリにロードします。
データストリームはdump
サブコマンドで生成されたのと
同じポータブルダンプ形式です:
lslocks
リポジトリに存在するロックを説明つきで一覧表示します。
lstxns
現時点でリポジトリに存在しているコミットされていない Subversionトランザクションの名前を一覧表示します。
recover
必要に応じてリポジトリの回復ステップを実行します。普通は リポジトリとの間の通信をきれいに終了できなかったプロセスによって 起きた致命的なエラーの後で実行します。
rmlocks
一覧されたパスからロックを無条件に取り除きます。
rmtxns
リポジトリからSubversionトランザクションをきれいに削除します。
(lstxns
サブコマンドからの出力をこの
プログラムに入力すると便利です)
setlog
リポジトリ中の指定リビジョンのsvn:log
(コミットログメッセージ)属性の値を新しい値で置き換えます。
verify
リポジトリの内容を確認します。これはリポジトリに格納されたバージョン化された データのチェックサム比較、なども含まれます。
Subversion は非公開のデータベースシステムにすべてのデータを格納 しますが、簡単には手で修正することができないようにするためです。 実際にはそれほど難しいことでもないのですが。そしてデータがリポジトリに いったん格納されてしまうと、Subversion はそのようなデータを削除する ための簡単な機能を提供してはいません。 [15] しかし、時にはどうしてもリポジトリの履歴を操作したいことがあります。 リポジトリに間違って追加してしまったすべてのファイル(あるいはどんな 理由であれとにかくそこにあるべきではないファイル)を削除したいと思う かも知れません。あるいは一つのリポジトリを共有する複数のプロジェクト があって、それぞれを固有のリポジトリに分割することに決めたのかも 知れません。このような作業のためには、管理者はリポジトリ中のデータ のより柔軟に管理可能で柔軟な表現形式が必要です—それは Subversion のリポジトリダンプフォーマットです。
Subversion のリポジトリダンプフォーマットは時間とともにバージョン化 されたデータに加えた変更点に対する可読な形の表現形式です。ダンプ データを生成するにはsvnadmin dumpを使い、 新たらしいリポジトリにそれをロードするにはsvnadmin load を使います(リポジトリの移行項参照)。ダンプ形式が可読な形で あることの大きな利点は、注意して扱えばそれを調べたり修正したりできること です。もちろん、欠点としては、もし二年分のリポジトリ内容が一つの巨大な ダンプファイルに保存されているような場合には特定の場所を見つけて修正 するには非常に、非常に長い時間がかかるであろうことです。
管理者が自由にしたい場合に最もよく利用されるツールというわけでは ありませんが、 svndumpfilterは非常に特殊な 役に立つ機能を提供しています—パスベースのフィルタとして 実行することによってそのダンプデータをすばやく簡単に修正することが できるのです。保存したいと思うパスのリストか、保存したくないパスの リストを単に与えてこのフィルタにリポジトリのダンプデータをパイプで 入力するだけです。結果は、あなたが(明示的、あるいは暗黙に)要求した バージョン化されたパスのみを含むような修正済みダンプデータになります。
svndumpfilter の構文は以下のものです:
$ svndumpfilter help general usage: svndumpfilter SUBCOMMAND [ARGS & OPTIONS ...] Type "svndumpfilter help <subcommand>" for help on a specific subcommand. Available subcommands: exclude include help (?, h)
興味深いサブコマンドは二つだけです。これらのサブコマンドを使って、 ストリーム中で明示的に、あるいは暗黙に取得するパスを選ぶことができます。:
exclude
ダンプデータストリームから特定のパスを排除します。
include
ダンプデータストリームから、指定したパスだけを 出力するようにします。
このプログラムが実際にどのように動作するか例を見てみましょう。 別の場所でリポジトリ中でどのようにレイアウトを選ぶかを決める手順について 議論しました(リポジトリレイアウトの選択項)—プロジェクトごとの リポジトリ、あるいはそれらをまとめたものを使って、リポジトリ中で構成を 変更し、などの手法です。しかし、新しいリポジトリが運用されたあとで、 よくレイアウトを再編成していくつかの修正をしたいということもあります。 一番多いのは一つのリポジトリを共有していた複数のプロジェクトを プロジェクトごとの別々のリポジトリに分離したい、という場合です。
私たちの架空のリポジトリは三つのプロジェクトを含んでいます:
calc
, calendar
, そして
spreadsheet
です。
それらは以下のようなレイアウトになっています:
/ calc/ trunk/ branches/ tags/ calendar/ trunk/ branches/ tags/ spreadsheet/ trunk/ branches/ tags/
これら三つのプロジェクトごとの固有のリポジトリを手に入れるには、 まずリポジトリ全体をダンプします:
$ svnadmin dump /path/to/repos > repos-dumpfile * Dumped revision 0. * Dumped revision 1. * Dumped revision 2. * Dumped revision 3. … $
次に結果のダンプファイルをフィルタに通しますが、各実行時で ただ一つの最上位ディレクトリを含むように指定することで、 三つの新しいダンプファイルを生成することができます:
$ cat repos-dumpfile | svndumpfilter include calc > calc-dumpfile … $ cat repos-dumpfile | svndumpfilter include calendar > cal-dumpfile … $ cat repos-dumpfile | svndumpfilter include spreadsheet > ss-dumpfile … $
この時点で、判断しなくてはなりません。上でできた三つのダンプファイルは
正しいリポジトリですが、元のリポジトリ中にあった通りのパス構成で保存されて
います。これはcalc
プロジェクト単独のリポジトリを
取得したにもかかわらず、リポジトリはあいかわらずcalc
という名前の最上位ディレクトリ名称を持っていることを意味します。
もしtrunk
, tags
,
そして branches
ディレクトリそれぞれをリポジトリ
のルートディレクトリとしたければダンプファイルを編集してNode-path
と
Copyfrom-path
ヘッダがもうこれからは先頭に
calc/
というパス部分を持たないようにしなくてはなりません。
同様にcalc
ディレクトリを作ったダンプデータのセクションを
削除したいでしょう。それは何か以下のような感じになっています:
Node-path: calc Node-action: add Node-kind: dir Content-length: 0
もし最上位ディレクトリを削除するためにダンプファイルを手で編集しようと 考えているなら、利用するエディタが改行文字を自動的にマシン固有の形式に 変換してしまわないことを確認してください(たとえば ¥r¥n を ¥n などに)。 この変換が起きるとダンプファイルの内容はメタデータと一致しなくなり、使 い物にならなくなってしまいます。
この修正後に残ったファイルを使って新しい三つのリポジトリを作成する ことができ、それぞれのダンプファイルを正しいリポジトリにロード することができます:
$ svnadmin create calc; svnadmin load calc < calc-dumpfile <<< Started new transaction, based on original revision 1 * adding path : Makefile ... done. * adding path : button.c ... done. … $ svnadmin create calendar; svnadmin load calendar < cal-dumpfile <<< Started new transaction, based on original revision 1 * adding path : Makefile ... done. * adding path : cal.c ... done. … $ svnadmin create spreadsheet; svnadmin load spreadsheet < ss-dumpfile <<< Started new transaction, based on original revision 1 * adding path : Makefile ... done. * adding path : ss.c ... done. … $
svndumpfilterの両方のサブコマンドとも 「空の」リビジョンをどのように扱うかを決めることが できます。パスの変更のみを含んでいるようなリビジョンを除外 すれば、空のリビジョンは興味がないか、不要なものであると 考えることができます。svndumpfilterは 以下のコマンドラインオプションを用意しています:
--drop-empty-revs
空のリビジョンを生成しません— 単に無視します。
--renumber-revs
空のリビジョンが削除された場合に(--drop-empty-revs
を
利用することによって)、残っているリビジョンのリビジョン番号を変更して
リビジョン番号が飛ばないようにします。
--preserve-revprops
空のリビジョンが削除されない場合に、それら空のリビジョンに関する リビジョン属性(ログメッセージ、変更者、日付、カスタム属性、など)を 保存します。そうでなければ、空のリビジョンは元のタイムスタンプと、 このリビジョンはsvndumpfilterによって空にされた ということを示す自動生成されたログメッセージのみを含むことになります。
svndumpfilter は非常に便利で、作業を省力化して
くれますが、残念なことにいろいろな問題もあります。まずこのユーティリティー
はパスの構文に極端に敏感です。ダンプファイル中のパスが先頭にスラッシュ
を含んでいるかどうかに注意してください。Node-path
と
Copyfrom-path
ヘッダを確認する必要がある
かも知れません。
… Node-path: spreadsheet/Makefile …
パスの先頭にスラッシュがある場合、svndumpfilter include と svndumpfilter excludeに渡す パスの先頭にスラッシュを含める必要があります(そして、逆にスラッシュが ないなら含めてはいけません)。さらにダンプファイルの先頭のス ラッシュが何かの理由で矛盾している場合には [16] おそらく、すべてをスラッシュ付きにするか、その逆にするような正規化を パスに対して施す必要があります。
また、コピーされたパスは問題を起こすかも知れません。Subversionは リポジトリ中のコピー操作をサポートしていて、ここでは新しいパスは 既に存在するパスからコピーすることによって作成されます。リポジトリの 生存中のどこかでファイルあるいはディレクトリをsvndumpfilter が排除するようなどこかの場所からコピーし、svndumpfilter が含めるような場所にコピーしたかも知れません。ダンプデータに自己一貫性を 保証するためsvndumpfilterは新しいパス— コピーによって作られた任意のファイルの内容を含むような— を表示 する必要がありますが、それはダンプデータストリームから排除された 存在しないようなソースからのコピーの追加としては表示されません。 しかし Subversion のリポジトリダンプ形式はそれぞれのリビジョンで何が変更 されたかを示すだけなので、コピー元の内容は利用不可能です。もし リポジトリ中でこのようなコピーがある可能性がある場合にはもう一度 svndumpfilterに含めるパスと排除するパスを 再考する必要があるかも知れません。
Berkeley DB リポジトリを使っている場合は、バージョン化されたファイルシ
ステム構造とデータ全体はリポジトリの db
サブディレクトリにあるいくつかのデータベーステーブルに保存されています。
このサブディレクトリは通常の Berkeley DB 環境ディレクトリで、どのよう
な Berkeley データベースツールとも組み合わせて使うことができます(これ
らのツールに関するドキュメントはSleepyCat のウェブサイトhttp://www.sleepycat.com/にあります)。
通常のSubversion の利用ではこれらのツールは不要です。Subversion リポジトリ に必要なほとんどの機能はsvnadminを使って実行する ことができます。たとえばsvnadmin list-unused-dblogsと svnadmin list-dblogsは Berkeley の db_archiveで提供されている機能のサブセットであり、 svnadmin recoverは db_recover ユーティリティーの普通の状況での利用の仕方を反映したコマンドです。
それでもいくつかの Berkeley DB ユーティリティーは知っていると便利です。 db_dump と db_load プログラムはBerkeley DB データベース のキーと値を表現するカスタム形式ファイルの読み書きを実行します。 Berkeley データベースはマシンアーキテクチャをまたいだ互換性 があるので、この形式はアーキテクチャやOSの違いを意識せずに データベースマシン間で転送するのに便利な方法です。また、 db_statユーティリティーは Berkeley DB 環境の 状態についての有用な情報を表示します。これにはサブシステムの ロックやデータ保存についての詳細統計情報が含まれます。
Subversionリポジトリは一般的にいったん設定してしまえばほとんど 注意を払う必要はありません。しかし、管理者による、いくつかの 補助が必要かも知れません。svnadmin ユーティリティー には以下のような作業を助けるための機能があります。それは
コミットログメッセージの修正。
死んだトランザクションの削除。
「固まってしまった」 リポジトリの復旧。
リポジトリの内容を別のリポジトリに移すこと。
svnadminのサブコマンドで一番よく使われるのは
多分 setlog
です。トランザクションがリポジトリに
コミットし、リビジョンを表示したとき、新しいリビジョンに関連した
ログメッセージは、そのリビジョン自体のバージョン化されない属性として
格納されます。言い換えると、リポジトリはその属性の最後の値だけを
記憶していて、以前のものは捨ててしまいます。
ときどきユーザはログメッセージに間違いを見つけます(スペルミスや
間違った情報など)。もしリポジトリが(
pre-revprop-change
と
post-revprop-change
フックを使って。
フックスクリプト項参照)
コミット完了後このログメッセージの変更を受け付けるとすると
ユーザは、svn プログラムの
propset
コマンドを使ってログメッセージを
ネットワーク越しに「修正」 することができます。
(章 9. Subversion リファレンス参照)
しかし、情報が永久に失われてしまうことを防ぐため、Subversion
リポジトリはデフォルトではそれをさせません。デフォルトは、
バージョン化されない属性は、管理者のみが変更することが
できます。
もしログメッセージを管理者が変更する必要がある場合、
svnadmin setlogを使います。このコマンドは
リポジトリの指定したリビジョンのログメッセージ(svn:log
属性
)を、用意したファイルから新しい値を読み出し形で変更します
$ echo "Here is the new, correct log message" > newlog.txt $ svnadmin setlog myrepos newlog.txt -r 388
svnadmin setlog コマンドだけでは、リモートクライアント
としてバージョン化されていない属性を修正する場合と同じ制約を
受けます—つまりpre-
とpost-revprop-change
フックはやはり実行され、この仕組みで変更される修正点は反映されて
しまいます。しかし管理者はこのような保護機能をsvnadmin setlog
コマンドに--bypass-hooks
を指定することで回避できます。
しかしフックを回避すると、属性変更、バージョン化されていない属性変更 を追うためのバックアップシステム、などなどに関係した通知 メール も 回避されてしまうことに注意してください。言い換えると、何を、どのように 修正するかについて、非常に注意して実行してください。
別のよくある svnadmin の使い方は終了していない —多分死んでしまった—Subversionトランザクションに関する リポジトリへの問い合わせです。コミットが失敗したとき、普通 トランザクションはきれいに消去されます。つまりトランザクション はリポジトリから削除され、そのトランザクションに(だけに)関連した データも同様に削除されます。 しかし、しばしばトランザクションの掃除が起こらずに失敗することが あります。これにはいくつかの理由が考えられます: 多分クライアントの 操作がユーザによって乱暴に終了されたか、ネットワークの異常などが 処理の途中で起こった場合です。理由にかかわらず、死んだままの トランザクションが残ることはありえます。ディスクをわずかに食うことを のぞけば、このようなトランザクションは全く無害です。それでも 潔癖な管理者はこのようなトランザクションを削除したいと思うかも 知れません。
svnadminのlstxns
コマンド
を使って、その時点での未完了のトランザクションの名前の一覧表示
することができます。
$ svnadmin lstxns myrepos 19 3a1 a45 $
出力結果のそれぞれの項目はsvnlook
(とその--transaction
オプション)で
使うことができ、誰がトランザクションを作り、それは
いつで、どのような変更がトランザクションに起きたか、を
知ることができます。
—言い換えると、そのトランザクションは削除対象として
安全な候補なのかどうか、ということをです。もしそうなら、
トランザクションの名前をsvnadmin rmtxns
に渡すことができ、そのトランザクションはきれいに削除
されます。rmtxns
サブコマンドは、
lstxns
の出力をそのまま入力として
とることもできます!
$ svnadmin rmtxns myrepos `svnadmin lstxns myrepos` $
このような二つのサブコマンドを使う場合、リポジトリを一時的に クライアントからアクセスできなくする必要があります。 これで誰もあなたがクリーンアップを始める前に正しいトランザクション を開始できなくなります。以下は、リポジトリ内の未解決のトランザクション のそれぞれについての情報をすばやく生成するためのちょっとした スクリプトです:
例 5.1. txn-info.sh (未解決トランザクションの表示)
#!/bin/sh ### Generate informational output for all outstanding transactions in ### a Subversion repository. REPOS="${1}" if [ "x$REPOS" = x ] ; then echo "usage: $0 REPOS_PATH" exit fi for TXN in `svnadmin lstxns ${REPOS}`; do echo "---[ Transaction ${TXN} ]-------------------------------------------" svnlook info "${REPOS}" --transaction "${TXN}" done
このスクリプトを /path/to/txn-info.sh /path/to/reposのように して実行できます。出力は基本的にはsvnlook info 出力のいろいろな断片をつないだようなものになります。 (svnlook項参照), 以下のような 感じです:
$ txn-info.sh myrepos ---[ Transaction 19 ]------------------------------------------- sally 2001-09-04 11:57:19 -0500 (Tue, 04 Sep 2001) 0 ---[ Transaction 3a1 ]------------------------------------------- harry 2001-09-10 16:50:30 -0500 (Mon, 10 Sep 2001) 39 Trying to commit over a faulty network. ---[ Transaction a45 ]------------------------------------------- sally 2001-09-12 11:09:28 -0500 (Wed, 12 Sep 2001) 0 $
長く放置されているトランザクションは普通は何かに失敗したか、コミットを 中断されたかのどちらかです。トランザクションの日付スタンプは 役に立つ情報を与えてくれます — たとえば 9 ヵ月も前に始まった 操作がいまだに有効である可能性など、いったいどの程度あるのでしょうか?
簡単に言って、トランザクションのクリーンアップの決定は、無分別に やる必要はありません。いろいろな情報源—Apacheのエラーログや アクセスログ、成功したSubversionのコミットログ、などなど—が どうしたら良いかを決める上で役に立ちます。最後に、管理者はしばしば 死んだトランザクションの所有者と思われる人と、(メールなどで)その 死にかかったトランザクションの状態を確認することができます。
ここ数年で記憶装置のコストは非常に低くなってきた一方で、ディスクの利用方法 は、大量のデータをバージョン管理するために、システム管理者にとっては、やはり 依然として考慮すべきことです。動作中のリポジトリによって消費される追加の 領域はオフラインでバックアップすることが必要な領域でもあり、バックアップ のスケジュール管理を考えると、何倍かになるでしょう。Berkeley DB リポジ トリを使う場合には、データ保管の仕組みは複雑なデータベースシステムである ので、データのどの部分をオンラインのままに残し、どの部分にバックアップが 必要で、どの部分を安全に削除できるか、ということについて理解しておくことには 意味があります。 この節は Berkeley DB だけに関係しています。FSFS リポジトリには削除したり、 調整が必要な特殊な追加データはありません。
最近まで、Subversion リポジトリに関して最も多くディスクを消費する部分は Berkeley DB が実際にデータベースファイルを修正する前に前もっと書き込むための ログファイルの領域でした。これらのファイルはデータベースのある状態から 別の状態への変化の経緯にそったすべての操作を記録します— データベース ファイルはある特定の時刻にその状態を反映される一方でログファイルはその前後 の状態のすべての本稿を含んでいます。そのようなわけでログファイルは非常に 早いスピードでサイズを増やします。
ありがたいことに、Berkeley DB のリリース 4.2 からデータベース環境は
特に外部操作することなしに未使用のログファイルを削除する能力を持つ
ようになりました。Berkeley DB バージョン 4.2 かそれ以降でコンパイルされた
svnadminはこの自動的なログファイルの削除が設定
されています。この機能を有効にしたくない場合には単に
svnadmin createコマンドで--bdb-log-keep
を渡してください。これを忘れたり、後で変更したい場合には、単に
リポジトリのdb
ディレクトリ中にあるDB_CONFIG
を編集して、set_flags
DB_LOG_AUTOREMOVE
ディレクティブをコメントアウトしてから
この変更を強制的に有効にするためにそのリポジトリに対してsvnadmin recover
を実行してください。データベースの設定についての詳細は Berkeley DB の設定項を参照してください。
このような自動ログファイル削除の仕組みを利用しなければ、 リポジトリを利用するにつれてログファイルは蓄積されていきます。 それてこれは実際にデータベースシステムであれば当然付いている機能です— ログファイル以外に何も残っていないような状況でデータベース全体を再構成する ことができるようになっていなくてはならず、そのようなログファイルは データベースの壊滅的な破壊からの復旧で利用できなければならないからです。 しかし普通は Berkeley DB で既に利用されていないログファイルをアーカイブし、 その後ディスクから削除することで領域を広げようとするでしょう。利用していない ログファイルの一覧を見るにはsvnadmin list-unused-dblogsコマンドを使ってください:
$ svnadmin list-unused-dblogs /path/to/repos /path/to/repos/log.0000000031 /path/to/repos/log.0000000032 /path/to/repos/log.0000000033 $ svnadmin list-unused-dblogs /path/to/repos | xargs rm ## disk space reclaimed!
リポジトリのデータサイズをできるだけ小さくするために Subversion は リポジトリに対して差分化(あるいは「 差分記憶」) の処理をします。差分化は別のデータの部分に対する 差分の集まりをひとつのデータの塊として表現するものです。二つのデータ が非常に似ていればこの差分化は差分化されたデータの記憶領域を節約します —もとのデータサイズと同じだけの領域を確保するのにくらべて小さく なります。いわば、「以下の変更点をのぞけば、他の点についてはここに あるデータのままですよ」という表現に必要なだけの領域で済みます。 具体的に言うと、ファイルの新しいバージョンがリポジトリにコミットされる たび、Subversion は前のバージョン(実際には前のバージョンのいくつか)を この新しいバージョンに対する差分として表現します。その結果、大きくなり がちなリポジトリデータ—つまりバージョン化されたファイルの内容 —の大部分を、もとの「完全なテキスト」として 保存するよりはずっと小さなサイズで格納することができます。
差分化の対象となるすべての Subversion リポジトリデータは単一の Berkeley DB データベースファイルに保存されるので保存されているデータのサイズを 小さくしたからといって必ずしもデータベースファイル自身のサイズを減らす ことにはなりません。しかし Berkeley DB はデータベースファイル中の未使用 領域の内部的な記録を保存しておりデータベースファイルのサイズを拡張する 前にそのような領域をまず利用します。そのため差分化は直接に空間の節約につな がりはしなくても今後のデータベースサイズが拡大するスピードを有効に押える ことができます。
Berkeley DB項で触れたように、Berkeley DB リポジトリは正しく閉じられなかった場合には中間的な状態に固まってしまう ことがあります。こうなった場合管理者はデータベースを以前の一貫した状態 にまで戻してやる必要があります。
リポジトリ中のデータを保護するため Berkeley DB はロックのしくみ を利用しています。このしくみはデータベースの特定のが同時に複数のデータベー スアクセスによって修正されないことを保証するためのもので、それぞれのプ ロセスから見たときには、読み込み時にはデータは正しい状態にあるように見 えます。データベース中のどこかを変更する必要ある場合にはまず対象となる データがロックされていないかどうかを確認します。もしロックされていなけ ればそのプロセスはデータをロックし、必要な修正を加え、そのデータに対す るロックを外します。他のプロセスはデータベースの内部に引き続きアクセス できるようになる前にロックファイルが削除されるまで待たされます。
Subversionリポジトリを使う上で、致命的なエラー(ディスクがいっぱいに なったり、メモリがなくなったり)や、割り込みによって、データベースに かけたロックを削除する機会をなくしてしまうことがあります。その結果 バックエンドのデータベースは「固まって」しまいます。 こうなったときには、リポジトリへのどのようなアクセスも永久に待たされる ことになってしまいます。(というのは、すべての新しいアクセスはロック が解除されるのを待ちますが、それは決してやってこないからです)
まず、そういうことがリポジトリに起こっても、悲鳴をあげないで ください。Berkeley DBのファイルシステムはデータベーストランザクション とチェックポイント、それに事前ジャーナル書き込みの仕組みをうまく 利用していて、本当に破滅的な出来事以外は [17] データベース環境を永久に葬り去ることはできないことを保証します。 十分神経質なリポジトリ管理者は何んらかの方法でリポジトリデータの オフラインバックアップをとっているかも知れませんが、バックアップテープを リストアしてくれとシステム管理者を呼ぶのはまだです。
次に、以下の手順を使って、リポジトリの「復旧」 を試してみてください:
リポジトリにアクセスしている(あるいはしようとしている)プロセスが 一つもないことを確認してください。ネットワークアクセス可能な リポジトリでは、これは Apache HTTP サーバをシャットダウンする ことも意味します。
リポジトリを所有し、管理しているユーザになってください。 これは重要ですが、実行時と同様、復旧時に間違ったユーザで作業する ことによってもリポジトリファイルのパーミッションが変更されて しまうかも知れないからです。これによって実際には「復旧」 したのにアクセス不能のままになってしまう可能性があります。
svnadmin recover /path/to/reposコマンドを 実行してください。以下のような出力が表示されると思います:
Repository lock acquired. Please wait; recovering the repository may take some time... Recovery completed. The latest repos revision is 19.
このコマンドは完了までに数分かかることもあります。
Subversionサーバの再起動
この方法はほとんどのリポジトリロックを解消します。このコマンドは
単に root
になるのではなく、データベース
を所有し、管理しているユーザで実行することに注意してください。
復旧作業は、傷を負ったいろいろなデータベースファイル
からの再作成の作業も含みます。(たとえば共有メモリ領域などです)
root
での復旧は、root
が
所有しているファイルを作成することで、これはリポジトリへの
接続状況が復旧した後でも通常のユーザはこれに対してアクセスする
ことができないことを意味します。
もしいま述べた作業が、何かの理由でうまくリポジトリを正常に
戻せない場合、二つのことをすべきです。まず、壊れたリポジトリを
どけて、最後のバックアップをリストアします。それからSubversion
のユーザリストにメールします。(これは、
<users@subversion.tigris.org>
です)このとき問題点を詳しく
説明してください。データの一貫性は、Subversion開発者にとって
非常に高いプライオリティです。
Subversionファイルシステムはさまざまなデータベーステーブルに分散された
データを持ちますが、これは一般的にはSubversion開発者だけが知っている
(て、興味のある)ことです。しかし、すべての、あるいは一部のデータを
一つの、持ち運びに便利な単純なファイル形式にまとめたいことがあります。
Subversion はそのような仕組みをsvnadmin サブコマンド
の組によって実装しています:
dump
と load
です。
Subversionリポジトリをダンプしたりロードしたりする一番よくある理由は Subversion自身の変更にあります。Subversion が完成に近づくにつれ、 バックエンドデータベースのスキーマ変更によっては リポジトリの前のバージョンとの互換性がなくなってしまいます。 ダンプとロードが必要になる他の理由としては、Berkeley DB を他の OS や CPU アーキテクチャに以降する場合、あるいはBerkeley DB と FSFS バックエ ンド間を切り替えて使う場合です。このために推奨されている作業ステップは比較 的簡単です:
現行 バージョンのsvnadmin を使ってリポジトリをダンプファイルにダンプしてください。
Subversionの新しいバージョンへのアップグレード。
古いリポジトリをどけて、新しい空のリポジトリをそこに作りますが、 これには新しい svnadmin を使ってください。
もう一度新しいsvnadminを 使って、ダンプファイルを、それぞれ作ったばかりのリポジトリに ロードしてください。
古いリポジトリから新しいものに必要なカスタマイズ部分を
すべてコピーしてください。これにはDB_CONFIG
ファイルと、フックのスクリプトが含まれます。新しいリリースの
Subversionのリリースノートに注意して、最後のアップグレードでフック
や設定オプションに変更がないかどうかを見てください。
もし移行によってリポジトリが別の URL からアクセスされるようになった場 合(例えば別のコンピュータに移したり、別のスキーマを経由して アクセスしたりするような場合)、おそらくユーザには既存の作業 コピー上でsvn switch --relocateを実行する ように言わなくてはならないかも知れません。 svn switchを見てください。
svnadmin dump は、リポジトリリビジョンのある 範囲を出力しますが、それはSubversionのカスタムファイルシステム ダンプ形式になっているものです。ダンプ形式は標準出力に表示され、 進行状況などのメッセージは標準エラー出力に表示されます。これで 出力をファイルにリダイレクトすることができ、その一方でステータス の出力については端末ウィンドウ上で見ることができます。たとえば:
$ svnlook youngest myrepos 26 $ svnadmin dump myrepos > dumpfile * Dumped revision 0. * Dumped revision 1. * Dumped revision 2. … * Dumped revision 25. * Dumped revision 26.
処理の最後で、指定した範囲のリポジトリリビジョンのデータすべて
が保存された一つのファイル(前の例では、dumpfile
)
を手に入れることができます。
svnadmin
dumpは他の「読み出し」プロセス(たとえばsvn
checkout など)がやるのと同じような
方法でリポジトリからリビジョンツリーを読み出すことに
注意してください。そのため、このコマンドはいつでも安全に実行できます。
組になったもう一方のサブコマンドであるsvnadmin loadは、標準入力を、Subversionリポジトリのダンプファイルと して解析し、ダンプされたリビジョンを目的のリポジトリに再現します。 それはまた経過情報などを返しますが、こちらは標準出力に 表示します:
$ svnadmin load newrepos < dumpfile <<< Started new txn, based on original revision 1 * adding path : A ... done. * adding path : A/B ... done. … ------- Committed new rev 1 (loaded from original rev 1) >>> <<< Started new txn, based on original revision 2 * editing path : A/mu ... done. * editing path : A/D/G/rho ... done. ------- Committed new rev 2 (loaded from original rev 2) >>> … <<< Started new txn, based on original revision 25 * editing path : A/D/gamma ... done. ------- Committed new rev 25 (loaded from original rev 25) >>> <<< Started new txn, based on original revision 26 * adding path : A/Z/zeta ... done. * editing path : A/mu ... done. ------- Committed new rev 26 (loaded from original rev 26) >>>
load の結果、新しいリビジョンがリポジトリに追加されます—これは
通常の Subversion クライアントからリポジトリに対してコミットをする
のと同じ効果があります。またやはりコミットと同様に load 処理中に
おきるそれぞれのコミットの前後で実行するフックスクリプトを使うことも
できます。 svnadmin load に
--use-pre-commit-hook
と --use-post-commit-hook
オプションを渡すことでロードされるリビジョンごとに Subversion に
対してそれぞれ pre-commit と post-commitのフックスクリプトを実行する
ように指示できます。これで例えば、通常のコミット時と同様の妥当性チェック
のようなステップをロードされるリビジョンごとに保障するような使い方が
できます。もちろんこのようなオプションの利用には注意が必要です—
post-commit フックスクリプトで新しいコミットごとにメーリングリストに対して
email を送信するようになっていた場合、リビジョンがロードされるたびに
リストに数え切れないくらいの email を流したいとは思わないでしょう !
フックスクリプトについては フックスクリプト項
により詳しい情報があります。
svnadmin は標準入力と標準出力をリポジトリのダンプ とロード処理に使うので、気の利いた人は、以下のようなやり方を試す こともできます(おそらく、パイプの両側のsvnadmin は、異なるバージョンであるかも知れません):
$ svnadmin create newrepos $ svnadmin dump myrepos | svnadmin load newrepos
デフォルトではダンプファイルは非常に大きくなります—リポジトリ
自体よりもずっと大きくなるでしょう。理由はすべてのファイルのすべての
バージョンは、ダンプファイル中では完全なテキストとして表現される
からです。これはダンプデータをパイプ経由で他のプロセス(圧縮プログラム
や、フィルタープログラム、あるいはロードプロセスのようなもの)に送る場合には
もっとも早く単純な方法です。しかし長期保存用にダンプファイルを作成する
のであれば --deltas
スイッチを使ってディスク領域を節約
したほうが良いでしょう。このオプションを使うと引き続くリビジョン間の
ファイルは圧縮された形のバイナリ差分として出力されます—これはちょ
うどリポジトリ中に保存されたリビジョンファイルと同じような形になります。
このオプションを使うと処理は遅くなりますが結果のダンプファイルは
元のリポジトリにかなり近いサイズにまでなります。
前に注意したようにsvnadmin
dump はリビジョンの範囲を出力します。
--revision
オプションを使えば、一つの
リビジョンのダンプや、リビジョン範囲のダンプができます。
このオプションを省略すれば、すべての存在するリポジトリ
リビジョンがダンプされます。
$ svnadmin dump myrepos --revision 23 > rev-23.dumpfile $ svnadmin dump myrepos --revision 100:200 > revs-100-200.dumpfile
Subversionはそれぞれの新しいリビジョンをダンプするのでその出力には 後で実行されるローダが前のリビジョンを元にしてそのリビジョンを再 作成するのに必要な十分な情報があります。 言い換えると、ダンプファイル中でどのようなリビジョンが指定されても リビジョン中で変更のあったアイテムのみがダンプに現れるということ です。この規則の唯一の例外は、現在のsvnadmin dump がダンプする最初のリビジョンです。
デフォルトでは、Subversionは前のリビジョンに対する単なる差分として 最初のダンプリビジョンを表現することはありません。この理由の一つは 、ダンプファイルには直前のリビジョンがないからです! 二番目にSubversion はダンプデータがロードされるリポジトリの状態について何も知らない からです。(もしロードが起こるとすれば、ですが。) svnadmin dump の個別の実行の出力が自己充足して いるのを保証するため、最初のダンプリビジョンはデフォルトでは すべてのディレクトリ、ファイル、リポジトリにあるそのリビジョンの属性 の完全な表現になっています。
しかし、このデフォルトの振る舞いを変えることもできます。リポジトリを
ダンプするときに--incremental
オプションを追加すると
svnadmin は最初のダンプリビジョンとリポジトリ中の
直前リビジョンとの差分をとろうとします。残りのすべてのダンプ
されるリビジョンにも同じ方法で扱います。
それからダンプ範囲にある残りのリビジョンが出力するのと同じように
最初のリビジョンを—リビジョン中に起こる変更だけを
考慮して出力します。
この利点は大きな一つのダンプファイルのかわりに、ロードに成功するような
小さないくつものダンプファイルを作ることができることです。
こんな感じです
:
$ svnadmin dump myrepos --revision 0:1000 > dumpfile1 $ svnadmin dump myrepos --revision 1001:2000 --incremental > dumpfile2 $ svnadmin dump myrepos --revision 2001:3000 --incremental > dumpfile3
これらのダンプファイルは以下のようなコマンドの流れで 新しいリポジトリ中にロードされます:
$ svnadmin load newrepos < dumpfile1 $ svnadmin load newrepos < dumpfile2 $ svnadmin load newrepos < dumpfile3
--incremental
オプションを使った別の
かっこいい方法は、既に存在しているダンプファイルに
新しいダンプリビジョン範囲を追加することです。たとえば
post-commit
フックがあり、それは単に
フックをトリガーするような一つのリビジョンのリポジトリ
ダンプを追加するものです。あるいは最後にスクリプトを実行した時点より
後にリポジトリに追加されたすべてのリビジョンに対してのダンプファイルを追加する
ようなスクリプトを実行するかも知れません。このように利用することで
svnadminの
dump
と load
コマンドは
価値のある手段となりますが、これによって、リポジトリの変更を
時間をかけてバックアップして、システムクラッシュや、他の壊滅的な出来事に
そなえるというわけです。
ダンプ形式はまたさまざまな異なるリポジトリの
内容を単一のリポジトリにマージするために利用することもできます。
svnadmin
loadの --parent-dir
オプションを使って
ロードプロセス用の新たな仮想ルートディレクトリを指定することが
できます。これは、もしcalc-dumpfile
,
cal-dumpfile
, そして
ss-dumpfile
という三つのリポジトリ
のダンプファイルがある場合、最初にそれらすべてを保持するような
新しいリポジトリを作ることができることを意味します:
$ svnadmin create /path/to/projects $
それから三つの以前のリポジトリのそれぞれの内容を含んだ 新しいディレクトリをリポジトリ中に作ります:
$ svn mkdir -m "Initial project roots" ¥ file:///path/to/projects/calc ¥ file:///path/to/projects/calendar ¥ file:///path/to/projects/spreadsheet Committed revision 1. $
最後に個々のダンプファイルを新しいリポジトリのそれぞれの 場所にロードします:
$ svnadmin load /path/to/projects --parent-dir calc < calc-dumpfile … $ svnadmin load /path/to/projects --parent-dir calendar < cal-dumpfile … $ svnadmin load /path/to/projects --parent-dir spreadsheet < ss-dumpfile … $
Subversion リポジトリダンプ形式の利用方法について最後にもう一つだけ 触れます— 異なる保存の仕組みやバージョン管理システムから データを変換する方法です。これができる理由はダンプファイル形式は ほとんどの部分が可読であるためです。 [18] このファイル形式を 使うと、比較的簡単に一般的な変更点のセットを表現することができます— それぞれの変更は新しいリビジョンとして扱われます。 事実、cvs2svnユーティリティー(CVS から Subversion へのリポジトリ変換項参照)は、CVS リポジトリの内容を表現するのに ダンプ形式を使うので、その内容を Subversion リポジトリに取り込むことができます。
現代的なコンピュータが生まれてから技術的には非常に発展してきたものの、 残念なことに、一つのことだけは間違いなく真実です—ときどき、ものごとは まったく台無しになってしまう、ということです。停電、ネットワーク切断、 RAMの破壊、ハードディスクのクラッシュは、魔物以外の何者でもありません。 運命は最も優れた管理者にさえ降りかかるのです。それで、とても重要な トピックに行き着きます—どうやってリポジトリのバックアップを とるか、です。
一般的に、Subversionのリポジトリ管理者にとって、二つのバックアップ方法が あります—差分バックアップと、フルバックアップです。この章の前の節で どうやってsvnadmin dump --incremental を使って差分 バックアップをとるかを議論しました (リポジトリの移行項参照)。本質的にこのアイディアは最後に バックアップをとってから起きたリポジトリの変更部分だけをバックアップ する方法です。
リポジトリのフルバックアップは文字通りリポジトリディレクトリ全体の 複製を作ることです(これはBerkeleyデータベース環境も含まれます) さて、一時的にリポジトリに対するすべてのアクセスを禁止しなければ、 単純な再帰的なディレクトリコピーの実行は、不完全なバックアップを作って しまう危険を持っています。というのは誰かが並行してデータベースに書き込んで いるかも知れないからです。
Berkeley DB の場合、Sleepycat のドキュメントは正しいバックアップコピーを
保証するようにデータベースファイルをコピーする場合の順序が書いて
あります。同様の順序が FSFS データにもあります。しかしこのよう
なプログラムを自分で書く必要はありません。Subversion 開発チー
ムがすでにしているからです。
hot-backup.py スクリプトはSubversionのソース
パッケージのtools/backup/
ディレクトリにあります。
リポジトリパスとバックアップ位置を指定すると、hot-backup.py
—それは単にsvnadmin hotcopyコマンドのより賢い
ラッパープログラムでしかありませんが—
は、動作中のリポジトリをハックアップするのに必要なステップを実行します
—あなたにリポジトリアクセスを禁止することなしに、です—
ついでに、動作中のリポジトリから、死んでいる Berkeley ログファイルを
きれいに削除します。
差分バックアップがあるとしても、規則的にこのプログラムを実行したく
なるかも知れません。たとえばhot-backup.py を
プログラムスケジューラに追加しようと考えるかも知れません
(Unix であればcrond のようなもの)。
あるいは、細かい粒度のバックアップが好きなら、hot-backup.py
を呼ぶような、post-commitフックスクリプトを書くこともできます。
(フックスクリプト項参照)。これは新しいリビジョンが
作られるたひにリポジトリの新しいバックアップができる方式です。
単に、以下を動作中のリポジトリディレクトリにある
hooks/post-commit
に追加してください:
(cd /path/to/hook/scripts; ./hot-backup.py ${REPOS} /path/to/backups &)
結果のバックアップは、完全に機能するSubversionリポジトリで、現行の リポジトリが何かひどいことになったときには、置き換えて使うことが できるものです。
両方のバックアップ方法にはそれぞれ利点があります。一番簡単なのは フルバックアップで、それは常に現行リポジトリの完全なコピーです。 繰り返しになりますが、何かまずいことが動作中のリポジトリに起きた 時には、単純な再帰的なディレクトリコピーでこのバックアップを 復元することができます。残念なことに、もしリポジトリの複数のバックアップ を管理している場合、このようなフルコピーは、実行中のリポジトリと 同じくらい、それぞれがディスクを食うということです。
リポジトリダンプ形式を使った差分バックアップはデータベーススキーマ が引き続くSubversion自身のバージョン間で変更されるときには非常に 役に立ちます。リポジトリの完全なダンプとロードは一般的に リポジトリを新しいスキーマにアップグレードすることが必要です。 そのような作業の半分(つまり、ダンプの部分)については既に 済んでいるのでとても便利です。不幸にも、差分バックアップの 作成—そしてそのリストア—は長い時間がかかりますが、 それは、それぞれのコミットがダンプファイル、またはリポジトリの 中で、実際に再実行されるからです。
どちらのバックアップの場合も、リポジトリ管理者は どのようにしてバージョン化されない属性への変更がバックアップに影響を 与えるかに注意する必要があります。このような変更は新しいリビジョンを それ自体で作り出すわけではないので、post-commitフックを呼び出すきっかけ にはならず、pre-revprop-chage や post-revprop-change フックのきっかけ にすらならないでしょう。 [19] そして、時間の順序に沿わないでリビジョン属性を変更することができる —いつでも、どのリビジョン属性を変更することができます— ので、最後のいくつかのリビジョンの差分バックアップはそれ以前の バックアップの一部として行われたリビジョン属性の修正は取り入れる ことができません。
一般的に言って、本当に人間離れした潔癖さを持った人だけが完全なリポジトリ のバックアップを必要とするのでしょう。つまり、コミットが起こるたびに バックアップをとるわけです。しかし、そのリポジトリが相対的に細かい 粒度(コミットごとのメールなど)と共に、何か別の冗長性の仕組みを持って いるのであれば、データベースのホットバックアップはリポジトリ管理者が システム全体の日次バックアップの一環として導入したいと考えるものかも知れません。 ほとんどのリポジトリでは、コミット メール をアーカイブするだけで復旧元 データとしての十分な冗長性を持っています。少なくとも最近のいくつかのコミット についてはそうです。しかしデータはとにかくあなたのものです— 必要なだけ保護するのに越したことはありません。
しばしば、リポジトリのバックアップに対する最良の方法は、分散 させることです。フルバックアップと差分バックアップに、コミット メールのアーカイブを追加することができます。たとえばSubversion 開発者は、Subversionソースコードリポジトリを、新しいリビジョン が作られるたびにバックアップします。そして、すべてのコミットと 属性変更の通知メールをアーカイブしてとっておきます。同様の方法を とってください。ただし、必要な範囲で、便利さと安全性の微妙なバラ ンスをとってください。そして、このようなことを全部やっても、運命 の鉄拳からハードウェアを守ることはできないことに注意してください。 [20] バックアップは確かにそのような試練の時からあなたを救うはずです。
リポジトリが作られて設定されれば、後は使うだけです。もし
既にデータの集まりを持っていて、それをバージョン管理したい
場合は、きっとsvnクライアントプログラムの
import
サブコマンドを使いたいと思うでしょう。
しかしそうする前に、リポジトリについて長期的な視点で注意深く
考えるべきです。この節では、リポジトリのレイアウトをどのように
計画するか、そしてそのレイアウトの中にどのようにデータを配置する
のが良いかについて、少しアドバイスします。
Subversionを使うと、あなたは情報を失うことなしにバージョン化されたファイルや ディレクトリをあちこちに移動することができますが、そうすることは、 データが特定の場所にあることを期待している、ときどきリポジトリにアクセス する人たちの作業を中断させてしまうかも知れません。先のこともちょっとは 考えてください。バージョン管理下にデータを置く前に、前もって計画を たててください。リポジトリの内容を、最初にうまく「レイアウト」 しておけば、あとで頭を抱えることがなくなります。
Subversionリポジトリを設定するときに考えておくと良いことがいくつか あります。あなたが、リポジトリ管理者としていくつかのプロジェクトのバージョン 管理システムのサポート責任者になったとしましょう。最初の判断は 複数プロジェクトに対して一つのリポジトリを使うか、プロジェクトごとに リポジトリを用意するか、その両者の折衷案でいくかです。
複数プロジェクトのために一つのリポジトリを使うことにはいくつか 利点があまりす。一番はっきりしているのは、重複した保守作業が不要だと いうことです。一つのリポジトリは、一組のフックスクリプト、一つの 定期バックアップ、Subversionのリリースが両立不可能な新しいバージョンに なったときの、一回のダンプとロード、しか必要ありません。 また、プロジェクト間のデータ移動は簡単ですし、履歴バージョン情報を 失うことなしにやることができます。
一つのリポジトリを使うデメリットは、異なるプロジェクトは異なる コミットメーリングリストを持っていたり、異なる認証、許可などが 必要であるかも知れないことです。 また、Subversionはリポジトリグローバルなリビジョン番号を使っている ことに注意してください。人によっては、変更が自分のプロジェクトに 何もないのに、他のプロジェクトが活発に新しいリビジョンを追加する ことによって、最新リビジョン番号がカウントアップされていくのが 好きではないかも知れません。
折衷策をとることもできます。たとえば、お互いに どの程度深く関係しているかによってプロジェクトをグループ化する ことができます。それぞれのリポジトリにいくつかのプロジェクトを持たせる ことで、少ない数のリポジトリを管理することもできます。この方法では データを共有したいプロジェクトは簡単にそうすることができますし、 新しいリビジョンがリポジトリに追加されると、開発者は そのような新しいリビジョンは、自分のプロジェクトか、少なくともそれに 関係しているプロジェクトの誰かがやったものだということがわかります。
リポジトリに関係してどのようにプロジェクトを編成するかを決めたあとは
多分、リポジトリ自身のディレクトリ構成を考えたいと思うでしょう。
Subversionは普通のディレクトリコピーをブランチ化にもタグ付けにも
使うので(章 4. ブランチとマージ参照)、Subversionのコミュニティ
では、以下のようなディレクトリ構成を推奨しています;
プロジェクトルート—プロジェクトに関連
したデータのある「最上位」ディレクトリのこと—ごとに
リポジトリの場所を選択します; 次いでそのルートの
下に三つのサブディレクトリを作ります: trunk
これはプロジェクトの主な開発が行われるディレクトリです; branches
これは主な開発ラインから分岐したさまざまな名前の付いたブランチを作る
ための場所です; tags
これは作成され、削除される
かも知れませんが、決して修正はされないようなブランチを入れるための
ディレクトリです。
[21]
たとえば、リポジトリが以下のようであるとして:
/ calc/ trunk/ tags/ branches/ calendar/ trunk/ tags/ branches/ spreadsheet/ trunk/ tags/ branches/ …
それぞれのプロジェクトルートがリポジトリ中のどこにあるかは問題には なりません。もしリポジトリに唯一のプロジェクトがある場合は それぞれのプロジェクトルートを置くための論理的な場所はプロジェクト ごとのリポジトリのルートになります。もし複数のプロジェクトが ある場合は、リポジトリ内部のグループ中にそれを配置したいかも知れません、 おそらく同じサブディレクトリ中の似たような目標や共有するコードと 一緒にプロジェクトを置くか、あるいは名前の辞書順にグループ化するか、 などです。配置は以下のようになるでしょう:
/ utils/ calc/ trunk/ tags/ branches/ calendar/ trunk/ tags/ branches/ … office/ spreadsheet/ trunk/ tags/ branches/ …
良いと思われる方法でリポジトリをレイアウトしてください。 Subversionはレイアウトの構成について何も仮定しません— Subversionは、ディレクトリであってディレクトリ以外の何者でも ありません。結局、リポジトリのレイアウトは、それを利用する人々の 必要に応じたふさわしい方法を選んでください。
リポジトリ中でのプロジェクトのレイアウトが決まったら、 そのレイアウトの形にリポジトリを構成して、プロジェクトの初期データを ロードしたいと思うでしょう。これにはいろいろな方法があります。 一つ一つリポジトリレイアウトに従ってディレクトリを 作るのに、svn mkdir コマンドを使うことができます ( 章 9. Subversion リファレンス参照)。 もっと手っ取り早いのは、svn import コマンドを 使うことです。(svn import項参照) 最初にディスクの一時的な場所にレイアウトを作っておいて、その全体を 一回のコミットでリポジトリにインポートすることができます:
$ mkdir tmpdir $ cd tmpdir $ mkdir projectA $ mkdir projectA/trunk $ mkdir projectA/branches $ mkdir projectA/tags $ mkdir projectB $ mkdir projectB/trunk $ mkdir projectB/branches $ mkdir projectB/tags … $ svn import . file:///path/to/repos --message 'Initial repository layout' Adding projectA Adding projectA/trunk Adding projectA/branches Adding projectA/tags Adding projectB Adding projectB/trunk Adding projectB/branches Adding projectB/tags … Committed revision 1. $ cd .. $ rm -rf tmpdir $
svn listコマンドでインポート結果を 確認することができます:
$ svn list --verbose file:///path/to/repos 1 harry May 08 21:48 projectA/ 1 harry May 08 21:48 projectB/ … $
骨組みとなるレイアウトができて、もし既にインポートしたい データが存在しているならそれをリポジトリにインポートすることができます。 これにも、やはりいろいろな方法をとることができます。 svn importを使うかも知れません。新しいリポジトリから 作業コピーをいったんチェックアウトして、作業コピー中でデータを移動したり 編成しなおしてから、svn add とsvn commit コマンドを使うこともできます。しかし、いったんそのような 話を始めると、もう既にリポジトリ管理については議論しません。 もし、まだsvn クライアントプログラムに なじみがないのなら、 章 3. 同伴ツアーを参照してください。
ここまでで、あなたは、どうやってSubversionリポジトリを作成し、設定するか についての基本的な理解ができたはずです。この作業を助けるさまざまなツール を紹介しました。そして、章全体を通じて、管理者がよくハマりそうなことをあげ、 どうやってそれを避けるかを議論しました。
あとは、リポジトリに、どのようなデータを入れ、それをネットワーク越しに 利用できる形にするかを考えるだけです。次の章ではネットワーク利用について 詳述します。
[13] こう書くと、なんだかとても高尚なことのように思えますが、 みんなのデータがある作業コピーの背後で起きている神秘の領域に 興味を持つ人なら、誰でも、という意味です。
[14] Jack Repenning が何も文句を言わないのなら「fuzz-fuzz」 と発音することになっています。
[15] ところで、そのような設計は意図したものです。バグ ではありません。
[16] svnadmin dump は先頭スラッシュに関して一貫した ポリシーがありますが— 付けないようにするというものです— データをダンプするほかのプログラムはそれほど一貫していません。
[17] たとえば: ハードディスク + 強い電磁場 = 破滅。
[18] Subversionのリポジトリダンプ形式は、RFC 822形式によく 似ていて、ほとんどのメール で利用されているのと同じ形式です。
[19] たとえばsvnadmin setlogは、 とにかくフックインターフェースを迂回するような方法で呼び出されるのでした。
[20] ご存知でしょうか— 彼女のすべての「きまぐれ」をあらわす集合名詞です。
[21]
trunk
, tags
, branches
の三つのファイルの全体を 「TTB ディレクトリ」 と呼ぶことがあります。
目次
Subversion リポジトリはfile:///
方式でリポジトリのある
同じマシン上で実行されている複数のクライアントから同時にアクセスすること
ができます。しかし典型的なSubversion の設定はオフィス全体—あるいは
全世界にあるコンピュータ上のクライアントからアクセスされる一台のサーバ上
で行います。
この章ではリモートクライアントを使ってホストマシンの外部にさらされる 形のSubversionリポジトリの作り方についての説明です。ここでは現在 Subversion で利用することのできるサーバの仕組みを説明し、その設定方法と 利用方法について説明します。この章を読んだ後であればどのタイプのネットワーク 設定が自分のニーズとって正しいものであるかを決め、どうやれば自分のホスト コンピュータ上でその設定が有効になるかについて理解できるはずです。
Subversion は抽象的なネットワーク層の設計を含んでいます。これはリポジトリ に対してどのようなタイプのサーバプロセスからもアクセスできるようにプログラムを 作ることができ、クライアントの「リポジトリアクセス」API を使えば、プログラマは それに関連したネットワークプロトコルで通信することのできるプラグインを書くこと ができる、ということを意味します。理論的には Subversion は無数のネットワーク 実装が可能なはずです。ただしこれを書いている現時点では実際には二つの サーバがあるだけです。
Apache は非常に有名なウェブサーバです; mod_dav_svnモジュール を使えば Apache はリポジトリにアクセスすることができ、WebDAV/DeltaV プロトコル 経由でクライアントにもリポジトリを利用させることができます。これは HTTP の 拡張の一つです。もう一つの方法は svnserveです: これは 非常に小さい、スタンドアロンのサーバプログラムでクライアントとの間で独自の プロトコルを使って通信します。Table 6-1 に二つのサーバの比較をのせまし た。
Subversion はオープンソースプロジェクトの性質上、どのようなタイプのサーバ も「最重要なもの」であるとか、「公式のもの」 である として勧めたりすることはありません。またどのようなネットワーク実装についても 副次的な価値しかないものとして扱うこともありません; それぞれのサーバは それぞれの長所と短所があります。実際、複数の異なるサーバを並行して動作させ、 それぞれの方法でリポジトリにアクセスし、お互いの邪魔をすることがないように 設定できます。(複数リポジトリアクセス方法のサポート項 を見てください)。 表 6.1. 「ネットワークサーバの比較」 には、二つの利用可能な Subversion サーバの簡単な説明と比較があります— 管理者は、自分とそのユーザにとって最良の動作をする構成を自由に選ぶ ことができます。
表 6.1. ネットワークサーバの比較
機能 | Apache + mod_dav_svn | svnserve |
---|---|---|
認証オプション | HTTP(S) 基本認証, X.509 認証, LDAP, NTLM, その他 Apache httpd で利用可能な方法 | CRAM-MD5 または SSH |
ユーザアカウントオプション | 固有の 'users' ファイル | 固有の 'users' ファイルまたは既存のシステム (SSH) アカウント |
認可のオプション | 自由な読み書きアクセス、あるいはディレクトリごとの 読み書き制御 | 自由な読み書きアクセス、あるいはフックスクリプトに よるディレクトリごとの書き込み(読み込みは不可)アクセス制御 |
暗号化 | オプションのSSLを経由することで | オプションでSSH トンネルを利用することで |
相互運用性 | 部分的に他の WebDAVクライアントからも利用可能 | 相互運用不能 |
ウェブによる参照 | 制限された組み込みサポート機能、あるいは ViewCVS のような サードパーティーのツール経由 | ViewCVS のようなサードパーティーツール経由 |
スピード | やや遅い | やや速い |
初期設定 | やや複雑 | かなり簡単 |
この節は実際に利用する具体的なネットワーク実装にかかわらず、 Subversion クライアントがどのようにしてサーバと通信するかの一般的な議論です。 この節を読み終えた後では、クライアントの応答についての設定によって サーバがどんな風に違った形で振る舞うかについて詳しく理解していることでしょう。
Subversion クライアントはほとんどの時間を作業コピーの管理に費やします。 しかしリポジトリからの情報が必要な場合にはネットワーク要求を発行し、 これに対してサーバが適切に応答します。ネットワークプロトコルの詳細は ユーザからは隠されています; クライアントは URL にアクセスしようとし、 URL スキーマの種類によって特定のプロトコルがサーバとの通信に利用され ます(リポジトリのURL)。ユーザはsvn --version を実行してSubversion クライアントがどの URL スキーマとプロトコル を利用できるかを知ることができます。
サーバプロセスがクライアント要求を受け取ると、普通はクライアントの認証を 要求します。クライアントに対して認証確認を実行し、クライアントは 認証証明を提示することでこれに答えます。いったん 認証が成功すればサーバはクライアントがそもそも要求していた情報を返します。 このシステムは CVS のようなシステムとは異なっていることに注意してください。 CVS などではクライアントは要求を出す前に、あらかじめ認証証明を (「ログインによって」)サーバに送ります。Subversion ではサーバは適当な時点 でクライアントにチャレンジの仕組みによって認証証明を 「要求」 します。 クライアントが自発的にサーバに 「送りつける」 わけではありません。 これはある種の操作をより洗練されたものにします。たとえばもしサーバが 世界中の誰でもそのリポジトリを読めるように設定すれば、クライアントが svn checkoutを実行するときに認証確認を実行せずに 済みます。
クライアントネットワーク要求が新しいデータをリポジトリに書き込む場合
(たとえば svn commit) 、新しいリビジョンツリーが
作成されます。もしクライアント要求が認証されれば認証されたユーザ名は
新しいリビジョンのsvn:author
属性の値として
格納されます(バージョン化されない属性項参照)。もしクライアント
が認証されなければ(言い換えるとサーバが認証確認に失敗すれば)、その
リビジョンのsvn:author
属性は空となります。
[22]
多くのサーバは要求ごとに認証を要求するように設定されます。 これはユーザにとっては大きな苦痛となることがあります。常にパスワード を入力しなくてはならないからです。
ありがたいことに、Subversion クライアントはこれに対する処方箋が
あります: ディスク上での認証証明をキャッシュするための組み込みシステム
があります。デフォルトではコマンドラインクライアントがサーバに対する
認証に成功したときは常にユーザの実行時環境領域にその証明を保存します
— この場所はUnix 系システムでは‾/.subversion/auth/
、
Windows であれば %APPDATA%/Subversion/auth/
に
なります。(実行時領域については、実行時設定領域項
により詳しい説明があります)。成功した証明はディスクにキャッシュされ
ホスト名、ポート、認証方式の組み合わせをキーとして保存されます。
クライアントが認証確認を受けたとき、まずディスクキャッシュにある証明を探し ます; 存在しないかキャッシュされた証明が認証に失敗した場合はクライアントは ユーザに入力を求めるプロンプトを出します。
セキュリティー狂なら思うかも知れません、「パスワードをディスクにキャッシュ するだと? ひどすぎる。絶対やめろ!」 と。まあ落ち着いて。それは見かけほど 危険な状態ではありません。
auth/
のキャッシュ領域はパーミッションで保護されている
ので(所有者である)ユーザだけがそのデータを読むことができ、誰でもというわけでは
ありません。オペレーティングシステムのファイル所有権限はパスワードによって保護
されています。
Windows 2000 とそれ以降の場合、Subversion クライアントは標準的な Windows の 暗号サービスを利用してディスク上のパスワードを暗号化します。暗号キーはWindows によって管理されユーザ固有のログイン認証に結びついているのでそのユーザだけが キャッシュされたパスワードを復号化できます。(注意: ユーザの Windows アカウント パスワードが変更された場合、キャッシュされているすべてのパスワードは復号化不能 になります。Subversion クライアントはそれが存在していないかのような動作をし、 必要に応じてパスワードの入力をうながします。)
すべての利便性を犠牲にしてまでセキュリティーを確保したいという、本当にスジガネ入り のセキュリティー狂には、すべての認証キャッシュを完全に無効にすることも可能です。
単一のコマンド中でキャッシュ
を無効にする場合は --no-auth-cache
オプションを渡して
ください:
$ svn commit -F log_msg.txt --no-auth-cache Authentication realm: <svn://host.example.com:3690> example realm Username: joe Password for 'joe': Adding newfile Transmitting file data . Committed revision 2324. # password was not cached, so a second commit still prompts us $ svn delete newfile $ svn commit -F new_msg.txt Authentication realm: <svn://host.example.com:3690> example realm Username: joe …
あるいは、証明のキャッシュをずっと無効にし続けたい場合は実行時
config
ファイルを編集してください(
auth/
ディレクトリの隣にあります)。
単にstore-auth-creds
をno
に
設定すればディスク上に証明書をキャッシュしなくなります。
[auth] store-auth-creds = no
ときどき特定の証明をディスクキャッシュから削除したくなることがあります。
これにはauth/
領域を調べて適当なキャッシュファイルを
手で削除してください。証明は個別のファイルにキャッシュされています; それぞれ
のファイルの中にはキーとその値があります。 svn:realmstring
キーはファイルが関係している特定のサーバの認証範囲を記録しています:
$ ls ‾/.subversion/auth/svn.simple/ 5671adf2865e267db74f09ba6f872c28 3893ed123b39500bca8a0b382839198e 5c3c22968347b390f349ff340196ed39 $ cat ‾/.subversion/auth/svn.simple/5671adf2865e267db74f09ba6f872c28 K 8 username V 3 joe K 8 password V 4 blah K 15 svn:realmstring V 45 <https://svn.domain.com:443> Joe's repository END
適切なキャッシュファイルを特定し、それを削除してください。
クライアント認証について最後に一つ: --username
と --password
オプションについての説明が少し
必要です。たくさんのクライアントサブコマンドはこれらのオプションを
受け付けます; しかしこのようなオプションはサーバに自動的に証明を
送るのではないことに注意してください。既に
説明したようにサーバは必要に応じてクライアントに証明の提示を「要求」
します; クライアントから「自発的に提示する」ことはできないのです。
もしユーザ名とパスワードがオプションとして渡された場合でも、それは
サーバが要求したときにのみ提示されるのです。
[23]
典型的にはこれのようなオプションは以下のような場合に利用されます:
ユーザは自分のログイン名称とは違うユーザで認証を 受けたいか、
あるスクリプトがキャッシュされている証明なしに 認証を受けたい。
最後にどのようにしてSubversion クライアントが認証確認を受けたときに 振る舞うかをまとめておきます:
ユーザがコマンドラインオプション中で--username
または--password
を通じて何らかの証明を指定しているか
どうかを確認します。指定していないか、オプションによる認証が失敗した
場合には、
実行時 auth/
領域中でサーバの認証範囲を探して
ユーザが既に適切な証明をキャッシュしているかどうかを調べます。
もしそうでないかキャッシュされた証明が認証に失敗した場合はさらに、
ユーザに対して証明の入力をうながします。
クライアントが上記のどれかの方法で認証に成功した場合はディスク上にその 証明をキャッシュしようとします (既に述べたように、ユーザがこの動作 を無効にしない限り、そうします)。
svnserve プログラムは軽量なサーバで専用の状態プロトコル
によって TCP/IP 上でクライアントと通信することができます。クライアントは
svn://
またはsvn+ssh://
で始まる URL によって svnserveサーバと通信します。この節
では svnserveを実行する別の方法を説明しクライアントが
どうやってサーバに認証するか、またリポジトリに適切なアクセス制御を設定
するにはどうしたら良いかについて説明します。
svnserveプログラムの起動にはいくつかの異なる方法が
あります。オプションなしで起動した場合は何もせずヘルプメッセージを
表示するだけです。しかしinetd経由で起動するなら
-i
(--inetd
) オプションを指定すること
ができます:
$ svnserve -i ( success ( 1 2 ( ANONYMOUS ) ( edit-pipeline ) ) )
--inetd
オプション付きで起動すると
svnserve はSubversion クライアントとの間
で、専用のプロトコルを使い、stdinと
stdoutチャンネル経由で通信しようとします。
これはinetdを経由して
実行されるプログラムの標準的な振る舞い方です。IANAはポート3690
をSubversion プロトコルのために予約しているため Unix風のシステム上
なら/etc/services
ファイルに(もしまだ追加されていない
のなら)以下の行を追加することができます:
svn 3690/tcp # Subversion svn 3690/udp # Subversion
そしてもし伝統的な Unix風のinetdデーモンを使って
いるのなら /etc/inetd.conf
に以下のような行を
追加することができます:
svn stream tcp nowait svnowner /usr/bin/svnserve svnserve -i
「svnowner」はリポジトリにアクセスするのに適切な パーミッションをもったユーザであることを確認してください。 これでクライアントがサーバのポート3690に接続しにきた時点で inetdはsvnserve プロセスを起動し、処理を任せます。
Windows システムではsvnserveをサービスとして 起動するためのサードパーティーのツールがあります。このようなツールの 一覧については Subversion のウェブサイトを見てください。
第二の方法はsvnserveを単独の「デーモン」プロセスとして
起動する方法です。これには-d
オプションを使って
ください:
$ svnserve -d $ # svnserve is now running, listening on port 3690
デーモンモードでsvnserveを実行するときには
--listen-port=
と
--listen-host=
オプションで待ち受けポートとホスト
名を「指定」することができます。
さらにsvnserveを起動する第三の方法があり、
それは「トンネルモード」と呼ばれますが、-t
オプション
を付けて起動します。このモードは
RSHや
SSHのようなリモートサービスプログラムがユーザを
正しく認証しそのユーザでプライベートな svnserve
サーバを起動している状況を仮定しています。 svnserve
プログラムは普通に振る舞い(stdinとstdout
を通じて)、通信データは自動的にクライアントの背後にいる何らかのトンネル
にリダイレクトされると仮定しています。svnserveが
このようなトンネルエージェントによって起動された場合は認証ユーザは
リポジトリデータベースファイルに完全な読み書きアクセスを持つことに注意
してください。(サーバとパーミッション: 留意点を参照してください)。
これは本質的には file:///
URLを使ってリポジトリにアクセス
するローカルユーザと同じになります。
一度svnserveプログラムが実行されるとネットワーク越しに
システム上のすべてのリポジトリが利用可能になります。クライアントは
リポジトリ URL の絶対パスを指定する必要があります。
たとえば、リポジトリが/usr/local/repositories/project1
にあるならクライアントは svn://host.example.com/usr/local/repositories/project1
によってそこにアクセスするでしょう。セキュリティー
を高めるため svnserveに -r
オプションを渡すこともできますが、これはそのパス以下のリポジトリだけを公開
するように制限します:
$ svnserve -d -r /usr/local/repositories …
-r
オプションの利用は
リモートファイルシステム空間のルートとしてプログラムが扱う場所
を効果的に変更することができます。この場合クライアントはそのルート
までの部分を除いたパスを指定することになり、もっと短い(そしてより情報制限された)
URL を利用できます:
$ svn checkout svn://host.example.com/project1 …
クライアントがsvnserveプロセスに接続する とき、以下のことが起こります:
クライアントは特定のリポジトリを選択します。
サーバはリポジトリの conf/svnserve.conf
ファイルを処理しその中に定義されている認証と認可の方式に強制的に
従います。
そのときの状況と認可の方式により、以下のどれかになります。
クライアントは要求を匿名で行うことができ、どのような認証確認も 要求されないか、
クライアントは常に認証許可を求められるか、
もし"トンネルモード"で実行されている場合であれば、クライアント は既に外部的に認証されたことを宣言するか、です。
これを書いている時点では、サーバはCRAM-MD5 [24] 認証確認の方法だけを知っています。本質的にサーバはクライアント に対して少しのデータを送ります。 クライアントはMD5ハッシュのアルゴリズムを使ってデータとパスワードを一 緒にしたデータについてのフィンガープリントを作成し、これを応答メッセー ジとして送信します。サーバは同じ計算を保存してあるパスワードについて おこない結果が同じであることを確認します。いかなる場合でも ネットワーク上に実際のパスワードが流れることはありません。
もちろんクライアントはトンネルエージェント、たとえば SSHのようなものを経由して外部的に 認証することもできます。この場合サーバは単に実行している ユーザを確認し、それを認証されたユーザ名であるとして 利用します。より詳しくは SSH 認証と認可項を見てください。
もうおわかりだと思いますが、リポジトリのsvnserve.conf
ファイルは認証と認可の方式を制御する中心的な仕組みです。このファイルは他の
設定ファイルと同じ形式をしています。(実行時設定領域項
参照): セクション名は角かっこ([
and ]
)
で示され、コメントはハッシュ文字(#
)で始まり、セクションの
それぞれには設定可能な特定の変数が含まれています。(variable = value
)。
このファイルを見てどのように利用されているか理解してください。
ここでは svnserve.conf
の
[general]
セクションに必要な変数のすべてがあります。
ユーザ名とパスワードを含むファイルの定義で始まり、認証範囲を設定
しています:
[general] password-db = userfile realm = example realm
realm
は自分で定義できる名前です。
それはクライアントに接続先の「認証用の名前空間」の種別を伝えます;
Subversion クライアントは認証プロンプトでそれを表示し、ディスク上の
キャッシュされた証明のキーとして(サーバのホスト名、ポートと共に)
利用します。(クライアント証明のキャッシュ項参照。)
password-db
変数はユーザ名称とパスワードのリスト
を含む個別のファイルを指す変数で、やはり同じ形式が利用されます。
たとえば:
[users] harry = foopassword sally = barpassword
password-db
の値はユーザファイルの相対または
絶対パスです。多くの管理者にとって、svnserve.conf
に従ったリポジトリの conf/
領域にファイルを
正しく保つのは容易なことです。一方、同じユーザファイルを共有するような
二つ以上のリポジトリがほしいこともあります; そのような場合は
ファイルは多分もっと公開された場所に移動すべきでしょう。ユーザファイルを共有
するリポジトリは同じ認証範囲を持つよう設定されていなくてはならず、それは
ユーザ全員が本質的にただ一つの認証範囲を定義するためです。
ファイルがある場所であればどこでもファイルの読み書きパーミッション
を正しく設定してください。もし svnserveを
どのユーザが実行しているかわかるのであれば、必要に応じて
ユーザファイルに対する読み出しアクセス制限をかけてください。
svnserve.conf
ファイル中に、さらに二つの変数を
設定できます: それは認証されていない(匿名の)ユーザと、認証された
ユーザに何を許すかを決めるものです。その変数anon-access
と auth-access
はnone
、read
、
あるいはwrite
に設定できます。
none
はどのようなタイプのアクセスも制限します。
read
はそのリポジトリに読み出し許可のみを与え、
write
はリポジトリに完全な読み書きアクセスを許します。
たとえば:
[general] password-db = userfile realm = example realm # anonymous users can only read the repository anon-access = read # authenticated users can both read and write auth-access = write
この例としての設定は、実際にはこれらの変数のデフォルト値なので定義 しなくても問題ありません。もしさらに保守的に設定したいのなら、 匿名のアクセスを完全に遮断することもできます:
[general] password-db = userfile realm = example realm # anonymous users aren't allowed anon-access = none # authenticated users can both read and write auth-access = write
svnserveは単に「無制限の」アクセスコントロールのみ を理解することに注意してください。ユーザは完全な読み書きアクセス、 完全な読み出しアクセス、あるいは、まったくアクセスできない、のいずれか です。リポジトリ中の特定のパスに対する詳細なアクセス制御は 存在しません。多くのプロジェクトとサイトではこのレベルのアクセス制御 は十分すぎるものです。しかしもしディレクトリごとのアクセス制御が必要 なら、Apache をmod_authz_svn と一緒に使うか (ディレクトリごとのアクセス制御項を見てください)、書き込み制御を 行う pre-commit フックスクリプトを使う必要があります (フックスクリプト項を見てください)。Subversion の ディストリビューション中には commit-access-control.pl と、さらに洗練された svnperms.py スクリプトがあって、 pre-commit スクリプトの中で利用することができます。
svnserveの組み込み認証は非常に使いやすいものですが、 それは本当のシステム上のアカウントを作る必要がないからです。一方 管理者によっては既に確立された SSH 認証の仕組みを運用しているかも 知れません。そのような場合、プロジェクトユーザのすべてはシステムアカウント を持っており、サーバマシンに対して 「SSH による」 アクセスが可能なはず です。
SSH とsvnserveの組み合わせは簡単なものです。クライアントは
単にsvn+ssh://
URLスキーマを使って接続することができます:
$ whoami harry $ svn list svn+ssh://host.example.com/repos/project harry@host.example.com's password: ***** foo bar baz …
この例では、Subversionクライアントはローカルなssh
プロセスを起動し host.example.com
に接続し、ユーザ
harry
として認証し、そのあとプライベートな
svnserveプロセスをリモートマシン上で、ユーザ
harry
として実行する、というものです。
svnserveコマンドはトンネルモード(-t
)
起動され、そのネットワークプロトコルはトンネルエージェントであるssh
によって暗号化された接続上で「トンネル」された形で動作します。
svnserveはユーザharry
で実行されていることを知って
いるのでクライアントがコミットしようとすると、その認証済みのユーザ名は新しい
リビジョンの変更者として利用されます。
ここで重要なのは Subversion クライアントはsvnserve デーモンに接続するわけではないということです。 このアクセス方法はデーモンは不要で、存在しているかどうかを知る必要も ありません。実際には sshが一時的に起動する svnserve プロセスにだけ依存していて、ネットワーク接続が閉じるとそのプロセスも終了します。
svn+ssh://
の URL を使ってリポジトリにアクセスする
場合、認証を要求するのはsshプログラムであり
svnクライアントプログラムではないことを思い出して
ください。これは自動的なパスワードのキャッシュが起きないことを
意味します(クライアント証明のキャッシュ項を見てください)。
Subversion クライアントはリポジトリに複数の接続を張ることもよくあります
がユーザはパスワードキャッシュの仕組みによって通常そのことに気づくことは
ありません。しかし svn+ssh://
URL を使う場合には
ユーザは接続ごとに sshが繰り返しパスワードをうながす
ことに悩ませられるかも知れません。解決策は Unix 風のシステムなら
ssh-agent、Windows なら pageant
のような独立した SSH パスワードキャッシュツールを利用することです。
トンネル上で実行する場合、認可は基本的にはリポジトリデータベースファイルに
対するオペレーティングシステムのパーミッションによって一義的には制御
されます; それはちょうど harry が直接file:///
URLで
リポジトリにアクセスした場合と同じことになります。
複数のシステムユーザがリポジトリに対して直接アクセスしようとしている場合
そのようなユーザを一つのグループにまとめ、umask を注意して設定する必要が
あるでしょう。(複数リポジトリアクセス方法のサポート項をぜひ読んでください)。
しかしトンネルモードを利用する場合でもauth-access = read
またはauth-access = none
と設定すれば、
svnserve.conf
ファイルはやはりアクセス遮断のために
利用できます。
SSH トンネルの話はこれで終わりかと思うかも知れませんが、そうではありません。
Subversion では実行時config
ファイル中に専用のトンネル
モードに関する動作設定をすることができます。(実行時設定領域項
を見てください)。たとえば SSH のかわりに RSH を使いたいとします。config
ファイルの[tunnels]
セクションに以下のように指定してください:
[tunnels] rsh = rsh
これで新しい変数の名前にマッチする URL スキーマを使って
この新しいトンネル定義を利用することができます:
svn+rsh://host/path
となります。
新しい URL スキーマを利用すると Subversion クライアントは実際には裏で
rsh host svnserve -tコマンドを実行します。もしURL
にユーザ名が含まれている場合(たとえば svn+rsh://username@host/path
)
クライアントはやはりそのコマンドに含めます(rsh username@host svnserve -t.)
しかし、以下のようにもっと賢いトンネルスキーマを定義することもできます:
[tunnels] joessh = $JOESSH /opt/alternate/ssh -p 29934
この例はいろいろなことの参考になります。まずそれはどのようにして
Subversion クライアントが非常に特殊なトンネリングのためのプログラムを
特定のオプション付きで起動するかを示しています(この場合それは
/opt/alternate/ssh
にあります)。
この場合svn+joessh://
URLにアクセスすると
引数として-p 29934
の付いた特定のSSHプログラム
が起動されるでしょう— もし標準ではないポートにトンネルプログラム
を接続したいと考えているならこれは便利です。
次にそれはどのように
してトンネルプログラムの名前を上書きする環境変数を定義してやれば
良いかを示しています。
SVN_SSH
環境変数を設定するのはデフォルトの SSH トンネル
エージェントを上書きする便利な方法です。
しかしもし異なるサーバ上でいくつもの異なる上書きが必要で、それぞれが
異なるポートや異なるオプションを SSH に渡しているような場合には、この例で
示すような仕組みを利用することができます。
もしJOESSH
環境変数を設定
してあれば、その値はトンネル変数全体を上書きします—
$JOESSHは
/opt/alternate/ssh -p 29934のかわりに実行
されるでしょう。
クライアントが sshを起動する方法を制御できるだけ ではなく、サーバマシン上の sshdの動作の仕方も 制御することができます。この節では sshd によって起動される svnserveコマンドを正しく制御する 方法を示して、複数のユーザが単一システムアカウントをどのように共有すれば 良いかについて説明します。
まずsvnserveを起動するのに使うアカウントの
ホームディレクトリを用意します。そのアカウントに SSH の公開鍵/秘密鍵
がインストールされていて、ユーザがその公開鍵でログインできることを
確認してください。パスワード認証は動作しなくなりますが、それは以下の
SSH の技法を使うと、すべての処理に SSH authorized_keys
ファイル
を使うためです。
まだ存在していなければauthorized_keys
ファイルを
作ってください(Unix では普通 ‾/.ssh/authorized_keys
になります)。このファイルの各行には接続を許す相手先の公開鍵の記述があります。
各行は普通以下のような形をしています:
ssh-dsa AAAABtce9euch.... user@example.com
最初のフィールドはキーの型で、二番目のフィールドは uuencode された鍵そのもの
であり、三番目のフィールドはコメントです。あまり知られていませんが、実は
行全体を command
フィールドの後におくこともできます。
command="program" ssh-dsa AAAABtce9euch.... user@example.com
command
フィールドが設定されると 通常の svnserve -t
のかわりに SSH デーモンがその名前のプログラムを実行します。このプログラムが
Subversion クライアントの接続先になります。これがサーバ上でのいろいろな技法を
可能にする鍵です。以下の例では、ファイル中で次のように行を省略して説明します:
command="program" TYPE KEY COMMENT
実行されるサーバ側コマンドを指定することができるので、特定の svnserveバイナリを指定したり、追加の引数を 指定して実行することが簡単にできます:
command="/path/to/svnserve -t -r /virtual/root" TYPE KEY COMMENT
この例では /path/to/svnserve
は
svnserve に対するカスタマイズされたラッパースクリプ
トで、umask を設定するようなものかも知れません(複数リポジトリアクセス方法のサポート項を見てください)。それはまた
svnserve用の仮想ルートディレクトリをどのように設定
するかも示しています。これはデーモンプロセスとして
svnserveする場合によく起こることです。たとえばシス
テムの特定の部分にアクセス制限する場合や、単に
svn+ssh://
URL の絶対パス名を入力する手間を省くため
であったりします。
複数のユーザが単一アカウントを共有するようにもできます。それにはまずユー
ザごとに独立したシステムアカウントを作るかわりに、メンバーごとに公開鍵
/秘密鍵のペアを生成します。つぎに一行に公開鍵をひとつづつ
authorized_users
ファイルにおきます。そして
--tunnel-user
オプションを使うとうまくいきます。
command="svnserve -t --tunnel-user=harry" TYPE1 KEY1 harry@example.com command="svnserve -t --tunnel-user=sally" TYPE2 KEY2 sally@example.com
この例では Harry も Sally も公開鍵認証方式によって同じアカウントで接続する
ように設定しています。どちらもそれぞれにカスタマイズされたコマンドが実行されます;
--tunnel-user
オプションは svnserve -t
が名前つき引数が認証されたユーザであることを認めるように指示しています。
--tunnel-user
がなければ、すべてのコミットはひとつの共有された
システムアカウントから発行したように見えるようになります。
最後の注意です: 共有アカウントにある公開鍵を経由してユーザにアクセス権を
与えても、他の形の SSH アクセスを禁止したことにはなりません。これは
authorized_keys
にcommand
の
形の設定をした場合でもそうです。たとえば、ユーザは依然として SSH 経由で
シェルを使ったアクセスができますし、あなたのサーバ経由で X11 や、より
一般的なポートフォワードを実行することもできます。ユーザにできるかぎり
わずかな権限しか与えないようにするには command
の
すぐ後にそれぞれの制限オプションを指定する必要があります:
command="svnserve -t --tunnel-user=harry",no-port-forwarding,¥ no-agent-forwarding,no-X11-forwarding,no-pty ¥ TYPE1 KEY1 harry@example.com
Apache HTTP Server は 「非常にいろいろなことをしてくれる」 ネットワークサーバ でSubversionの機能も上げることができます。カスタムモジュールを使って httpdはSubversion リポジトリをWebDAV/DeltaVプロトコル 経由でクライアントから利用可能にします。WebDAV/deltaVプロトコルは HTTP 1.1 の拡張です(http://www.webdav.org/ により詳しい情報が あります)。このプロトコルはワールドワイドウェブの核心である、 広く利用可能なHTTP プロトコルに対して、書き込み—特にバージョン化された 書き込み—機能を付け加えます。結果は標準化された、堅牢なシステム を構成することができ、それは Apache 2.0 の一部としてパッケージ化されて います。また Apache 2.0 はさまざまなオペレーティングシステムとサード パーティー性製品によってサポートされており、それを利用すればネットワーク 管理者は新たなカスタムポートを開く必要がありません。 [25] Apache-Subversion サーバはsvnserveよりも多くの 機能を持っていますが、セットアップは少し難しくなります。柔軟性には しばしば複雑さがともなうものです。
以下の議論の多くはApacheの設定ディレクティブへの参照を含んでいます。 いくつかの例はそのようなディレクティブの利用方法になっていますが、 その完全な説明はこの章の範囲外です。Apache チームは非常にすばらしい ドキュメントを管理していてhttp://httpd.apache.org から自由に参照可能です。たとえば設定ディレクティブの一般的な リファレンスはhttp://httpd.apache.org/docs-2.0/mod/directives.html にあります。
また、Apache の設定を変更する場合、しばしば間違いが起こります。
Apache のログシステムにまだなじみがないのであれば、それに注意すると
良いでしょう。httpd.conf
ファイルにはApache に
よって生成されるアクセスログとエラーログのディスク上での場所を指定する
ディレクティブがあります。(それぞれCustomLog
と
ErrorLog
という名前です)。Subversion の mod_dav_svn
も Apache のエラーログインターフェースを利用しています。これらのファイルは
情報取得のために常に閲覧することができ、ほかの方法でははっきりしない
問題の原因を明らかにするかも知れません。
HTTP 越しにリポジトリにアクセスする場合、基本的には二つのパッケージで利用 可能な四つの部品が必要になります。Apache httpd 2.0、 それに付属しているmod_dav DAVモジュール、Subversion、 そしてそれに付属しているmod_dav_svnファイルシステム 提供モジュールです。すべての部品を手に入れてしまえばリポジトリのネットワーク 対応は以下のように簡単です:
httpd 2.0 を起動し、mod_dav モジュール付きで実行する。
mod_dav_svn プラグインを mod_dav にインストールする。mod_dav_svn はリポジトリにアクセスするために Subversion のライブラリを利用 します。そして、
httpd.conf
ファイルを設定してリポジトリを
公開する。
最初の二つについてはhttpdとSubversion を
ソースコードからコンパイルするか、自分のシステム用の既にコンパイル
済みのバイナリパッケージをインストールすることによって取得できます。
どのようにして Apache HTTP サーバと共に Subversion をコンパイルするか、
そしてこの目的のために Apache 自身をどのように設定すれば良いかに
ついての最新情報は Subversion ソースコードツリーの最上位にある
INSTALL
ファイルを参照してください。
システム上に必要なすべての部品をインストールしたあとは、httpd.conf
によって Apache の設定をすることだけが残っています。 LoadModule
ディレクティブを使って mod_dav_svn モジュールを Apache にロードしてください。この
ディレクティブはほかの Subversion 関連の設定項目に先立って指定しなくてはなりません。
Apache がデフォルトレイアウトを使ってインストールされているなら、mod_dav_svn
モジュールは Apache インストールディレクトリのmodules
サブディレクトリ
中になければなりません(たいていの場合、/usr/local/apache2
の
ようなディレクトリになります)。LoadModule
ディレクティブは単純な
構文を持ち、名前の付いたモジュールをディスク上の共有ライブラリの場所に対応付けます:
LoadModule dav_svn_module modules/mod_dav_svn.so
mod_davが
( httpdプログラムに直接静的にリンクされるのではなく)
共有オブジェクトとしてコンパイルされた場合、それに対しても同様の
LoadModule
行が必要になります。
mod_dav_svn
行の前に設定することに注意してください:
LoadModule dav_module modules/mod_dav.so LoadModule dav_svn_module modules/mod_dav_svn.so
次に、設定ファイルの後の場所のどこかで Subversion リポジトリをどこに
置くかを Apache に伝える必要があります。Location
ディレクティブは XML風の記述で、開始タグで始まり、終了タグで終わる間
にさまざまなほかの設定ディレクティブを書きます。
Location
ディレクティブの目的は Apache に、指定した
URL かそのサブディレクトリである特定の処理をするように指示するためにあります。
Subversion の場合、DAV層で管理するバージョン化された資源のある URL で
処理を単に引き渡すように Apache に指示するだけです。Apache に対して
/repos/
で始まる部分(つまり、URL のサーバ名と
場合によって付随するポート番号文字列の後に続く部分)を持ったすべての URL
について、/absolute/path/to/repository
にある
リポジトリを管理する DAV 提供モジュールに引き渡すように指示することが
できます。それには以下のようなhttpd.conf
構文を使い
ます:
<Location /repos> DAV svn SVNPath /absolute/path/to/repository </Location>
ローカルディスク上の同じ親ディレクトリにある複数の Subversion リポジトリ
を提供する計画がある場合は、別のディレクティブ、 SVNParentPath
を使って共通の親ディレクトリを示すこともできます。たとえばhttp://my.server.com/svn/repos1
とか、
http://my.server.com/svn/repos2
のような
URL を経由してアクセスされる/usr/local/svn
ディレクトリ
中に複数の Subversion リポジトリを作る場合であれば、以下の例の中にある
httpd.conf
の設定構文を使うことができます:
<Location /svn> DAV svn # any "/svn/foo" URL will map to a repository /usr/local/svn/foo SVNParentPath /usr/local/svn </Location>
この構文を使うと Apache は/svn/
で始まるパス部分
を持つすべての URL を Subversion DAV モジュールに渡しますが、すると
このモジュールはSVNParentPath
によって指定される
ディレクトリ中のすべてのアイテムは実際のSubversion リポジトリであると
仮定します。これはSVNPath
ディレクティブを利用
するのとは違って新しいネットワーク公開用リポジトリを作るたびに
Apache を再起動する必要がないのでとても便利です。
新しいLocation
を定義する場合は、他の公開された
Location と重ならないように注意してください。たとえばメインの
DocumentRoot
が/www
に
設定されている場合、Subversion リポジトリを<Location
/www/repos>
の中で公開しないでください。
URI /www/repos/foo.c
が要求されても Apache は
DocumentRoot
中にあるrepos/foo.c
を探せば良いのか、Subversion リポジトリから foo.c
を返すためにmod_dav_svnに取り次げば良いのか
判断できなくなります。
この時点で、パーミッションがどうなるかというについて十分考慮する ことが必要になります。Apache をある程度の期間にわたって通常利用する Webサーバとしてきた場合、おそらく既にいろいろなコンテンツがある ことでしょう—ウェブページ、スクリプト、などなど。これらの アイテムは既に Apache と協調動作するようなパーミッションの組が設定 されている、あるいはもっと正確には、Apache にそのようなファイルを 扱うことを許可する設定になっています。Subversion サーバとして Apache が利用される場合も、Subversion リポジトリに対して正しい 読み書きのパーミッションを設定する必要があります。(詳しくは サーバとパーミッション: 留意点を見てください)。
既に存在しているウェブページやスクリプトの設定に問題を起こさない
ように Subversion の要求を満足させるためのパーミッションを決定しなくて
なりません。これは Subversion リポジトリを、Apache が既に
あなたに対して提供しているほかのサービスと協調するようなパーミッション
に変更するか、あるいはhttpd.conf
の中で
User
やGroup
ディレクティブを
使ってSubversion リポジトリを所有しているユーザ・グループで
Apache が実行されるべき状態に変更することを意味します。
このための唯一の正しい解法といったものはありませんし、個々の
管理者は正しいやり方をするための異なる理由を持っているはずです。
パーミッションに関連した問題はおそらく Apache を利用した Subversion
リポジトリの設定時に一番よく見落とされることであるのに注意してください。
この時点で httpd.conf
を以下のような
感じで設定している場合
<Location /svn> DAV svn SVNParentPath /usr/local/svn </Location>
あなたのリポジトリは「匿名で」 世界中からアクセス可能となります。何らかの
認証と認可の仕組みを設定するまで、あなたの作ったSubversion リポジトリは
Location
ディレクティブによって一般的に誰からも
アクセスすることができてしまいます。言い換えると、
誰でもリポジトリ URL(とその任意のサブディレクトリ) の作業コピーをチェックアウト するために Subversion クライアントを利用することができます,
誰でもリポジトリ URL をブラウザで指定することによってリポジトリの最新 リビジョンを閲覧することができます。そして
誰でもそのリポジトリにコミットすることができます。
クライアントを認証する一番簡単な方法は HTTP の基本認証の仕組みを使うことで、 それは単純にユーザ名とパスワードを使って、ある人間が自分がその当人である と言っているのを確認します。Apache はhtpasswdユーティリティー を用意して、受け入れることのできるユーザ名とパスワードの一覧を管理 しますが、その人たちにだけあなたの Subversion リポジトリにアクセスする権利を 与えることができます。 Sarry と Harry にだけコミット権限を与えてみましょう。 まず彼らをパスワードファイルに追加する必要があります。
$ ### First time: use -c to create the file $ ### Use -m to use MD5 encryption of the password, which is more secure $ htpasswd -cm /etc/svn-auth-file harry New password: ***** Re-type new password: ***** Adding password for user harry $ htpasswd -m /etc/svn-auth-file sally New password: ******* Re-type new password: ******* Adding password for user sally $
次に新しいパスワードファイルを何に利用するかというのを Apache に伝える
ため、 Location
ブロック内部で追加の httpd.conf
ディレクティブが必要になります。 AuthType
ディレクティブは
利用する認証システムのタイプを指定します。今回はBasic
認証システムを指定したいと思います。AuthName
は
任意の名前で認証ドメインを与えるためのものです。ほとんどのブラウザは
ユーザに名前とパスワードを問い合わせるときにこの名前をポップアップダイアログ
ボックス中に表示します。最後にAuthUserFile
ディレクティブは
htpasswdで作ったパスワードファイルの場所を指定します。
三つのディレクティブを追加した後では、あなたの <Location>
ブロックは以下のような感じになっていることでしょう:
<Location /svn> DAV svn SVNParentPath /usr/local/svn AuthType Basic AuthName "Subversion repository" AuthUserFile /etc/svn-auth-file </Location>
この <Location>
ブロックはまだ完成しておらず
役に立つことは何もしません。単に Apache に対して、認証が要求されるとき
には常にSubversion クライアントからユーザ名とパスワードを取得するように
言うだけです。しかしここで欠けているのは Apache に対してどのような
種類のクライアント要求が認証で必要とされるのかを言うための
ディレクティブです。これをやるのに最も簡単な方法はすべてのリクエストを保護
するこです。Require valid-user
の追加は Apache に対して
すべてのリクエストは認証されたユーザであることを伝えます:
<Location /svn> DAV svn SVNParentPath /usr/local/svn AuthType Basic AuthName "Subversion repository" AuthUserFile /etc/svn-auth-file Require valid-user </Location>
認可のポリシーを設定する
Require
ディレクティブと、その他の方法についての
詳細については次の節(認可のオプション項) を読んでください。
一点注意があります: HTTP の基本認証パスワードはほとんど平文のままネットワーク
を流れるため、セキュリティー上は非常に弱いものです。もしパスワードの
盗聴が心配なら、SSL 暗号化のような仕組みを使うのが最良でしょう。これで
クライアント認証はhttp://
のかわりに
https://
を使って認証することになります; 最低限度の
処置として Apache に自己サイン付きサーバ証明書を設定することができます。
[26]
どうすれば良いかについては Apache のドキュメント(と、OpenSSL の
ドキュメント)を見てください。
リポジトリを自社ファイアウォールの外にさらす必要のあるビジネス は認可されていない他人が自分たちのネットワークデータを「盗聴」 しているかも知れないということを意識すべきです。 SSL はこの手の望ましくない意図が重要なデータの流出に帰結する可能性を 小さなものにします。
Subversion クライアントが OpenSSL を使ってコンパイルされた場合、https://
URL を使って Apache サーバと通信する能力を得ます。Subversion クライアントで
利用される Neon ライブラリはサーバ証明書を検証することができるだけ
ではなく、確認要求を受けた場合には自分の証明書を提示する能力も持って
います。クライアントとサーバが SSL 証明書を交換しお互いの認証に成功
すれば、その後のすべての通信はセッションキーによって暗号化されます。
どのようにしてクライアントとサーバ証明書を生成するか、またその証明書を 利用するようにどうやって Apache を設定するかについてはこの本の範囲外です。 Apache 自身のドキュメントを含め、さまざまな本でこの方法を説明しています。 ここでは通常の Subversion クライアントでのサーバとクライアント証明書を どのように管理するかについて説明します。
https://
経由で Apache と通信する場合、Subversion
クライアントは二つの異なるタイプの情報を受け取ることができます:
サーバ証明書
クライアント証明書の提示要求
クライアントがサーバ証明書を受け取った場合、それが信頼できるものであるか どうかの検証が必要になります: サーバは本当に名乗っているそのサーバなの でしょうか? OpenSSL ライブラリはサーバ証明書にサインした者、あるいは 認証期間 (CA)を調べることでこれを確認します。もし OpenSSL が自動的に CA を信用することができないか、他の問題が起きた 場合(たとえば、証明書の有効期間が過ぎていたり、ホスト名が一致していない 場合など)、Subversion コマンドラインクライアントはそのサーバ証明書を とにかく信用するかどうかをユーザに聞いてきます:
$ svn list https://host.example.com/repos/project Error validating server certificate for 'https://host.example.com:443': - The certificate is not issued by a trusted authority. Use the fingerprint to validate the certificate manually! Certificate information: - Hostname: host.example.com - Valid: from Jan 30 19:23:56 2004 GMT until Jan 30 19:23:56 2006 GMT - Issuer: CA, example.com, Sometown, California, US - Fingerprint: 7d:e1:a9:34:33:39:ba:6a:e9:a5:c4:22:98:7b:76:5c:92:a0:9c:7b (R)eject, accept (t)emporarily or accept (p)ermanently?
このダイアログはなじみ深いものだと思います; 本質的にはウェブブラウザで
見ることのできるのと同じ質問になっています(ブラウザは Subversion と
同じような HTTP クライアントの一種なんです!)。もし (p)ermanent、常に信用
する、というオプションを選ぶと、サーバはあなたのユーザ名とパスワードを
キャッシュしたのとちょうど同じ方法であなたの実行時auth/
領域にそのサーバ証明書をキャッシュします。(クライアント証明のキャッシュ項
を参照してください)。キャッシュされてしまえば、Subversion はそれ以降の
やり取りについては自動的にこの証明書を信用します。
実行時servers
ファイルもSubversion クライアントが自動的に
特定の CA を信頼するように設定することができます。すべてのものについて
そうすることもできますし、ホストごとにすることもできます。
単にssl-authority-files
を、 PEM で暗号化された
CA 証明書をセミコロンで区切ったリストに設定してください:
[global] ssl-authority-files = /path/to/CAcert1.pem;/path/to/CAcert2.pem
多くの OpenSSL の設定ではほとんど無制限に信頼する 「default」
CA が、あらかじめ設定されています。Subversion クライアントにそのような
標準的な認証機関を信用させるためにはssl-trust-default-ca
変数をtrue
に設定してください。
Apache と通信する際、Subversion クライアントはクライアント証明書の 確認要求を受けるかも知れません。Apache はクライアントに対して自分自身を 証明するようにたずねます: あんたは本当にあんたなのか? もしすべてが正し ければ Subversion クライアントはApache が信用している CA によってサイン されたプライベート証明書を送り返します。クライアント証明書は通常 暗号化された形式でディスク中に保管され、ローカルパスワードによって 保護されています。Subversion がこの確認要求を受けた場合、あなたは 証明書のパスと、それを保護しているパスワードについて聞かれます:
$ svn list https://host.example.com/repos/project Authentication realm: https://host.example.com:443 Client certificate filename: /path/to/my/cert.p12 Passphrase for '/path/to/my/cert.p12': ******** …
クライアント証明書は 「p12」形式のファイル であることに注意してください。クライアント証明書を Subversion で利用する場合、それは標準的な PKCS#12 フォーマットでなければなりません。 ほとんどのウェブブラウザは既にその形式の証明書をインポートしたり エクスポートしたりすることができます。他の方法としては既存の証明書 をOpenSSLのコマンドラインツールによってPKCS#12形式に変換するという ものです:
ここでも実行時servers
ファイルはホスト単位で
この確認要求を自動化することを認めています。そのような情報は
実行時変数で指定できます:
[groups] examplehost = host.example.com [examplehost] ssl-client-cert-file = /path/to/my/cert.p12 ssl-client-cert-password = somepassword
いったんssl-client-cert-file
と
ssl-client-cert-password
変数を
設定すれば、Subversion クライアントはユーザに問い合わせることなしに
自動的にクライアント証明書の確認要求に応答することができるようになります。
[27]
ここまでのところで、すでに認証についての設定は完了しました が認可はまだです。Apache はクライアントを試し、本当のクライアン トであることを確認することができますが、これらの認証済みクライアントそれ ぞれにどのようなアクセスを許し、また制限するかについてはまだ説明 していません。この節ではリポジトリに対してアクセス制御するための 二つの方法について説明します。
アクセス制御の一番簡単な方法は特定のユーザをリポジトリに対して読み出し 専用、あるいは読み書き可能として認可することです。
<Location>
ブロックにRequire valid-user
ディレクティブを追加することによってすべてのリポジトリ操作にアクセス制限を
設けることができます。前の例を使うと、これはharry
、
sally
、あるいはユーザごとの正しいパスワードを入力した
人だけに、Subversion リポジトリに対する任意の操作を許すというものです:
<Location /svn> DAV svn SVNParentPath /usr/local/svn # how to authenticate a user AuthType Basic AuthName "Subversion repository" AuthUserFile /path/to/users/file # only authenticated users may access the repository Require valid-user </Location>
しばしばそのような厳しい設定は不要です。たとえば Subversion 自身の
ソースコードリポジトリはhttp://svn.collab.net/repos/svn
にありますが、世界中の誰でも読み出しアクセスすることが可能です(
それはチェックアウトしたり、ウェブブラウザでリポジトリを閲覧する
ような操作です)が、書き込み操作は認証されたユーザにのみ許されています。
この手の制限を付与するには Limit
と
LimitExcept
設定ディレクティブを使うことができます。
Location
ディレクティブのように、この二つの
ブロックは開始タグと終了タグがあり、 <Location>
ブロック中でネストすることができます。
Limit
とLimitExcept
ディレクティブ
に現れるパラメータは HTTP 要求タイプで、そのブロック全体に影響を
与えます。たとえば、現在サポートされている読み出しのみの操作を
除くすべてのリポジトリアクセスを禁止したい場合、LimitExcept
ディレクティブが、GET
、PROPFIND
、
OPTIONS
、そしてREPORT
要求タイプ
パラメータを渡す形で利用できます。そして既に触れたRequire valid-user
ディレクティブを、単に<Location>
ブロックの中に
置くかわりに、<LimitExcept>
ブロックの中に置く形に
なります。
<Location /svn> DAV svn SVNParentPath /usr/local/svn # how to authenticate a user AuthType Basic AuthName "Subversion repository" AuthUserFile /path/to/users/file # For any operations other than these, require an authenticated user. <LimitExcept GET PROPFIND OPTIONS REPORT> Require valid-user </LimitExcept> </Location>
このようなことは単純な例にすぎません。Apache のアクセス制御と
Require
ディレクティブについてのさらに詳しい情報
はhttp://httpd.apache.org/docs-2.0/misc/tutorials.html
にある Apache ドキュメントチュートリアルのSecurity
セクションを見てください。
第二の Apache httpd モジュールである mod_authz_svn を使うと、より詳細なパーミッションの設定が可能です。このモジュールは クライアントからサーバに送信されるさまざまな裸の URL を取得し、 mod_dav_svnにそれを解析するように要求し、設定ファイル で定義されたアクセス方式に基づき必要に応じてアクセスを拒否します。
Subversion をソースコードから構築した場合はmod_authz_svn
は自動的にmod_dav_svnのそばにインストールされます。
多くのバイナリ配布でもやはり自動的にインストールします。正しくインストール
されているかどうかを確認するにはhttpd.conf
にある、mod_dav_svnのLoadModule
ディレクティブのすぐ後に来ていることを確認してください:
LoadModule dav_module modules/mod_dav.so LoadModule dav_svn_module modules/mod_dav_svn.so LoadModule authz_svn_module modules/mod_authz_svn.so
このモジュールを有効にするには AuthzSVNAccessFile
ディレクティブを使うためにLocation
ブロックを
設定する必要があります。このディレクティブはリポジトリにある
パスのパーミッションが書かれたファイルを指定します。(すぐあとで
このファイルの形式について議論します。)
Apache は柔軟なので三つの一般的なパターンのどれかにブロックを 設定することができます。まず基本的な設定パターンの一つを選びます。 (以下の例は非常に単純です; Apache の認証と認可の設定の詳細に ついては Apache 自身のドキュメントを参照してください。)
最も単純なブロックはすべての人に対して自由にアクセスすることを 許すものです。このやり方では Apache は認証要求を送信することは ないのですべてのユーザは「匿名」として扱われます。
例 6.1. 匿名アクセスの設定例。
<Location /repos> DAV svn SVNParentPath /usr/local/svn # our access control policy AuthzSVNAccessFile /path/to/access/file </Location>
この対極にある設定方法として、すべての人にたいして認証要求するための
ブロックを設定することもできます。すべてのクライアントは自身を特定
するための証明を送る必要があります。ブロックはRequire valid-user
ディレクティブによって無条件に認証を要求し、またその方法を定義します。
例 6.2. 認証つきアクセスの設定例。
<Location /repos> DAV svn SVNParentPath /usr/local/svn # our access control policy AuthzSVNAccessFile /path/to/access/file # only authenticated users may access the repository Require valid-user # how to authenticate a user AuthType Basic AuthName "Subversion repository" AuthUserFile /path/to/users/file </Location>
三番目の非常に一般的な方法は認証つきアクセスと匿名アクセスの組合せ
によるものです。たとえば多くの管理者はあるリポジトリのディレクトリを
誰でも読めるようにしたいが、もっと重要な場所については認証された
ユーザのみが読めるように(あるいは書き込めるように)したいと考えます。
このような設定ではすべてのユーザはまずは匿名でリポジトリにアクセスし
ます。ある時点で本当のユーザ名を要求しなくてはならないアクセスが
発生すると、Apache はクライアントから認証を要求します。このためには
Satisfy Any
ディレクティブと
Require valid-user
ディレクティブの両方を使います。
例 6.3. 認証つき/匿名の両方でアクセスする場合の設定例。
<Location /repos> DAV svn SVNParentPath /usr/local/svn # our access control policy AuthzSVNAccessFile /path/to/access/file # try anonymous access first, resort to real # authentication if necessary. Satisfy Any Require valid-user # how to authenticate a user AuthType Basic AuthName "Subversion repository" AuthUserFile /path/to/users/file </Location>
いったん基本的な Location
ブロックが設定されて
しまえばその中にアクセスファイルを作り、認証の規則を定義すること
ができます。
アクセスファイルの形式はsvnserve.confや
実行時設定ファイルで利用されるのと同じです。
ハッシュ文字(#
)で始まる行は無視されます。
一番単純な形では、それぞれのセクションはリポジトリ
とのその中にあるパスの名前を決め、認証用のユーザ名はセクションごと
の中にくるオプション名になります。それぞれのオプションの値は
リポジトリパスにアクセスするユーザレベルを記述します; r
(読み込み専用)か、 rw
(読み書き可能)のどちらか
になります。ユーザがまったく含まれていなければ、アクセスは全面的
に禁止されます。
もっと具体的に言うと; セクション名は[repos-name:path]
か、[path]
の形になります。SVNParentPath
ディレクティブを使っている場合はセクション中でリポジトリ名を指定するのが
重要です。それを省略すると[/some/dir]
のようなセクション
は すべてのリポジトリのパス /some/dir
にマッチしてしまいます。しかしSVNPath
ディレクティブ
を使っている場合はセクションで唯一のパスを定義するのが良い方法です—
結局そこには唯一のリポジトリしか無いのですから。
[calc:/branches/calc/bug-142] harry = rw sally = r
この最初の例ではユーザ harry
はcalc
リポジトリ中の
/branches/calc/bug-142
ディレクトリに対して完全な読み書きアクセスが可能ですが、
sally
は読み出し
アクセスのみです。それ以外のユーザにはこのディレクトリのアクセスは
禁止されます。
もちろんパーミッションは親ディレクトリから子ディレクトリに継承 されます。これは Sally のために、サブディレクトリ中では異なる アクセス方式を指定することができるという意味です:
[calc:/branches/calc/bug-142] harry = rw sally = r # give sally write access only to the 'testing' subdir [calc:/branches/calc/bug-142/testing] sally = rw
これで Sally はブランチのtesting
サブディレクトリ
では書き込みができますが、ディレクトリのほかの部分では依然として読み出し
のみが可能です。一方 Harry はブランチ全体に対して依然として
完全な読み書きアクセスが可能です。
ユーザ名変数を設定しなければ、他の人を継承の規則に従って許可する のを明示的に拒否することもできます:
[calc:/branches/calc/bug-142] harry = rw sally = r [calc:/branches/calc/bug-142/secret] harry =
この例では Harry はbug-142
のツリーに
対して完全な読み書きアクセスが可能ですが、その中のサブディレクトリ
secret
にはまったくアクセスできません。
留意しておくことは、一番詳しく指定したパスが常に最初にマッ チするということです。mod_authz_svnモジュー ルはまず最初にパス自身にマッチするかどうかを調べ、次にその親 ディレクトリ、さらにその親ディレクトリ、と調べていきます。結 果はアクセスファイル中の具体的なパスが有効になると、親ディレ クトリから引き継いでいるパーミッション情報は常に上書きされて しまいます。
デフォルトでは、誰であれリポジトリに対するすべてのアクセスは禁止
されます。これは、もし空のファイルで始めた場合、リポジトリのルート
ですべてのユーザに対して少なくとも読み出しパーミッションを与えたい
だろうということを意味します。これはアスタリスク変数(*
)
を使って、「すべてのユーザ」をあらわすことで可能です。
:
[/] * = r
これはよくある設定です; セクション名の中にリポジトリ名が存在しないことに
注意してください。これはSVNPath
を使っていようが
SVNParentPath
を使っていようが、すべてのリポジトリが
すべてのユーザによってどこからでも読み込めるようにします。
すべてのユーザがリポジトリに読み込みアクセスできるようになってしまえば
特定のリポジトリの特定のサブディレクトリに特定のユーザが読み書き可能と
するため、明示的に rw
の許可を与えることができます。
アスタリスク変数 (*
) も特に注意しておく価値があります:
それは匿名ユーザにマッチするような 唯一のパターン
です。Location
ブロックで匿名と認証されたアクセスの
組合せを許すように設定した場合、すべてのユーザは Apache に対して匿名で
アクセスするところから話が始まります。
mod_authz_svn はアクセスするパスのために
定義された *
の値を探します; みつからなければ
Apache はクライアントに対して実際に認証要求を出します。
アクセスファイルでもユーザのグループ全体を定義することが
てきます。これは Unix の/etc/group
ファイルと
良く似た形式です:
[groups] calc-developers = harry, sally, joe paint-developers = frank, sally, jane everyone = harry, sally, joe, frank, sally, jane
グループを使ってユーザと同じようにアクセス制御することができ、この場合
グループであることを示す「アットマーク」(@
)を先頭に付けます:
[calc:/projects/calc] @calc-developers = rw [calc:/projects/paint] @paint-developers = rw jane = r
グループは他のグループを含むように定義することもできます:
[groups] calc-developers = harry, sally, joe paint-developers = frank, sally, jane everyone = @calc-developers, @paint-developers
...これでほとんどすべてです。
mod_dav_svnモジュールには、「読み込み禁止」 のしるし がついたデータが間違って外部に漏れないようにいろいろな工夫がしてありま す。これは、 svn checkout や svn update のようなコマンドからの戻り値となるすべてのパス名とファイルの内容を綿密に チェックする必要があることを意味します。このようなコマンドが認可のポリシーに よって読み込むべきではないファイルパス名に出会うと、通常は完全にそれを 無視します。履歴や名称変更を追うようなコマンドの場合— 例えばずっと 昔に名称変更されたファイルに対して svn cat -r OLD foo.c のようなコマンドを実行するような場合など— 名称変更の履歴は、その ようなファイルの以前の名前に読み込み制約がある場合には、単に異常終了して しまいます。
このようなすべてのパス名に対するチェックは場合によっては非常に効率の悪
いものになり、特にsvn logコマンドではそうです。リビ
ジョンの一覧を取得する場合、サーバはすべてのリビジョンのすべての変更さ
れたパスを見てそれらが読み込み許可されているかどうかを調べます。許可さ
れていないパスが見つかるとリビジョンの変更のあったパスの一覧からは除外
され(これは通常--verbose
オプションで見ることのできる
ものです)、ログメッセージ全体が表示されなくなります。言うまでもありま
せんが、たくさんのファイルのあるリビジョンでは多くの時間を消費します。
しかしこれはセキュリティーを保つための代償です:
mod_authz_svnのようなモジュールをまったく設定してい
ない場合でも、やはり mod_dav_svnモジュールがApache
の httpd に対してすべてのパスについての認可チェック
をするように要求します。mod_dav_svnモジュールは具体
的にどんな認可モジュールがインストールされているかは知らないので、単に
Apache に対して、もしそのようなものがあるなら実行するようにと依頼する
だけです。
一方、これに関する逃げ道もやはりあって、セキュリティーよりも効率を重視
するようにも設定できます。ディレクトリごとの認可の仕組みをまったく利用
しないのなら(たとえば mod_authz_svn やそれに類似
のモジュールを使わないのなら)、このパス名に対するチェックを完全に無効に
することもできます。httpd.conf
ファイルで、
SVNPathAuthz
ディレクティブを使ってください:
例 6.4. Disabling path checks altogether
<Location /repos> DAV svn SVNParentPath /usr/local/svn SVNPathAuthz off </Location>
SVNPathAuthz
ディレクティブはデフォルトでは 「on」 です。
「off」 に設定するとすべてのパス名にもとづいた認可のチェックが禁止されます;
mod_dav_svnはすべてのパスについて認可のチェックをしなく
なります。
ここまで Apache と mod_dav_svn のための認証と認可のオプショ ンの大部分を説明してきました。しかし Apache が用意している、さらに いくつかのすばらしい機能があります。
Subversion リポジトリでApache/WebDAVの設定による一番の恩恵は
バージョン化されたファイルやディレクトリの最新リビジョンがウェブブラウザ
から直接参照可能だということです。Subversion は URL をバージョン化された
資源を特定するために利用するので、そのような HTTPベースのリポジトリアクセス
に利用される URL はウェブブラウザから直接入力することが可能です。ブラウザは
その URLに対してGET
要求を発行し、その URL がバージョン化
されたディレクトリであるかファイルであるかに応じてmod_dav_svnはディレクトリ
の一覧またはファイルの内容を表示します。
URL は見たいと思うリソースのバージョンについての情報は含まれていない ので mod_dav_svn は常に最新のバージョンで答えます。この機能は Subversion URL をドキュメントの参照先として渡すことができ、その URL は常にドキュメントの最新を指すことになる、というすばらしい効果も あります。もちろん他のウェブサイトからのハイパーリンクとして URL を 利用することもできます。
一般的には、(ディレクトリへのURLに比べて) バージョン化されたファイルへ
のURLのほうをよく使うことになるでしょう—結局のところ、関心のある内容
がありそうな場所は、そこなのですから。
しかし、Subversion のディレクトリ一覧を参照する機会はあるかも知れず、
その場合すぐに一覧表示で生成される HTML は非常に基本的なもので、美の追求
(や、何か面白いことをやらかそうということ)を目的としているわけではないの
に気づくでしょう。このディレクトリ一覧をカスタマイズするために、
Subversion は XML インデックス機能を用意しています。
httpd.conf
中で、リポジトリのLocation
ブロック中で単一のSVNIndexXSLT
ディレクティブを使うと
mod_dav_svn に対して、ディレクトリ一覧表示時に XML 出力を生成し、
好きな XSLT スタイルシートを参照するように設定することができます:
<Location /svn> DAV svn SVNParentPath /usr/local/svn SVNIndexXSLT "/svnindex.xsl" … </Location>
SVNIndexXSLT
ディレクティブとクールな XSLT スタイル
シートを使ってディレクトリ一覧をウェブサイトのほかの部分で利用されている
色スキーマや画像に一致させることができます。あるいは、もし望むなら
Subversion ソース配布中のtools/xslt/
ディレクトリ
にあるサンプルスタイルシートを使うこともできます。 SVNIndexXSLT
ディレクトリで指定されるパスは実際の URL パスであることに注意してください
— ブラウザはそれを利用するためにはスタイルシートが読める場所に
なければなりません!
堅牢なウェブサーバとして Apache で既に提供されている機能のいくつかは Subversion においても機能とセキュリティーの向上につながります。 Subversion は Neon というSSL(安全なソケット層。既に述べました)や 圧縮(gzipや PKZIPと同じような アルゴリズムを使ってファイルより小さなデータの塊に「縮める」 こと)のような仕組みをサポートした一般的なHTTP/WebDAV ライブラリを使って Apache と通信します。やらなくてはならないことは 単にSubversionとApacheで必要な機能をコンパイルし、そのような機能を使える ように正しくプログラムを設定することだけです。
圧縮の仕組みは、実際のサイズを減らすためのネットワーク転送データの圧縮と 解凍処理でクライアントとサーバに少し負荷をかけます。ネットワークの帯域 が細い場合この圧縮はサーバとクライアント間の転送スピードを非常に大きく することができます。極端な場合このデータ転送量の現象は、操作がタイムアウト してしまうか、完了するかの違いになることさえあります。
それほどは面白くありませんが、やはり有用なことは Apache と Subversion に関係したその他の機能で、たとえば特定のポートを指定する機能( デフォルト HTTP ポートである 80 のかわりに)や、Subversion リポジトリが アクセスする仮想ドメイン名の機能や、プロキシ経由でリポジトリにアクセス する能力などがあります。これらはすべて Neon でサポートされているので、 Subversion は自由にその機能を利用することができます。
最後にmod_dav_svnは、ほぼ完全なWebDAV/DeltaV の方言を利用することができるのでサードパーティー製の DAV クライアント を経由してリポジトリにアクセスすることもできます。ほとんどのモダンな オペレーティングシステム(Win32, OS X そして Linux)では標準ネットワーク を「共有」することによって DAV サーバをマウントする組み込みの機能があります。 これは複雑な話題です; 詳細は付録 B. WebDAV と、自動バージョン化を読んでください。
いろいろな異なる方法でどのようにしてリポジトリにアクセスするかを見て きました。しかし、複数の方法で同時にあるリポジトリにアクセスすることは 可能—あるいは安全に—なのでしょうか? 答えはイエスです。少し ばかり慎重になる必要はありますが。
ある時刻において、以下のようなプロセスがあなたのリポジトリに対して 読み出しアクセス、あるいは書き込みアクセス要求を出しているかも知れません :
Subversion クライアントを使って
(自分自身の名のもとに)file:///
URLを
指定することで直接リポジトリにアクセスする通常のユーザによって:
リポジトリにアクセスするプライベートに SSH-起動されたsvnserve プロセスに接続する通常のシステムユーザによって:
デーモンとして、またはinetdによって起動されたsvnserve プロセスが、特定の固定されたユーザとして実行されることによって:
Apache httpd プロセスが、特定の固定されたユーザとして実行 されることによって
管理者が直面する一番よくある問題はリポジトリの所有権とパーミッションです。
上のリストにあるすべてのプロセス(あるいはユーザ)は Berkeley DB ファイルに対する
読み書きの権限を持っていますか? あなたが Unix風のオペレーティングシステム
を使っているとして、一番素直な解決方法は、すべての潜在的なリポジトリユーザ
を新しいsvn
グループに入れてしまい、リポジトリをその
グループによって完全に所有されている形にしてしまうことです。しかし
それだけでは十分ではありません。プロセスはデータベースファイルに、排他的な
umask で書き込むかも知れません—それは他のユーザがアクセスするのを
妨害してしまいます。
それでリポジトリユーザの共通グループ設定の後の次のステップはすべてのリポジトリ
アクセスプロセスで、正しい umask を使うことです。リポジトリに直接アクセスする
ユーザの場合はsvnプログラムをくるんでしまうスクリプトを
作り、その先頭でumask 002を設定してから実際のsvn
クライアントプログラムを実行すれば良いでしょう。同様のラッパースクリプトを
svnserveについても書き、Apache の起動スクリプト
apachectl
の先頭にもumask 002コマンドを
追加しましょう。たとえば:
$ cat /usr/bin/svn #!/bin/sh umask 002 /usr/bin/svn-real "$@"
また別のよくある問題が Unix風システムではよく起こります。
リポジトリが利用されると BerkeleyDB は必要におうじて新しい
ログファイルを作り動作を記録します。リポジトリ自体は
完全にsvnグループによって所有されていても
このようにして新規に作られたファイルが同じグループによって
所有される必要はありません。これが理由でユーザにとっては
また別のパーミッションの問題がおこります。うまい回避策としては
リポジトリのあるdb
ディレクトリにたいして
グループ SUID ビットを立てることです。これによって
すべての新たに作成されるログファイルは親ディレクトリと
同じ所有グループになります。
いったんこの問題を乗り越えてしまえば、あなたのリポジトリは すべての必要なプロセスからアクセスすることができるようになって いるはずです。少し面倒で複雑ですが、複数のユーザが書き込みアクセス を共有することで起こる問題は、しばしばきれいに解くことができない 古典的な問題です。
ありがたいことに、ほとんどのリポジトリ管理者はそのような複雑な
設定をする必要はないでしょう。
同じマシン上にあるリポジトリにアクセスしたいと思うユーザは
file://
アクセス URL を利用することに制限されて
いるわけではありません— http://
や
svn://
URL中にサーバ名として localhost
を指定する形でApache HTTP サーバやsvnserve
を使うこともできるのです。そして複数のサーバプロセスを Subversion
リポジトリのために管理することは頭痛の種を増やすだけのことです。
自分のニーズに本当に合ったサーバ構成を選択し、そこにしがみついて
離れない、これがおすすめの方法です!
[22] この問題は実際によくある質問で、サーバの設定に間違いがあると起こります。
[23]
ここでもよくある間違いは認証確認を決して要求しないようにサーバを
間違って設定してしまうというものです。この場合ユーザが
--username
と --password
オプション
をクライアントに渡しているのにそれが利用されないという状況に驚くでしょう。
つまり新しいリビジョンは依然として匿名でコミットされているように見える
わけです!
[24] RFC 2195を参照してください
[25] 彼らはそういう作業を本当に嫌います。
[26] 自己サイン付きサーバ証明書は、「中間偽装」攻撃に対しては やはり脆弱ですが、そのような攻撃は、暗号化されていないパスワードを 盗聴するタイプのものに比べてはるかに困難です。
[27]
セキュリティーにもっと神経質な人はクライアント証明書用パスワード
を実行時servers
ファイルに格納するのを嫌がる
でしょう。
目次
もし、この本を章ごとに、最初から最後まで読んでいるのなら、 もうあなたは、ほとんどのバージョン管理操作を実行するために Subversionクライアントを使うための十分な知識を持っているはずです。 どのようにして、Subversionリポジトリから作業コピーをチェックアウト するかを理解しているはずです。svn commit や svn updateを使った変更点の送受信になじんでいる はずです。そして多分、ほとんど無意識にsvn status を実行してしまうような反射神経さえ身についているかも知れません。 どんな意図や目的に対しても、典型的な環境でSubversionを使う用意が できているはずです。
しかし、Subversionの機能セットは、「普通のバージョン管理操作」 で終わるわけではありません。
この章ではいくつかのSubversionの機能で、それほど頻繁には利用されない ようなものをとりあげます。その中で、Subversionの属性(あるいは 「メタデータ」)のサポートについて議論し、どのようにして Subversionのデフォルトの振る舞いを実行時設定領域の調整によって変更 することができるかを見ます。また、どのように外部定義を使って、 複数のリポジトリからデータを引っぱってくるようにSubversionに命令 するかを説明します。そして、Subversionのパッケージの一部である、 追加のクライアント側、サーバ側のツールのいくつかの詳細にも触れます。
この章を読む前に、Subversionで基本的なファイルとディレクトリに関する バージョン管理の能力についてなじんでいるべきです。もしまだそれについて は読んでいないか、復習が必要なら、章 2. 基本概念 と 章 3. 同伴ツアー を読むことをお勧めします。 一度基本をマスターしてからこの章を消化すれば、あなたはもうSubversion のパワーユーザです。
Subversionはたくさんのオプションの振る舞いを用意していて、それはユーザに よって制御することができます。そのようなオプションの多くはユーザがすべての Subversion操作に適用したいと思うようなことです。それで、このようなオプション を指定するためにユーザにコマンドライン引数を思い出させるように強いるよりも また、実行しようとするすべての操作に対してそれらを使うよりも、Subversionは 定義ファイルを使います。それはSubversionの定義領域に分離されているものです。
Subversionの設定領域 は二層に分かれたオプション名と 値の階層です。普通、これは定義ファイル (最初の 層)を含む特別なディレクトリに要約してあり、それは標準的なINI形式の テキストファイルにすぎません。(そこには「sections」 があり、 それが第二層になります)これらのファイルは好きなテキストエディタを 使って簡単に編集することができます。(emacs とか vi とか) そして、クライアント によって読み出される命令を含んでいて、ユーザが好むさまざまなオプションの 振る舞いをどうするかを決定します。
svnコマンドラインクライアントが最初に実行されると、
それはユーザごとの構成領域を作ります。Unix風のシステムなら、この領域は
ユーザのホームディレクトリに、.subversion
という名前の
ディレクトリとして用意されます。Win32システムでは、Subversionは
Subversion
という名前のフォルダを作ります。普通には
ユーザプロファイルディレクトリ(これは通常は隠れたディレクトリになりますが)
のApplication Data
領域
の内部になります。しかし、このプラットフォームでは、完全な場所はシステム
ごとに違っていて、本当の場所はWindowsレジストリ
[28]
に設定されています。
ユーザごとの設定領域は、Unix での名前である.subversion
を使って参照することにします。
ユーザごとの設定領域に加えて、Subversionはシステム全体の設定領域も
理解することができます。これはシステム管理者にあるマシン上での
すべてのユーザに対するデフォルトを設定する力を与えます。システム全体
の設定領域は必須のポリシーがあるわけではありません—ユーザ
ごとの設定領域は、システム全体の領域を上書きし、svn
プログラムに与えるコマンドライン引数は振る舞いを決める最後の場所に
なります。Unix風のプラットフォームでは、システム全体の設定領域は
/etc/subversion
ディレクトリにあると期待されて
います。Windows マシンの場合は共通アプリケーション データ
領域の内部にある
Subversion
ディレクトリを見に行きます
(このディレクトリもWindows レジストリによって指定されます)。
ユーザごとの場合と違って、svn プログラムは
システム全体の設定領域を作ろうとはしません。
.subversion
ディレクトリは現在のところ
三つのファイルを含んでいます—二つの設定ファイル
(config
と
servers
です)、それに
README.txt
ファイルで、これはINI形式を
説明するものです。それらの生成時には、ファイルはSubversion
がサポートするそれぞれのオプションのデフォルト値が入っており、
ほとんどがコメントアウトされていて、さらに、どのようにキーに対する
値がSubversionの振る舞いに影響するかということについて、テキストの
説明付きでグループ化されています。何かの振る舞いを変えるためには
関連する設定ファイルをテキストエディタで開き、必要なオプション値で
修正することだけが必要です。
もし設定をデフォルトに戻したい場合は、いつでも単にその設定ディレクトリを
削除し、何か無害なsvnコマンド、たとえば
svn --versionのようなものを実行することができます。
新しい設定用ディレクトリがデフォルト値を含む形で生成されます。
ユーザごとの設定領域は認証データのキャッシュも含みます。auth
ディレクトリは Subversionでサポートされているさまざまな認証方法で利用される
キャッシュ情報の要素を含むサブディレクトリの集まりを保持します。
このディレクトリはユーザ自身だけがその内容を読むことができるような形に
作成されます。
普通の INIベースの設定領域に加えて、Windowsプラットフォーム上で実行されて いるSubversionクライアントはWindowsのレジストリも設定データを格納する場所 として利用することができます。オプション名とその値は INIファイル中と同じ です。「file/section」 の階層関係も保存されます。わずかに異なる 方法によりますが—この方法では、ファイルとセクションは単にレジストリ キーのツリーの階層にしかすぎません。
Subversionはシステム全体の設定値を
HKEY_LOCAL_MACHINE¥Software¥Tigris.org¥Subversion
キー
の元で検索します。たとえばglobal-ignores
オプション、
これはconfig
ファイルのmiscellany
セクションにありますが、HKEY_LOCAL_MACHINE¥Software¥Tigris.org¥Subversion¥Config¥Miscellany¥global-ignores
に見つけることができます。
ユーザごとの設定値は
HKEY_CURRENT_USER¥Software¥Tigris.org¥Subversion
.
の下に格納されるはずです。
レジストリベースの設定オプションは、ファイルベースの残りの部分を 検索する前に 検索されます。それで、 このようなオプションは、設定ファイル中で見つかった値によって上書き されます。言い換えると、設定のプライオリティは Windowsシステムの 場合、以下の順序となることが保証されています:
コマンドラインオプション
ユーザごとのINIファイル
ユーザごとのレジストリ値
システム全体のINIファイル
システム全体のレジストリ値
また、Windowsレジストリは「コメントアウト」
のような概念をサポートしていません。しかし、Subversionは、
キーの名前がハッシュ文字(#
) で始まるような
すべてのオプションを無視します。これで実際にはSubversionのオプション
を、レジストリから完全にキーを消さずにコメントアウトすることができます。
明らかに、そのオプションの設定作業は簡単にしています。
svn コマンドラインクライアントはWindowsの
レジストリに書き込むことは決してありませんし、そこに
デフォルトの設定値を作ろうともしません。必要なキーは
REGEDITプログラムで作ることができます。他の方法
としては、.reg
ファイルを作り、エクスプローラ
シェルからそのファイルをダブルクリックすると、そのデータが
レジストリにマージされます。
例 7.1. レジストリエントリ(.reg) ファイルの例
REGEDIT4 [HKEY_LOCAL_MACHINE¥Software¥Tigris.org¥Subversion¥Servers¥groups] [HKEY_LOCAL_MACHINE¥Software¥Tigris.org¥Subversion¥Servers¥global] "#http-proxy-host"="" "#http-proxy-port"="" "#http-proxy-username"="" "#http-proxy-password"="" "#http-proxy-exceptions"="" "#http-timeout"="0" "#http-compression"="yes" "#neon-debug-mask"="" "#ssl-authority-files"="" "#ssl-trust-default-ca"="" "#ssl-client-cert-file"="" "#ssl-client-cert-password"="" [HKEY_CURRENT_USER¥Software¥Tigris.org¥Subversion¥Config¥auth] "#store-auth-creds"="no" [HKEY_CURRENT_USER¥Software¥Tigris.org¥Subversion¥Config¥helpers] "#editor-cmd"="notepad" "#diff-cmd"="" "#diff3-cmd"="" "#diff3-has-program-arg"="" [HKEY_CURRENT_USER¥Software¥Tigris.org¥Subversion¥Config¥miscellany] "#global-ignores"="*.o *.lo *.la #*# .*.rej *.rej .*‾ *‾ .#* .DS_Store" "#log-encoding"="" "#use-commit-times"="" "#template-root"="" "#enable-auto-props"="" [HKEY_CURRENT_USER¥Software¥Tigris.org¥Subversion¥Config¥tunnels] [HKEY_CURRENT_USER¥Software¥Tigris.org¥Subversion¥Config¥auto-props]
この例は、.reg
の内容を示した例ですが、その
中には、よく利用される設定オプションの大部分とそのデフォルト値が
あります。システムの設定(たとえばネットワークプロキシに関するオプション)
と、ユーザごとの設定(利用するエディタ、パスワード、など)の両方が
あることに注意してください。さらにすべてのオプションは、コメントアウト
されていることにも注意してください。オプション名の先頭のハッシュ文字
(#
) を取り除くだけで、望んでいる値に設定することが
できます。
この章では、特定の実行時オプションについて議論します。現在Subversion がサポートしているものについてです。
servers
ファイルはSubversionの設定オプションで、
ネットワーク層に関係したものを含んでいます。二つのセクション名がその
ファイルにはあります—groups
とglobal
です。groups
セクションは、要するにクロスリファレンスの
テーブルです。このセクションのキーは、ファイル中にある別のセクションの名前
です。その値はグロブ—ワイルドカードを含んで
いるかも知れないテキストトークンです—で、Subversionの要求が送信
されるマシンのホスト名称と比較されます。
[groups] beanie-babies = *.red-bean.com collabnet = svn.collab.net [beanie-babies] … [collabnet] …
Subversionがネットワーク越しに利用される場合、groups
セクションにあるグループ名に合うサーバ名称とマッチするものを探します。
もしマッチした場合はSubversionは次に、その名前がグループ名称とマッチした
servers
ファイル中のセクションを探します。そして
そのセクションから実際のネットワーク設定オプションを読み出します。
global
セクションはgroups
セクション
のどのグロブにも当てはまらなかったすべてのサーバに対する
設定があります。このセクションで使えるオプションは、ファイルの別の
サーバセクションで利用できるものとまったく同じです。(ただし、
もちろん、groups
セクションは例外です)
以下のような感じです:
http-proxy-host
これは、プロキシコンピュータのホスト名称で、HTTPベースのSubversion はそこを通じて通信しなくてはなりません。デフォルトは空で、それは Subversionはプロキシを通してHTTP要求せず、直接、目的のマシンと 通信しようとすることを意味しています。
http-proxy-port
これは、利用するプロキシホストのポート番号を指定します。 デフォルトは空です。
http-proxy-username
これは、プロキシマシンで必要なユーザ名を指定します。 デフォルトは空です。
http-proxy-password
これは、プロキシマシンで必要なパスワードを指定します。 デフォルトは空です。
http-timeout
これはサーバ応答を待つ時間の最大値を秒単位で指定します。
もし、Subversionの操作がタイムアウトしてしまうような低速の
ネットワーク接続に関係した問題を抱えている場合、この
オプションの値を増やしてみてください。デフォルト値は
0
で、この場合、HTTPライブラリである
Neonにデフォルトのタイムアウト値を使うように指示します。
http-compression
これは、DAVが有効なサーバで、Subversionがネットワーク要求データを
圧縮するかどうかを指定します。デフォルト値はyes
(ただし、圧縮はネットワーク層のコンパイル時に有効になっていなくては
なりませんが、)です。no
に設定すると圧縮は
無効になりますが、これはネットワーク転送のデバッグ時などに使います。
neon-debug-mask
これは、整数値のマスクで、HTTPライブラリNeon がどのようなタイプの
デバック出力を生成するかを指定するものです。デフォルトは
0
で、すべてデバッグ出力を無効にします。Subversion
がNeonをどのように使うかについての詳細は
章 8. 開発者の情報を見てください。
ssl-authority-file
これは HTTPS 経由でリポジトリにアクセスするときに Subversion クライアントによって受け入れられる認証機関(あるいは CA)の 証明書を含むファイルパスのリストをセミコロンで区切ったものになります。
ssl-trust-default-ca
Subversion が自動的に OpenSSL に付いているデフォルトのCA を信用する
ようにしたい場合にはこの変数をyes
にしてください。
ssl-client-cert-file
ホスト(あるいは何台かのホスト)が SSL クライアント証明書を要求する場合 普通は証明書のあるパスを入力するようにユーザにうながします。そのパスを この変数に設定すると Subversion はユーザの入力なしにクライアント証明書 を自動的に探すことができるようになります。証明書をディスク上に保存する ための標準的な場所はありません; Subversion は指定したどのようなパスから でもそれを取得することができます。
ssl-client-cert-password
SSL クライアント証明書ファイルがパスフレーズで暗号化されている場合
Subversion はその証明書を利用するたびにパスフレーズの入力を求めます。
これが嫌なら(そしてservers
ファイル中に
自分のパスワードを保存するのが嫌でなけれぱ)、この変数に証明書の
パスフレーズを設定することができます。これでパスフレーズを聞かれる
ことはなくなります。
config
ファイルは、Subversion実行時
オプションのうち、現在利用できる残りのもので、ネットワークに
関連するもの以外が含まれています。現時点ではいくつかのオプション
が利用できるだけですが、今後の追加を考えて、別のセクションとして
グループ化してあります。
auth
セクションはSubversionのリポジトリに対する
認証と許可に関係した設定があります。それは:
store-passwords
これはSubversionにサーバ認証チャレンジに対してユーザが
入力するパスワードをキャッシュするかどうかを指示します。
デフォルトはyes
です。no
に
設定するとディスク上でのパスワードのキャッシュを無効にします。
このオプションはsvn コマンドインスタンスのどれか
で--no-auth-cache
を使うと上書きすることができます。
(あるいはこの引数をサポートしているコマンドであればどれでも)。
詳細はクライアント証明のキャッシュ項を参照してください。
store-auth-creds
この設定は store-passwords
と同じですが、ディスク上
にキャッシュする すべての認証情報を有効にしたり
無効にするところが違います。このような情報にはユーザ名、パスワード
サーバ証明書、その他のキャッシュ可能な認証情報すべてが含まれます。
helpers
セクションはSubversionがどの
外部アプリケーションをいくつかの処理で使うかを制御します。
このセクションで有効なものは:
editor-cmd
これはSubversionがコミット時のログメッセージを作るのにどのプログラムを
使うかを指定します。たとえば、svn commit が、
--message
(-m
)も
--file
(-F
) オプション
もなしで実行されたような場合です。このプログラムはまたsvn
propeditコマンドでも使います—一時的なファイルに
ユーザが編集したいと思う現在の属性値が書き込まれますが、これは
エディタの起動によって実行されます。(属性項
参照)。このオプションはデフォルトは空です。もしこのオプションが設定
されていないとSubversionは環境変数
SVN_EDITOR
,
VISUAL
, と
EDITOR
(この順序で)
を調べます。
diff-cmd
これは差分表示プログラムの絶対パスを指定します。このプログラムは Subversionが 「diff」 の出力を生成するのに利用 されるものです( svn diff コマンド実行時 などです)。デフォルトで Subversion は内部的な差分ライブラリを 利用します—このオプションによって外部プログラムを使って 処理するようになります。そのようなプログラムの使い方の詳細は 外部差分ツールの利用項を見てください。
diff3-cmd
これはスリーウェイ差分プログラムの絶対パスを指定します。Subversion はこのプログラムをリポジトリから受け取った、ユーザがした変更点を マージするのに使います。デフォルトで Subversion は内部的な差分 ライブラリを利用します—このオプションを設定すると、外部プログラムを 使って処理を実行するようになります。そのようなプログラムの使い方の 詳細は 外部差分ツールの利用項 を見てください。
diff3-has-program-arg
このフラグはdiff3-cmd
オプションが
--diff-program
パラメータを受け付ける場合には
true
を指定すべきです。
tunnels
セクションでは svnserve
とsvn://
クライアント接続を使った新しいトンネルスキーマを定義する
ことができます。詳細はSSH 認証と認可項を参照してください。
miscellany
セクションは他の場所に置けない
すべてのものの置き場所です。
[29]
このセクションには:
global-ignores
svn statusコマンドを実行するとSubversionは
バージョン化されないファイルとディレクトリをバージョン化されて
いるものと一緒に一覧表示します。このときバージョン化されていない
ことを?
文字で表現します。
(svn status項参照)。
ときどき、あまり興味のないバージョン化されないアイテムが表示されるのを
見るのを面倒に思うことがあります。
—たとえば、プログラムのコンパイルによってできるオブジェクトファイル
など—
global-ignores
オプションは空白で区切られたグロブの
リストで、バージョン化されていないのであればSubversionに表示して欲しく
ないものの名前の指定になります。デフォルトは
*.o *.lo *.la #*# .*.rej *.rej .*‾ *‾ .#* .DS_Store
です。
svn status のほか、
svn add、svn import
コマンドもリストにマッチするファイルを無視します。
どのコマンドでも--no-ignore
フラグを使うとこのオプションをその実行に限って上書きできます。
無視するアイテムについてのもっと細かい制御については
svn:ignore
項を見てください。
enable-auto-props
これは Subversion に新規追加またはインポートしたファイルの属性を
自動的に設定するように指示します。デフォルト値はno
なので有効にするにはyes
にしてください。
このファイルのauto-props
セクションはどの属性が
どのファイル上に設定されるかを指定します。
log-encoding
この変数はログメッセージをコミットするキャラクタセットのデフォルト
エンコーディングを設定します。これは --encoding
オプションを無条件に有効にするものです( svn のスイッチ項
参照)。Subversion リポジトリはログメッセージを UTF8 で保存し、あなたの
ログメッセージはあなたのオペレーティングシステムの独自のロカールを使って
書き込まれることを仮定しています。他のエンコーディングで書いたメッセージ
をコミットしたい場合には別のエンコーディングを指定すべきです。
use-commit-times
通常作業コピーのファイルはどんな操作をしたかにかかわらず最後に触った 時刻を反映したタイムスタンプを持ちます。これはエディタで編集したか、 他のsvnサブコマンドを使ったかにはよりません。 これは普通はソフトウェア開発者にとって便利なものですが、それは ビルドシステムはよくどのファイルが再コンパイルを必要としているか を決めるのにタイムスタンプを見るためです。
しかし別の状況ではリポジトリで変更された最終時刻を反映しているような
タイムスタンプが作業ファイルに振られているほうが便利であることも
あります。 svn exportコマンドは常に、このような
抽出したツリー上の 「最終コミット時間」 を振りますが、この設定変数を
yes
にすると、svn
checkout, svn update,
svn switch, そして svn
revertについても同様に、それらの操作が
触れたファイルに最終コミット時間を振るようになります。
auto-props
セクションは Subversion クライアントが追加
またはインポートしたファイルの属性を自動的に設定する能力を制御します。
そこには PATTERN = PROPNAME=PROPVALUE
の形をした
任意数のキー・属性値の組を置くことができますが、ここでPATTERN
はファイル名称にマッチするような正規表現で、行の残りの部分は対応する属性と
その値です。ファイルに複数の要素がマッチすれば、そのファイルに複数の属性が
設定されることになります; しかし設定ファイル中に列挙された auto-props が
その順序で適用されるかどうかの保証はないので一つの規則で別の規則を
「上書き」することはできません。config
ファイル中に、auto-props を使ったさまざまな例を見つけることができる
でしょう。最後に、auto-props を有効にするにはenable-auto-props
をyes
にするのを忘れずに。
既に、Subversionがどのようにしてリポジトリ中にあるファルイやディレクトリの いろいろなバージョンを格納し、抽出するかを詳しく見てきました。 すべての章はSubversionというツールによって提供されているこの一番基本的な機能に ささげられてきました。そして、もしバージョン管理のサポートがそれで終わりだと しても、Subversionはバージョン管理の観点からは完全なものであったろうと思います。 しかし話にはまだ先があります。
ディレクトリとファイルのバージョン管理に加えて、Subversionは バージョン化されたファイル、ディレクトリに付随したバージョン化された メタデータの追加、修正、削除のためのインターフェースを用意しています。 このようなメタデータを属性と呼びます。属性は 作業コピー中のアイテムごとに、名前と名前に結びついた任意の値の組から なる二つの列を持つテーブルとして考えることができます。 一般的に、名前が人間が読むことのできるテキストでなくてはならないことを 除けば、名前と属性値は自由に選ぶことができます。そして属性に関する 一番重要なことは、属性もまた、ファイルの内容と同様にバージョン管理できる ということです。テキストの変更点をコミットするのと同じくらい簡単に 属性の変更を、修正したりコミットしたり、取り消したりすることができます。 そして、作業コピーを更新するときに、他の人がした属性変更についても 受け取ることができます。
この節では、属性をサポートするユーティリティーについて説明します— —Subversionのユーザと、Subversionそのものに対しての説明になります。 属性に関連したsvn サブコマンドを理解し、属性の変更が 通常のSubversionのワークフローにどう影響するかを学びます。Subversionの 属性はあなたのバージョン管理の経験を広げるものであることが、きっと わかるでしょう。
属性は作業コピーにとても役に立つ情報を追加することができます。 実際、Subversion自身も特殊な情報を記録するのに属性を使っていて、 それはある特定の処理が必要になっていることを示すようなときに 使っています。同様に、ユーザは自分自身の目的のためにも属性を使う ことができます。もちろん属性でできることはすべて、バージョン化 したファイルでもできるのですが、まずは以下のようなSubversion属性の 使い方の例を見てください。
あなたは、たくさんのデジタル写真を見せるためのウェブサイトを設計していて、
タイトルと日付を付けて表示したいとします。ここで、写真の内容は常に
変化するので、このサイトの管理をできる限り自動化したいと思っています。
それぞれの写真は非常に大きいので、このような場合の常套手段として
あなたはサイトをおとずれた人に小さなサムネイルの画像を用意したいとします。
これを普通のファイルでやることもできます。つまり、ディレクトリに
image123.jpg
と image123-thumbnail.jpg
の両方を置けば良いのです。あるいは両方のファイル名称を一緒にして、
別ディレクトリにおいてもいいですね。
thumbnails/image123.jpg
のような感じです。
タイトルと日付についても同様の方法をとることができ、これもまた、もとの
画像ファイルとは別のものになります。すぐ、ファイルのツリーはごちゃごちゃ
になり、新しい写真がサイトに追加されるたびに、サイトのデータは何倍にも
膨れ上がります。
Subversionのファイル属性を使った同じ設定を考えてみましょう。
ある画像ファイルimage123.jpg
と、そのファイル
の属性として設定するcaption
、
datestamp
, そして
thumbnail
があるところを想像して
ください。こうすれは、作業コピーのディレクトリはもっと管理しやすく
なります—実際これで画像ファイル以外の何もないように
見えます。しかし、あなたの自動スクリプトはもっと多くのことを
知っています。それはsvn (あるいはさらに、
Subversion言語連携を使うこともできます—C と C++以外の言語の利用項
参照) を使って拡張情報を追加しますが、それはあなたのサイトが、
インデックスファイルを読んだり、
複雑なファイルパス操作の仕組みをいじることなしに、表示する必要がある
ものです。
Subversionの属性をどう使うかはあなたしだいです。既に指摘した ように、Subversionは自分自身が使う属性を持っていて、この章のあとで 少し説明します。しかし、まずは、svn プログラム を使って、どのように属性を操作するかを考えましょう。
svn コマンドにはファイルとディレクトリの属性 を追加したり修正したりするいくつかの方法があります。短い可読な属性を 新規に追加する一番簡単な方法は属性の名前と値をpropset サブコマンドで指定することです。
$ svn propset copyright '(c) 2003 Red-Bean Software' calc/button.c property 'copyright' set on 'calc/button.c' $
しかし、属性値に対してSubversionが持つ柔軟性については既にさんざん
言ってきました。もし、複数行テキスト、またはバイナリ値を属性値に
したいと考えているなら、コマンドラインからその値を入力したくはないと
思います。それでpropset サブコマンドは
--file
(-F
) オプションを使って、新しい属性値が入った
ファイルの名前を指定することもできます。
$ svn propset license -F /path/to/LICENSE calc/button.c property 'license' set on 'calc/button.c' $
属性で利用できる名前にはいくつかの制限があります。属性の名前は
文字、コロン(:
) あるいはアンダースコア(_
)
で始まり、その後では数字、ハイフン(-
)、ピリオド(.
)
も使えます。
[30]
propset コマンドに加えて、svn プログラムはpropedit コマンドも用意しています。 このコマンドは、設定されたエディタを使って(config項参照) 属性を追加したり修正したりします。 このコマンドを実行するとsvn は現在の属性値を書き込んだ 一時ファイルを作ってエディタを起動します。(新しい属性を追加する場合は これは空になります)。それから、自分が望むような値になるまで新しい属性値 をエディタを使って修正し、一時ファイルを保存してからエディタを抜けます。 Subversionは属性の値が変更されたことを確認すると、それを新しい属性値 として受け入れます。もしエディタを変更することなく抜ければ、属性値の 変更は起こりません。
$ svn propedit copyright calc/button.c ### exit the editor without changes No changes to property 'copyright' on 'calc/button.c' $
他のsvnコマンドと同様に、属性に関するこれらの コマンドも複数パスに対して一度に実行することができます。これは 一つのコマンドで複数のファイル上の属性を修正することを可能にします。 たとえば、以下のようなことができます:
$ svn propset copyright '(c) 2002 Red-Bean Software' calc/* property 'copyright' set on 'calc/Makefile' property 'copyright' set on 'calc/button.c' property 'copyright' set on 'calc/integer.c' … $
このような属性の追加や編集は、保管されている属性値を簡単に取得 できないなら、あまり便利ではありません。それで svn プログラムはファイルやディレクトリに保管された 属性の名前と値を表示するためのサブコマンドを二つ用意しています。 svn proplistはパス上に存在する属性の名前の一覧を 表示します。ノード上の属性名がわかってしまえば、個別に svn propgetを呼び出してその属性値を要求することが できます。このコマンドは与えられた(一つ以上の)パスと属性名 から、その属性値を標準出力に表示します。
$ svn proplist calc/button.c Properties on 'calc/button.c': copyright license $ svn propget copyright calc/button.c (c) 2003 Red-Bean Software
proplist コマンドの変種として、すべての属性の
名前と値の両方をリストするものがあります。これには単に、
--verbose
(-v
) オプションを指定すればOKです。
$ svn proplist --verbose calc/button.c Properties on 'calc/button.c': copyright : (c) 2003 Red-Bean Software license : ================================================================ Copyright (c) 2003 Red-Bean Software. All rights reserved. Redistribution and use in source and binary forms, with or without modification, are permitted provided that the following conditions are met: 1. Redistributions of source code must retain the above copyright notice, this list of conditions, and the recipe for Fitz's famous red-beans-and-rice. …
最後の属性関連サブコマンドは propdelです。Subversionは空の値を持つ属性を 格納することを許すので、propedit や propsetを使うだけでは、属性を削除することが できません。たとえばこのコマンドは期待される結果にはなりません :
$ svn propset license '' calc/button.c property 'license' set on 'calc/button.c' $ svn proplist --verbose calc/button.c Properties on 'calc/button.c': copyright : (c) 2003 Red-Bean Software license : $
属性の削除にはpropdel コマンドを使う必要が あります。構文は他の属性関連コマンドとよく似ています:
$ svn propdel license calc/button.c property 'license' deleted from ''. $ svn proplist --verbose calc/button.c Properties on 'calc/button.c': copyright : (c) 2003 Red-Bean Software $
これで、属性関連のsvn サブコマンドのすべてに ついて説明したので、日常的なSubversionワークフローに、属性の変更 がどのような影響を与えるかを見てみましょう。前に指摘したように ファイルとディレクトリの属性は、普通のファイルの内容と同様、 バージョン化されます。結果として、Subversionは他の人がした修正点を 自分自身の上にマージすることができます。—もちろん通常の マージと同様、うまくいくかも知れませんし、衝突するかも知れません。
そしてファイルの中身の場合と同じように、属性の変更はローカルな 修正にしかすぎず、svn commitでリポジトリに コミットして初めて修正が確定します。変更はやはり簡単に取り消す こともできます—svn revert コマンドは ファイルやディレクトリを編集前の状態に戻し、その内容、属性、 などすべてについてもそうです。さらに、 svn status や svn diff コマンドを使って、ファイルやディレクトリ属性の状態について 有用な情報を受け取ることができます。
$ svn status calc/button.c M calc/button.c $ svn diff calc/button.c Property changes on: calc/button.c ___________________________________________________________________ Name: copyright + (c) 2003 Red-Bean Software $
status サブコマンドがM
を最初のコラムではなく、二番目のコラムに表示するのに注意です。
これは、calc/button.c
の属性を修正したが、
ファイルの内容は変更していないことを示しています。
属性も内容も変更すれば、M
は、最初のコラム
にも二番目のコラムにも表示されます。
(svn status項参照)。
Subversionが現在の属性の差異を表示する標準的でない方法に 気づかれたかも知れません。 svn diff を実行して、出力をパッチファイルを 作るためにリダイレクトすることができます。patch プログラムは属性にたいするパッチを無視します—一般的に それは理解できないゴミをすべて無視します。これは不幸にも svn diffで生成されたパッチを完全に適用するには、 属性の修正については手で適用しなくてはならないということを意味します。
見たように、属性の修正は典型的なSubversionのワークフローにはあまり 大きな影響を与えません。作業コピーを更新し、ファイルとディレクトリの 状態をチェックし、自分のした変更点について報告し、そのような修正点を リポジトリにコミットするという一般的なパターンは属性の存在や非存在 とは完全に無関係です。 svnプログラムにはいくつかの 追加のサブコマンドがあり、実際に属性変更することができます。 しかし、それは、属性関連コマンドの目に見える唯一の非対象性です。
Subversionは属性について特別のポリシーを持っていません—どのような
目的にも使うことができます。Subversionは、svn:
という
プレフィックスの付いた属性名を使うのを禁じているだけです。これが、
Subversion自身が使う属性の名前空間です。実際、Subversionは、ファイルや
ディレクトリに特殊な効果をおよぼすようなある種の属性を定義しています。
この節ではこの神秘をときあかし、どうやってこれら特殊な属性が、あなたの
Subversionライフをちょっとだけ楽にするかについて説明します。
svn:executable
属性は半自動的なやり方で
バージョン管理されているファイルのファイルシステム上の実行
権限を制御するのに使われます。この属性は属性値を何も定義
しません—単に属性名が存在していれば、Subversionによって実行ビット
が保存されます。この属性を削除すると、実行ビットの全制御は
オペレーティングシステムに戻されます。
たくさんのオペレーティングシステム上で、コマンドとしてファイルを
実行できるかどうかは実行ビットの存在によって支配されています。
このビットは普通、デフォルトでは無効となっていて、必要に応じてユーザ
が明示的に有効にしてやる必要があります。作業コピー中では、新しい
ファイルが常に作られ、その一方で、更新処理を通じて存在している
ファイルの新しいバージョンを受け取ります。これは、あるファイルの
実行ビットを有効にしてから作業コピーを更新した場合、もし更新処理の
一貫としてそのファイルが変更されたときにその実行ビットは無効になって
しまう可能性があるということです。そこでSubversionは
svn:executable
属性を、実行ビットを
有効にし続けるために用意しています。
この属性はFAT32やNTFSのように実行権限ビットの概念を持たないファイルシステム
上では何の効果もありません。
[32]
また、それは定義された値を持ちませんが、Subversionはこの属性が設定される
と、強制的にその値を*
とします。最後に、この属性は
ファイルに対してのみ有効で、ディレクトリに対しては意味を持ちません。
svn:mime-type
属性は、Subversionではいろいろな
目的に使われます。ファイル自身のMultipurpose
Internet Mail Extensions (MIME) 上の分類の記憶場所で
あると同時に、この属性の値はSubversion自身のいくつかの動作モードを
決定します。
たとえば、ファイルのsvn:mime-type
属性が非テキスト
MIMEタイプである場合(例外はあるにせよ、一般的には、text/
以外で始まるような場合)、Subversionはファイル内容はバイナリであると仮定
します—つまり、可読ではない—。この利点の一つは、Subversion
が、作業コピー更新時に、サーバから受け取る変更点を、文脈に依存し行単位に
マージする機能を提供することです。しかし、バイナリデータと信じられて
いるファイルについては「行」のような概念はまったくありません。
それで、このようなファイルについては、Subversionは更新時に文脈マージを
実行しようとはしません。そのかわり、バイナリの作業コピーファイルを
修正し、それが更新される場合はいつでも、あなたのファイルは
.orig
拡張子を付けた形に名称変更され、
それからSubversionは更新で受け取る変更を含むが、あなた自身のローカルな
修正は含んでいない新しい作業コピーファイルを、もとの名前で保存します。
この振る舞いは、文脈マージできないファイルに文脈マージを
実行しようとする間違った意図からユーザを守るためです。
また、もしsvn:mime-type
属性が設定されていると、
SubversionのApacheモジュールはGET要求に応答するとき、HTTPヘッダの
Content-type:
にこの値を使います。これは
ブラウザを使ってリポジトリを調べるときに、そのファイルをどうやって
表示すれば良いかの重要な手がかりになります。
svn:ignore
属性はある種のSubversion操作が無視する
ファイルパターンのリストを含んでいます。多分もっともよく利用される
特殊属性で、global-ignores
実行時設定オプションと
ともに利用されます。
(config項参照)。
それを使って、バージョン化されていないファイルとディレクトリを
svn status、svn add、そして
svn importコマンドの対象から除外します。
svn:ignore
属性の背後にある理由は簡単に説明できます。
Subversionは、作業コピーディレクトリにあるすべてのファイルとサブディレクトリ
がバージョン管理下にあるとは仮定しません。リソースはsvn add
やsvn importコマンドを使って明示的にSubversion管理下に
置く必要があります。結果としてしばしば作業コピー中の多くのリソースが
バージョン管理下にないことがあります。
svn status コマンドは出力の一部として作業コピーに
あるバージョン化されていないファイルやサブディレトクリを、
global-ignores
オプション(あるいはその組み込みの
デフォルト値によって)によって、まだフィルタされていないものについてのみ表示します。
このように振る舞うのは、ユーザが、あるリソースをバージョン管理下に
追加するのを忘れたときに、そのことがわかるようにするためです。
しかしSubversionは無視すべきすべてのリソースの名前を推測できる わけではありません。さらに、非常によく、特定のリポジトリの、 すべての 作業コピー中で無視したいものが あったりします。そのリポジトリのすべてのユーザに、それぞれの実行時設定 領域に特定のリソースパターンを追加するように強いるのは、負担になる だけではなく、ユーザがチェックアウトした別の作業コピーの設定によって 壊れてしまう危険があります。
これを解決するには、あるディレクトリに現れるかも知れないリソースを 区別して無視できるようなパターンを、ディレクトリ自体に保存することです。 バージョン化されないリソースのよくある例で、基本的にはディレクトリごとに ユニークだが、現れることがあるのは、プログラムのコンパイルからの出力 などがあります。あるいは—この本自身を例にとれば—HTML, PDF, PostScriptファイルなどで、これらはあるDocBook XML入力ファイルを、もっと 読みやすい出力形式に変換した結果生成されるものです。
このような意味で、svn:ignore
属性が解決法に
なります。その値はファイルパターンの複数行のあつまりで、一行に
一つのパターンを書きます。属性は、パターンを適用したいと
思うディレクトリに設定されます。
[33]
たとえば、svn statusからの以下の出力が
あったとします:
$ svn status calc M calc/button.c ? calc/calculator ? calc/data.c ? calc/debug_log ? calc/debug_log.1 ? calc/debug_log.2.gz ? calc/debug_log.3.gz
この例では、button.c
に対する何かの属性の
変更をしましたが、作業コピー中にはいくつかのバージョン管理して
いないファイルもあります:ソースコードから
コンパイルしたcalculator
プログラム、
data.c
という名前のソースコード、そして、
デバッグ出力のログファイルです。これで、ビルドシステムは常に
calculator
を生成することを知っています。
[34]
そして、テストプログラムは常にこのようなデバッグログファイルを
残すことも知っています。このような事実はあなたのだけではなく、
どの作業コピーにとっても正しいことです。そしてsvn status
を実行するたびにこれらのファイルを見ることに興味があるのではないことも
知っています。それで、svn propedit svn:ignore calc
を使っていくつかの無視パターンをcalc
ディレクトリに
追加します。たとえばsvn:ignore
属性の新しい
値として、以下を追加するかも知れません:
calculator debug_log*
この属性を追加すると、calc
ディレクトリ上に
ローカルな属性変更を手に入れることができます。
しかし、svn status 出力について
何が変わったかに注意してください:
$ svn status M calc M calc/button.c ? calc/data.c
これで、見たくないファイルが出力から全部消えました。 もちろんこのようなファイルはまだ作業コピーにあります。 Subversion はそれが存在していて、バージョン管理下にないことについて は何も言いません。これで、表示からつまらないファイルを全部取り除く 一方、もっと注意する必要のあるアイテムについてはそのままにします— たとえば、バージョン管理下に追加するのを忘れたソースコードファイル などは、依然として表示されます。
無視するファイルを見たい場合は、Subversionに
--no-ignore
オプションを渡すことができます:
$ svn status --no-ignore M calc/button.c I calc/calculator ? calc/data.c I calc/debug_log I calc/debug_log.1 I calc/debug_log.2.gz I calc/debug_log.3.gz
無視されるパターンのリストはまたsvn add や svn importでも利用されます。これらの操作は Subversion にあるファイルやディレクトリの集まりを管理させることも 含まれます。ユーザがバージョン管理したいと思うファイルをツリー中 から明示的に選択させるかわりに Subversion は無視パターン規則を使って どのファイルバージョン管理システムから除外されるべきであるかを決定 します。この処理は再帰的なファイル追加処理やインポート処理の一環と して行なわれます。
Subversion はキーワードをファイル自身の内容と して置き換える機能があります—キーワードとは、バージョン化された ファイルについての役に立つ小さくて動的な情報です—。 キーワードは一般的にファイルが最後に修正された時刻についての情報を あらわしています。この情報はファイルが変更されるたびに変わり、さらに 重要なことにはファイルが変更された直後 に 変わるので、それはデータを完全に最新の状態に保つことは、バージョン管理 システム以外のどのような手段にとっても厄介なものです。編集した人間に まかせれば、その情報は必然的に古くなります。
たとえば、修正された最後の日付を表示したいと思っているドキュメントが
あるとします。あなたは、そのドキュメントのすべての著者に、変更点を
コミットする直前に、最後に変更された時刻を示す、ドキュメントの一部を
ちょっとだけ変える作業を強いる必要がありますが、遅かれ早かれ誰かこれを忘れる人が
出てくるでしょう。
そうするかわりに、単にSubversionに対してLastChangedDate
キーワードに対してキーワード置換を実行するように指示しましょう。
あなたはドキュメント中のkeyword anchor を置くこと
でキーワードが挿入された、ファイル中の任意の場所を制御することができます。
このアンカー文字列は、単に$
KeywordName
$
のように書式化された
文字列です。
すべてのキーワードは大文字小文字の区別がありファイル中での
目印になります: キーワードが展開されるように大文字小文字を正しく
使う必要があります。 svn:keywords
属性の値
についても大文字小文字の区別を考慮すべきです — ある種の
キーワードは大文字小文字を区別せずに解釈されますがこの仕様は
過去のものです。
Subversion は、置換可能なキーワードのリストを定義しています。 そのリストは、以下の五つのキーワードで、そのいくつかについては 別名を使うこともできます:
Date
このキーワードはファイルがリポジトリ中で修正された最後の時刻
をあらわし、$Date:
2002-07-22 21:42:37 -0700 (Mon, 22 Jul 2002)
$
のようなものです。これは
LastChangedDate
と指定することもできます。
Revision
このキーワードは、ファイルがリポジトリで変更された最後のリビジョン
をあらわし、$Revision: 144
$
のようなものです。これは
LastChangedRevision
または
Rev
と省略することもできます。
Author
このキーワードはリポジトリ中のこのファイルを最後に変更したユーザ
をあらわし、$Author: harry
$
のようなものです。これは
LastChangedBy
と省略することもできます。
HeadURL
このキーワードはリポジトリ中のファイルの最後のバージョン
に対する完全なURLをあらわし、
$HeadURL:
http://svn.collab.net/repos/trunk/README $
のようなものです。これはURL
と省略する
こともできます。
Id
このキーワードは、他のキーワードの圧縮された組み合わせです。
その置き換えは、
$Id: calc.c 148 2002-07-28 21:30:43Z sally
$
のようなもので、ファイル
calc.c
が最後に変更されたのは
リビジョン148 で、時間は July 28, 2002 の夜、変更した人は、
sally
であることを意味しています。
キーワードアンカーテキストをファイルに付け加えただけでは何も 起きません。明示的に要求しなければ Subversion は 決してテキスト置換をやろうとはしません。ようは、 キーワードのそのものの使い方についてのドキュメントを [35] 書いているときに、そのすばらしい例自身がSubversionに よって置換されてほしくはないでしょう。
Subversionが特定のファイルの上でキーワードを置換するかどうかを設定
するために、属性関連のサブコマンドに戻ります。
svn:keywords
属性は、バージョンファイルに設定
された場合は、そのファイルのどのキーワードが置換されるかの制御を
します。その値は、空白で区切られたキーワード名称か別名のリストで、
前に書いたテーブルの中にあるもののどれかになります。
たとえば、weather.txt
という名前の
バージョン管理されているファイルがあり、以下のようだとします:
Here is the latest report from the front lines. $LastChangedDate$ $Rev$ Cumulus clouds are appearing more frequently as summer approaches.
svn:keywords
属性がファイルに設定されていなければ
Subversionは何も特別なことはしません。さて、
LastChangedDate
キーワードの置換を有効にして
みましょう。
$ svn propset svn:keywords "Date Author" weather.txt property 'svn:keywords' set on 'weather.txt' $
これで、weather.txt
のローカル属性を変更しま
した。そのファイルの内容には何の変化もないでしょう(属性を設定
する前に変更していなければ)。ファイルはキーワードアンカー
Rev
キーワードを含んでいたとします。私たちはこの
キーワードをまだ属性値として設定していません。Subversionはファイル
に存在しないキーワードを置換する要求を無視しますし、
svn:keywords
属性値に存在しないキーワードを
置換することもありません。
この属性の変更をコミットした直後、Subversionは作業ファイルを、新しい
置換テキストで更新します。キーワードアンカー
$LastChangedDate$
を見るかわりに、置換結果を
見ることになるでしょう。この結果はキーワードの名前を含み、ドル記号
文字($
) でくくられています。そして述べたように、
Rev
は設定していないので、置換されませんでした。
svn:keywords
属性を「Date Author」
に設定してもキーワードの目印は$LastChangedDate$
の別名を使うのでやはりうまく展開されます。
Here is the latest report from the front lines. $LastChangedDate: 2002-07-22 21:42:37 -0700 (Mon, 22 Jul 2002) $ $Rev$ Cumulus clouds are appearing more frequently as summer approaches.
もし誰か別の人がweather.txt
に変更点をコミット
すれば、ファイルのコピーは前と同じ置換されたキーワード値を表示し続ける
でしょう—作業コピーを更新するまでは。そのとき、
weather.txt
ファイルのキーワードはそのファイルを
コミットした一番最後の状態を反映する情報で置換されるでしょう。
バージョンファイルのsvn:mime-type
属性で
指定するのでなければ、Subversionはファイルは可読なデータが含まれている
と仮定します。一般的に、Subversionはそのファイルに対する文脈差分を
報告することができるかどうかを決めるためにだけ利用します。そうで
なければ、Subversionにとって、バイトはただのバイトでしかありません。
これは、デフォルトではSubversionはあなたのファイルが利用している
行端 (EOL)マーカ の種類に注意を向けないことを
意味します。不幸にも、異なるオペレーティングシステムはファイルのそれ
ぞれの行末をあらわすのに別のトークンを使います。たとえば、普通Windows
プラットフォームのソフトによって使われる行末トークンはアスキー制御文字
の組になります—キャリッジリターン(CR
) と
ラインフィード(LF
) です。しかしUnixでは単に
LF
文字を使って行末を表現します。
これらのオペレーティングシステムの上のさまざまなツールのすべてが
自分が実行されているオペレーティングシステムの
もともとの行末スタイルending style
とは違った形式の行末を含んでいるようなファイルを理解することができる
わけではありません。よくある結果としては、Unixのプログラムは
WindowsのファイルにあるCR
文字を通常の文字
(普通、^M
のように表示します)として扱い、Windows
のプログラムはUnixファイルのすべての行を一つの巨大な行として連結
してしまいますが、これは行末を示すキャリッジリターン - ラインフィード
文字(あるいはCRLF
)の組み合わせが見つかれらないため
です。
この、別のEOLマーカに関する敏感さは、異なるオペレーティング システム間でファイルを共有しようとする人をいらいらさせます。 たとえば、ソースコードファイルと、このファイルをWindowsでも Unix でも編集する開発者を想像してみてください。もしすべての開発者 が常に行末を保存するようなツールを使うのであれば問題は起こりません。
しかし、実際には、たくさんのありふれたツールは別のEOLマーカのファイル を正しく読むことができないか、ファイルが保存されるときに、行末を そのオペレーティングシステム固有のものに変換してしまうかします。 もし開発者に最初のことが起こると、彼は外部の変換ユーティリティー (dos2unix や、それとペアになった unix2dos)を使ってファイル編集の前処理をしなくては なりません。あとの場合には何も特別の用意はいりません。しかし どちらの場合でも、すべての行が、最初のものと違ってしまいます。 変更をコミットする前に、ユーザには二通りの選択があります。 編集する前の行末スタイルと同じスタイルになるように変換ユーティリティー を使って修正したファイルを保存するか、単にそのファイルをコミットするか です—この場合、行末は新しいEOLマーカがつきます。
このようなシナリオの結果は時間の無駄と、コミットされたファイルに対する 不必要な修正になります。時間の無駄はそれだけで十分な苦痛です。しかし、 コミットがファイルのすべての行を変更するなら、これは、本当に修正された のはどの行なのかを決定する作業を非常に複雑なものにします。バグの修正は いったいどの行でなされたのか? どの行で構文エラーがあったのか?
この問題の解決は、svn:eol-style
属性です。
この属性が正しい値に設定されれば、Subversionはそれを使って、
どのような特殊な処理がファイルに必要であり、その処理をすれば
ファイルの行末スタイルが、異なるオぺレーティングシステムからの
コミットによって、ばたばた変化したりしないか、を決定します。
設定できる値は:
native
これは、ファイルが、Subversionが実行されているオペレーティング
システムの本来のEOLマーカを含むようにします。言い換えると
もしWindows上のユーザが作業コピーをチェックアウトして、そこには
svn:eol-style
属性がnative
に設定されたファイルがある場合、そのファイルはCRLF
EOLマーカを含むということです。逆にUnix ユーザが作業コピーをチェック
アウトし、そこに、その同じファイルがあった場合は、ファイルのコピー
にはLF
EOLマーカが含まれることになります。
Subversionは実際にはリポジトリにファイルを格納するときには、
オペレーティングシステムにはよらず、正規化されたLF
EOLマーカを使います。これは基本的にユーザには意識しなくても良いように
なっているわけですが。
CRLF
これは使っているオペレーティングシステムによらず、ファイルのEOLマーカ
にCRLF
の並びを使います。
LF
これは使っているオペレーティングシステムによらず、ファイルのEOLマーカ
にLF
文字を使います。
CR
これは使っているオペレーティングシステムによらず、ファイルのEOLマーカ
にCR
文字を使います。
この行末スタイルはそれほど一般的ではありません。それは古いMacintosh
プラットフォームで利用されていました。(その上ではSubversionは実行する
ことさえできませんが)
svn:externals
属性は一つ以上のチェックアウト
されたSubversion作業コピーでバージョン管理されたディレクトリを
作るための命令を含んでいます。このキーワードに関するより詳しい情報
は外部定義項を見てください。
svn:special
属性は svn:
属性
のなかでユーザが直接設定したり修正することのできない唯一のものです。
Subversion はシンボリックリンクのような「特殊な(special)」
オブジェクトが追加の予告をされるときは常にこの属性を自動的に設定
します。リポジトリはsvn:special
オブジェクトを
通常のファイルのようにして保存します。しかしクライアントがこの属性
をチェックアウトあるいは更新中に見ようとすると、ファイルの内容を見て
そのアイテムを特殊なオブジェクトと解釈します。いまこれを書いている時点
の Subversion のバージョンでは
バージョン化されたシンボリックリンクだけがこの属性を持ちますが今後の
Subversion ではおそらく他の特殊なノードもこの属性を持つことになるで
しょう。
注意: Windows クライアントはシンボリックリンクを持たないのでリポジトリ
から取得するファイルが、svn:special
によってシンボリッ
クリンクであるとされていてもその属性は無視されます。Windows では
ユーザは作業コピー中に通常のバージョン化されたファイルとしてこれを
受け取ることになります。
この属性はそのファイルが変数前にロックされるべきであることを
示すのに利用されます。属性の値は無関係です: Subversion はこの値を
*
に一律置き換えます。存在している場合、ファイル
はユーザが明示的にファイルをロックしない限り、読み込むことだけが許され
ます。ロックが取得できている場合(これは svn lock
実行の結果ですが)、ファイルは読み書き可能になります。ロックが解除
されるとファイルは再び読み込むことだけができる状態になります。
この属性がどのように、いつ、そしてなぜ有用なのかについての詳しい 情報は ロックのコミュニケーション項 を見てください。
属性は Subversion での強力な機能で、この章や別の章で議論さ れるたくさんの Subversion の機能の重要な部品として振舞います— テキスト形式の diff やマージのサポート、キーワード置換、改行変換、など です。しかし属性機能を完全に使いこなすには、正しいファイルやディレクト リに設定する必要があります。残念なことに、このステップはきまりきった作 業の中で簡単に忘れられてしまいますが、それは属性の設定し忘れは通常 はっきりしたエラーを起こすことがないからです(少なくても、そう、例えば バージョン管理システムにファイルを追加するのと比較すれば)。必要な場所 で属性が設定されるのを助けるため Subversion は単純ではありますが役に立 つ機能を提供しています。
svn addまたはsvn
importであるファイルをバージョン管理下に置くばあい、
Subversion はそのファイルが人間によって読めるものか読めないものかを
非常に基本的な方法で決定します。もし読めないファイルであった場合、
Subversion は自動的にそのファイルのsvn:mime-type
属性をapplication/octet-stream
に設定します
(これは一般的な「これはバイトの集まりですよ」というMIME
タイプになります)。もちろん Subversion が間違った推測をするか、より
正確なsvn:mime-type
属性を設定したい場合—
多分image/png
とか、
application/x-shockwave-flash
とか—属性を
削除したり編集したりすることは常に可能です。
Subversion はまた自動属性機能を提供しますが、これはファイ
ル名のパターンによって適切な属性名と属性値を設定できるようにするもので
す。この規則は実行時設定領域に設定します。やはりファイルの追加やインポー
トに影響を与え、この操作中で Subversion が決定するデフォルトの MIME タ
イプを上書きするだけではなく、Subversion や固有の追加属性を設定するこ
ともできます。たとえば、JPEG ファイルを追加する時には常に—
*.jpg
というパターンに当てはまるファイルを追加する時
には常に—Subversion は自動的にsvn:mime-type
属性をimage/jpeg
に設定する、といった具合です。
あるいはまた*.cpp
に当てはまるすべてのファイルには
svn:eol-style
属性をnative
に設定
し、svn:keywords
属性をId
に設定
する、といった具合です。自動属性のサポートはおそらくSubversion 関連
ツール中で最も手軽に扱うことのできる性質です。この設定に関連した詳細は
config項を見てください。
Subversion の 「コピー・修正・マージ」 モデルは プログラムソースコードのように行を基本としたテキストファイルからなる プロジェクト上で共同作業する場合には最適です。しかし ロックが必要な場合で議論した ように、時には Subversion の標準的な共同作業モデルのかわりに 「ロック・修正・ロック解除」モデルを使わなくてはならないことも あります。ファイルがバイナリデータから構成されている場合、異なるユーザに よる二つの修正をマージするのは困難であったり不可能なことがよくあります。 このため Subversion 1.2 とそれ以降ではロック、 あるいは他のバージョン管理システムでは「保護されたチェックアウト (reserved checkouts)」として知られている機能を提供しています。
Subversion のロック機能は主に二つの目標があります:
リソースに対する直列化されたアクセス。
ユーザがリポジトリ中のファイルを変更するための排他的な権限を取得できる
ようにします。Harry がfoo.jpg
を変更する権利を
取得した場合、Sally にはそのファイルの変更点をコミットするのを禁止すべき
です。
開発者間のコミュニケーション支援.
ユーザがマージ不能な変更をしてしまうような時間のロスを防ぎます。Harry が
foo.jpg
の変更権限を取得した場合、Sally はすぐにそれに
気づいて同じファイルに対する作業を避けることができるようにすべきです。
Subversion のロック機能は現時点ではファイルだけに制限されています— ディレクトリツリー全体へのアクセスに対する利用はまだできません。
Subversion リポジトリではロックとは あるユーザがファイルを修正する排他的な権限を与える小さなメタデータ です。このユーザはロックの所有者と呼ばれます。 ロックごとにユニークな識別子があり、普通これは長い文字列の形を したもので、 ロック・トークンと言われます。 リポジトリは独立したテーブル中にロック情報を管理し、コミット操作の最中に 強制的にロックをかけます。コミットのトランザクションがファイルを修正 または削除しようとした場合(あるいはファイルの親を削除しようとした場合)、 リポジトリは二つの情報を要求します:
ユーザ認証。 コミットを実行しようとするクライアントはロック所有者として認証されなくては なりません。
ソフトウェアによる認可 。ユーザの作業コピーはコミットと共にロック・トークン を送信しなくてはならず、これによってどのロックを利用中であるかを正しく知る ことができます。
以下の例によって順序よく説明していきます。Harry が JPEG 画像を修正することに 決めたとしましょう。他の人たちがそのファイルに対する修正をコミットしないように 彼はリポジトリ中のファイルをsvn lockコマンドによって ロックします:
$ svn lock banana.jpg --message "Editing file for tomorrow's release." 'banana.jpg' locked by user 'harry'. $ svn status K banana.jpg $ svn info banana.jpg Path: banana.jpg Name: banana.jpg URL: http://svn.example.com/repos/project/banana.jpg Repository UUID: edb2f264-5ef2-0310-a47a-87b0ce17a8ec Revision: 2198 Node Kind: file Schedule: normal Last Changed Author: frank Last Changed Rev: 1950 Last Changed Date: 2005-03-15 12:43:04 -0600 (Tue, 15 Mar 2005) Text Last Updated: 2005-06-08 19:23:07 -0500 (Wed, 08 Jun 2005) Properties Last Updated: 2005-06-08 19:23:07 -0500 (Wed, 08 Jun 2005) Checksum: 3b110d3b10638f5d1f4fe0f436a5a2a5 Lock Token: opaquelocktoken:0c0f600b-88f9-0310-9e48-355b44d4a58e Lock Owner: harry Lock Created: 2005-06-14 17:20:31 -0500 (Tue, 14 Jun 2005) Lock Comment (1 line): Editing file for tomorrow's release.
前の例には新しい話がたくさん含まれています。まず Harry は
svn lock に --message
オプションを
渡しています。svn commitと同様、svn
lockコマンドは( --message (-m)
または
--file (-F)
オプションによって)コメントをつけてそのファイル
をロックした理由を説明することができます。svn
commitと違うのはsvn lockは
自分の好きなエディタによる
メッセージを常に要求するわけではないところです。ロックのコメントは
オプションですが、コミュニケーションを円滑にするためにつけることを
お勧めします。
つぎにロックが成功しています。これはそのファイルはまだロックされて いなかったこと、そして Harry がそのファイルの最新バージョンを得たことを 意味しています。もし Harry の作業コピー中のファイルが古いものであれば リポジトリはその要求を拒否し、Harry に対してまずsvn update を実行してから再びロックコマンドを発行するように要求します。
リポジトリ中にロックを作成した後、作業コピーはロックについての情報
をキャッシュすることにも注意してください—そのうち最も重要なのは
ロック・トークンです。ロック・トークンの存在は非常に重要です。作業コピー
はそれによって後でロック機能の認可を受けるからです。
svn statusコマンドはファイル名のとなりに
(locKed の省略として)K
を表示しロック・トークンが存在
していることを示します。
これで Harry は banana.jpg
をロックし、Sally は
そのファイルを修正したり削除したりできなくなりました:
$ whoami sally $ svn delete banana.jpg D banana.jpg $ svn commit -m "Delete useless file." Deleting banana.jpg svn: Commit failed (details follow): svn: DELETE of '/repos/project/!svn/wrk/64bad3a9-96f9-0310-818a-df4224ddc35d/banana.jpg': 423 Locked (http://svn.example.com)
しかし Harry は banana の色合いをもう少し黄色くしたあと、その変更点を コミットすることができます。理由はロック所有者としての認可を受けている からであり、彼の作業コピーにはそのための正しいロック・トークンがあるためです:
$ whoami harry $ svn status M K banana.jpg $ svn commit -m "Make banana more yellow" Sending banana.jpg Transmitting file data . Committed revision 2201. $ svn status $
コミット実行後 svn status がロック・トークンが
もう作業コピーに存在していないことを示しているのに注意してください。
これが svn commitの普通の動作です: 作業コピーを
(あるいは一覧表を用意していた場合はそのリストを)調べてコミット
トランザクションの一環として検出したすべてのロック・トークンをサーバに
送信します。コミットが成功した後で今回関係していたリポジトリ中のすべて
のロックは解除されます—そしてこれはコミット対象とは
ならなかったファイルにたいしてもそうなります。
この理由はユーザがみだりにロックしないようにすること、そしてあまり長く
ロックし続けないようにするためです。たとえば Harry はおおざっぱに
images
という名前のディレクトリ中にある 30 個のファイル
にロックしたとします。どのファイルを変更したいのかはっきりしていなかった
からです。最終的に、彼は 4 個のファイルに対してだけ修正を加えました。
svn commit
imagesを実行するときそのプロセスは残りファイルも
含めた 30 個すべてのロックを解除するでしょう。
この動作は
svn commitに--no-unlock
オプション
を指定することで上書きできます。これは修正をコミットしたいが、
さらに別の変更する計画があり、ロックを残しておく必要があるような場合に
一番よく使われます。この動作は実行時 config
ファイル
にno-unlock = yes
を設定することによって半永久的に
調整することもできます(実行時設定領域項
を見てください。)
もちろんファイルをロックした後、修正を必ずコミットしなくてはならない という義務はありません。ロックは単にsvn unlock コマンドを利用していつでも解除することもできます:
$ svn unlock banana.c 'banana.c' unlocked.
誰かがロックしているせいでコミットに失敗した時には、原因は割と簡単に 調べることができます。一番簡単な方法は svn status --show-updates を実行することです:
$ whoami sally $ svn status --show-updates M 23 bar.c M O 32 raisin.jpg * 72 foo.h Status against revision: 105
この例では Sally は自分の作業コピーの foo.h
が古いだけでなくコミットしようと思っている二つの修正したファイルの
片方はリポジトリ中でロックされていることもわかります。
O
の記号は 「Other(他の)」 の意味で
ロックがファイル上に存在していてそれをしたのは誰か別の人である
という意味になります。彼女がコミットしようとしてもraisin.jpg
上のロックが邪魔をするでしょう。Sally はさらにロックしたのは誰で、いつ、
どうしてロックしたのかも知りたいとします。今度は svn info
が答えを教えてくれます:
$ svn info http://svn.example.com/repos/project/raisin.jpg Path: raisin.jpg Name: raisin.jpg URL: http://svn.example.com/repos/project/raisin.jpg Repository UUID: edb2f264-5ef2-0310-a47a-87b0ce17a8ec Revision: 105 Node Kind: file Last Changed Author: sally Last Changed Rev: 32 Last Changed Date: 2005-01-25 12:43:04 -0600 (Tue, 25 Jan 2005) Lock Token: opaquelocktoken:fc2b4dee-98f9-0310-abf3-653ff3226e6b Lock Owner: harry Lock Created: 2005-02-16 13:29:18 -0500 (Wed, 16 Feb 2005) Lock Comment (1 line): Need to make a quick tweak to this image.
svn infoは作業コピー中のオブジェクトの調査にも利用 できますが、リポジトリ中のオブジェクトに対しても調査することができます。 svn infoの引数で作業コピーのパスを指定した 場合には作業コピーにキャッシュされているすべての情報が表示されます; ロックに関する上記メッセージのすべては作業コピーがロック・トークンを 持っていることを示しています。(ファイルが別のユーザか別の作業コピーに よってロックされている場合、作業コピーパスでのsvn info はロックに関する情報をまったく表示しません)。 svn infoの引数が URL なら情報はリポジトリ中のオブジェクトの 最新バージョンに関するものになります; ロックについての表示はそのオブジェクト の現在のロック状況を示しています。
それで今回の具体的な例の場合、Sally は Hally が「ちょっとした 修正」のために 2 月 16 日にそのファイルをロックしたことが わかります。今は 6 月であるので、Sally は多分 Hally は自分がロックしたことを 忘れてしまっているのではないかと考えます。彼女は Harry に電話してロック をはずしてくれるように頼むかも知れません。彼がつかまらなければ彼女は 自分で強制的にロックを解除するか、システム管理者にそうしてもらうように頼む かも知れません。
リポジトリのロックは不可侵のものではありません; それはロックした人によっても あるいはまったく別の人によっても解除することができます。ロック作成者以外 の別の人がロックを取り除いた場合、ロックは解除された と言います。
管理者にとってはロックを解除するのは簡単です。svnlook と svnadmin プログラムはリポジトリに対して直接 ロック状況を表示したり解除することができます。(これらのツールに関しての より詳しい情報は 管理者用ツールキット項を見てください。)
$ svnadmin lslocks /usr/local/svn/repos Path: /project2/images/banana.jpg UUID Token: opaquelocktoken:c32b4d88-e8fb-2310-abb3-153ff1236923 Owner: frank Created: 2005-06-15 13:29:18 -0500 (Wed, 15 Jun 2005) Expires: Comment (1 line): Still improving the yellow color. Path: /project/raisin.jpg UUID Token: opaquelocktoken:fc2b4dee-98f9-0310-abf3-653ff3226e6b Owner: harry Created: 2005-02-16 13:29:18 -0500 (Wed, 16 Feb 2005) Expires: Comment (1 line): Need to make a quick tweak to this image. $ svnadmin rmlocks /usr/local/svn/repos /project/raisin.jpg Removed lock on '/project/raisin.jpg'.
さらに興味深いオプションがあって、ネットワーク越しに人のロックを
解除することができます。これには unlock コマンドに対して
--force
を渡すだけです:
$ whoami sally $ svn status --show-updates M 23 bar.c M O 32 raisin.jpg * 72 foo.h Status against revision: 105 $ svn unlock raisin.jpg svn: 'raisin.jpg' is not locked in this working copy $ svn info raisin.jpg | grep URL URL: http://svn.example.com/repos/project/raisin.jpg $ svn unlock http://svn.example.com/repos/project/raisin.jpg svn: Unlock request failed: 403 Forbidden (http://svn.example.com) $ svn unlock --force http://svn.example.com/repos/project/raisin.jpg 'raisin.jpg' unlocked.
サリーが最初に unlock に失敗したのは自分の作業コピー中のファイルに対して
直接 svn unlockを実行したのに、そこにはロックが存在
していなかったためです。リポジトリから直接ロックを取り除くには
svn unlock に URL の引数を渡す必要があります。
URL をロック解除しようという最初の試みには失敗していますが、それは
ロック所有者の認可を受けていない(し、ロック・トークンも持っていない)ため
です。しかし --force
オプションを渡すと、認証と認可の
要求は無視され、他の人によって作成されたロックは解除されます。
もちろん単にロックを解除するだけでは十分ではないでしょう。上記の例では
Sally は Harry がずっと長いこと忘れていたロックを解除したいだけではなく
自分自身の作業のためにそのファイルを再ロックしたいのが普通でしょう。
svn unlock
--forceのあとで svn lockを実行すれ
ばうまくいきます。しかし、この二つのコマンドの間に誰か別の人がロックして
しまうわずかな可能性があります。もっと簡単な方法はロックを
横取りする(steal)ことであり、これはロック解除と
再取得を不分割な一まとまりの処理として実行します。これには
svn lockに --force
オプションを
指定します:
$ svn lock raisin.jpg svn: Lock request failed: 423 Locked (http://svn.example.com) $ svn lock --force raisin.jpg 'raisin.jpg' locked by user 'sally'.
ロックを解除しようと横取りしようと、Harry はびっくりするかも知れません。 Harry の作業コピーにはまだ最初にロックを取得したときのロック・トークンがある のにロックそのものはもう存在していないからです。そのロック・トークンは 無効になった(defunct)と言います。 そのロック・トークンによって表されているロックは解除されたか(すでに リポジトリに存在していない)、横取りされたか(別のロックに置き換わった) のいずれかです。どちらの場合も Harry はリポジトリに対して svn statusコマンドを実行することで様子をつかむことが できます:
$ whoami harry $ svn status K raisin.jpg $ svn status --show-updates B 32 raisin.jpg $ svn update B raisin.jpg $ svn status $
リポジトリロックが解除された場合、
svn status --show-updatesはファイルの隣に
B
(Broken の意味)の記号を表示します。
古いトークンに変わって新たしいロックが存在している場合だと
T
(sTolen)の記号を表示します。
また svn update は無効になったすべての
ロック・トークンを表示し、作業コピーから取り除きます。
svn lockとsvn unlock がどうやってロックを作ったり解放したり強制解除したり横取りしたりするか を見てきました。これは特定のファイルに対する直列化したコミットをしたい という目標を満足するものです。しかし、作業時間を無駄にしないという、 より大きな問題についてはどうなのでしょうか?
たとえば Harry がある画像ファイルをロックしてから編集し始めたとしましょう。 いっぽう、かなり離れた場所にいる Sally も同じことがしたかったとします。 彼女は svn status --show-updatesを実行することを知らないので Harry が 既にそのファイルをロックしていることを知ることができません。彼女は そのファイルを何時間かかけて編集し、その自分の修正点をコミットしようとして はじめてそのファイルはロックされているか、彼女のファイルが最新ではない ことに気づきます。どうであれ、彼女の変更は Harry のものとマージすることが できません。二人のうちのどちらかが自分の作業を捨てなければならず 多くの時間が無駄になります。
この問題に対する Subversion での解決策は編集を始める前に ユーザにそのファイルをまずはロックすべきであることを思い起こしてもらうための 仕組みを提供することです。
この仕組みは特殊な属性をsvn:needs-lock
用意することで
実現しています。この属性がファイルにつくと(この場合の属性値はどのようで
あってもかまいません)、ファイルは読み込み専用のパーミッションを持つように
なります。ユーザがファイルをロックし、ロック・トークンを取得するとファイルは
読み書き可能となります。ロックが解放されると—これは明示的にロック解放する
かコミットを通じて自動的に解放されるかのどちらかですが— ファイルは再び
読み込み専用に戻ります。
こうすることで、画像ファイルにこの属性がついている場合、Sally は 編集のためにファイルを開いた時に何かおかしなことになっていることに すぐに気づくはずです。彼女が使っているアプリケーションはそのファイル が読み込み専用であることを伝えます。これで彼女は編集前にそのファイルを ロックしなくてはならないことを思いだし、こうして既に存在しているロック に気づくことになります:
$ /usr/local/bin/gimp raisin.jpg gimp: error: file is read-only! $ ls -l raisin.jpg -r--r--r-- 1 sally sally 215589 Jun 8 19:23 raisin.jpg $ svn lock raisin.jpg svn: Lock request failed: 423 Locked (http://svn.example.com) $ svn info http://svn.example.com/repos/project/raisin.jpg | grep Lock Lock Token: opaquelocktoken:fc2b4dee-98f9-0310-abf3-653ff3226e6b Lock Owner: harry Lock Created: 2005-06-08 07:29:18 -0500 (Thu, 08 June 2005) Lock Comment (1 line): Making some tweaks. Locking for the next two hours.
「最良の方法」は、ユーザも管理者もお互いにマージすることが
できないようなファイルには常に svn:needs-lock
属性をつけておくというものです。この技法はロック機能を利用する上での
良い習慣であり、無駄な作業を防ぐことができます。
この属性はロックシステムとは独立して機能するコミュニケーション用の 仕組みであることに注意してください。言いかえるとどのようなファイル も、このプロパティーがあるかどうかにかかわらずロックすることが できます。逆にこの属性の存在だけで、コミット時にリポジトリから常に ロックを要求されるということにはなりません。
これで完璧とはいきません。ファイルがこの属性を持っていたとしても 読み込み専用の警告機能が常に動作するとは限りません。アプリケーション の間違った動作によっては、警告を出さずに黙ってそのファイルに対する 編集を許し、保存してしまう結果、読み込み専用ファイルを「乗っ取って」 しまうこともあるでしょう。残念なことにこのような状況に対して Subversion ができることはあまり多くはありません。
ファイルやディレクトリをコピーしたり移動したり名称を変更したりすること、 また、ファイルを作って、一度消したあとにもう一度同じ名前でファイルを作 ること— このようなことはコンピュータを使う上で常に、また当たり前 のようにやっている操作です。Subversion もまた、あなたにその手の操作を 当たり前にやってほしいと思っています。Subversion のファイル管理は非常 に自由であり、バージョン化されていないファイルを操作するときに期待され る動作とほとんど同じような柔軟性を、バージョン管理されているファイルに 対してサポートしています。しかしこのような柔軟性はリポジトリの一生を通 じて、バージョン管理されている資源はいろいろなパス名をとること、逆にあ る特定のパス名がまったく別のバージョン管理された資源を表す可能性がある ことも意味しています。
Subversion はあるオブジェクトのバージョンの履歴がそのような「所在 地の変更」を含むような場合でも、そのことを非常に正確に気づきます。 例えば先週ファイル名を変えた、あるファイルのすべての履歴を表示させよう としても、Subversion はそのログ全体をうまく表示してみせます— つ まり名称変更が実際に起きたリビジョンと、それに関連した名称変更の前と後 にあるすべてのリビジョンについてという意味です。そんなわけでほとんどの 場合、あなたは、何かを特に意識する必要もありません。しかし場合によって は Subversion は、あいまいさを解消するためにあなたの助けを必要とするこ ともあります。
一番簡単な例はバージョン管理下にあるディレクトリやファイルがいったん削除され、
その後おなじ名前のディレクトリやファイルがあらためて作成されてから
バージョン管理項目として追加されたような場合です。とうぜん削除したファイルと
あとから追加したファイルはまったく別のものです。両者は単にたまたま同じパス名を
持っているというだけのことです。このファイル名を /trunk/object
としておきましょう。さてこの場合、/trunk/object
の履歴に関する問い合わせを Subversion にする場合、どんな意味になるので
しょうか? 現にそのパスに存在しているほうのファイルについての問い合わせ
でしょうか、あるいはその場所から以前いったん削除したほうのファイルに
ついての問い合わせでしょうか? あるいは全履歴中で、とにかくそのパスに
あったオブジェクトに対して実行したすべての操作についての意味でしょうか?
確かに Subversion にはあなたが本当に知りたいと思っていることについての
ヒントを与えてやることが必要です。
さらにありがたいことに、ファイル移動の操作によってバージョン管理上の履
歴はさらにずっとややこしいことになります。たとえば、
concept
という名前のディレクトリがあって、その中
にはまだ始まったばかりの、ままごとプロジェクトがあったとします。しかし
最終的に、その考えはしっかりしたものになり、プロジェクトは真面目な利用
ができるような状態となったので、そのプロジェクトに聞いたこともないよう
な名前をつけることにしました。[36] そのソフトの名前
を Frabnaggilywort としましょう。ここから先はプロジェクトの新しい名前
にふさわしいようにディレクトリをconcept
から
frabnaggilywort
に変えるのはもっともな話しです。
開発が進み frabnaggilywort はバージョン 1.0 をリリースすることになり、
それは多くの人々によってダウンロードされ、日々利用され、みんな幸せにな
りました。
いい話しです。まったく。しかしこれで話しが終わるわけではありません。あ
なたは企業家です。すでに次の着想を得ています。あなたは新しいディレクト
リconcept
を作り、次の開発サイクルが始まります。
実際にはこのサイクルは何年にもわたって何度も繰り返し発生します。いつも
concept
ディレクトリから始め、時にはそのアイディア
を膨らませるためにディレクトリの名称は変更され、時にはそのアイディアを
ボツにするためにディレクトリは削除されます。あるいは、さらにややこしい
場合、いったん concept
を別の名前に変えた後、何か
理由があって再びconcept
に名前を戻したりすること
もあるでしょう。
この手の話しになったとき、Subversion に対してファイルパス名を再訪問す るように指示するのはシカゴの West Suburbs にいる運転手に east down Roosevelt Road まで行き、そこでメインストリートに左折するように指示す るのと少し似ています。20分もしないうちにWheaton, Glen Ellyn, そして Lombard にある「メインストリート」を横切ることになるでしょ う。しかし、これらはすべて別の道です。私たちの運転手には — そし て Subversion に対しても同様に — 正しい場所に行ってもらうために はもう少し詳しい情報が必要になります。
バージョン 1.1 で、Subversion はどのメインストリートに行きたいかをもっ
と正確に伝える方法を取り入れました。これはペグ・リビジョン
と呼ばれ、Subversion に対して特定の履歴ラインを指定するた
めだけの目的で用意されたものです。ある特定の時点では— あるいはも
う少し正確にはある特定のリビジョンでは— あるパス名はせいぜい一つ
のバージョン管理されたリソースによって利用されるだけなので、パス名とペ
グ・リビジョンの組み合わせはある特定の履歴ラインを指定するのに十分な情
報になります。ペグ・リビジョンは Subversion のコマンドラインクライアン
トからアットマーク構文によって指定されますが、
これはその構文が 「アットマーク」 (@
) と
ペグ・リビジョンをパス名の最後につける形になるからです。このパス名はペ
グ・リビジョンに存在しているパス名です。
ではこの本の中でいつも出てくる --revision (-r)
で指定
されるほうのリビジョンは何と言われるのでしょうか ? こちらは
操作対象リビジョン(あるいはリビジョンの範囲を指定する場合
には、操作対象リビジョン範囲) と呼ばれます。いっ
たん特定の履歴ラインがパス名とペグ・リビジョンによって指定されると
Subversion は操作対象リビジョンに対して要求された操作を実行します。
この話をシカゴの道順のたとえで説明すると、 606 N. Main Street in Wheaton
に行きたい場合だと
[37]
「Main Street」がパス名に、「Wheaton」がペグリビ
ジョンにあたるものと考えることができます。この二つの情報によって実際に
行ってほしい道順(メインストリートの北、あるいは南)を特定することができ、
行き先を探すのに、間違った別のメインストリートを右往左往せずにすみます。
そして、操作対象リビジョンにあたる 「606 N.」 によって実際
に行きたい場所を正確に知ることができるというわけ
です。
ずっと以前に作っておいたリポジトリがあって、リビジョン 1 で最初の
concept
ディレクトリとその中にある
IDEA
という名前のファイルを追加したとしましょう。
このファイルは実際のコンセプトについての説明が書いてあります。
実際のソースコードを追加したり修正したりしてたくさんのリビジョンが
追加されたあと、リビジョン 20 でこのディレクトリを
frabnaggilywort
に名称変更したとしましょう。
リビジョン 27 で新しい着想を得たので、新規にconcept
ディレクトリを作り、またその中に新規に IDEA
ファイルを置いて、その内容を書いておきます。そして良くできたロマンス
小説よろしくその後 5 年間で 20,000 リビジョンにまで達したと
しましょう。
こうして何年もたってから、リビジョン 1 での IDEA
ファイルがどんな具合であったか知りたくなったとします。しかしこの場合
Subversion は 現在のファイルの過去がリビジョン 1
でどうであったのか、あるいはとにかくそれが何であれ、リビジョン 1 で
concepts/IDEA
という名前で存在していたファイルの
内容が知りたいのかを知る必要があります。この二つの質問の答えは明らかに
別のものになりますが、ペグ・リビジョンがサポートされているので
このどちらの質問もすることができます。現在の IDEA
ファイルが過去のリビジョン 1 でどうであったかを知りたい場合には以下の
ようにします:
$ svn cat -r 1 concept/IDEA subversion/libsvn_client/ra.c:775: (apr_err=20014) svn: Unable to find repository location for 'concept/IDEA' in revision 1
この例ではもちろん、現在の IDEA
ファイルは
リビジョン 1 では存在しなかったので Subversion はエラーを出します。
上のコマンドはペグ・リビジョンを明示的に指定する、より長い形の形式
の略記法です。長い形式は以下のようになります:
$ svn cat -r 1 concept/IDEA@BASE subversion/libsvn_client/ra.c:775: (apr_err=20014) svn: Unable to find repository location for 'concept/IDEA' in revision 1
実際に実行すると、やはり期待したとおりの結果になります。ペグリビジョン
は一般的には作業コピーのパスにつけた場合にはBASE
の
値(作業コピーに現在存在するリビジョン) が、また URL につけた場合には
HEAD
の値が、それぞれデフォルト値になります。
今度はもう一方の質問をしてみましょう。つまり —リビジョン 1
の時点で、とにかく concepts/IDEA
という名前で
存在していたファイルの内容はどんなものでしたか? これを指定する
ために明示的なペグ・リビジョンを使います。
$ svn cat concept/IDEA@1 The idea behind this project is to come up with a piece of software that can frab a naggily wort. Frabbing naggily worts is tricky business, and doing it incorrectly can have serious ramifications, so we need to employ over-the-top input validation and data verification mechanisms.
正しい出力になっているようです。このテキスト中で、 frabbing naggily
worts という単語が出てきているところを見ると、現在 Frabnaggilywort と
いう名前で呼ばれているソフトウェアについて説明したファイルであることは
まず間違いないところでしょう。実際、明示的なペグ・リビジョンと明示的な
操作対象リビジョンの組合せによってこれを確認することができます。
HEAD
では Frabnaggilywortプロジェクトが
frabnaggilywort
ディレクトリにあることはわかってい
ます。それで HEAD
で
frabnaggilywort/IDEA
というパス名で特定される履歴
ラインが、リビジョン 1 ではどのようであったかを知りたいのだ、というこ
とを指定してみます。
$ svn cat -r 1 frabnaggilywort/IDEA@HEAD The idea behind this project is to come up with a piece of software that can frab a naggily wort. Frabbing naggily worts is tricky business, and doing it incorrectly can have serious ramifications, so we need to employ over-the-top input validation and data verification mechanisms.
そして、ペグ・リビジョンも操作対象リビジョンも、時には非常に重要な意味
を持ちます。例えば、 frabnaggilywort
がリビジョン
20 で HEAD
から削除されているが、リビジョン 20 では
存在していたことを知っていて、その時の IDEA
ファイルが、リビジョン 4 と リビジョン 10 の間でどのように変化したか
を見たいとします。これには、ペグ・リビジョン 20 を、そのリビジョンで
Frabnaggilywort の IDEA
ファイルを保持していた
URL の後につけて指定します。また同時に操作対象リビジョン範囲として
4 と 10 を指定します。
$ svn diff -r 4:10 http://svn.red-bean.com/projects/frabnaggilywort/IDEA@20 Index: frabnaggilywort/IDEA =================================================================== --- frabnaggilywort/IDEA (revision 4) +++ frabnaggilywort/IDEA (revision 10) @@ -1,5 +1,5 @@ -The idea behind this project is to come up with a piece of software -that can frab a naggily wort. Frabbing naggily worts is tricky -business, and doing it incorrectly can have serious ramifications, so -we need to employ over-the-top input validation and data verification -mechanisms. +The idea behind this project is to come up with a piece of +client-server software that can remotely frab a naggily wort. +Frabbing naggily worts is tricky business, and doing it incorrectly +can have serious ramifications, so we need to employ over-the-top +input validation and data verification mechanisms.
ありがたいことにほとんどのユーザはこんな複雑な状況に出会うことはありま せん。しかし万一そんなことになった場合には、Subversion がファイル名の あいまいさを解消するにはペグ・リビジョンを追加で指定してやれば良いこと は覚えておいてください。
ときどき、いくつかの別のチェックアウトによって、一つの作業 コピーを作るのが便利なことがあります。たとえば、リポジトリの別々の場所に ある異なるサブディレクトリがほしいとか、リポジトリ自体が別であるとかです。 そのようなことを手で設定することももちろんできます— svn checkout を使ってネストした作業コピー構造のような ものを作るわけです。しかし、このレイアウトがリポジトリを使うすべての人に とって重要であれば、他の全員もあなたがやったのと同じチェックアウト操作を する必要があります。
幸運なことに、Subversionは外部定義をサポート
しています。外部定義は、ローカルディレクトリをバージョン管理された
リソースのURL—や特定のリビジョン—に結びつけるものです。Subversionでは、
svn:externals
属性を使って外部定義をグループにして
宣言します。svn propsetか、svn propedit
コマンドでこの属性を作ったり修正したりすることができます(なぜ属性なんてものが?項を参照してください)。
この属性はバージョン管理されたディレクトリに設定され、
その値は(属性が設定されたバージョン管理されたディレクトリ
に相対的な)サブディレクトリと、完全に修飾されたSubversionリポジトリURL
の絶対パス名を一行とした複数行テーブルです。
$ svn propget svn:externals calc third-party/sounds http://sounds.red-bean.com/repos third-party/skins http://skins.red-bean.com/repositories/skinproj third-party/skins/toolkit -r21 http://svn.red-bean.com/repos/skin-maker
svn:externals
が便利なのは、ひとたびバージョン管理
下のディレクトリに設定してしまえば、そのディレクトリのある作業コピーを
チェックアウトした人は誰でも外部定義の恩恵にあずかることができる
ところです。言い換えると、誰かがそのようなネストした作業コピーの
チェックアウトを定義すれば、他の人は誰もそれについて悩まなくて済む
ということです—Subversionは、もともとの作業コピーのチェックアウト
の上にも外部作業コピーをチェックアウトすることができます。
前の外部定義の例を見てみましょう。誰かがcalc
ディレクトリの作業コピーをチェックアウトすると、Subversionは
その外部定義にあるアイテムも続けてチェックアウトします。
$ svn checkout http://svn.example.com/repos/calc A calc A calc/Makefile A calc/integer.c A calc/button.c Checked out revision 148. Fetching external item into calc/third-party/sounds A calc/third-party/sounds/ding.ogg A calc/third-party/sounds/dong.ogg A calc/third-party/sounds/clang.ogg … A calc/third-party/sounds/bang.ogg A calc/third-party/sounds/twang.ogg Checked out revision 14. Fetching external item into calc/third-party/skins …
もし、外部定義を変更する必要がある場合、通常の属性変更
サブコマンドを使ってやることができます。
svn:externals
属性への変更をコミットするとき、
Subversionは次のsvn updateを実行するときの
変更された外部定義に対してチェックアウトするアイテムを同期します。
同じことが、他の人が作業コピーを更新し、あなたが変更した外部定義
を受け取るときにも起こります。
svn status コマンドも外部定義がチェックアウトされた
サブディレクトリごとにX
の状態コードを表示する形で
外部定義を認識し、外部アイテムそれ自身の状態を表示するためにそれらの
サブディレクトリに再帰的に降りていきます。
外部定義のすべてに明示的なリビジョン番号を使うことを強くお勧めします。 これによって異なる外部定義のスナップショットを引っ張ってくる時にどれを 持ってくれば良いか決めることができ、正しいものを持ってこれるように なります。自分ではまったく制御できないサードパーティーのリポジトリに 対する変更点に対する変更に対して冷静に対処できるという当たり前の利点 のほか、明示的なリビジョン番号はまた、以前のあるリビジョンに作業コピーを 戻す場合に、外部定義もその以前のリビジョンでの内容に戻るわけです が、それはまた、あなたのリポジトリがその以前のリビジョンであった 時に彼らが見たいと思う状態に合う形で外部作業 コピーが更新されることを意味しています。ソフトウェアプロジェクトにおいて これが複雑なソースコードの古いスナップショットを再構築する時の成否の 鍵になります。
しかし現在の Subversion での外部定義のサポートは少し誤解されています。
まず、外部定義はディレクトリだけを指すことができ、ファイルを指すことは
できません。次に外部定義は相対パス
(../../skins/myskin
のようなもの)を指すことはでき
ません。さらに外部定義のサポートを通じて作られれた作業コピーは最初の作業コピーとは
まだ独立したものです(つまり、svn:externals
属性が
実際に設定されているかも知れないバージョン化されたディレクトリからは
独立したものです)。そして Subversion は、この分離されていない作業コピー
上に対してだけ正しく働きます。このため例えば、もし一つ以上のの外部作業
コピーに対して行った変更をコミットしたい場合、その作業コピー上で明示的
にsvn commitを実行する必要があります—最初の作
業コピーでのコミットが外部の作業コピーのコミットを連鎖的に発生させる
ことはありません。
またその定義自身もURLの絶対パス名を利用するのでそのパスに関係する
ディレクトリの移動やコピーは外部のものとしてチェックアウトした
ものに影響を与えません(相対的なローカルターゲットディレクトリはもちろん
その名称変更されたディレクトリと共に移動しますが)。これはある種の
状況では混乱の元になるかも知れません—あるいはいらいらさせる
かもしれません。たとえば、同じ開発ラインの別の部分を指しているような
/trunk
開発ライン上のディレクトリで外部定義を
使い、それからsvn copyでそのラインのブランチを
どこか別の場所 /branches/my-branch
に作ったと
すると、新しいブランチ上のアイテムに定義された外部定義はまだ
/trunk
中のバージョン化されたリソースを参照して
います。また、もし作業コピーの親を(svn switch --relocate
を使って)再設定する必要がある場合、外部定義がそれに付随することは
ありません。
最後に、svnのサブコマンドが外部定義を認識しない
ようにしたいこともあります。そうしないと外部定義処理の結果として作成
された外部作業コピーに対する処理が実行されてしまうような場合です。
これはサブコマンドに --ignore-externals
オプションを指定すれば解決します。
ソフトウェアを開発する場合が典型的な例ですが、バージョン管理で保守しているデータが しばしば誰かのほかのデータに密接に関係しているか、あるいは依存している ことがあります。一般的にプロジェクトで要求されることは、プロジェクトの 安定性を損なうことなく、外部の資源によって提供されるデータをできる限り 最新に保つことです。この考え方は、あるグループによって作られた情報が もう1つのグループによって作られるものに影響を与える場合、常に成り立ちます。
たとえば、ソフトウェア開発者がサードパーティー製のライブラリを利用する アプリケーションの開発に取り組んでいるとします。SubversionはApache ポータブル 実行時ライブラリと、ちょうどそのような関係を持っています。 (Apache Portable Runtime ライブラリ項参照)。Subversionのソースコードは すべての可搬性の要求を満たすために、APRライブラリに依存しています。 Subversionの開発の初期の段階では、プロジェクトはAPR のAPIの変更を非常に 正確に追いかけていました。常に、ライブラリコードの荒波の、「 最先端」についていきました。いまではAPRもSubversionも開発が落ち着い てきたので、Subversionはよくテストされ、安定したリリース状態にある バージョンのAPRライブラリAPIとのみ同期をとっています。
もしプロジェクトが他の人の情報に依存しているなら、その情報と自分の ものとを同期させるためのいくつかの方法があります。 一番大変な方法ですが、自分のプロジェクトのすべての貢献者に対して 口頭または文書で手続きを伝えることができます。プロジェクトに必要な サードパーティーの情報の特定のバージョンを確実に手に入れることを 伝えます。もしサードパーティーの情報がSubversionリポジトリで管理 されているなら、Subversionの外部定義を使ってその情報の特定のバージョンを 作業コピーディレクトリ中のある場所へ効果的に「結びつける」こと ができるでしょう (外部定義項参照)。
しかし、ときどき自分のバージョン管理システムでサードパーティーのデータ に加えた独自の変更を管理したいこともあります。ソフトウェア開発の 例に戻って説明すると、プログラマは自分自身の目的のために、サードパーティー のライブラリに変更を加える必要があるかも知れません。このような修正は 新しい機能の追加であったりバグフィックスであったりするかも知れませんが、 それはサードパーティーのライブラリの公式なリリースの一部になるまでに 限り管理すべきものです。あるいは、変更は決してライブラリ保守担当には 伝えられず、ソフトウェア開発者の特殊な要求に合うようなライブラリを 作り上げるための独自の修正点としてずっと残り続けるかも知れません。
ここで、面白い状況に直面します。あなたのプロジェクトは、パッチファイルを 適用したりファイルやディレクトリーを完全に別のものに置き換えるような、若干 バラバラな方法でサードパーティーのデータへ独自の修正を加えることができました。 しかし、このようなやり方ではすぐに保守する上で頭痛の種になるので、 あなたの独自の変更をサードパーティーのデータに適用する仕組みが必要となります。 さらにあなたが追跡するサードパーティーのデータのそれぞれの連続したバージョンに それらの変更を再生する仕組みも必要となります。
この問題に対する解決は、ベンダーブランチを 使うことです。ベンダーブランチはサードパーティーあるいはベンダー よって提供された情報を含んでいる、こちらのバージョン管理 システム中のディレクトリツリーです。それぞれの バージョンのベンダーのデータで、自分のプロジェクトに取り込もうと 考えているもののことを、ベンダードロップと いいます。
ベンダーブランチは二つの鍵となる利点があります。まず、 自分のバージョン管理システムに、現時点でサポートされている ベンダードロップを格納することによって、プロジェクトのメンバーは 正しいバージョンのベンダーデータを使っているかどうかの心配をする 必要がなくなります。彼らはいつもの作業コピーの更新の一環として、 簡単に正しいバージョンを受け取ります。 次に、データは自分たちのSubversionリポジトリに あるので、それに対する独自の修正を決まった場所に格納することができます。— 自分たちの独自の修正で置き換えるような自動化された(あるいは最悪の 場合、手でやる)方法を用意する必要がなくなります。
ベンダーブランチの管理は一般的にはこんな感じでやります。
最上位ディレクトリを作り(/vendor
のようなもの)
そこにベンダーのブランチを置きます。それから最上位ディレクトリの
サブディレトクリにサードパーティーのコードをインポートします。
それからそのサブディレトクリを、適当な場所にある、自分の主系開発の
ブランチにコピーします(たとえば/trunk
など)。
ローカルな変更は常に主系開発ブランチに対して行います。
追いかけているコードの新しいリリースのたびに、それをベンダーブランチに
持っていき、変更点を/trunk
にマージします。そして、
ローカルの変更と、ベンダーの変更の間の衝突を解消します。
多分、例をあげると、このステップをはっきりさせることができるかも
知れません。あなたの開発チームがサードパーティーの複素数値計算
ライブラリ libcomplex を使った計算プログラムを作っているとします。
まず、ベンダーブランチの初期生成をし、それから最初のベンダードロップ
をインポートします。ここではベンダーブランチのディレクトリを
libcomplex
と呼び、私たちのコードドロップは
current
と呼ばれる私たちのベンダーブランチの
サブディレクトリの中に置かれます。svn importは
必要なすべての中間的な親ディレクトリを作るので、このような複数の
ステップを実際には一つのコマンドで実行することができます。
$ svn import /path/to/libcomplex-1.0 ¥ http://svn.example.com/repos/vendor/libcomplex/current ¥ -m 'importing initial 1.0 vendor drop' …
これで、libcomplexのソースコードを/vendor/libcomplex/current
に持ってくることができました。このバージョンにタグ付けし、
(タグ項参照)、主系開発ブランチにコピーしま
す。私たちのコピーは既存のcalc
プロジェクトディレクトリ
中のlibcomplex
という新しいディレクトリを作ります。
これが新たに独自の修正を加えるためのベンダーデータのコピーになります。
$ svn copy http://svn.example.com/repos/vendor/libcomplex/current ¥ http://svn.example.com/repos/vendor/libcomplex/1.0 ¥ -m 'tagging libcomplex-1.0' … $ svn copy http://svn.example.com/repos/vendor/libcomplex/1.0 ¥ http://svn.example.com/repos/calc/libcomplex ¥ -m 'bringing libcomplex-1.0 into the main branch' …
プロジェクトの主系のブランチをチェックアウトします。これは最初の ベンダードロップのコピーを含んでいます—そして、libcomplex コードの修正に入ります。もう知っているように、これで修正されたlibcomplex は、私たちの計算プログラムに完全に統合されています。 [38]
何週間かたって、libcomplexの開発者はライブラリの新しいバージョンを リリースしました—バージョン1.1としましょう—それは われわれがほしかったいくつかの機能と関数を含んでいます。この新しい バージョンにアップグレードしたいものですが、既に手元にあるバージョンに 対する修正を失いたくはありません。既に示唆したように、 本質的にわれわれがやらなくてはならないのは、libcomplex1.1 のコピー でlibcomplex1.0 を置き換え、前にやった独自の修正を、新しいライブラリ のバージョンにも再び適用することです。しかし実際には私たちはこの問題に 対して別の方法で対処したいのですが、それはバージョン1.0 と 1.1 の間 にlibcomplexにおきた変更点を私たちの修正されたコピー上に適用するという ものです。
このアップグレードをやるのに、わたしたちはベンダーブランチのコピー
をチェックアウトし、current
ディレクトリにある
ソースコードを、新しい libcomplex 1.1 のソースコードで置き換えます。
文字通り完全に新しいファイルで既存のファイルを上書きしますが、多分
それは既存のファイルやディレクトリの上に libcomplex 1.1 のリリース用
tarball を展開することになるでしょう。ここでの目的は私たちの
current
ディレクトリ中に libcomplex 1.1 のコードの
みを含むようにすることであり、同時にすべてのコードをバージョン管理下に
あることを保証するということです。あ、もちろんバージョン管理の履歴に
対しての混乱を最小にとどめるような方法でそうしたいのです。
1.0 のコードを 1.1 のコードに置き換えた後では、
svn status はローカルな修正を加えたファイルの一覧と
バージョン化されていないファイル、あるいは失われたファイルも表示
するでしょう。いままで述べたような手順を実行していたのなら、バージョン
化されていないファイルは libcomplex の 1.1 のリリースで新しく導入され
たようなものだけのはずです—そのようなファイルをバージョン管理下
に置くのにsvn addを実行します。失われたファイルは
1.0 では存在していたが、1.1 では存在しないようなものに対応しているので
svn deleteを実行します。最後に、私たちの
current
作業コピーが libcomplex 1.1 のコードのみ
を含むようになれば、いまの変更をコミットして、つじつまを合わせます。
私たちのcurrent
ブランチはこれで新しい
ベンダードロップを含むようになります。新しいバージョンに(バージョン
1.0のベンダードロップに対して前にしたのと同じ方法で)タグづけをして、
それから前のバージョンのタグと新しい現在のバージョンとの間の差分を
私たちの開発ブランチにマージします。
$ cd working-copies/calc $ svn merge http://svn.example.com/repos/vendor/libcomplex/1.0 ¥ http://svn.example.com/repos/vendor/libcomplex/current ¥ libcomplex … # resolve all the conflicts between their changes and our changes $ svn commit -m 'merging libcomplex-1.1 into the main branch' …
簡単な場合だと、この新しいバージョンのサードパーティーツールは、 ファイルとディレクトリの観点から見ると、前のバージョンと同じように 見えます。libcomplex のどのソースファイルも削除されたり名称変更された り別の場所に移動されたりはしません—新しいバージョンは単に前の ものからテキストの内容の修正を受けただけに見えます。理想的な状況では 私たちの修正は新しいライブラリのバージョンに対してきれいに適用され、 複雑なことや、衝突は一切起きません。
しかし、ものごとというものは常に単純であるとは限りません。 実際、ソースファイルはソフトウェアのリリース間であちこち 動くのが普通です。これはわたしたちの修正が新しいバージョンのコード でも正しいということを確認する作業を複雑にしますし、新しいバージョン での修正を手でもう一度やる必要がある状況に、簡単に落ち込んでしまう ことがあります。Subversionが、与えられたソースファイルの(以前の位置を含めての) 履歴について知っていればライブラリの新しいバージョンのマージのステップは とても単純になります。しかし、わたしたちは、Subversionに ソースファイルのレイアウトがベンダードロップ間でどんな風に 変わったかを教えてやる責任があります。
いくつかのファイルの削除、追加、移動があったベンダードロップは サードパーティーデータのアップグレードの手順を複雑にします。 それでSubversionはこの手続きを支援するために svn_load_dirs.plスクリプトを用意しています。 このスクリプトは一般的なベンダーブランチの管理手続きで言ったような インポートのステップを自動化し、間違いを最小にすることができます。 サードパーティーデータの新しいバージョンを主系開発ブランチにマージする ためのマージコマンドを使う責任はまだ残っているものの、 svn_load_dirs.plはより早く簡単にこの処理まで 到達する助けになります。
簡単に言って、svn_load_dirs.pl は svn import の拡張で、いくつかの重要な 特徴を持っています:
いつでも、このプログラムを実行して、 リポジトリにあるディレクトリを、完全にそれに一致した外部 ディレクトリに持って行き、必要なすべての追加、削除を実行し、 さらにオプションで移動処理も行います。
このプログラムは、Subversionが必要とする中間的なコミット間で 必要な複雑な一連の処理を注意深く実行します—たとえば ファイルやディレクトリの名称変更を二回やる前など。
それは、オプションで新しいインポートされたディレクトリを タグ付けします。
それはオプションで、正規表現にマッチするファイルとディレクトリ に任意の属性を追加します。
svn_load_dirs.pl は三つの必須パラメータを とります。最初の引数は作業対象となるベースになるSubversionディレクトリのURL です。この引数のあとにはURLが続きます—最初の引数に相対的な 形で—ベンダードロップはそこにインポートされます。最後に 三番目の引数はインポートするローカルディレクトリです。前の例を 使うと、典型的なsvn_load_dirs.plの実行は こんな感じになります:
$ svn_load_dirs.pl http://svn.example.com/repos/vendor/libcomplex ¥ current ¥ /path/to/libcomplex-1.1 …
-t
オプションにタグ名称を指定して、新しいベンダードロップ
をタグ付けするようにsvn_load_dirs.pl に指示することが
できます。
$ svn_load_dirs.pl -t libcomplex-1.1 ¥ http://svn.example.com/repos/vendor/libcomplex ¥ current ¥ /path/to/libcomplex-1.1 …
svn_load_dirs.plを実行するとき、それは
既に存在している「現在の」ベンダードロップの内容を調べて
それを指定された新しいベンダードロップの内容と比較します。
簡単な場合、片方のバージョンにあってもう一方にはないようなファイル
はなく、スクリプトは新しいインポートを特に問題なく実行します。
しかし、もし、バージョン間でファイルレイアウトに違いがある場合、
svn_load_dirs.pl はこの違いをどうやって解決するか
たずねてきます。たとえば、libcomplexのバージョン1.0でmath.c
だったファイルはlibcomplex1.1ではarithmetic.c
に
名称変更になったことを知っていることをスクリプトに教えてやることが
できます。移動によって説明できないような相違点は、通常の
追加と削除として扱われます。
このスクリプトはまたリポジトリに追加される
(正規表現にマッチするような)ファイルとディレクトリの属性を設定する
ために、別の設定ファイルを受け付けることができます。
この設定ファイルはsvn_load_dirs.pl で
-p
オプションを使って指定されます。
設定ファイルの各行は空白で区切られた二つまたは四つの値です:
追加されるパスに対してマッチさせるPerlスタイルの正規表現、
制御キーワード(break
または
cont
)、そして、オプションで属性名と
属性値がきます。
¥.png$ break svn:mime-type image/png ¥.jpe?g$ break svn:mime-type image/jpeg ¥.m3u$ cont svn:mime-type audio/x-mpegurl ¥.m3u$ break svn:eol-style LF .* break svn:eol-style native
追加されるパスが正規表現にマッチしたとき、その行の属性
がマッチしたパスに追加されていきます。ただし制御の指定がbreak
の場合は属性の追加はその行で打ち止めになります(これはそれ以上の属性変更はこのパスに
行わないことを意味しています)。もし制御指定がcont
—continue
の省略形ですが—の場合は
マッチング処理は設定ファイルの次の行に続いていきます。
正規表現中のすべての空白、属性名、属性値はシングルまたはダブルクオート
でくくる必要があります。空白を囲むために利用しているわけではない
クオート文字はバックスラッシュ文字(¥
) を前に付ける
ことでエスケープできます。バックスラッシュは設定ファイルを解析するとき
だけクオートするので、正規表現中で必要なもの以外のほかの文字には
使わないでください。
ローカライゼーション とはプログラムが 特定の地域に応じた動作をするように作ることを言います。あるプログラムが 数値や日付を特定の地域に応じて書式化して出力したり、その地域の言語でメッ セージを出力したり(あるいはそのような入力を受け入れたり)できるのであれ ば、そのプログラムはローカライズされている と言 われます。この節では Subversion のローカライゼーションに向けた取り組み について説明します。
最近のほとんどのオペレーティングシステムは 「現在のロケール値」 という考え方を採り入れています — つまり、その時点で考慮されている ローカリゼーションの規約が、どの地域や国に対応しているかという値です。 このような規約は— 普通はコンピュータの実行時の設定のしくみを 通じて選択されるものですが — プログラムがデータをユーザに対して 出力する時や、ユーザからの入力を受け付けるときの動作に影響を与えます。
Unix 風のシステムではlocaleコマンドを実行して ロケール関連の実行時設定オプションの値をチェックすることができます:
$ locale LANG= LC_COLLATE="C" LC_CTYPE="C" LC_MESSAGES="C" LC_MONETARY="C" LC_NUMERIC="C" LC_TIME="C" LC_ALL="C"
出力されているのはロケール関連の環境変数とその現在値です。この例では変
数はすべてデフォルトのC
ロケールになっています。ユー
ザはこれらの変数を特定の国/言語コードの組合せに変更することができます。
例えば LC_TIME
変数の値をfr_CA
に
すると、プログラムはフランス語を話すカナダ人に対する書式で時刻と日付を
表示するようになります。あるいは LC_MESSAGES
変数を
zh_TW
に設定すれば、プログラムは人が読むためのメッセー
ジ中国語で表示するようになります。 LC_ALL
変数を設定
すると全てのロケール変数の値が同じ値になります。
LANG
の値はどのロケール変数も設定されていない場合の
デフォルト値になります。Unix システムで可能なロケールの一覧は
locale -aを実行するとわかります。
Windows ではロケールの設定はコントロールパネルの「地域と言語のオ プション」を通じて設定することができます。その画面で利用できるロ ケール値がそれぞれどのようになっているかを確認し、選択することができ、 (かなり特殊なケースだと思いますが)表示形式の規約をさまざまにカスタマイ ズすることすらできます。
Subversion クライアントである svnは、ふたつの場面で
現在のロケール値を正しく扱います。まず、LC_MESSAGES
変数の値を見て全てのメッセージを特定の言語で表示しようとします。たとえ
ば:
$ export LC_MESSAGES=de_DE $ svn help cat cat: Gibt den Inhalt der angegebenen Dateien oder URLs aus. Aufruf: cat ZIEL[@REV]... …
この動作は Unix でも Windows でも同じです。しかし、あなたのオペレーティ
ングシステムが特定のロケールをサポートしているとしても Subversion クラ
イアントがその特定の言語をしゃべることができるとは限りません。ローカラ
イズされたメッセージを出力するにはボランティアによる言語ごとの翻訳が必
要になります。翻訳は GNU gettext パッケージを利用しているので、
.mo
というファイル拡張子をもった翻訳モジュールが
結果として必要になります。たとえば、ドイツ語の翻訳ファイルは
de.mo
になる、といった具合です。このような翻訳ファ
イルはあなたのシステムの、ある特定の場所にインストールされます。Unix
であれば普通は/usr/share/locale/
のような場所にな
り、Windows であれば Subversion をインストールしたフォルダの中の
¥share¥locale¥
フォルダなどに見つかることがよくあ
ります。いったんインストールするとモジュールは翻訳を実行するプログラム
の名前に変更されます。例えば de.mo
というファイル
は最終的には
/usr/share/locale/de/LC_MESSAGES/subversion.mo
の
ような名前でインストールされます。インストールされている
.mo
ファイルを見れば、Subversion クライアントが実
際にはどの言語を話すことができるかがわかります。
ロケールが考慮される二番目の場面は svn があなたの入力を解釈する時です。リポジトリはすべてのパス名、ファイル名 そしてログメッセージを UTF-8 でエンコードされた Unicode で保存します。 この意味でリポジトリは 国際化されています— つまり、リポジトリはどのような自然言語の入力も受け入れる用意ができて います。しかしこれは Subversion クライアントは UTF-8 ファイル名とログ メッセージだけをリポジトリに送る責任があることを意味します。このため Subversion クライアントはデータをネイティブのロケールから UTF-8 へと 変換しなくてなりません。
たとえばcaff竪.txt
という名前のファイルを作り、そ
のファイルをコミットするときに 「Adesso il caff竪竪 pi湛
forte」というログメッセージをつけたとします。ファイル名とログメッ
セージの両方に 非ASCII 文字が含まれていますがロケールが
it_IT
に設定されているので Subversion クライアントは
そのような文字列がイタリア語であることを理解することができます。そして
イタリア語の文字セットを使ってデータ UTF-8 に変換し、それから結果を
リポジトリに送信します。
リポジトリはファイル名とログメッセージは UTF-8 であることを要求します がファイルの内容にはまったく考慮 しません。 Subversion はファイルの内容を単なるバイト列の並びとして扱い、クライア ント側もサーバ側もその内容のキャラクタセットやエンコーディングを理解し ようとはしません。
--diff-cmd
と--diff3-cmd
オプションや
同じような名前の実行時環境パラメータ(config項参照)がある
ので、Subversion で外部差分ツール(あるいは 「diff」)とマージツールを
使うのは簡単なことだという間違った考えを持ってしまうかも知れません。
Subversion ではそのようなよく知られたほとんどのツールを使うことが
できますが、このような設定に必要な努力はそれほど簡単ではないことが
よくあります。
Subversion と外部 diff と merge ツールは Subversion の唯一の文脈差分
を出力する能力が GNU の diffutils の連携した呼び出しだけであった
ころに由来しています。具体的には diff と
diff3 ユーティリティーです。Subversion が必要とする
ような動作をさせるには、そのようなユーティリティーをかなりたくさんの
オプションと引数で呼び出されました。それらのほとんどはそれぞれの
ユーティリティーごとの非常に特殊なオプションでした。ある時点から Subversion
は自分自身の内部差分ライブラリを持つようになり、エラー回避の仕組みとして
の
[39]
--diff-cmd
と--diff3-cmd
オプションが Subversion コマンドラインクライアントに追加されていて、
これによってユーザは、新しい内部 diff ライブラリを使うかわりに自分の
好きな GNU diff や diff3 ユーティリティーを使うこともできたのです。
このようなオプションが利用された場合、Subversion は単に内部 diff
ライブラリを無視し、そのような外部プログラムを長い引数つきで実行します。
これが、このようなオプションが今でも残っている理由です。
Subversion がシステム中の特定のディレクトリにある外部 GNU diff と diff3 ユーティリティーを利用するための簡単な設定の仕組みは他の diff や merge ツールにも一般的に利用できることに開発チームが気づくまでにはそんなに 長い時間はかかりませんでした。要するに Subversion は実際に実行せよと 言われた外部ツールが GNU diffutils のツールの組み合わせであるかどうか を実際には確認していなかったのです。しかしこれらの外部ツールを利用する ための、そのツールのシステム中の場所だけは設定しなくてはなりません— 必要なオプションと、パラメータの順序、などを指定するのはもちろんのこと ですが。Subversion は、このような GNU ユーティリティー用のオプションの すべてを、実際にそのオプションが理解されるかどうかにかかわりなく 外部 diff ツールに渡します。そしてここがほとんどのユーザにとって 直観的には理解しにくい部分です。
外部 diff と merge ツール(もちろん GNU diff と diff3 以外のものも含みますが) を Subversion で利用するときの鍵は、Subversion からの入力をその差分ツールが 理解できる何らかの形に変換し、そのツールからの出力内容— それは たとえば GNU ツールが利用しているような書式ということになるのでしょうが— を Subversion 側で理解できる形に変換するようなラッパースクリプトを使うことです。 以下の節ではこのような考え方を具体的に述べます。
Subversion の処理の一部として文脈 diff や merge をいつ利用するかの判断は
完全に Subversion 側で決定され、操作対象となるファイルが人間によって
可読な形式であるかどうかは他の場合と同様 svn:mime-type
属性によって決められます。これによって、例えば、仮にあなたが宇宙で一番
すぐれた Microsoft Word 用の差分とマージツールを手にしていたとしても、
そのバージョン化された Word ドキュメントが人間によって可読ではないことを
示す MIME タイプに設定されていなければ(たとえば
application/msword
のようなもの)決して起動されることは
ないでしょう。MIME タイプの設定についての詳細は svn:mime-type
項を見て
ください。
Subversion は外部 diff プログラムを GNU diff ユーティリティーにふさわしい 引数で呼び出し、その外部プログラムには単に成功したことを示すエラーコード を返すことだけを期待します。その他のほとんどの diff プログラムでは 六番目と七番目の引数、これは diff の左側と右側にそれぞれ対応したファイルの パスになりますが、それだけが関係してきます。Subversion は Subversion の操作によって修正されたファイルごとに diff プログラムを起動する ため、その外部プログラムが非同期的に実行される(あるいは「バックグラウンド」 で実行される)場合にはすべてのインスタンスが同時に実行されてしまうかも知れない ことに注意してください。最後に Subversion はそのプログラムが差分を検出した場合 0 を、また検出しなかった場合には 1 をエラーコードとして返すものとして扱います —これ以外のエラーは致命的なエラーとみなします。 [40]
例 7.2. 「diffwrap.sh」 と 例 7.3. 「diffwrap.bat」 はそれぞれ Bourne シェルと Windows バッチスクリプト言語での外部 diff ツールの ラッパー用テンプレートです。
例 7.2. diffwrap.sh
#!/bin/sh # ここに自分の好きな diff プログラムを設定してください。 DIFF="/usr/local/bin/my-diff-tool" # Subversion は 6 番目と 7 番目の引数としてパス名が必要です LEFT=${6} RIGHT=${7} # diff コマンドを呼び出します (merge プログラムで意味を持つように # 以下の行を変更してください。) $DIFF --left $LEFT --right $RIGHT # 差分がなけばエラーコード 0 を、差分があれば 1 を返します。 # それ以外のエラーコードは致命的とみなします。
例 7.3. diffwrap.bat
@ECHO OFF REM ここに自分の好きな diff プログラムを設定してください。 SET DIFF="C:¥Program Files¥Funky Stuff¥My Diff Tool.exe" REM Subversion は 6 番目と 7 番目の引数としてパス名が必要です SET LEFT=%6 SET RIGHT=%7 REM diff コマンドを呼び出します (merge プログラムで意味を持つように REM 以下の行を変更してください。) %DIFF% --left %LEFT% --right %RIGHT% REM 差分がなけばエラーコード 0 を、差分があれば 1 を返します。 REM それ以外のエラーコードは致命的とみなします。
Subversion は外部マージプログラムを GNU diff3 ユーティリティーにふさわしい 引数で呼び出し、この外部プログラムが成功を示すエラーコードで戻り、 完了したマージ処理の結果としてのファイル内容の全体が標準出力ストリームに 出力されることを期待します(これによって Subversion はその内容を 適切なバージョン管理下にあるファイルにリダイレクトすることができます)> その他のほとんどのマージプログラムでは 9 番目、10番目、そして 11 番目の 引数だけが処理に関係してきます。これらはそれぞれ 「自分側のファイル(mine)」、 「マージ元になる古いファイル(older)」、そして 「相手側のファイル(yours)」の内容になります。 Subversion はそのマージプログラムの出力に依存するので、ラッパースクリプトは 出力が Subversion に転送されてしまうまで終了してはいけません。最終的に プログラムが終了した際にマージが成功していれば 0 を、解消できない衝突が 出力中に残っている場合には 1 を返します — それ以外のエラーコードは 致命的なものとみなします。
例 7.4. 「diff3wrap.sh」 と 例 7.5. 「diff3wrap.bat」 はそれぞれ Bourne シェルと Windows バッチスクリプト言語用の外部マージツール ラッパーのテンプレートです。
例 7.4. diff3wrap.sh
#!/bin/sh # ここに自分の好きな diff3/merge プログラムを設定してください。 DIFF3="/usr/local/bin/my-merge-tool" # Subversion は必要となるパスを、9, 10, 11 番目の引数として用意します。 MINE=${9} OLDER=${10} YOURS=${11} # merge コマンドを呼び出します (merge プログラムで意味を持つように # 以下の行を変更してください。) $DIFF3 --older $OLDER --mine $MINE --yours $YOURS # マージ処理実行後、このスクリプトはマージされたファイル内容を標準出力に # 表示す必要があります。適切だと考える方法でこれを行ってください。 # エラーコード 0 はマージ成功を、1 は解消不能な衝突が結果に残ったことを # 示します。それ以外のエラーコードは致命的とみなします。
例 7.5. diff3wrap.bat
@ECHO OFF REM ここに自分の好きな diff3/merge プログラムを設定してください。 SET DIFF3="C:¥Program Files¥Funky Stuff¥My Merge Tool.exe" REM Subversion は必要となるパスを、9, 10, 11 番目の引数として用意しますが、 REM 一度にアクセスできる引数の数は 9 個までなので、必要な引数を取得するため REM 取得前に 9 個のパラメータウィンドウを二回シフトしておきます。 SHIFT SHIFT SET MINE=%7 SET OLDER=%8 SET YOURS=%9 REM merge コマンドを呼び出します (merge プログラムで意味を持つように REM 以下の行を変更してください。) %DIFF3% --older %OLDER% --mine %MINE% --yours %YOURS% REM マージ処理実行後、このスクリプトはマージされたファイル内容を標準出力に REM 表示す必要があります。適切だと考える方法でこれを行ってください。 REM エラーコード 0 はマージ成功を、1 は解消不能な衝突が結果に残ったことを REM 示します。それ以外のエラーコードは致命的とみなします。
この本全体を通じて、Subversion は Subversion リポジトリのバージョン管 理されている資源を特定するために URL を使います。ほとんどの場所ではこ のようなURL は標準的な構文が利用され、サーバ名とポート番号をその URL の一部として指定することができるようになっています:
$ svn checkout http://svn.example.com:9834/repos …
しかし Subversion の URL には、注意しなくてはならないような微妙な記述
の仕方もあります。たとえば file:
によるアクセス法を
含むような URL の場合、規約により localhost
という
名前のサーバ名を指定するか、あるいはまったくサーバ名を指定しないかのど
ちらかを選択しなくてはなりません:
$ svn checkout file:///path/to/repos … $ svn checkout file://localhost/path/to/repos …
また Windows プラットフォームで file:
構文を使うユー
ザは同じマシン上にあるが、クライアントのカレントドライブとは別のドライ
ブにあるリポジトリにアクセスするためには公式的なものとはされていません
が 「標準的な」構文を使う必要があります。以下の URL 構文の
どちらか一方を使うとうまくアクセスできます。ここで
X
はリポジトリのあるドライブです。
C:¥> svn checkout file:///X:/path/to/repos … C:¥> svn checkout "file:///X|/path/to/repos" …
二番目の構文では URL を引用符でくくることで縦棒の文字がパイプの意味に 解釈されないようにする必要があります。また URL は Windows の標準ではバッ クスラッシュを使うパスの区切りの文字に通常のスラッシュ文字を使うことに も注意してください。
最後に、Subversion クライアントは必要に応じてちょうど Web ブラウザがや るような具合に自動的に URL をエンコードすることにも注意してください。 たとえば、 URL が空白あるいは上位の ASCII 文字が含まれている場合:
$ svn checkout "http://host/path with space/project/espa単a"
… Subversion は安全に表示できる文字に変換して、あなた自身がそのように 入力したかのように動作します:
$ svn checkout http://host/path%20with%20space/project/espa%C3%B1a
URL が空白を含む場合、引用符の中にあることを確認してください。これでシェ ルは svnプログラムに対してその文字列全体が単一の引 数であるものとして扱うことができるようになります。
[28] APPDATA
環境変数は
Application Data
領域を
指しているので、常にそのフォルダを%APPDATA%¥Subversion
のように参照することができます。
[29] 残り物でディナーはいかが?
[30] XML に詳しいのであれば、これは XML "名称" の ASCII サブセットな構文 に近いものです。
[31]
コミットログ中の、スペルミス、文法間違い、
「つまらないミス」 は多分--revprop
オプション利用で一番よく起こるものです。
[32]
Windowsのファイルシステムはファイル拡張を使ってそれが実行ファイルである
ことを示します。(.EXE
, .BAT
,
.COM
のような拡張子です)
[33] パターンはそのディレクトリのみに制限されます—サブディレクトリに 再帰的に伝わることはありません。
[34] それがビルドシステムの核心では?
[35] … あるいは、その本の一節を…
[36] 「 名前なんかつけ ちゃだめだ。いったん名前をつけたら、それにとらわれるようになってしまう よ。」 — Mike Wazowski
[37] 606 N. Main Street, Wheaton, Illinois, は Wheaton 歴史センターのある場所です。 たずねてみてください—「歴史センター」だって? 確かに….
[38] そして、もちろんあなたのことですから、バグも完全になくなっている、と。
[39] Subversion 開発者はもちろんみんな優秀ですが、猿も木から落ちるといいます。
[40] GNU diff のマニュアルには以下のようにあります: 「 0 の終了コードは差分がなかったことを意味し、1 は何か差分があったことを、また 2 は処理に異常があったことを示します。 」
目次
Subversion はオープンソースのソフトウェアプロジェクトで、 Apacheスタイルのソフトウェアライセンスを持っています。プロジェクトは カリフォルニアに本拠地があるソフトウェア開発会社CollabNet, Inc., の 経済的な支援を受けています。このコミュニティはSubversionの開発を めぐって構成されていますが、このプロジェクトに時間を割いてもらったり 注意を向けてもらえるような形で無償援助してくれる人を常に歓迎して います。ボランティアはどんな形の援助もすることができます。 それは、バグを見つけたり、テストしたり、既にあるコードを改良したり、 まったく新しい機能を追加したりといったことを含みます。
この章はソースコードに自分の手を実際に染めることによってSubversion のいままさに起こっている進化を援護しようとする人に向けてのものです。 ソフトウェアのもっと詳細に触れ、Subversion自身を開発するのに— あるいは、Subversionライブラリを使った完全に新しいツールを書くために —必要になる技術的に重要な点について説明します。もし、そんな レベルの話に参加したくないのであれば、この章は飛ばしてもらって結構 です。Subversionのユーザとしての経験には影響を与えませんので。
Subversionはモジュール化された設計になっていて、Cライブラリの集まりと して実装されています。ライブラリのそれぞれはよく定義された目的とインター フェースを持っていて、ほとんどのモジュールは三つの主要な層のどれかに属 します。—リポジトリ層、リポジトリアクセス層(RA)、そしてクライア ント層です。これらの層について簡単に見ていきますが、最初に表 8.1. 「Subversionライブラリの一覧」 にあるSubversion ライブラリ一覧を見てくだ さい。一貫した議論とするため、ライブラリは、拡張子を除いた Unix のライ ブラリ名称で参照することにします(たとえば: libsvn_fs, libsvn_wc, mod_dav_svn)。
表 8.1. Subversionライブラリの一覧
ライブラリ | 説明 |
---|---|
libsvn_client | クライアントプログラムへの主要なインターフェース |
libsvn_delta | ツリーとバイトストリームの差分ルーチン |
libsvn_diff | コンテキスト差分とマージルーチン |
libsvn_fs | ファイルシステムの共通関数と、モジュールローダー |
libsvn_fs_base | Berkeley DB ファイルシステムバックエンド |
libsvn_fs_fs | ネイティブファイルシステム (FSFS) バックエンド |
libsvn_ra | リポジトリアクセスのための共通ルーチンとモジュールローダ |
libsvn_ra_dav | WebDAV リポジトリアクセスモジュール |
libsvn_ra_local | ローカルリポジトリアクセスモジュール |
libsvn_ra_svn | 独自プロトコルによるリポジトリアクセスモジュール |
libsvn_repos | リポジトリインターフェース |
libsvn_subr | さまざまな役に立つサブルーチン |
libsvn_wc | 作業コピー管理ライブラリ |
mod_authz_svn | WebDAV経由で Subversion リポジトリにアクセスするための Apache 認証モジュール。 |
mod_dav_svn | WebDAV操作をSubversionのものに対応付けるApacheモジュール |
表 8.1. 「Subversionライブラリの一覧」 に「さまざまな」という言 葉が一つだけ出てきているというのは、良い設計である証拠です。Subversion 開発チームはそれぞれの機能が、正しい層とライブラリにあることを確認する のを、重要なことだと考えています。多分、モジュール化した設計の一番大き な利点は開発者の観点から見た複雑さを減らすことができることです。開発者 として、あなたはすぐに、「話の概要」を知ることができ、それ によって比較的簡単にある特定の機能の場所を特定することができるようにな ります。
モジュール化のほかの利点は、与えられたモジュールをコードの別の部分に 影響与えることなしに、同じAPIを実装した新しいライブラリで置き換えることが できるということです。ある意味で、これはSubversion内部で既に起きて いることです。libsvn_ra_dav, libsvn_ra_local, そして libsvn_ra_svn の すべては、同じインターフェースを実装しています。そして、この三つすべて が、リポジトリ層とやり取りします。 — libsvn_ra_dav と libsvn_ra_svn はネットワーク越しにそう しますし、libsvn_ra_local は直接リポジトリに接続します。 libsvn_fs_base と libsvn_fs_fs ライブラリは、さらにまた別の例です。
クライアント自身もまたSubversionの設計でのモジュール性をはっきり 示しています。Subversionは現在のところコマンドラインクライアント プログラムのみを実装していますが、SubversionのためにGUIとして振る舞う ようなサードパーティーによって開発されているいくつかのプログラムが あります。このようなGUIも、既に実装されているコマンドクライアント と同じAPIを利用します。Subversionのlibsvn_client ライブラリは Subversionクライアントを設計するのに必要なほとんどの機能のために 利用することができます。 (クライアント層項参照)。
Subversionのリポジトリ層を参照するとき、一般的に、二つのライブラリに ついて語っています—リポジトリライブラリとファイルシステムライブラリ です。これらのライブラリはバージョン管理されたデータのさまざまなリビジョン のための格納と報告の仕組みを提供しています。この層はリポジトリアクセス層 を経由してクライアント層とつながっていて、Subversion利用者から見ると、 「通信の相手先」にあるものに見えます。
Subversionのファイルシステムはlibsvn_fs APIによってアクセスされ、 オペレーティングシステムにインストールされているカーネルレベルの 意味でのファイルシステム(Linuxのext2 や、NTFSのような)ではなく、 仮想的なファイルシステムのことです。「ファイル」と 「ディレクトリ」を (自分の好きなシェルを使って操作することができるような)現実の ファイルとディレクトリとして保存するのではなく、バックエンドの 抽象的な保存の仕組みとして二つのうちのどちらかが利用可能です — Berkeley DB データベース環境か、フラットファイルによる 表現です。(この二つのバックエンドについてより深く知りたい場合は リポジトリの保存形式項を見てください)。 しかし、Subversionの今後のリリースの中で開発コミュニティによって 興味を引いている、別のバックエンドデータベースシステムの利用 可能性があります。たとえば、オープンデータベースコネクティビティー (ODBC)などです。
libsvn_fs が提供するファイルシステムAPIは他のファイルシステムAPI でも期待できるような機能を持っています: ファイルやディレクトリの 作成や削除ができて、コピーや、移動ができ、ファイルの内容を 修正することができて、などなどです。あまり一般的ではないような 機能もあります。たとえば、ファイルやディレクトリに付随した メタデータ(「属性」)の追加、変更、削除、などです。さらに Subversionファイルシステムはバージョン化可能なファイルシステムで、 これは、ディレクトリツリーに変更を加えると、Subversionはその変更 以前に、そのツリーがどのように見えるかを憶えておくということを 意味します。そして、さらにその前の変更前、さらにその前、などです。 このようにして、ファイルシステムに何かを最初に追加したところまでの すべてのバージョンに戻ることができます。
ツリーに加えたすべての変更はSubversionのトランザクションの中で実行 されます。以下は、ファイルシステムを修正するための単純で一般的な 手続きです:
Subversionトランザクションの開始
修正の実行(追加、削除、属性の修正、など)
トランザクションのコミット
トランザクションをコミットすると、ファイルシステムの変更は歴史上の 出来事として永久に記録されます。このようなそれぞれのサイクルは ツリーに新しいリビジョンを作り、それぞれのリビジョンは「あることが どのようであったか」という純粋なスナップショットとしていつでもアクセス できるようになります。
ファイルシステムインターフェースによって用意される機能のほとんどは
ファイルシステムパスに対して起こる操作として提供されます。
つまり、ファイルシステムの外部からは、ファイルやディレクトリの個別の
リビジョンを記述し、アクセスする、主要な仕組みは、/foo/bar
のようなパス文字列を使うことを通じて提供され、それはちょうど、あなたが
なじみのシェルプログラムを通じてファイルやディレクトリにアクセスする
ような感じになります。適切なパス名を正しいAPI関数に渡すことによって、
新しいファイルやディレクトリを追加することができます。同じ仕組みを使って
そのファイルなどに関した情報を問い合わせることができます。
ほとんどのファイルシステムとは違い、パスだけを指定するのは、Subversion のファイルやディレトクリを特定するのに十分な情報ではありません。 ディレクトリツリーを二次元のシステムと考えてください。ここで、あるノードの 兄弟は、左から右に移動することを表現していて、サブディレトクリに降りていく のは、下向きの移動であると考えてください。図 8.1. 「二次元の中のファイルとディレクトリ」 は典型的なツリーの 表現を示しています。
もちろんSubversionのファイルシステムは隠れた第三の次元を持っていますが、
それはほとんどのファイルシステムが持っていないものです—それは時間の次元です!
[41]
ファイルシステムインターフェースで、path
引数を
持つほとんどすべての関数はまたroot
引数も指定し
なくてはなりません。このsvn_fs_root_t 引数は、
リビジョンか、Subversionのトランザクション(それは普通はリビジョンとな
るべきものです)のどちらかをあらわし、リビジョン32の
/foo/bar
と、リビジョン98の同じパスとの間の違いを
理解するのに必要になる三次元コンテキストを用意します。図 8.2. 「バージョン化した時刻—第三の次元!」 はSubversionファイルシステムの宇宙に
追加された次元についてのリビジョン履歴をあらわしています。
以前指摘したように、libsvn_fs API は他のファイルシステムと見かけは よくにているが、このすばらしいバージョン管理能力だけは例外です。 それはバージョンファイルシステムに興味のあるすべてのプログラマによって 利用できるように設計されました。偶然の一致ではありませんが、 Subversion自身もその機能に興味があります。しかし、ファイルシステムAPI は基本的なファイルとディレクトリのバージョン管理をサポートしていますが Subversionはさらに多くを要求します—そしてそれはlibsvn_repos が 提供するものです。
Subversionリポジトリライブラリ(libsvn_repos)は基本的には ファイルシステム機能のまわりにあるラッパーライブラリです。この ライブラリはリポジトリレイアウトの作成、ファイルシステムの初期化を 正しく実行すること、などに責任を持ちます。Libsvn_repos はまた フックを実装します—特定の処理が実行されるときにリポジトリの コードによって実行されるスクリプトです。このようなスクリプトは 通知、認証、あるいはリポジトリ管理者が望むようなさまざまな 目的にとって役に立つものです。このタイプの機能と、リポジトリライブラリ によって提供されるほかのユーティリティーはバージョン化ファイルシステム の実装に強く関連しているわけではありません。それが独自のライブラリとして 実装された理由です。
libsvn_repos APIを使おうとする開発者には、それがファイルシステムインターフェース に対する完全なラッパではないことがわかるでしょう。つまり、 ファイルシステム操作の一般的なサイクルにある主要なイベントに ついてだけリポジトリインターフェースによってラップされます。 その中のいくつかは、Subversionトランザクションの生成やコミット、 リビジョン属性の修正などです。このような特定のイベントはそれに 関連したフックがあるため、リポジトリ層によってラップされます。 将来的には他のイベントもリポジトリAPIによってラップされるかも 知れません。しかし、残りのファイルシステムの作用のすべては libsvn_fs API 経由で直接実行されます。
たとえば、ディレクトリが追加されるファイルシステムの新しい
リビジョンを作るための、リポジトリとファイルシステムインターフェース
について、使い方を説明したコードがあります。
この例で(そして、この本全体を通じてすべてのほかの例でも)、
SVN_ERR()
マクロは単にラップした関数からの
失敗した場合のエラーコードのチェックです。そしてそのようなもの
があればそのエラーを返します。
例 8.1. リポジトリ層の利用
/* Create a new directory at the path NEW_DIRECTORY in the Subversion repository located at REPOS_PATH. Perform all memory allocation in POOL. This function will create a new revision for the addition of NEW_DIRECTORY. */ static svn_error_t * make_new_directory (const char *repos_path, const char *new_directory, apr_pool_t *pool) { svn_error_t *err; svn_repos_t *repos; svn_fs_t *fs; svn_revnum_t youngest_rev; svn_fs_txn_t *txn; svn_fs_root_t *txn_root; const char *conflict_str; /* Open the repository located at REPOS_PATH. */ SVN_ERR (svn_repos_open (&repos, repos_path, pool)); /* Get a pointer to the filesystem object that is stored in REPOS. */ fs = svn_repos_fs (repos); /* Ask the filesystem to tell us the youngest revision that currently exists. */ SVN_ERR (svn_fs_youngest_rev (&youngest_rev, fs, pool)); /* Begin a new transaction that is based on YOUNGEST_REV. We are less likely to have our later commit rejected as conflicting if we always try to make our changes against a copy of the latest snapshot of the filesystem tree. */ SVN_ERR (svn_fs_begin_txn (&txn, fs, youngest_rev, pool)); /* Now that we have started a new Subversion transaction, get a root object that represents that transaction. */ SVN_ERR (svn_fs_txn_root (&txn_root, txn, pool)); /* Create our new directory under the transaction root, at the path NEW_DIRECTORY. */ SVN_ERR (svn_fs_make_dir (txn_root, new_directory, pool)); /* Commit the transaction, creating a new revision of the filesystem which includes our added directory path. */ err = svn_repos_fs_commit_txn (&conflict_str, repos, &youngest_rev, txn, pool); if (! err) { /* No error? Excellent! Print a brief report of our success. */ printf ("Directory '%s' was successfully added as new revision " "'%ld'.¥n", new_directory, youngest_rev); } else if (err->apr_err == SVN_ERR_FS_CONFLICT) { /* Uh-oh. Our commit failed as the result of a conflict (someone else seems to have made changes to the same area of the filesystem that we tried to modify). Print an error message. */ printf ("A conflict occurred at path '%s' while attempting " "to add directory '%s' to the repository at '%s'.¥n", conflict_str, new_directory, repos_path); } else { /* Some other error has occurred. Print an error message. */ printf ("An error occurred while attempting to add directory '%s' " "to the repository at '%s'.¥n", new_directory, repos_path); } /* Return the result of the attempted commit to our caller. */ return err; }
このコードで、リポジトリとファイルシステムインターフェースの両方に
対する呼び出しがあります。svn_fs_commit_txn()
を
使ってトランザクションを簡単にコミットできます。しかし、
ファイルシステムAPIはリポジトリライブラリのフックの仕組みについては
何も知りません。もしSubversionリポジトリにトランザクションをコミット
するたびに自動的にある種の非Subversion的な作業を実行させたい場合、
(たとえば、開発者メーリングリストにそのトランザクションで起きたすべて
変更を説明するメール を送信する、など)、その関数のlibsvn_reposで
ラップされたバージョンを使う必要があります—
svn_repos_fs_commit_txn()
。
この関数は実際にはもし存在すれば、最初に「pre-commit」フックスクリプトを実行し、
それからトランザクションをコミットし、最後に「post-commit」フックスクリプト
を実行します。フックは、実際にはコアのファイルシステムライブラリ自身
に含まれない特別の報告の仕組みを用意します。
(Subversionのリポジトリフックについての詳細はフックスクリプト項を見てください)。
フックの仕組みは、残りのファイルシステムコードから 独立したリポジトリライブラリの抽象化が一つの理由です。 libsvn_repos API はほかにもいくつかの重要なユーティリティーを Subversionに提供しています。これには以下のようなものがあります:
Subversionリポジトリと、それに含まれるファイルシステム上での ファイルの生成、オープン、削除、そして回復のステップ
二つのファイルシステムツリー間の比較の表示
ファイルシステム中で修正されたファイルがあるすべて(あるいは いくつかの)のリビジョンに結びついたコミットログメッセージへの 問い合わせ
ファイルシステムの可読な「ダンプ」の生成、ファイルシステム中にある リビジョンの完全な表現
ダンプフォーマットの解析、異なるSubversionリポジトリの中に ダンプされたリビジョンをロードすること
Subversionが進化し続けるにつれて、リポジトリライブラリは 増えつづける機能と設定可能なオプションをサポートを提供する ために,ファイルシステムライブラリとともに大きくなり続ける でしょう。
もしSubversionリポジトリ層が、「通信路のもう一方の端点」 であるなら、リポジトリ アクセス層は、その通信路そのもののです。クライアントライブラリとリポジトリ の間でデータを相互変換することが課せられたこの層は libsva_raモジュールローダ ライブラリ、そのRAモジュール自身(現在のところ、libsvn_ra_dav, libsvn_ra_local,そして libsvn_ra_svnを含みます)、そして一つ以上の RA モジュールに必要となる追加 のライブラリ、たとえば、libsvn_ra_dav が通信するための、mod_dav_svn Apache モジュールを含みます。mod_dva_svn モジュールを利用しないときには、 libsvn_ra_svn のサーバであるsvnserveが通信します。
Subversionは、リポジトリリソースを特定するのに URLを利用するので、
URLスキーマのプロトコル部(普通は、file:
,
http:
, https:
, あるいは
svn:
) はどの RA モジュールが通信を処理するか
を決めるために使われます。それぞれのモジュールは、プロトコルのリスト
を登録しますが、それはどうやって「話せば」良いかを知っているので、
RA ローダが実行時にどのRAモジュールをその処理のために利用するかを
決定することができます。どのRAモジュールがSubversionコマンドライン
クライアントに利用可能かを決定することができ、svn --version
を実行することで、どのプロトコルはサポートしていないと言ってくるか
を知ることができます。:
$ svn --version svn, version 1.2.3 (r15833) compiled Sep 13 2005, 22:45:22 Copyright (C) 2000-2005 CollabNet. Subversion is open source software, see http://subversion.tigris.org/ This product includes software developed by CollabNet (http://www.Collab.Net/). The following repository access (RA) modules are available: * ra_dav : Module for accessing a repository via WebDAV (DeltaV) protocol. - handles 'http' scheme - handles 'https' scheme * ra_svn : Module for accessing a repository using the svn network protocol. - handles 'svn' scheme * ra_local : Module for accessing a repository on local disk. - handles 'file' scheme
libsvn_ra_dav ライブラリは、サーバとは別のマシン上で
実行されているクライアントによって利用されるように設計されています。
クライアントはURLを使って特定のサーバを指定することで通信します。
ここでいうURLは、http:
または
https:
のプロトコル部分を含んでいるようなものです。
どのようにこのモジュールが動作するかを理解するために、最初にリポジトリ
アクセス層の特定の設定中にあるほかのいくつかのキーコンポーネントに
触れる必要があります—それは強力な Apache HTTP サーバと、
Neon HTTP/WebDAV クライアントライブラリです。
Subversionの主なネットワークサーバはApache HTTP サーバです。Apache は 十分にテストされ、拡張可能なオープンソースのサーバプロセスで、それは まじめな用途に利用することができます。それはネットワークの高負荷に 持ちこたえることができ、たくさんのプラットフォーム上で動作します。 Apacheサーバはたくさんの異なる標準認証プロトコルをサポートし、 たくさんの人々によってサポートされたモジュールを利用することで 拡張することができます。それはまたネットワークパイプラインやキャッシング のような最適化をサポートしています。サーバとしてApache を利用することに よって、Subversionはこれらのすべての機能を自由に手に入れることが できます。そして、ほとんどのファイアウォールはHTTPの通信を通すように 設定されているので、システム管理者は、普通はファイアウォール設定 を変更する必要すらなくSubversionを動作させることができます。
SubversionはHTTPとWebDAV(DeltaV付きで) を使って、Apacheサーバと 通信します。これについては、この章の WebDAVの節を呼んでください。 しかし、簡単に言えば、WebDAVとDeltaV は標準的なHTTP1.1プロトコル の拡張で、それはweb上でファイルの共有とバージョン化を可能にします。 Apache 2.0 は mod_dav が用意されていて、これは HTTP のDAV拡張を 理解するモジュールです。Subversion自身は mod_dav_svn をサポートして いますが、これは別の Apache モジュールで、mod_dav と協調して動作し、 (実際にはそのバックエンドとして)Subversion上での具体的な WebDAVと DeltaVの実装となっています。
HTTP越しにリポジトリと通信するとき、 RAローダライブラリは libsvn_ra_dav を
サーバプロセスモジュールとして選択します。Subversionクライアントは
一般的な RA インターフェースを呼び出し、 libsvn_ra_dav はこのような
呼び出しを(それはまだ大雑把なSubversionの動作を具体化します)を、
HTTP/WebDAV要求に変換します。Neon ライブラリを使って、libsvn_ra_dav
はこのような要求をApacheサーバに送信します。Aapche はこのような要求
を受け取り(Webブラウザがやるのとまったく同じ一般的なHTTP要求ですが)、
DAV管理の位置として設定されたURLに振り向け(
httpd.conf
ファイル中の
<Location>
命令を使います)、その要求を固有の
mod_davモジュールに渡します。適切に設定されていれば、mod_dav
は Apache 付属の一般的な mod_dav_fs ではなく、Subversionの
mod_dav_svn をファイルシステムに関連した要求に対して利用することを
知っています。それで、最後には、このクライアントは mod_dav_svn と
通信しますが、これは直接Subversionリポジトリ層に結び付いている
ものです。
これが実際に起こるやり取りの簡略化した説明です。たとえば、 SubversionリポジトリはApacheの認証命令によって保護されているかも知れません。 これによって、リポジトリと最初に通信しようとする試みが、認証付きApacheに よって失敗に終わるかも知れません。 この時点で、libsvn_ra_davはApacheから、不十分な 認証しか得られなかったのでクライアント層に更新された認証データを 取得するためにコールバックした、という通知を受けます。 もしこのデータが正しく取得できれば、ユーザは、許可された最初の操作 を実行する、libsvn_ra_davの次のアトミックな要求を探し、すべて がうまくいきます。もし十分な認証情報が与えられなければ要求は最終的に 失敗し、クライアントはユーザにその旨を報告します。
NeonとApacheを使って、Subversionはほかのいろいろな複雑な領域への 自由な機能を得ることもできます。たとえば、もしNeonがOpenSSLライブラリ を見つけた場合、それはSubversionクライアントにSSLで暗号化された 通信を、Apacheサーバとすることを認めます。 (その固有の mod_ssl は「その言語を話します」)。また、Neon自身と Apacheのmod_deflateは「deflate」アルゴリズムを理解できるので( PKZIPとgzipプログラムで利用されているのと同じものですが)、 要求はより小さな圧縮された塊として通信路を流れます。 Subversionが今後サポートしたいと思っているほかの複雑な機能 としては、自動的にサーバ側のリダイレクトを処理すること(たとえば、 リポジトリが別の新しいURLに移動したような場合) や、HTTPパイプライン の恩恵にあずかること、などです。
標準的なHTTP/WebDAV プロトコルに加えて, Subversionは固有の
プロトコルを使う RAの実装も用意しています。libsvn_ra_svn モジュールは
固有のネットワークソケット接続を実装し、リポジトリのあるスタンドアロンサーバ
と通信します—svnserve
です—
クライアントはsvn://
スキーマでリポジトリにアクセスで
きます。
この RA 実装は、前の節で触れたApacheの利点のほとんどを欠いています。
しかし、それはある種のシステム管理者を引きつけるかも知れません。
それは非常に簡単に設定し実行できます。svnserve
プロセスの設定は、ほとんど瞬間的に終わります。またそれはApacheよりも
(コード行数という意味で)ずっと小さく、セキュリティーや他の事情による
チェックもずっと容易です。さらにいくつかのシステム管理者は既に
SSH のセキュリティーインフラを持っていて、Subversionにもそれを使わせたい
と思っているかも知れません。ra_svn を使うクライアントは SSH を介して
プロトコルを簡単にトンネルすることができます。
Subversionリポジトリとのすべての通信が大きなサーバプロセスとネットワーク層
を必要とするわけではありません。ローカルディスク上のリポジトリにアクセス
したいだけのユーザにとっては、file:
を使うことができ、
libsvn_ra_localが提供する機能を使うことができます。
この RA モジュールは直接リポジトリとファイルシステムライブラリと
結びつくので、ネットワーク通信はまったく必要ありません。
Subversionはfile:
URLの一部として
localhost
か、空である
サーバ名称を含むことを要求し、ポート指定はありません。
言い方を変えると、URLは何か、
file://localhost/path/to/repos
か
file:///path/to/repos
のような形のものになります。
さらに、Subversionのfile:
URLは普通webブラウザが
file:
URLがやる方法では利用できないことに注意して
ください。通常のwebブラウザで file:
URLを閲覧しようと
いうとき、ファイルシステムを直接調べることでその場所にあるファイルの
内容を読み出して表示します。しかし、Subversionのリソースは仮想ファイル
システム中にあり、(リポジトリ層項参照)あなたのブラウザは
そのファイルシステムをどうやって読めば良いか理解できないでしょう。
さらに別のプロトコルを使ってSubversionのリポジトリにアクセスしたいと いう人にとってこそ、どうしてリポジトリアクセス層がモジュール化されている かという理由になります。開発者は片方で RA インターフェースを実装する 新しいライブラリを簡単に書くことができ、もう一方でそのリポジトリと 通信することができます。新しいライブラリは既に存在しているネットワーク プロトコルを利用することもできますし、自分で開発したものでも良いのです。 プロセス間通信(IPC)呼び出しを使うかも知れませんし—ちょっとおバカ かも知れませんが—メールベースのプロトコルを使うことだってできます。 SubversionはAPIを提供し、あなたは自分の想像性を提供する、と。
クライアント側から見ると、Subversionの作業コピーは すべての処理が起こる場所です。クライアント側ライブラリによって 実装される機能は、作業コピーの管理というただ一つの目的のために 存在します—ローカルな場所に何らかの形で提供される ファイルと他のサブディレクトリのあるディレクトリが、一つ以上の リポジトリ位置を「反映した」ものとし、リポジトリアクセス層との間の 変更を伝えたりします。
Subversionの作業コピーライブラリ、libsvn_wc は作業コピー中の
データの管理に直接の責任を負います。これをやるために、このライブラリ
は特別なサブディレクトリの中にそれぞれの作業コピーについての管理情報
を格納します。このサブディレクトリは.svn
という
名前ですが、どの作業コピー中にも存在し、管理に関係した動作を
するための状態を記録し、作業スペースを確保するためのさまざまな
ファイルやディレクトリを含んでいます。CVSになじみのある人なら、
この.svn
サブディレクトリは、その目的としては
CVSの作業コピーにある管理ディレクトリCVS
に
よく似ていることがわかると思います。.svn
管理領域についての詳細は、この章の
作業コピー管理領域の内部項を参照してください
Subversionクライアントライブラリ libsvn_client は広範囲の役目を
負います。その仕事は、作業コピーライブラリの機能と、リポジトリアクセス層
の機能を結びつけることで、一般的なリビジョン制御を実行したいと思う
すべてのアプリケーションに最上位のAPIを提供することです。たとえば
svn_client_checkout()
関数は引数としてURLを
とります。この関数は URLを RA層に渡し、特定のリポジトリに認証された
セッションを開きます。それからそのリポジトリに特定のツリーを指定し、
このツリーを作業コピーライブラリに送りますが、今度はそのライブラリが
作業コピー全体をディスクに書き込みます(.svn
ディレクトリを含むすべての情報)。
クライアントライブラリはどのようなアプリケーションからも利用できる ように設計されています。Subversionのソースコードは標準的なコマンド ラインクライアントを含んでいるので、そのクライアントライブラリの 上に好きなだけGUIクライアントを書くことができます。Subversionの 新しい GUI(あるいは実際には新しいクライアント)は、コマンドライン クライアントを含むダサいラッパである必要はありません。 —それは、libsvn_client API を通じてコマンドラインクライアント が使っているのと同じ機能、データ、コールバックの仕組みに完全にアクセス することができます。
SubversionライブラリAPIを使ったアプリケーションの開発は比較的素直な
形で進みます。すべてのヘッダファイルはソースツリーの
subversion/include
にあります。これらのヘッダは
ソースコードからSubversionを作りインストールすると、そのマシンの
システムヘッダの置き場所にコピーされます。このようなヘッダには
Subversionライブラリのユーザによってアクセスできるような機能と型の
すべてがあります。
最初に気をつけなくてはならないのはSubversionのデータ型と関数は
固有の名前空間によって分離されていることです。すべてのパブリックな
Subversionシンボル名はsvn_
で始まり、そのシンボルが
定義されているライブラリの短いコードが続き、
(wc
とか、
client
とか、fs
など)、
アンダースコアが一つきて、(_
) 、最後にシンボル名の
残りの部分がきます。限定的にパブリックな関数(ライブラリ中のソースファイル
間では利用されるが、ライブラリの外では利用されず、ライブラリディレクトリ
自身の内部でだけ参照可能なもの)はこの命名規約とは違い、ライブラリコード
のあとにアンダースコアが一つくるかわりに、二つきます
(__
)。あるソースファイルでプライベートな関数は
特殊な接頭辞を持たず、static
宣言されます。もちろん
コンパイラはこのような命名規約を解釈しませんが、ある関数のスコープや
データ型を明らかにするときの助けになります。
Subversion自身のデータ型とともに、apr_
で
始まるデータ型への参照をたくさん見かけることがあります—
これは Apache のPortable Runtime (APR) ライブラリです。APR は
Apache の可搬なライブラリですが、もともとApacheのサーバコードの
OS依存の部分をOS非依存の部分から分離するために作られました。
結果は、OSごとに、わずかに、あるいは大きく異なる操作を実行する
ための抽象的なAPIを提供することになりました。Apache HTTPサーバは
明らかにAPRライブラリの最初の利用者でしたが、Subversion開発者は
すぐにAPRを使うことの重要性に気づきました。これは実際にSubversion
自身の中にまったくOSに依存していないコードの部分があることを意味
します。さらに、Subversionクライアントはサーバがコンパイルし実行
する場所であればどこでも実行できることを意味します。現時点では
このようなOSには、Unixライクなすべて、Win32, BeOS, OS/2 そして Mac OS X
が含まれます。
オペレーティングシステム間で異なるシステムコールの一貫した
実装を提供することに加えて、
[42]
APR は Subversionがたくさんの独自のデータ型に直接アクセスすることを
可能にしますが、それには、動的な配列やハッシュテーブルがあります。
Subversion はソースコード中でこれらの型を拡張して利用します。
しかし、多分最も広範囲に利用されているAPRデータ型は、ほとんど
すべてのSubversion APIプロトタイプに現れますが、apr_pool_tです
—APRのメモリプールです。Subversion はプールを内部的にすべてのメモリ確保
が必要な場合に利用します。(ただし、外部ライブラリがそのAPIを通じて
受け渡すデータのメモリ管理にこれと異なる形式を要求しない限りにおいて、
です。)
[43]
そして、Subversion API に対するコーディングは同じことを要求される
わけではありませんが、必要な場所では API関数のために pool を用意する
ことは要求されます。これは APR もリンクする必要のあるSubversion API の
ユーザはapr_initialize()
を呼んで APR サブシステム
を初期化する必要があり、それから Subversion API 呼び出しを利用するために
pool を用意しなくてはならない、ということになります。詳細は
メモリプールを使ったプログラミング項を見てください。
Subversion全体の問題としてのリモートバージョン管理操作では、国際化(i18n)
のサポートについていくらか注意しておく必要があります。
結局、「リモート」が、「オフィス以外の場所」を意味するのなら、それは
「全世界から」という意味でもあります。このような状況に対応するために
Subversionのパス引数をとる、すべてのパブリックインターフェースは
パスが正規化され、UTF-8でエンコードされているものとします。
これはたとえば、libsvn_clientインターフェースを呼び出す、
新しいクライアントバイナリはすべて、Subversionライブラリにパスを渡す
前に、まずパスをローカルコーディングからUTF-8に変換しなくてはならず、
Subversion からの結果パスを、Subversion以外の目的に利用する前には
ローカルコーディングに再変換しなくてはならないということです。
幸運なことに、Subversionはこのような変換が必要な任意のプログラムが
利用できるような関数を用意しています
(subversion/include/svn_utf.h
を参照してください)。
また、Subversion API はすべての URL引数が正しく URIエンコードされている
ことを要求します。それで
My File.txt
という名前のファイルURLを、
file:///home/username/My File.txt
と渡すかわりに、
file:///home/username/My%20File.txt
と渡さなくてはなりません。
やはりSubversionはアプリケーションが利用できるヘルパー関数を用意して
います—
svn_path_uri_encode()
と
svn_path_uri_decode()
を使ってそれぞれ
URI のエンコードとデコードができます。
C言語以外のものと組み合わせてSubversionライブラリを使うのに興味が
あるなら—たとえばPython や Perl のスクリプトなどを使った—
SubversionはSimplified Wrapper and Interface Generator (SWIG)という形
である程度サポートしています。Subversion用のSWIGは、
subversion/bindings/swig
にあり、開発はまだ続いては
いますが、利用可能な状態にあります。これを使えば、スクリプト言語固有の
データ型を、SubversionのCライブラリで必要なデータ型に変換するラッパを
使ってSubversion API を間接的に呼び出すことができるようになります。
言語連携を通じてSubversionAPI にアクセスするのは明らかに利点があります —単純さ、です。一般的に、Python や Perl といった言語は C や C++ を使うよりもずっと柔軟でやさしいものです。このような言語が用意している 高レベルデータ型と文脈依存のデータ型のチェックのようなものは、もっと うまくユーザからの情報を処理します。ご存知のように、人間はプログラムの入力で ヘマをやらかすことにかけては達人であり、スクリプト言語はそのような間違っ た情報をより適切に扱える傾向になります。もちろんそのような柔軟性は しばしばパフォーマンスを犠牲にしますが。これが、非常に厳しく最適化された C 言語ベースのインターフェース+ライブラリ群と、強力で柔軟な連携言語 の組み合わせを利用するというやり方が強い説得力をもつ理由です。
Subversion の Python SWIG 連携を使って、最新のリポジトリリビジョンを 再帰的に訪問し、その途中で見つかったさまざまなパスを表示するような サンプルプログラムを見てみましょう。
例 8.2. Pythonを使ったリポジトリ層
#!/usr/bin/python """Crawl a repository, printing versioned object path names.""" import sys mport os.path import svn.fs, svn.core, svn.repos def crawl_filesystem_dir(root, directory, pool): """Recursively crawl DIRECTORY under ROOT in the filesystem, and return a list of all the paths at or below DIRECTORY. Use POOL for all allocations.""" # Print the name of this path. print directory + "/" # Get the directory entries for DIRECTORY. entries = svn.fs.svn_fs_dir_entries(root, directory, pool) # Use an iteration subpool. subpool = svn.core.svn_pool_create(pool) # Loop over the entries. names = entries.keys() for name in names: # Clear the iteration subpool. svn.core.svn_pool_clear(subpool) # Calculate the entry's full path. full_path = directory + '/' + name # If the entry is a directory, recurse. The recursion will return # a list with the entry and all its children, which we will add to # our running list of paths. if svn.fs.svn_fs_is_dir(root, full_path, subpool): crawl_filesystem_dir(root, full_path, subpool) else: # Else it's a file, so print its path here. print full_path # Destroy the iteration subpool. svn.core.svn_pool_destroy(subpool) def crawl_youngest(pool, repos_path): """Open the repository at REPOS_PATH, and recursively crawl its youngest revision.""" # Open the repository at REPOS_PATH, and get a reference to its # versioning filesystem. repos_obj = svn.repos.svn_repos_open(repos_path, pool) fs_obj = svn.repos.svn_repos_fs(repos_obj) # Query the current youngest revision. youngest_rev = svn.fs.svn_fs_youngest_rev(fs_obj, pool) # Open a root object representing the youngest (HEAD) revision. root_obj = svn.fs.svn_fs_revision_root(fs_obj, youngest_rev, pool) # Do the recursive crawl. crawl_filesystem_dir(root_obj, "", pool) if __name__ == "__main__": # Check for sane usage. if len(sys.argv) != 2: sys.stderr.write("Usage: %s REPOS_PATH¥n" % (os.path.basename(sys.argv[0]))) sys.exit(1) # Call the app-wrapper, which takes care of APR initialization/shutdown # and the creation and cleanup of our top-level memory pool. svn.core.run_app(crawl_youngest, os.path.normpath(sys.argv[1]))
This same program in C would need to deal with custom datatypes (such as those provided by the APR library) for representing the hash of entries and the list of paths, but Python has hashes (called 「dictionaries」) and lists as built-in datatypes, and provides a rich collection of functions for operating on those types. So SWIG (with the help of some customizations in Subversion's language bindings layer) takes care of mapping those custom datatypes into the native datatypes of the target language. This provides a more intuitive interface for users of that language.
The Subversion Python bindings can be used for working
copy operations, too. In the previous section of this
chapter, we mentioned the libsvn_client
interface, and how it exists for the sole purpose of
simplifying the process of writing a Subversion client. The
following is a brief example of how that library can be
accessed via the SWIG bindings to recreate a scaled-down
version of the svn status command.
例 8.3. A Python Status Crawler
#!/usr/bin/env python """Crawl a working copy directory, printing status information.""" import sys import os.path import getopt import svn.core, svn.client, svn.wc def generate_status_code(status): """Translate a status value into a single-character status code, using the same logic as the Subversion command-line client.""" if status == svn.wc.svn_wc_status_none: return ' ' if status == svn.wc.svn_wc_status_normal: return ' ' if status == svn.wc.svn_wc_status_added: return 'A' if status == svn.wc.svn_wc_status_missing: return '!' if status == svn.wc.svn_wc_status_incomplete: return '!' if status == svn.wc.svn_wc_status_deleted: return 'D' if status == svn.wc.svn_wc_status_replaced: return 'R' if status == svn.wc.svn_wc_status_modified: return 'M' if status == svn.wc.svn_wc_status_merged: return 'G' if status == svn.wc.svn_wc_status_conflicted: return 'C' if status == svn.wc.svn_wc_status_obstructed: return '‾' if status == svn.wc.svn_wc_status_ignored: return 'I' if status == svn.wc.svn_wc_status_external: return 'X' if status == svn.wc.svn_wc_status_unversioned: return '?' return '?' def do_status(pool, wc_path, verbose): # Calculate the length of the input working copy path. wc_path_len = len(wc_path) # Build a client context baton. ctx = svn.client.svn_client_ctx_t() def _status_callback(path, status, root_path_len=wc_path_len): """A callback function for svn_client_status.""" # Print the path, minus the bit that overlaps with the root of # the status crawl text_status = generate_status_code(status.text_status) prop_status = generate_status_code(status.prop_status) print '%s%s %s' % (text_status, prop_status, path[wc_path_len + 1:]) # Do the status crawl, using _status_callback() as our callback function. svn.client.svn_client_status(wc_path, None, _status_callback, 1, verbose, 0, 0, ctx, pool) def usage_and_exit(errorcode): """Print usage message, and exit with ERRORCODE.""" stream = errorcode and sys.stderr or sys.stdout stream.write("""Usage: %s OPTIONS WC-PATH Options: --help, -h : Show this usage message --verbose, -v : Show all statuses, even uninteresting ones """ % (os.path.basename(sys.argv[0]))) sys.exit(errorcode) if __name__ == '__main__': # Parse command-line options. try: opts, args = getopt.getopt(sys.argv[1:], "hv", ["help", "verbose"]) except getopt.GetoptError: usage_and_exit(1) verbose = 0 for opt, arg in opts: if opt in ("-h", "--help"): usage_and_exit(0) if opt in ("-v", "--verbose"): verbose = 1 if len(args) != 1: usage_and_exit(2) # Call the app-wrapper, which takes care of APR initialization/shutdown # and the creation and cleanup of our top-level memory pool. svn.core.run_app(do_status, os.path.normpath(args[0]), verbose)
現時点で、これが SubversionのPython連携であり、それはほとんど完成 されたものです。Java連携についても少し触れておきます。SWIGインターフェース ファイルが正しく設定されれば、すべてのSWIG対応言語(現在のところ、 C#, Guile, Java, MzScheme, OCaml, Perl, PHP, Python, Ruby, そして Tclですが)の 特定のラッパを生成するのは理論的には簡単なことです。しかし、SWIGが インターフェースするのに必要になる複雑なAPI に対しては、もう少し追加のコーディング が必要となります。SWIG自身のより詳しい情報は http://www.swig.orgにあるプロジェクト のウェブサイトをみてください。
Subversion の言語連携は不幸にも Subversion のコアモジュールほど注目
されていません。しかし Python, Perl, そして Ruby 用の関数連携を作る
ためにかなり努力されてきました。ある程度の範囲で、このような拳固に
対して容易された SWIG インターフェースファイルは SWIG でサポートされて
いるへ科の言語の連携を生成するために再利用することができます。
(このような言語には C#、Guilde, Java, Mzscheme, OCaml, PHP, Tcl
その他があります)。
それでも SWIG を汎用的に利用するのに必要な複雑な API のために
ある程度特殊なプログラミングが必要にはなります。SWIG 自身の詳細に
ついてはhttp://www.swig.org/
にある
プロジェクトウェブサイトを参照してください。
以前指摘したように、Subversion作業コピーのディレクトリのそれぞれは
.svn
という名前の特別のサブディレクトリを持ち、
そこに作業コピーディレクトリに関する管理情報を格納します。
Subversion は.svn
中の情報を以下のようなことを
記録するのに利用します:
どこにあるリポジトリが、作業コピーディレクトリのファイルやサブディレクトリ によって表現されているのか。
どのリビジョンのファイルやディレクトリが現在の作業コピーに あるのか。
ファイルやディレクトリに結びついたユーザ定義の属性。
作業コピーファイルの修正元(編集前)コピー。
.svn
ディレクトリに格納されたデータには
ほかにもいろいろありますが、最も重要なアイテムのいくつかだけに
ついて説明します。
.svn
ディレクトリにある一番重要な
ファイルはentries
ファイルです。
このファイルはXMLドキュメントでその内容は作業コピーディレクトリ中の
バージョン管理下にあるリソースについての管理情報のあつまりです。
リポジトリURL、修正元リビジョン、ファイルのチェックサム、修正元
テキストと属性のタイムスタンプ、予告と衝突状態に関する情報、最後に
コミットしたことに関する情報(実行者、リビジョン、タイムスタンプ)、
ローカルコピー履歴—Subversionクライアントが管理しているリソース
について興味のある情報はすべてここに記録されています。
以下は、実際のentries ファイルの例です:
例 8.4. 典型的な.svn/entries
ファイル
<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?> <wc-entries xmlns="svn:"> <entry committed-rev="1" name="" committed-date="2005-04-04T13:32:28.526873Z" url="http://svn.red-bean.com/repos/greek-tree/A/D" last-author="jrandom" kind="dir" uuid="4e820d15-a807-0410-81d5-aa59edf69161" revision="1"/> <entry name="lambda" copied="true" kind="file" copyfrom-rev="1" schedule="add" copyfrom-url="http://svn.red-bean.com/repos/greek-tree/A/B/lambda"/> <entry committed-rev="1" name="gamma" text-time="2005-12-11T16:32:46.000000Z" committed-date="2005-04-04T13:32:28.526873Z" checksum="ada10d942b1964d359e048dbacff3460" last-author="jrandom" kind="file" prop-time="2005-12-11T16:32:45.000000Z"/> <entry name="zeta" kind="file" schedule="add" revision="0"/> <entry name="G" kind="dir"/> <entry name="H" kind="dir" schedule="delete"/> </wc-entries>
わかるように、entries ファイルは本質的にはエントリのリストです。
entry
タグのそれぞれは三つのうちのどれかを
表現しています: 作業コピーディレクトリ自身
(「this directory」エントリと呼ばれ、name
属性が空の値であるものとして示されています)、その作業コピーディレクトリ
にあるファイル(kind
属性が"file"
に設定されているものとして示されています)、あるいは
作業コピーのサブディレクトリ(kind
がここでは
"dir"
に設定されます)。エントリがこのファイルに格納される
ファイルとサブディレクトリは既にバージョン管理下にあるか(上の例の
zeta
ファイルのように)、この作業コピー
ディレクトリの変更が次にコミットされるときにバージョン管理下に
追加することが予告されているか、です。エントリのそれぞれは
ユニークな名前を持ち、特定のノード種別を持ちます。
開発者は、Subversion がentries
ファイルを
読み書きするときに使う特別の規則に注意すべきです。
すべてのエントリは自分のリビジョンと、結びついているURLを
持っていますが、サンプルファイル中のすべてのentry
タグが明示的なrevision
や
url
属性を持つわけではありません。
Subversion はエントリが明示的にこの二つの属性を持たないことも
認めていますが、それは、その値が、"svn:this-dir"
エントリにあるデータと同じか、簡単に計算できる場合です。
[44]
また、サブディレクトリのエントリについては、Subversion は
重要な属性—名前、種別、url、リビジョン、そして予告状況
のみを保存するということに注意してください。重複する情報を
減らすために、Subversion は、サブディレクトリに関する完全な情報
を決定する方法として、そのサブディレクトリに下りていき、その
ディレクトリ自身の.svn/entries
ファイルの
"svn:this-dir"
エントリを読むように指示します。
しかし、サブディレクトリへの参照は、その親の
entries
ファイルに記録されていて、サブディレクトリ
がディスクから削除されてしまったような場合でも基本的なバージョン管理
操作をするのには十分な情報を持っています。
前に注意したように、.svn
ディレクトリはまた
修正元の「text-base」バージョンのファイルを保存しています。
これは.svn/text-base
にあります。修正元
コピーの利点は、いくつかあります。—ネットワークの通信なしに
ローカル修正をチェックして差分を報告したり、ネットワーク通信なしに
修正したり削除したファイルを元に戻したり、サーバへの変更点の送信
サイズを減らしたりできます—しかし、少なくともそれぞれの
バージョン管理されたファイルを二つディスク上に保存するコストが
発生します。最近では、これはほとんどのファイルについて無視できる程度の
ものです。しかし、バージョン管理されたファイルが大きくなるにつれ
この状況はひどいことになっていきます。「text-base」
をオプションにしては、という意見もあります。
しかし皮肉にも、バージョン管理するファイルのサイズが大きくなるに
つれて、「text-base」の存在も、それだけ重要になっていきます—
ファイルにしたほんの少しの変更をコミットしたいだけなのに、ばかでかい
ファイルをネットワーク越しに送ろうなんて、誰が考えるでしょう?
「text-base」ファイルと同じような目的で、属性ファイルと、その修正元
「prop-base」コピーがあります。それぞれ、.svn/props
と.svn/prop-base
にあります。
ディレクトリも属性を持つことができるので、
.svn/dir-props
と
.svn/dir-prop-base
ファイルがあります。
これらの属性ファイルのそれぞれ(「作業中」と「元の」バージョン)は
属性名と属性値を格納するのに、単純な「ディスク上ハッシュ」ファイル形式
を使います。
WebDAV (「Webベースの分散編集とバージョン化」の略)は標準的なHTTPプロトコルの 拡張で、基本的には読み出し専用の媒体であるwebを、読み書き可能な 媒体とするために設計されました。考え方としては、ディレクトリとファイルは —読み書き可能なオブジェクトとして—Web上で共有できるという ものです。RFC 2518 と RFC 3253 は、HTTP の WebDAV/DeltaV 拡張について記述 されていて、(ほかの有用な情報とともに)http://www.webdav.org/で入手可能です。
いくつかのオペレーティングシステムのファイルブラウザは既にWebDAVを 使ったネットワークディレクトリをマウントすることができます。 Win32では、Windows Explorer は Webフォルダ(それはまさに、WebDAV が用意したネットワークの場所ですが)と呼んでいるものを、あたかも それが普通の共有フォルダであるかのように参照することができます。 Mac OS X もこの能力があり、Nautilus やKonquerorブラウザもそうです。 (これらは、GNOME と KDE 上でそれぞれ動きます)。
これらすべてはどのようにしてSubversion に適用されているのでしょうか? mod_dav_svn Apacheモジュールはそのうちの一つのネットワークプロトコルとして WebDAVとDeltaVで拡張されたHTTPを使っています。Subversion は mod_dav_svn を Subversion のバージョン化の考え方と RFC 2518, 3253 との間をつなぐものと して利用します。
WebDAVのもっと徹底的な議論、どのように動作し、Subversionはそれを どのように使うか、については、付録 B. WebDAV と、自動バージョン化を 見てください。他の話題とともに、Subversion がどの程度 一般的な WebDAV の仕様を引き継いでおり、一般的な WebDAVクライアント との相互運用性にどんな影響を与えるかについての議論があります。
C 言語を使ったことのあるほとんどすべての開発者は、ある時点で メモリ管理のことでうんざりしてため息をつくことがあるでしょう。 利用するために必要な十分なメモリを確保し、その利用状況を記録し、 いらなくなったらメモリを解放する—そういう処理は非常に 複雑です。そしてもちろん、それに失敗すると、プログラムが壊れて しまい、ひどいときにはコンピュータが壊れてしまいます。 幸運にも、Subversionが可搬性のために利用しているAPRライブラリ はapr_pool_t型を用意していて、これは メモリのプールを表現するものです。
メモリプールはプログラムによって利用するために確保されたメモリ
ブロックの抽象的な表現です。標準的なmalloc()
関数
とその亜種を使ってOSから直接メモリを取得するかわりに、APRをリンクした
プログラムは単にメモリプールを作る要求を出すことで行います。
(これにはapr_pool_create()
関数を使います)
APRはOSから自然なサイズのメモリを確保し、そのメモリはすぐにプログラム
で使うことができるようになります。プログラムがプールメモリを必要と
するときにはいつでも、apr_palloc()
のような
APR プール API 関数のどれかを使うことができて、それはプールから
汎用的なメモリを確保して返します。プログラムは
要求ビットとプールからのメモリを要求し続けることができて、
APRはその要求を承認し続けることができます。プールはプログラムに
あわせて自動的にサイズが大きくなり、最初プールに含まれていたよりも
多くのメモリを要求することができます。これはシステムにメモリが
なくなるまで続けることができます。
これでプールの話が終わりなら、特別の注意を払う必要もないのですが。
幸運にも、そうではありません。プールは作られるだけではありません: それは
またクリアしたり削除することもできます。これには
apr_pool_clear()
と
apr_pool_destroy()
をそれぞれ利用します。
これは開発者にいくつもの—あるいは何千もの—領域をプールから
取得して、その後一度の関数呼び出して、そのすべてクリアする柔軟性を
与えます。さらに、プールは階層を持っています。既に作られたどのプール
にも「サブプール」を作ることができます。プールがクリアされると、そのプール
のすべてのサブプールは削除されます。もしプールを削除すると、そのプール
自身と、サブプールの両方が削除されます。
先に進める前に、開発者はSubversionソースコード中に、いま言ったような
APRプール関数の呼び出しが、それほど多くないことに気づくでしょう。
APRプールは、いくつかの拡張メカニズムを持っていて、それはプールに
固有の「ユーザデータ」を接続する能力や、プールが削除されるときに
呼び出されるクリーンアップ関数を登録する仕組みなどがあります。
Subversionはこのような拡張機能を、それほど自明ではない方法で利用します。
それで Subversion は(そしてそのコードを使う人のほとんどは)ラッパ関数
である
svn_pool_create()
,
svn_pool_clear()
, そして
svn_pool_destroy()
を提供しています。
プールは基本的なメモリ管理にも役に立ちますが、ループや再帰的な状況で のプールの構築は本当にすばらしいものです。 ループはしばしばその繰り返し回数が不定であり、再帰的はその深さが不定 なので、このような領域でのコードのメモリ消費量は予測することができま せん。幸運にも、ネストしたメモリプールを使うと、このような潜在的な 恐ろしい状況を簡単に管理することができます。以下の例は、よくある非常に 複雑な情報でのネストしたプールの基本的な使い方を示しています。 —この状況とは、ディレクトリツリーを再帰的にたどりながら、ツリーの すべての場所である処理を実行する、といったものです。
例 8.5. 効率的なプールの利用
/* Recursively crawl over DIRECTORY, adding the paths of all its file children to the FILES array, and doing some task to each path encountered. Use POOL for the all temporary allocations, and store the hash paths in the same pool as the hash itself is allocated in. */ static apr_status_t crawl_dir (apr_array_header_t *files, const char *directory, apr_pool_t *pool) { apr_pool_t *hash_pool = files->pool; /* array pool */ apr_pool_t *subpool = svn_pool_create (pool); /* iteration pool */ apr_dir_t *dir; apr_finfo_t finfo; apr_status_t apr_err; apr_int32_t flags = APR_FINFO_TYPE | APR_FINFO_NAME; apr_err = apr_dir_open (&dir, directory, pool); if (apr_err) return apr_err; /* Loop over the directory entries, clearing the subpool at the top of each iteration. */ for (apr_err = apr_dir_read (&finfo, flags, dir); apr_err == APR_SUCCESS; apr_err = apr_dir_read (&finfo, flags, dir)) { const char *child_path; /* Clear the per-iteration SUBPOOL. */ svn_pool_clear (subpool); /* Skip entries for "this dir" ('.') and its parent ('..'). */ if (finfo.filetype == APR_DIR) { if (finfo.name[0] == '.' && (finfo.name[1] == '¥0' || (finfo.name[1] == '.' && finfo.name[2] == '¥0'))) continue; } /* Build CHILD_PATH from DIRECTORY and FINFO.name. */ child_path = svn_path_join (directory, finfo.name, subpool); /* Do some task to this encountered path. */ do_some_task (child_path, subpool); /* Handle subdirectories by recursing into them, passing SUBPOOL as the pool for temporary allocations. */ if (finfo.filetype == APR_DIR) { apr_err = crawl_dir (files, child_path, subpool); if (apr_err) return apr_err; } /* Handle files by adding their paths to the FILES array. */ else if (finfo.filetype == APR_REG) { /* Copy the file's path into the FILES array's pool. */ child_path = apr_pstrdup (hash_pool, child_path); /* Add the path to the array. */ (*((const char **) apr_array_push (files))) = child_path; } } /* Destroy SUBPOOL. */ svn_pool_destroy (subpool); /* Check that the loop exited cleanly. */ if (apr_err) return apr_err; /* Yes, it exited cleanly, so close the dir. */ apr_err = apr_dir_close (dir); if (apr_err) return apr_err; return APR_SUCCESS; }
この例はループと再帰的な状況の両方での 効率的な
プールの利用法を説明するものです。それぞれの再帰は関数に渡すプール
のサブプールを作ることで始まります。このプールはループの領域で利用
され、それぞれの繰り返しでクリアされます。この結果、メモリの利用は、
大雑把にいって再帰の深さにだけ比例し、最上位ディレクトリの子供としての
ファイルとディレクトリの合計数には比例しません。この再帰関数の最初の
呼び出しが終了した時点で、渡したプールに保存されたデータは実際には
非常に小さなものになります。この関数が、alloc()
と
free()
関数を一つ一つのデータに対して
呼び出さなくてはならないとしたときの複雑さを考えてみてください!
プールはすべてのアプリケーションに理想的なものではないかも知れませんが Subversionでは非常に役に立ちます。Subversion開発者として、プールの利用 に親しくなり、どうやってそれを正しく使うかに精通しなくてはなりません。 メモリ利用に関係したバグとメモリリークはAPIの種類によらず、 診断し、修正するのは難しいものですが、APR によって用意されたプール の作成は、非常に便利で、時間の節約につながる機能を持っています。
Subversion プロジェクトについての情報の公式なドキュメントはもちろん、 プロジェクトウェブサイトのhttp://subversion.tigris.org/です。 そこにソースコードにアクセスする方法や、メーリングリストに参加する 方法についての情報があります。Subversion コミュニティはいつでも 新しい参加者を歓迎しています。もしソースコードを変更するという形の 貢献によってこのコミュニティに参加することに興味があるなら、 どんな感じに始めたら良いかのヒントを挙げます。
コミュニティに参加する最初のステップは最新の情報をいつでも入手できる
方法を見つけることです。これを一番効率的にやるには、開発者の議論のための
メーリングリストに参加し(<dev@subversion.tigris.org>
)、
コミットメーリングリストに参加することです
(<svn@subversion.tigris.org>
)。
このようなメーリングリストにある程度大雑把についていくだけでも、
重要なデザイン上の議論にアクセスできますし、Subversionソースコードへの
実際の修正を見ることができますし、これらの変更の詳細なレビューに
立会い、変更を提案することができます。
これらの メールベースの議論の場はSubversion開発での最重要な
コミュニケーション手段です。
他の興味のあるSubversion関連リストについては、
Webサイトのメーリングリストのセクションを見てください。
しかし、何が必要かということをどうやって知れば良いのでしょう? プログラマにとって、開発を手助けしようという大きな意図を持っては いるが、良いとっかかりをつかめないのはよくあることです。結局、 掻きたいと思うかゆい場所がどこかを既に知っていてコミュニティに 参加する人はそれほど多くはありません。しかし、開発者の議論を 追いかけることによって、既に存在しているバグや、飛び交う機能要求 に注意を向けることができて、そのどれかがあなたの興味を引くかも知れま せん。また、未解決の、割り当てが決まっていない作業を探す良い場所と して、Subversionウェブサイト上のIssue Tracking データベースがあります。 そこで現時点で既に知られているバグと、機能要求の一覧を見ることが できます。もし何か小さなことから始めたいのなら、「bite-sized」 という印の付いた問題を見てください。
コードを編集するには、まずはコードを手に入れる必要があります。これは
公開のSubversionソースリポジトリから作業コピーをチェックアウトしなくては
ならないことを意味します。簡単に聞こえますが、少しだけ技巧的な作業に
なります。Subversionのソースコードは、Subversion自身によってバージョン管理
されているので、何か別の方法で既に動作するSubversionを取得することによって
「最初の手がかりを得る」必要があります。
一番普通の方法は、最新のバイナリパッケージをダウンロードする(あなたの
マシンで利用できるものがある場合ですが)、か、最新のソースコードのtarball
をダウロードして、自分のSubversionクライアントを作るかです。もしソースから
生成するのであれは、手順についてはソースツリーの最上位にある
INSTALL
ファイルに必ず目を通してください。
動作するSubversionクライアントを手に入れれば、 http://svn.collab.net/repos/svn/trunk/ にあるSubversionのソースリポジトリの作業コピーをチェックアウトする用意 ができています: [45]
$ svn checkout http://svn.collab.net/repos/svn/trunk subversion A subversion/HACKING A subversion/INSTALL A subversion/README A subversion/autogen.sh A subversion/build.conf …
上のコマンドは、最先端の、最新バージョンの Subversionのソースコード
を、現在の作業ディレクトリにsubversion
という
名前のサブディレクトリを作りチェックアウトします。
明らかに、最後の引数は、個別の環境に応じて調整することができます。
新しい作業コピーディレクトリをどのように呼ぼうと、この操作が完了すれば
Subversionのソースコードを取得できています。もちろん、他にもいくつかの
補助的なライブラリが必要になります(apr, apr-util, などなど)—
詳細は作業コピーの最上位にあるINSTALL
ファイルを見てください。
これでSubversionソースコードの最新版がある作業コピーを手に入れた
ので、おそらく作業コピーの最上位ディレクトリにある「Hacker's Guide to Subversion」
を見ながらディレクトリの中をあれこれ調べたいと思うでしょう。これは
作業コピーの www/hacking.html
ファイルにも、また
http://subversion.tigris.org/hacking.html にある
Subversion のウェブサイトからも取得できます。このページには
Subversionに貢献するための一般的な手続きが含まれていて、それにはどのように
して、残りのコードと矛盾しない形であなたのソースコードを正しく書くかとか、
提案したい変更点にどのような効率的な変更ログメッセージを付けるか、どのように
変更点をテストすれば良いか、などが含まれます。Subversionのソースリポジトリ
に対するコミット権限は獲得しなくてはなりません—実力本位の政府によって。
[46]
「Hacker's Guide」には自分の提案しようとしている変更が
技術的に拒否されることなく受け入れられるかどうかを確認するためには
非常に貴重な資料です。
コードとコミュニティのポリシーを理解すれば、変更にとりかかることが できます。大きな問題に取り組んでいる場合でも、巨大な、根こそぎ 既存のものと取り替えてしまうような修正をするかわりに、小さな、しかし関連の ある変更の集まりを作ろうとするのが最良の方法です。 やろうとしていることに必要なコードの修正ができる限り少なければ、提案しよう としている変更はそれだけ簡単に理解されるでしょう(そして、検討するのも楽で しょう)。修正のセットのそれぞれを施したあとでは、あなたのSubversionツリーは コンパイラが警告を一つも出さない状態になっているべきです。
Subversion にはかなり徹底した [47] デグレートをチェックするためのテストスイートがあり、 提案しようとしている変更は、どのようなテストでも失敗しないようになって いることが望まれます。ソースツリーの最上位でmake check を実行する(Unixの場合)ことで、自分の変更のチェックをすることができます。 あなたの貢献が拒絶される一番早い方法は(適切なログメッセージを付けなかった 場合以外は)、テストが通らない変更を送ることです。
一番良いシナリオは、実際に適切なテストを、テストスイートに追加し、
それであなたの変更点が期待したように動作することです。
実際、ときどき人が貢献しうる最良のことは新しいテストを単に追加
することです。エラーのきっかけになるような今後の修正から
守るような意味を込めて、現在のSubversionで動作している機能のために
デグレードのテストを書くことができます。
また、既に知られている失敗を見せるための新しいテストを書くこともで
きます。この目的のためにはSubversionテストスイートは、あるテストは失敗
することが期待されているものだと指定することを認めます。
(XFAIL
といわれます)、そしてSubversionが期待する形で失敗する限り、その
テストの結果であるXFAIL
自体は、成功したとみなされます。最後に、
良いテストスイートを用意すればするだけ、わかりにくいデグレートのバグ
を診断するために浪費される時間を減らすことができます。
ソースコードに対する修正をした後、明瞭でまとまったログメッセージを 作って、そのような変更を説明し、その理由を書いてください。それから メールを開発者用メーリングリストに送り、そこにはログメッセージと svn diffの出力(これはSubversionの最上位作業コピー で実行してください)を含めてください。コミュニティのメンバーが あなたの変更が受け入れられると判断した場合、コミット権限を持った 誰か(Subversionのソースリポジトリに新しいリビジョンを作る許可を 持っている人)が、あなたの変更を公開されたソースコードツリーに 追加します。リポジトリに対して変更を直接コミットする権限は、 利点がある場合にだけ認められます—もしSubversionの理解や、 プログラミングの能力や、「チームスピリット」を示せば、あなたは きっとその権限を得ることができるでしょう。
[41] わたしたちは、時間は実際には第四の 次元である という印象をずっと持っていたSFファイルにショックを与えるということを 理解していますし、別の理論をわたしたちが宣言することによって生じる 心理的なトラウマについては謝らなくてはなりませんね。
[42] Subversion はANSI システムコールとデータ型をできる限り 利用しています。
[43] Neon と Berkeley DB はそのようなライブラリの例です。
[44] つまり、エントリのURLは親ディレクトリURLと エントリ名称をつなげたものと同じとみなすということです。
[45]
この例でチェックアウトするURLは、svn
で終わるのでは
なく、trunk
というサブディレクトリになって
います。この理由については、Subversionのブランチとタグモデルの議論を
参照してください。
[46] これは何かのエリート主義のように見えるかも知れませんが、「コミット 権限を獲得する」という概念は効率を考慮してのことです— 安全で役に立つ誰かの変更を検討し適用するため努力にかかる時間と、 危険な変更を元に戻すという潜在的な時間との間の兼ね合いです。
[47] 多分、ポップコーンでも食べたくなるかも。ここでの「徹底的な」は、 非対話的なマシンで、約30分かかるという程度の意味に翻訳してください。
目次
この章はSubversionの完全なリファレンスです。 コマンドラインクライアント (svn) とそのすべてのサブコマンド、 さらにリポジトリ管理プログラム (svnadminとsvnlook) と そのすべてのサブコマンドです。
コマンドラインクライアントを使うには svn と入力してから、使いたいサブコマンドを入力してください。 [48], どんなスイッチや対象となる ターゲットについてもそうです— サブコマンドとスイッチの並びには特定の順序はありません。たとえば svn status: を使う場合に、以下はどれも有効です:
$ svn -v status $ svn status -v $ svn status -v myfile
クライアントコマンドの利用法については、もっとたくさんの 例が 章 3. 同伴ツアーにあり、属性の管理については 属性項にあります。
Subversion はサブコマンドごとに違ったスイッチを持って
いますが、どれもグローバルに働きます—つまりそれぞれの
スイッチは一緒に利用されるサブコマンドにかかわらず同じ意味
を持ちます。たとえば--verbose
(-v
)
は常に、どのサブコマンドと一緒に使っても「冗長な出力」を
意味します。
--auto-props
config
ファイルにあるenable-auto-props
ディレクティブを上書きする形で auto-props を有効にします。
--config-dir
DIR
Subversion にデフォルトの場所(ユーザのホームディレクトリにある.subversion
)のかわりに特定のディレクトリから設定情報を読み出すように指示します。
--diff-cmd
CMD
ファイル間の差異を表示するために使う外部プログラムを指定します。
svn diffが起動されると、デフォルトでは unifid diff形式
であるSubversionの内部 diff エンジンが利用されます。外部 diff プログラム
を利用したい場合は、--diff-cmd
を使ってください。
--extensions
スイッチで diffプログラムを指定することもで
きます。(詳しくはこの章のあとで説明します)。
--diff3-cmd
CMD
ファイルをマージするために使う外部プログラムを指定します。
--dry-run
コマンドの実行をそのままたどりますが、実際の動作はしません —作業コピーに対しても、リポジトリに対するコマンドにも使えます。
--editor-cmd
CMD
ログメッセージや属性値を編集するのに使う外部プログラムを指定します。
--encoding
ENC
コミットメッセージが指定した文字コード系でエンコードされていることを Subversion に伝えます。 デフォルトはあなたのオペレーティングシステムのもともとの ロケールで、コミットメッセージが別の文字コード系でエンコードされている場合にはそれを 指定する必要があります。
--extensions
(-x
)
ARGS
Subversion がファイル間の差異を得るときに使う外部 diff コマンドに渡さなく
てはならない一つ以上の引数を指定します。複数の引数を渡したい
場合は、それらすべてをクオートでくくらなくてはなりません。(たとえば、
svn diff --diff-cmd /usr/bin/diff -x "-b -E")。
このスイッチは--diff-cmd
スイッチも指定した場合
にのみ利用することができます。
--file
(-F
)
FILENAME
指定したサブコマンドに対し、このスイッチの引数として 渡したファイルの内容が使われます。
--force
特定のコマンドまたは操作の実行を強制します。 Subversion が通常なら拒否するようないくつかの操作がありますが、 この強制スイッチを使い、Subversion に「そうしたら どうなるかはわかっているから、とにかく やらせてくれ」と伝えることができます。 このスイッチは、電子工作か何かで、最後に電源を入れる状況に 似ています—何をやろうとしているのかよく理解していなければ きっと嫌な目に遭うでしょう。
--force-log
--messages
(-m
) や
--file
(-F
) オプションに
渡す疑わしい引数を正しいものとして強制的に受け入れる
ように指示します。デフォルトでは、Subversion は正しいサブコマンドで
あると解釈するかわりに、そのような引数が間違いであるとして
エラーを生成します。
たとえば、バージョン化されたファイルのパスを--file
(-F
) オプションに渡すと、Subversion はそのパスが
操作対象として意図されていたと考えずに、その引数には間違いがあると
みなし、ログメッセージのためのバージョン化されていない元ファイルを
用意することに失敗してしまいます。自分の意図を宣言し、この種のエラー
を無視するためには、--force-log
オプションをログメッセージ
を受け入れるサブコマンドに対して指定する必要があります。
--help
(-h or -?
)一つ以上のサブコマンドと一緒に使って、それぞれのサブコマンドの 組み込みヘルプテキストを表示します。このスイッチだけを単独で 使うと、一般的なコマンドクライアントのヘルプテキストを表示します。
--ignore-ancestry
Subversion に対して 差分を計算するときに、系統情報を無視するよう指示します(単にパス内容のみを利用します)。
--ignore-externals
Subversion に外部定義と外部定義によって管理される外部作業コピー を無視するように指示します。
--incremental
(他の出力と)連結するのに適した形式で 出力を表示します。
--limit
NUM
最初の NUM
個のログメッセージだけを
表示します。
--message
(-m
)
MESSAGE
コマンドライン上でコミットメッセージを指定します。このスイッチの あとに、たとえば:
$ svn commit -m "They don't make Sunday."
--new
ARG
ARG
を新しいターゲットとして利用します。
--no-auth-cache
認証情報(ユーザ名やパスワードなど)をSubversion管理ディレクトリにキャッシュしないよう 指示します。
--no-auto-props
config
ファイル中のenable-auto-props
ディレクティブを上書きする形で auto-props を無効にします。
--no-diff-added
Subversion が追加されたファイルの差分を表示するのを防ぎます。 ファイルを追加した場合のデフォルトの動作はsvn diff については、すでに(空の)ファイルが存在していて、そこに新たな ファイルの内容全体が追加された場合の差分の出力と同じになります。
--no-diff-deleted
削除されたファイルの差分を表示しないようにSubversionに指示します。 デフォルトではファイルを削除したときのsvn diffの 出力は、ファイルは削除されずゼロバイトで残っているかのような 形になります。
--no-ignore
global-ignores
設定オプション、あるいはsvn:ignore属
性にマッチしたため通常なら省略されるようなファイルの
ステータス一覧を表示します。
config項と
svn:ignore
項
にさらに詳しい情報があります。
--no-unlock
自動的にファイルをアンロックしません(デフォルトのコミットの動作は コミットの一環として関連するすべてのファイルをアンロックします)。 より詳しくはロック項を見て ください。
--non-interactive
認証が失敗したり十分な許可がないときに、認証要求するのを 抑制します。(たとえば、ユーザ名とパスワード)これは、 Subversionを自動スクリプト中で実行しているようなときで 認証要求させるよりも単に失敗したほうが便利な場合に 役に立ちます。
--non-recursive
(-N
)サブディレクトリに対してサブコマンドを再帰的に実行するのを 抑止します。ほとんどのサブコマンドはデフォルトで再帰的に実行 されますが、いくつかのサブコマンド—普通は、作業コピーの 変更に対する削除や取り消しが起きるようなもの—はそうでは ありません。
--notice-ancestry
差分を計算するときに系統情報を考慮します。
--old
ARG
ARG
を古いターゲットとして利用します。
--password
PASS
コマンドライン上で認証用パスワードを指定します—これを 指定しなければ、必要な場所でSubversion はパスワード入力を 要求してきます。
--quiet
(-q
)実行中に重要な情報だけを表示するように指示します。
--recursive
(-R
)サブコマンドをサブディレクトリに対して再帰的に実行する ようにします。ほとんどのサブコマンドはデフォルトで再帰的な 動作をします。
--relocate
FROM TO
[PATH...]
svn switchサブコマンドと一緒に使うことで作業コピー が参照しているリポジトリの場所を変更します。これは、リポジトリの 場所が移動しても、既に存在している作業コピーを続けて利用したい場合 に便利です。例として、svn switchを参照してください。
--revision
(-r
)
REV
特定の操作で、リビジョン(またはリビジョンの範囲)を設定します。 リビジョンはリビジョンスイッチの引数として、番号、キーワード、 日付(この場合は中かっこを使って)のどれかで指定することができます。 リビジョンを二つ指定するときにはコロンで区切ります。たとえば:
$ svn log -r 1729 $ svn log -r 1729:HEAD $ svn log -r 1729:1744 $ svn log -r {2001-12-04}:{2002-02-17} $ svn log -r 1729:{2002-02-17}
詳しくはリビジョンキーワード項 を見てください。
--revprop
ファイルやディレクトリの属性のかわりに、リビジョンの属性に対して
操作するようにします。このスイッチを使う場合は
--revision
(-r
)を使ってリビジョンも
渡す必要があります。
バージョン化しない属性についての詳細はバージョン化されない属性項
を見てください。
--show-updates
(-u
)作業コピーのどのファイルが最新であるかの情報を表示します。 これは実際に自分に作業ファイルを更新しません—もし svn updateを実行したとしたら、どの ファイルが更新されるかを表示するだけです。
--stop-on-copy
Subversion のサブコマンドでバージョン化されたリソースを巡回する ようなものについて、コピーを発見したときには履歴情報の収集を止める ようにします。— ここで言うコピーとは履歴の中でリポジトリの ほかの場所からコピーされたリソースがあるような場所のことを言って います。
--strict
Subversion が厳密なセマンティクスを使うように します。ここで言う"セマンティクス"の意味ですが、具体的なサブコマンドに則して 説明しなければ漠然としたものになってしまいます。
--targets
FILENAME
コマンドライン上にすべてのファイルを記入するかわりに、 指定したファイルから操作したいファイルの一覧を取得するよう Subversion に指示します。
--username
NAME
コマンドライン上での認証に、指定したユーザ名称を使うように 指示します—そうでなければ、必要な場所で、Subversionは その入力をユーザに求めます。
--verbose
(-v
)サブコマンド実行時に、できるたけ多くの情報を表示するように 指示します。Subversion は、追加フィールド、すべてのファイルの 詳細情報、動作内容についての追加情報などを表示するようになります。
--version
クライアントプログラムのバージョン番号を表示します。この情報は バージョン番号のほか、Subversionリポジトリにクライアントプログラム がアクセスするために利用できるモジュールの一覧も表示します。
--xml
XMLフォーマットで出力します。
svn add — 通常ファイル、ディレクトリ、シンボリックリンクを追加します。
通常ファイル、ディレクトリ、シンボリックリンクを作業コピーに 追加しリポジトリに対する 追加予告をします。次のコミットでリポジトリにアップロードして 追加されます。何かを追加し、コミット前に気が変わった場合は、 svn revertで追加を取り消す ことができます。
--targets FILENAME --non-recursive (-N) --quiet (-q) --config-dir DIR --auto-props --no-auto-props --force
作業コピーにファイルを追加:
$ svn add foo.c A foo.c
ディレクトリを追加するとき svn add のデフォルトは 再帰的です:
$ svn add testdir A testdir A testdir/a A testdir/b A testdir/c A testdir/d
内部にあるファイルを追加することなしに、ディレクトリのみ追加する ことができます:
$ svn add --non-recursive otherdir A otherdir
通常、コマンドsvn add *はすでにバージョン管理下に
あるすべてのディレクトリを飛ばします。しかし作業コピーにあるすべての
バージョン化されていないオブジェクトを再帰的に追加したいこともあるでしょ
う。svn addに --force
オプションを渡すと
既にバージョン化されているディレクトリにも再帰的に降りていきます:
$ svn add * --force A foo.c A somedir/bar.c A otherdir/docs/baz.doc …
svn blame — 指定されたファイルまたは URL の変更者とリビジョン情報をインラインで表示 します。
指定されたファイルまたは URL の変更者とリビジョン情報をインラインで表示 します。それぞれのテキスト行には先頭に変更者(ユーザ名)と、最後にその行に 変更があったリビジョン番号の注釈がつきます。
svn cat — 指定したファイルまたはURLの内容を表示します。
--revision (-r) REV --username USER --password PASS --no-auth-cache --non-interactive --config-dir DIR
チェックアウトすることなしにリポジトリ中のreadme.txtを表示したい 場合:
$ svn cat http://svn.red-bean.com/repos/test/readme.txt This is a README file. You should read this.
作業コピーが最新ではない(か、作業コピーに何か修正を加えた
場合)状態で、作業コピーのあるファイルのHEAD
リビジョンを見たい場合、パスを指定すればsvn cat は
自動的に HEAD
リビジョン
にアクセスします:
$ cat foo.c This file is in my local working copy and has changes that I've made. $ svn cat foo.c Latest revision fresh from the repository!
svn checkout — リポジトリから作業コピーをチェックアウトします。
リポジトリから作業コピーをチェックアウトします。
PATH
が省略されれば
コピー先としてURLのベース名が使われます。
複数のURLが指定された場合には、
それぞれが、PATH
のサブディレクトリに
チェックアウトされますが
ここでのサブディレクトリの名前はURLのベース名になります。
--revision (-r) REV --quiet (-q) --non-recursive (-N) --username USER --password PASS --no-auth-cache --non-interactive --ignore-externals --config-dir DIR
mine
と呼ばれるディレクトリに作業コピーをチェックアウト:
$ svn checkout file:///tmp/repos/test mine A mine/a A mine/b Checked out revision 2. $ ls mine
二つの異なるディレクトリを二つの別々の作業コピーに チェックアウト:
$ svn checkout file:///tmp/repos/test file:///tmp/repos/quiz A test/a A test/b Checked out revision 2. A quiz/l A quiz/m Checked out revision 2. $ ls quiz test
二つの異なるディレクトリを二つの別々の作業コピーに
チェックアウトするが、両方とも working-copies
と呼ばれる
ディレクトリ中に作る:
$ svn checkout file:///tmp/repos/test file:///tmp/repos/quiz working-copies A working-copies/test/a A working-copies/test/b Checked out revision 2. A working-copies/quiz/l A working-copies/quiz/m Checked out revision 2. $ ls working-copies
チェックアウトを中断する(かまたは、ネットワーク接続の不具合などにより チェックアウトが中断されるかした)場合、もう一度純粋なチェックアウトを 実行しても、不完全な作業コピーを更新することでも再開できます:
$ svn checkout file:///tmp/repos/test test A test/a A test/b ^C svn: The operation was interrupted svn: caught SIGINT $ svn checkout file:///tmp/repos/test test A test/c A test/d ^C svn: The operation was interrupted svn: caught SIGINT $ cd test $ svn update A test/e A test/f Updated to revision 3.
svn cleanup — 作業コピーを再帰的に正常化する。
svn commit — 作業コピーの変更点をリポジトリに送ります。
作業コピーの変更点をリポジトリに送ります。
--file
か、
--message
のオプションを指定しなければ
svn はエディタを起動し、ユーザに
コミットメッセージを作成させます。
config項にある
editor-cmd
の章を見てください。
svn commit は
--no-unlock
を指定しなければ
見つかったロックトークンを送信し、コミットされた
すべての PATHS
上に
あるロックを(再帰的に)開放します。
コミット処理を始め、Subversionがメッセージ作成のためのエディタを起動 した後でもまだ変更をコミットせず中断することができます。コミットを 取り消したければコミットメッセージを保存せずに単にエディタを終了 してください。Subversionはコミットを中断するか、メッセージなしで継続 するか、メッセージを再編集するかを聞いてきます。
--message (-m) TEXT --file (-F) FILE --quiet (-q) --no-unlock --non-recursive (-N) --targets FILENAME --force-log --username USER --password PASS --no-auth-cache --non-interactive --encoding ENC --config-dir DIR
コマンドラインで指定したコミットメッセージとカレントディレクトリ
(「.
」)を暗黙のターゲットとして単純な変更をコミットします:
$ svn commit -m "added howto section." Sending a Transmitting file data . Committed revision 3.
ファイルfoo.c
(コマンドラインで明示的に
指定) の変更点を、ファイルmsg
の内容をコミットメッセージと
してコミット:
$ svn commit -F msg foo.c Sending foo.c Transmitting file data . Committed revision 5.
コミットメッセージとして、--file
で
指定したファイルがバージョン管理下にある場合、
--force-log
スイッチを
使う必要がある:
$ svn commit --file file_under_vc.txt foo.c svn: The log message file is under version control svn: Log message file is a versioned file; use `--force-log' to override $ svn commit --force --file-log file_under_vc.txt foo.c Sending foo.c Transmitting file data . Committed revision 6.
削除予告ファイルをコミット:
$ svn commit -m "removed file 'c'." Deleting c Committed revision 7.
svn copy — 作業コピーやリポジトリ中の、 ファイルやディレクトリをコピー。
作業コピーまたはリポジトリ中のファイルをコピーします。
SRC
と DST
は、作業コピー(WC)上のパスでも、URLでもかまいません:
追加用にファイルをコピーし、追加予告します。 (with history).
WCのコピーを直接URLにコミット。
URLをWCにチェックアウトし、追加予告する。
完全なサーバ上のみでのコピー。これは普通ブランチやタグに 利用されます。
ファイルは一つのリポジトリの内部でのみコピー可能です。 Subversionはリポジトリ間コピーをサポートしていません。
--message (-m) TEXT --file (-F) FILE --revision (-r) REV --quiet (-q) --username USER --password PASS --no-auth-cache --non-interactive --editor-cmd EDITOR --encoding ENC --config-dir DIR
作業コピー中のファイルまたはディレクトリをコピー( コピー予告のみ—次のコミットまでリポジトリには何も 起こらない):
$ svn copy foo.txt bar.txt A bar.txt $ svn status A + bar.txt
リポジトリ中の URL に作業コピー中のファイルまたはディレクトリ をコピー(同時にコミットされるので、コミットメッセージを 指定する必要あり):
$ svn copy near.txt file:///tmp/repos/test/far-away.txt -m "Remote copy." Committed revision 8.
リポジトリのファイルまたはディレクトリを作業コピーに コピー(コピーの予告のみ—次のコミットまでリポジトリには 何も起こらない):
これはリポジトリ中の死んだファイルを復活させるおすすめの 方法です
$ svn copy file:///tmp/repos/test/far-away near-here A near-here
そして最後に二つのURLの間でコピーする方法:
$ svn copy file:///tmp/repos/test/far-away file:///tmp/repos/test/over-there -m "remote copy." Committed revision 9.
リポジトリ中のリビジョンに「tag」をつける一番簡単な方法
—そのリビジョン(普通はHEAD
)をタグ付けされた
ディレクトリに、単に svn copy する。
$ svn copy file:///tmp/repos/test/trunk file:///tmp/repos/test/tags/0.6.32-prerelease -m "tag tree" Committed revision 12.
そのタグを忘れるのを心配する必要はありません— いつでも古いリビジョンを指定してタグ付けすることが できます:
$ svn copy -r 11 file:///tmp/repos/test/trunk file:///tmp/repos/test/tags/0.6.32-prerelease -m "Forgot to tag at rev 11" Committed revision 13.
svn delete — 作業コピーかリポジトリから ファイルまたはディレクトリを削除します。
PATH
で指定されたファイルまたはディレクトリは次のコミット
で削除することを予告します。ファイル(と、まだコミットしていない
ディレクトリ)は直ちに作業コピーから削除されます。このコマンドは
バージョン化されていないか修正されているものに対しては
動作しません。--force
スイッチを使えばこの
動作を変更できます。
URLで指定されたファイルまたはディレクトリは 直接コミットを発行する形で削除されます。複数の URL は単一のトランザクションと して不分割にコミットされます。
--force --force-log --message (-m) TEXT --file (-F) FILE --quiet (-q) --targets FILENAME --username USER --password PASS --no-auth-cache --non-interactive --encoding ENC
svn を使って作業コピーからファイルを 削除すると、単に削除が予告されるだけです。ファイルは次のコミット でリポジトリから削除されます。
$ svn delete myfile D myfile $ svn commit -m "Deleted file 'myfile'." Deleting myfile Transmitting file data . Committed revision 14.
URLを削除しますが、それは直ちに起こるので ログメッセージを指定する必要があります:
$ svn delete -m "Deleting file 'yourfile'" file:///tmp/repos/test/yourfile Committed revision 15.
この例は作業コピーに修正があるファイルを強制削除する方法です:
$ svn delete over-there svn: Attempting restricted operation for modified resource svn: Use --force to override this restriction svn: 'over-there' has local modifications $ svn delete --force over-there D over-there
svn diff — 二つのパスの間の相違点を表示します。
svn diff [-r N[:M]] [TARGET[@REV]...]
svn diff [-r N[:M]] --old OLD-TGT[@OLDREV] [--new NEW-TGT[@NEWREV]] [PATH...]
svn diff OLD-URL[@OLDREV] NEW-URL[@NEWREV]
ふたつのパスの間の違いを表示します。 svn diffには 三つの使い方があります:
svn diff [-r N[:M]] [--old OLD-TGT] [--new
NEW-TGT] [PATH...] は
OLD-TGT
と
NEW-TGT
の間の違いを表示します。
もしPATH
があればOLD-TGT
や
NEW-TGT
に相対的なものとして扱われ、出力される
相違点はそのようなパスのみに限定されます。
OLD-TGT
と
NEW-TGT
は作業コピーパスであるか
URL
[@
REV
]
であるかです。
OLD-TGT
のデフォルトは
現在の作業コピーで、
NEW-TGT
のデフォルトは
OLD-TGT
になります。
N
のデフォルトは
BASE
ですが、もし
OLD-TGT
が URL であれば
HEAD
になります。
M
のデフォルトは現在の作業バージョン
ですが、もし NEW-TGT
が URL であれば
HEAD
になります。
svn diff -r Nは
OLD-TGT
のリビジョンを
N
に設定します。
svn diff -r N:M も
NEW-TGT
のリビジョンを
M
に設定します。
svn diff -r N:M URL は svn diff -r N:M --old=URL --new=URLの略記法です。
svn diff [-r N[:M]] URL1[@N] URL2[@M] は svn diff [-r N[:M]] --old=URL1 --new=URL2の略記法です。
TARGET
が URL なら N と M のリビジョンは
--revision
を経由したものであるか既に述べたように
「@」記法で指定されたものになります。
TARGET
が作業コピーパスであれば
--revision
スイッチの意味は:
--revision N:M
サーバは
TARGET
@N
と
TARGET
@M
を比較します。
--revision N
クライアントは
TARGET
@N
と作業コピーを比較します。
--revision
)クライアントは
TARGET
のベースリビジョンと作業コピーを
比較します。
別の構文を使うとサーバはそれぞれリビジョン
N
と
M
にある
URL1
と
URL2
を比較します。もしNかMが省略されれば
HEAD
の値が使われます。
デフォルトではsvn diffはファイルの系統を無視し、
単に比較対象になっている二つのファイルの内容を比較するだけです。
--notice-ancestry
を使うとリビジョンを比較する際に、
問題になっているパスの系統が考慮されます(つまり、同じ内容を持っては
いるが異なる系統を持つ二つのファイルに対してsvn
diffを実行すると、ファイル全体が一度削除され、
もう一度すべてが追加された形の結果を得ることになります)。
--revision (-r) REV --old OLD-TARGET --new NEW-TARGET --extensions (-x) "ARGS" --non-recursive (-N) --diff-cmd CMD --notice-ancestry --username USER --password PASS --no-auth-cache --non-interactive --no-diff-deleted --config-dir DIR
BASE
リビジョンと作業コピーを比較します。(svn diff
の一番よくある使い方):
$ svn diff COMMITTERS Index: COMMITTERS =================================================================== --- COMMITTERS (revision 4404) +++ COMMITTERS (working copy)
作業コピーの変更を以前のリビジョンと比較する方法:
$ svn diff -r 3900 COMMITTERS Index: COMMITTERS =================================================================== --- COMMITTERS (revision 3900) +++ COMMITTERS (working copy)
リビジョン3000とリビジョン3500を「@」構文を使って比較:
$ svn diff http://svn.collab.net/repos/svn/trunk/COMMITTERS@3000 http://svn.collab.net/repos/svn/trunk/COMMITTERS@3500 Index: COMMITTERS =================================================================== --- COMMITTERS (revision 3000) +++ COMMITTERS (revision 3500) …
リビジョン3000とリビジョン3500を範囲指定で比較( この場合は一つのURLのみを渡せばいい):
$ svn diff -r 3000:3500 http://svn.collab.net/repos/svn/trunk/COMMITTERS Index: COMMITTERS =================================================================== --- COMMITTERS (revision 3000) +++ COMMITTERS (revision 3500)
範囲指定によって trunk
にある全てのファイルの
リビジョン 3000 と リビジョン 3500 を比較する:
$ svn diff -r 3000:3500 http://svn.collab.net/repos/svn/trunk
範囲指定によって trunk
にある三つのファイルに
ついてのみリビジョン 3000 と リビジョン 3500 を比較する:
$ svn diff -r 3000:3500 --old http://svn.collab.net/repos/svn/trunk COMMITTERS README HACKING
作業コピーがある場合、長い URL指定することなしに 相違点を取得することができます:
$ svn diff -r 3000:3500 COMMITTERS Index: COMMITTERS =================================================================== --- COMMITTERS (revision 3000) +++ COMMITTERS (revision 3500)
--diff-cmd
CMD
-x
を使って
外部 diff プログラムに直接引数を渡します
$ svn diff --diff-cmd /usr/bin/diff -x "-i -b" COMMITTERS Index: COMMITTERS =================================================================== 0a1,2 > This is a test >
svn export — ディレクトリツリーのエクスポート
最初の構文では指定されたURLのリポジトリからディレクトリツリーを
エクスポートします。このさい、REV
が指定されれば
リビジョン REV
から、
そうでなければ HEAD
のリビジョンが利用され、結果は
PATH
に出力されます。
PATH
が省略されればURL
の
最後の部分がローカルディレクトリ名称として利用されます。
二番目の構文では
PATH1
で指定されたローカル作業コピーを
PATH2
に出力
します。すべての作業コピーへの変更は保存されますが、バージョン管理下
にないファイルはコピーされません。
--revision (-r) REV --quiet (-q) --force --username USER --password PASS --no-auth-cache --non-interactive --non-recursive --config-dir DIR --native-eol EOL --ignore-externals
作業コピーからのエクスポート( すべてのファイルとディレクトリをいちいち表示しない):
$ svn export a-wc my-export Export complete.
リポジトリから直接エクスポート( すべてのファイルとディレクトリを表示):
$ svn export file:///tmp/repos my-export A my-export/test A my-export/quiz … Exported revision 15.
オペレーティングシステムごとのリリースパッケージを作る場合、行末に特定
の EOL文字を使ってエクスポートすることができると便利です。--native-eol
オプションはこれをしますが、それはファイルが svn:eol-style =
native
属性を持っているものだけに効果があります。
たとえばすべてが CRLF 改行を持っているファイルからなるツリーをエクスポー
トする場合(おそらく Windows の .zip ファイルでの配布のような場合が考え
られますが):
$ svn export file://tmp/repos my-export --native-eol CRLF A my-export/test A my-export/quiz … Exported revision 15.
svn import — バージョン管理されていないファイルやツリーをリポジトリに コミットします。
--message (-m) TEXT --file (-F) FILE --quiet (-q) --non-recursive (-N) --username USER --password PASS --no-auth-cache --non-interactive --force-log --editor-cmd EDITOR --encoding ENC --config-dir DIR --auto-props --no-auto-props --ignore-externals
これは、ローカルディレクトリmyproj
をリポジトリの根元に
インポートします:
$ svn import -m "New import" myproj http://svn.red-bean.com/repos/test Adding myproj/sample.txt … Transmitting file data ......... Committed revision 16.
これはローカルディレクトリ
myproj
をリポジトリの
trunk/misc
にインポートします。ディレクトリ
trunk/misc
はインポートする前に
存在していなくてもかまいません—svn import
は再帰的にディレクトリを作ります:
$ svn import -m "New import" myproj ¥ http://svn.red-bean.com/repos/test/trunk/misc/myproj Adding myproj/sample.txt … Transmitting file data ......... Committed revision 19.
データほインポートした後でも、もとのツリーがバージョン 管理下に入ったわけではないのに注意し てください。作業を始めるには、まずそのツリーのための新しい作業コ ピーをsvn checkoutコマンドで作る必要が あります。
svn info — ローカル、あるいはリモートパスにあるアイテムについての情報を表示します。
作業コピーのパスと URL の両方についての情報を表示します。これには:
パス
名前
URL
リビジョン
リポジトリのルート
リポジトリの UUID
ノードの種類
最後に修正した人
最後に修正したリビジョン
最後に修正した日時
最後に更新したテキスト
最後に更新した属性
チェックサム
ロック・トークン
ロックの所有者
ロックの生成日時
svn info は作業コピー中の ファイルまたはディレクトリに関する有用な情報を表示します。 次はファイルに関する情報を表示します:
$ svn info foo.c Path: foo.c Name: foo.c URL: http://svn.red-bean.com/repos/test/foo.c Repository Root: http://svn.red-bean.com/repos/test Repository UUID: 5e7d134a-54fb-0310-bd04-b611643e5c25 Revision: 4417 Node Kind: file Schedule: normal Last Changed Author: sally Last Changed Rev: 20 Last Changed Date: 2003-01-13 16:43:13 -0600 (Mon, 13 Jan 2003) Text Last Updated: 2003-01-16 21:18:16 -0600 (Thu, 16 Jan 2003) Properties Last Updated: 2003-01-13 21:50:19 -0600 (Mon, 13 Jan 2003) Checksum: /3L38YwzhT93BWvgpdF6Zw==
ディレクトリに対する情報を表示することもできます:
$ svn info vendors Path: vendors URL: http://svn.red-bean.com/repos/test/vendors Repository Root: http://svn.red-bean.com/repos/test Repository UUID: 5e7d134a-54fb-0310-bd04-b611643e5c25 Revision: 19 Node Kind: directory Schedule: normal Last Changed Author: harry Last Changed Rev: 19 Last Changed Date: 2003-01-16 23:21:19 -0600 (Thu, 16 Jan 2003)
svn info は URL に対しても処理することができます(この例での readme.doc ファイルはロックされているので、ロック情報もまた 表示されていることに注意してください):
$ svn info http://svn.red-bean.com/repos/test/readme.doc Path: readme.doc Name: readme.doc URL: http://svn.red-bean.com/repos/test/readme.doc Repository Root: http://svn.red-bean.com/repos/test Repository UUID: 5e7d134a-54fb-0310-bd04-b611643e5c25 Revision: 1 Node Kind: file Schedule: normal Last Changed Author: sally Last Changed Rev: 42 Last Changed Date: 2003-01-14 23:21:19 -0600 (Tue, 14 Jan 2003) Text Last Updated: 2003-01-14 23:21:19 -0600 (Tue, 14 Jan 2003) Checksum: d41d8cd98f00b204e9800998ecf8427e Lock Token: opaquelocktoken:14011d4b-54fb-0310-8541-dbd16bd471b2 Lock Owner: harry Lock Created: 2003-01-15 17:35:12 -0600 (Wed, 15 Jan 2003)
svn list — リポジトリ中のディレクトリエントリを一覧表示します。
それぞれの
TARGET
ファイルと
TARGET
ディレクトリのリポジトリ
中の内容を一覧表示します。
TARGET
が作業コピーのパスである場合、対応するリポジトリ
URL が利用されます。
デフォルトの
TARGET
値は
「.
」 で、現在の作業コピーディレクトリ
のリポジトリURLを意味します。
--verbose
を使うと以下のフィールドがアイテムごとの
状態を示します:
最後のコミットのリビジョン番号
最後のコミットをした人
データサイズ (バイト単位の)
最後のコミットの日時
--xml
オプションをつけると XML 形式で
出力します( --incremental
を同時に指定し
なければヘッダとタグでくくられたドキュメント要素も一緒に出力され
ます)。すべての情報が対象になります;
--verbose
オプションは認められません。
--revision (-r) REV --verbose (-v) --recursive (-R) --incremental --xml --username USER --password PASS --no-auth-cache --non-interactive --config-dir DIR
svn list は、作業コピーを ダウンロードすることなしにどんなファイルがリポジトリにあるかを知る ときに役立ちます:
$ svn list http://svn.red-bean.com/repos/test/support README.txt INSTALL examples/ …
追加情報を表示するのに --verbose
スイッチを渡す
こともできます。これだと UNIX の ls -lコマンドの
出力のような感じになります:
$ svn list --verbose file:///tmp/repos 16 sally 28361 Jan 16 23:18 README.txt 27 sally 0 Jan 18 15:27 INSTALL 24 harry Jan 18 11:27 例/
詳しくはsvn list項を見てください。
svn lock — 作業コピーパスまたはリポジトリ中の URL をロックし、他のユーザがそこに 変更点をコミットできないようにします。
TARGET
それぞれをロックします。
他のユーザによってすでに TARGET
のどれかが
ロックされていた場合、警告を出して残りのTARGET
をロックします。他のユーザ、あるいは作業コピーの設定したロックを
--force
オプションで横取りすることもできます。
--targets ARG --message (-m) ARG --file (-F) ARG --force-log --encoding ARG --username ARG --password ARG --no-auth-cache --non-interactive --config-dir ARG --force
作業コピー中のふたつのファイルをロックする:
$ svn lock tree.jpg house.jpg 'tree.jpg' locked by user 'harry'. 'house.jpg' locked by user 'harry'.
他のユーザによって現在ロックされている作業コピー中の ファイルをロックする:
$ svn lock tree.jpg svn: warning: Path '/tree.jpg is already locked by user 'harry in ¥ filesystem '/svn/repos/db' $ svn lock --force foo 'tree.jpg' locked by user 'sally'.
作業コピーに関係しないファイルをロックする:
$ svn lock http://svn.red-bean.com/repos/test/tree.jpg 'tree.jpg' locked by user 'sally'.
より詳細は ロック項を見てください。
svn log — コミットログメッセージの表示。
デフォルトのターゲットは現在の作業ディレクトリのパスになります。
引数を指定しなければ svn
log は自分の作業コピーの現在の作業ディレクトリ
自身とその内部のすべてのファイルとディレクトリに関するログメッセージを
表示します。
一つのパス、一つ以上のリビジョン、あるいはそれらの組み合わせを
指定することで結果内容を指定をできます。ローカルパスのデフォルト
リビジョン範囲は、BASE:1
です。
URLだけを指定すれば、その URL に含まれるすべてのログメッセージが
表示されます。URLの後にパスを付ければ URL中のそれらのパスに含まれる
メッセージだけが表示されます。URL のデフォルトリビジョン範囲は
HEAD:1
です。
--verbose
を指定するとsvn log
はそれぞれのログメッセージと共に関連したすべてのパスを表示します。
--quiet
を指定すると svn log
はログメッセージの本体部分を表示しなくなります(これは --verbose
スイッチと両立します)。
それぞれのログメッセージは、そのリビジョンに影響のあるパスが二度
以上要求されても、一度だけ表示されます。ログはデフォルトではコピーされた
履歴に従います。--stop-on-copy
はこの振る舞いを無効にしますが、ブランチが
起きた場所を特定する場合には役に立ちます。
--revision (-r) REV --quiet (-q) --verbose (-v) --targets FILENAME --stop-on-copy --incremental --limit NUM --xml --username USER --password PASS --no-auth-cache --non-interactive --config-dir DIR
最上位で svn log を実行することによって作業コピー中の変更されたすべての パスのログメッセージを見ることができます:
$ svn log ------------------------------------------------------------------------ r20 | harry | 2003-01-17 22:56:19 -0600 (Fri, 17 Jan 2003) | 1 line Tweak. ------------------------------------------------------------------------ r17 | sally | 2003-01-16 23:21:19 -0600 (Thu, 16 Jan 2003) | 2 lines …
作業コピー中の特定のファイルに関するすべてのログメッセージを調べます:
$ svn log foo.c ------------------------------------------------------------------------ r32 | sally | 2003-01-13 00:43:13 -0600 (Mon, 13 Jan 2003) | 1 line Added defines. ------------------------------------------------------------------------ r28 | sally | 2003-01-07 21:48:33 -0600 (Tue, 07 Jan 2003) | 3 lines …
作業コピーが手元にない場合、URLを log することができます:
$ svn log http://svn.red-bean.com/repos/test/foo.c ------------------------------------------------------------------------ r32 | sally | 2003-01-13 00:43:13 -0600 (Mon, 13 Jan 2003) | 1 line Added defines. ------------------------------------------------------------------------ r28 | sally | 2003-01-07 21:48:33 -0600 (Tue, 07 Jan 2003) | 3 lines …
同じURLの下のいくつかの別のパスがほしい場合URL [PATH...]
構文を使うことができます。
$ svn log http://svn.red-bean.com/repos/test/ foo.c bar.c ------------------------------------------------------------------------ r32 | sally | 2003-01-13 00:43:13 -0600 (Mon, 13 Jan 2003) | 1 line Added defines. ------------------------------------------------------------------------ r31 | harry | 2003-01-10 12:25:08 -0600 (Fri, 10 Jan 2003) | 1 line Added new file bar.c ------------------------------------------------------------------------ r28 | sally | 2003-01-07 21:48:33 -0600 (Tue, 07 Jan 2003) | 3 lines …
複数の log コマンドの結果をつなげたい場合、--incremental
スイッチを使うことができます。
svn logは普通メッセージの最初にダッシュの行を表示
し、それぞれの引き続くログメッセージを表示し、最後のログメッセージが
それに続きます。
もし svn log を二つのリビジョン範囲で実行した場合、次のような出力
になります:
$ svn log -r 14:15 ------------------------------------------------------------------------ r14 | ... ------------------------------------------------------------------------ r15 | ... ------------------------------------------------------------------------
しかし、二つの順番になっていないログメッセージをファイルに 出力したい場合、何か次のような感じになるでしょう:
$ svn log -r 14 > mylog $ svn log -r 19 >> mylog $ svn log -r 27 >> mylog $ cat mylog ------------------------------------------------------------------------ r14 | ... ------------------------------------------------------------------------ ------------------------------------------------------------------------ r19 | ... ------------------------------------------------------------------------ ------------------------------------------------------------------------ r27 | ... ------------------------------------------------------------------------
incremental スイッチを使えば、出力中の重複したダッシュ行 の表示を避けることができます:
$ svn log --incremental -r 14 > mylog $ svn log --incremental -r 19 >> mylog $ svn log --incremental -r 27 >> mylog $ cat mylog ------------------------------------------------------------------------ r14 | ... ------------------------------------------------------------------------ r19 | ... ------------------------------------------------------------------------ r27 | ...
--incremental
スイッチは、
--xml
スイッチを使ったときと同じような出力
制御をします。
もし svn log を特定のパス上の特定のリビジョン指定で実行すると 何も出力されないでしょう
$ svn log -r 20 http://svn.red-bean.com/untouched.txt ------------------------------------------------------------------------
それはパスはリビジョンによっては修正されなかったことを意味 しています。リポジトリの最上位で log するか、そのリビジョンで 修正したファイルを知っているなら、明示的にそれを指定することが できます:
$ svn log -r 20 touched.txt ------------------------------------------------------------------------ r20 | sally | 2003-01-17 22:56:19 -0600 (Fri, 17 Jan 2003) | 1 line Made a change. ------------------------------------------------------------------------
svn merge — 二つのソースの差を作業コピーパスに反映します。
svn merge sourceURL1[@N] sourceURL2[@M] [WCPATH]
svn merge sourceWCPATH1@N sourceWCPATH2@M [WCPATH]
svn merge -r N:M SOURCE[@REV] [WCPATH]
最初の形式と二番目の形式ではソースとなるパス(これは最初の形式ではURL,
二番目の形式では作業コピーパスとなります)はリビジョン
N
と
M
で指定され、
その二つが比較されます。リビジョンが省略されれば
HEAD
を指定されたものと
みなします。
三番目の形式では
SOURCE
は URL か、作業コピーアイテムであり、その場合、
対応した URLが利用されます。この、リビジョン
N
と
M
のURLが、比較対象と
なります。
WCPATH
が変更を受け取る作業コピーパスです。もし
WCPATH
が省略されると、
デフォルトとして
「.
」が利用されます。ただし、両方のソースのベース名が同じで、
さらに、その名前のファイルが
「.
」にある場合は別で、この場合は、差分はその
ファイルに適用されます。
svn diffとは違い、マージコマンドはマージ操作の実行 時にファイルの系統を考慮します。これはあるブランチでの変更点を別の ブランチにマージする場合に、あるブランチでは名称を変更したが、もう一方 ではそうしなかったような場合に非常に重要になります。
--revision (-r) REV --non-recursive (-N) --quiet (-q) --force --dry-run --diff3-cmd CMD --ignore-ancestry --username USER --password PASS --no-auth-cache --non-interactive --config-dir DIR
ブランチを主系にマージします (主系の作業コピーがあり、ブランチがリビジョン250で作られたと仮定します):
$ svn merge -r 250:HEAD http://svn.red-bean.com/repos/branches/my-branch U myproj/tiny.txt U myproj/thhgttg.txt U myproj/win.txt U myproj/flo.txt
リビジョン23で分岐(ブランチ化)して、そのブランチの中の主系に変更を マージしたいとします。これにはブランチの作業コピーの中で以下のような操作を します:
$ svn merge -r 23:30 file:///tmp/repos/trunk/vendors U myproj/thhgttg.txt …
変更を一つのファイルにマージするには:
$ cd myproj $ svn merge -r 30:31 thhgttg.txt U thhgttg.txt
svn mkdir — バージョン管理下にある新しいディレクトリを作ります。
PATH
または URLを最後の部分とするようなディレクトリを作ります。
作業コピー PATH
で指定されたディレクトリは作業コピーへの追加として
予告されます。URL によって指定されたディレクトリは作成と同時に
コミットされます。複数のディレクトリ URL は不分割にコミットされます。
どちらの場合でも途中のディレクトリはすべて存在していなくてはなりません。
svn move — ファイルやディレクトリを移動する。
このコマンドは作業コピーまたはリポジトリにある ファイルやディレクトリを移動します。
このコマンドは、svn copy の後に svn deleteを実行するのと同じことです。
Subversionでは作業コピーとURLの間の移動はサポートしていません。 さらに、ファイルの移動は一つのリポジトリの内部でのみ可能です— Subversionはリポジトリ間の移動をサポートしていません。
移動してから、ファイルやディレクトリを追加予告します。
サーバ上での名称変更
svn propdel — アイテムから属性を削除します。
これはファイル、ディレクトリ、リビジョンから属性を削除します。 最初の形式は作業コピーのバージョン管理された属性を削除し、 二番目の形式ではリポジトリリビジョン上のバージョン管理されていない属性を 削除します。
svn propedit — バージョン管理されている一つ以上のアイテムの属性を編集する。
一つ以上の属性を好きなエディタで修正します。 最初の形式は作業コピー中のバージョン管理された属性を編集します。 二番目の形式ではリポジトリリビジョン上のバージョン管理されていない 属性を編集します。
--revision (-r) REV --revprop --username USER --password PASS --no-auth-cache --non-interactive --encoding ENC --editor-cmd EDITOR --config-dir DIR
svn propedit は、複数の値を持つ 属性を簡単に変更することができます:
$ svn propedit svn:keywords foo.c <svn will launch your favorite editor here, with a buffer open containing the current contents of the svn:keywords property. You can add multiple values to a property easily here by entering one value per line.> Set new value for property 'svn:keywords' on 'foo.c'
svn propget — 属性の値を表示します。
ファイル、ディレクトリ、リビジョンの属性値を表示します。 最初の形式は作業コピーにある一つ以上のアイテムのバージョン管理された属性を表示します。 二番目の形式ではあるリポジトリリビジョンのバージョン管理していない属性を 表示します。属性についての詳細は 属性項 を見てください。
svn proplist — すべての属性を一覧表示します。
ファイル、ディレクトリ、リビジョンのすべての属性を一覧表示します。 最初の形式では作業コピー中のバージョン管理された属性を表示しますが、二番目の 形式ではあるリポジトリリビジョンの属性を表示します。
--verbose (-v) --recursive (-R) --revision (-r) REV --quiet (-q) --revprop --username USER --password PASS --no-auth-cache --non-interactive --config-dir DIR
作業コピーのアイテムの属性の一覧を見たい場合は proplist コマンドを使うことができます:
$ svn proplist foo.c Properties on 'foo.c': svn:mime-type svn:keywords owner
しかし--verbose
フラグを付けると、それぞれの属性の値も
一緒に表示することができるのでとても便利です:
$ svn proplist --verbose foo.c Properties on 'foo.c': svn:mime-type : text/plain svn:keywords : Author Date Rev owner : sally
svn propset — ファイル、ディレクトリ、リビジョンの PROPNAME の値 を PROPVALに設定する。
svn propset PROPNAME [PROPVAL | -F VALFILE] PATH [PATH [PATH ... ]]
svn propset PROPNAME --revprop -r REV [PROPVAL | -F VALFILE] [URL]
ファイル、ディレクトリ、リビジョンの
PROPNAME
の値を
PROPVAL
に設定します。
最初の例はバージョン管理された作業コピー中の属性値の変更で、二番目は
バージョン管理されていないリポジトリ上のリビジョン属性値の作成です。
Subversionは、動作に影響を与えるたくさんの「特別な」属性 を持っています。詳しくは 特殊な属性項を見てください。
--file (-F) FILE --quiet (-q) --revision (-r) REV --targets FILENAME --recursive (-R) --revprop --username USER --password PASS --no-auth-cache --non-interactive --encoding ENC --force --config-dir DIR
ファイルのMIMEタイプを設定する:
$ svn propset svn:mime-type image/jpeg foo.jpg property 'svn:mime-type' set on 'foo.jpg'
UNIX 上で、あるファイルに実行属性を付けたいときには:
$ svn propset svn:executable ON somescript property 'svn:executable' set on 'somescript'
多分、共同作業者の便宜を考えると、ある属性を設定 するには内部的なポリシーがなくてはなりません:
$ svn propset owner sally foo.c property 'owner' set on 'foo.c'
特定のリビジョンのログメッセージを間違ってしまい、それを変更したいとき、
--revprop
を使って、svn:log
に新し
いメッセージを設定します:
$ svn propset --revprop -r 25 svn:log "Journaled about trip to New York." property 'svn:log' set on repository revision '25'
あるいは、作業コピーを持っていない場合でも、URLを設定することが できます。
$ svn propset --revprop -r 26 svn:log "Document nap." http://svn.red-bean.com/repos property 'svn:log' set on repository revision '25'
最後に、属性値をファイルを入力として設定することもできます。 この方法で、属性値にバイナリ値を設定することさえできます:
$ svn propset owner-pic -F sally.jpg moo.c property 'owner-pic' set on 'moo.c'
デフォルトではSubversionリポジトリ中のリビジョン属性は変更
できません。リポジトリ管理者はpre-revprop-change
という
名前のフックを作ることで明示的にリビジョン属性の
修正を有効にしなくてはなりません。
フックスクリプトについて詳しくは
フックスクリプト項 を見てください。
svn resolved — 作業コピーのファイルまたはディレクトリの 「衝突」 状態を取り除きます。
作業コピーのファイルまたはディレクトリの
「衝突」 状態を取り除きます。
このコマンドは衝突マーカを意味的に解消するのではなく、単に
衝突に関係した中間ファイルを削除して、PATH
でもう一度コミットする
だけです。つまりSubversionにその衝突は既に「解消された」と伝えます。
衝突の解消についての詳細は
衝突の解消(他の人の変更点のマージ)項 を見てください。
更新操作中に衝突があった場合、作業コピーは三つの新しいファイルを 作ります:
$ svn update C foo.c Updated to revision 31. $ ls foo.c foo.c.mine foo.c.r30 foo.c.r31
衝突を解消し、foo.c
のコミットの準備が
できた状態にある場合、svn resolved は
あなたの作業コピーに、注意しなくてはならないすべてのことを
伝えます。
単に衝突ファイルを削除してからコミットすることもできます が svn resolved は作業コピー管理領域の記録として、衝突ファイルを削除した ことも付け加えるので、このコマンドを使うのをお勧めします。
svn revert — ローカルファイルへのすべての編集を取り消します。
ファイル、ディレクトリに対する変更をすべて取り消して 衝突の状態を解消します。svn revertは 作業コピーのアイテムの内容だけではなく、属性の変更も取り消します。 さらに既にやった予告操作を取り消すのにも使えます。 (たとえば、ファイルにたいする追加または削除の予告 も「取り消され」ます。
ファイルに対する変更の取り消し:
$ svn revert foo.c Reverted foo.c
ディレクトリ全体を取り消したい場合は、
--recursive
フラグを使います:
$ svn revert --recursive . Reverted newdir/afile Reverted foo.c Reverted bar.txt
最後に、どの予告操作も取り消すことができます:
$ svn add mistake.txt whoops A mistake.txt A whoops A whoops/oopsie.c $ svn revert mistake.txt whoops Reverted mistake.txt Reverted whoops $ svn status ? mistake.txt ? whoops
svn revert の対象を指定しなければ、それは何もしません— 間違った修正の破棄から作業コピーを守るために、svn revert 操作は 少なくとも一つの引数を指定するように求めます。
svn status — 作業コピーにあるファイルやディレクトリの状態を表示しす。
作業コピーにあるファイルやディレクトリの状態を表示します。
引数がない場合は、ローカルで修正されたアイテムだけが表示されます(リポジトリに
対するアクセスは発生しません
--show-updates
を使うと、作業リビジョンと、
サーバの最新ではない情報も追加されます。
--verbose
を使うと、すべてのアイテムに対する
完全なリビジョン情報を表示します。
出力の最初の6列のコラムはそれぞれ一文字幅で、作業コピーアイテムごとに いろいろな情報を表示します。
最初のコラムは、アイテムが追加、削除、それ以外の変更、のどの状態かを を示します。
変更はありません。
アイテムは追加予告されています。
アイテムは削除予告されています。
アイテムは修正されました。
アイテムは作業コピー中で置き換えられました。
(属性ではなく)アイテムの内容はリポジトリから 受け取った更新によって衝突した状態にあります。
アイテムは何かの外部定義に関係しています。
アイテムは無視されている属性です (たとえば、
svn:ignore
のような)
アイテムはバージョン管理下にありません。
アイテムは失われました(これはたとえば、 svnを使わずにファイルを削除したり移動した場合に 起こります)。また、これはディレクトリが不完全であることを示しています (チェックアウトや更新が中断された、など)。
アイテムはある種類のオブジェクト (ファイル、ディレクトリ、リンク)としてバージョン管理されていますが、 別の種類のオブジェクトで置き換えられてしまいました。
二番目のコラムはファイルやディレクトリの 属性の状態を示します。
修正はありません。
このアイテムの属性は修正されました。
このアイテムの属性はリポジトリから受け取った属性更新によって 衝突した状態にあります。
三番目のコラムは作業コピーがロックされている場合にだけ使われます。
アイテムはロックされていません。
アイテムはロックされています。
四番目のコラムはアイテムが追加予告されている場合にのみ 使われます。
コミット待ちの予告はありません。
コミット待ちの予告があります。
五番目のコラムはアイテムが親に対して相対的に切り替えられた ときにだけ使われます。 (作業コピーの切り替え項を見てください)。
アイテムは親ディレクトリの子供です。
アイテムは切り替わっています。
六番目のコラムにはロック情報が表示されます。
--show-updates
が指定された場合ファイルはロックされて
いません。--show-updates
が指定 されない
場合、これは単にこの作業コピー中でファイルがロックされていないことを示すだけです。
ファイルはこの作業コピー中でロックされています。
ファイルは他のユーザあるいは他の作業コピーによってロックされています。
これは--show-updates
が指定された場合にだけ現れます。
ファイルはこの作業コピー中でロックされていましたが、それは
「横取りされ」、無効となりました。このファイルは現在
リポジトリ中でロックされています。これは --show-updates
が指定された時だけ現れます。
ファイルはこの作業コピーでロックされていましたが、それは
「破壊され」て無効となりました。このファイルはもうロック状態には
ありません。--show-updates
が指定された時だけ現れます。
最新状態に関係した情報が7番目のコラムに表示されます
(--show-updates
スイッチを渡した場合)。
作業コピーのアイテムは最新です。
サーバにはアイテムのもっと新しいバージョンが 存在します。
残りのフィールドは空白で区切られた可変長です。
--show-updates
か--verbose
を指定した場合は作業リビジョンが次のフィールドになります。
--verbose
スイッチを指定すると最後のコミットリビジョン
とそれをした人が次に表示されます。
作業コピーのパスは常に最後のフィールドになるので、空白を含むことが できます。
--show-updates (-u) --verbose (-v) --non-recursive (-N) --quiet (-q) --no-ignore --username USER --password PASS --no-auth-cache --non-interactive --config-dir DIR --ignore-externals
作業コピーにした変更点を調べるための一番簡単な方法:
$ svn status wc M wc/bar.c A + wc/qax.c
作業コピー中、どのファイルが最新でないかを知りたい場合
は--show-updates
スイッチを指定してください(これは
作業コピーの内容を決して変更しません)。
最後に自分の作業コピーを更新してからリポジトリのwc/foo.c
に変更があったときには
次のようになります:
$ svn status --show-updates wc M 965 wc/bar.c * 965 wc/foo.c A + 965 wc/qax.c Status against revision: 981
--show-updates
は、
最新ではないアイテムの隣にアスタリスクを置くだけ
です(つまり、svn updateを実行したとすればリポジトリから
の情報で更新されるであろうアイテムの前にのみ、という意味です)。
--show-updates
は、アイテムのリポジトリバージョンを反映
した状態一覧を表示するわけではありません。
最後に、statusサブコマンドで一番たくさんの情報を得るには:
$ svn status --show-updates --verbose wc M 965 938 sally wc/bar.c * 965 922 harry wc/foo.c A + 965 687 harry wc/qax.c 965 687 harry wc/zig.c Head revision: 981
svn status のもっとたくさんの例は svn status項にあります。
svn switch — 作業コピーを別のURLに更新します。
このサブコマンドは自分の作業コピーを新しいURLに更新し、 複製を作ります。—そうする必要はありませんが、普通は そのURLは元になる作業コピーと共通の祖先を持ちます。 これがSubversionで作業コピーを別のブランチに移動させる方法 です。 作業コピーの切り替え項 により詳しい説明があります。
--revision (-r) REV --non-recursive (-N) --quiet (-q) --diff3-cmd CMD --relocate --username USER --password PASS --no-auth-cache --non-interactive --config-dir DIR
いまvendors-with-fix
から分岐した
vendors
というディレクトリの
内部にいて、そのブランチの作業コピーに移りたいときには:
$ svn switch http://svn.red-bean.com/repos/branches/vendors-with-fix . U myproj/foo.txt U myproj/bar.txt U myproj/baz.c U myproj/qux.c Updated to revision 31.
そして、元に戻りたいときには、最初に作業コピーをチェックアウトした リポジトリの場所をURLとして指定するだけです:
$ svn switch http://svn.red-bean.com/repos/trunk/vendors . U myproj/foo.txt U myproj/bar.txt U myproj/baz.c U myproj/qux.c Updated to revision 31.
作業コピー全体を切り替えたくない場合、その一部だけをブランチに 切り替えることもできます。
管理者はときどき、リポジトリの 「格納場所」 を変更したい
と思うこともあります — 言い換えると、リポジトリの内容に変更はな
くても、リポジトリの根元のディレクトリにアクセスするための URL を変え
たいと思うことがあります。例えばホスト名が変更されたり、URLスキーマが
変更されたり、リポジトリパスURLの先頭部分のどこかが変更されるような場合もあるでしょう。
新しい作業コピーをチェックアウトするよりも、svn
switchを使って作業コピーの中に記録されているすべての URL の
先頭部分を一括して 「書き換えて」 やるほうが良いでしょう。この置換には
--relocate
オプションを使ってください。ファイルには一切
修正を加えませんし、このコマンドでリポジトリにアクセスすることもありま
せん。これは、Perl のスクリプトなどを使って、作業コピーの
.svn/
配下に対して
s/OldRoot/NewRoot/コマンドを実行するのに似ています。
$ svn checkout file:///tmp/repos test A test/a A test/b … $ mv repos newlocation $ cd test/ $ svn update svn: Unable to open an ra_local session to URL svn: Unable to open repository 'file:///tmp/repos' $ svn switch --relocate file:///tmp/repos file:///tmp/newlocation . $ svn update At revision 3.
--relocate
オプションの利用には注意してください。
引数を間違って入力すると作業コピー中に意味のない URL 情報ができて
しまい、作業コピー全体が利用不能になり、修復にはちょっとしたコツが
必要になってしまいます。また --relocate
を
利用すべきか、すべきでないかをはっきりと完全に理解していることも
重要です。以下が原則です:
作業コピーがリポジトリの 中にある新しいディレクトリ に移る場合には、単にsvn switchを使う。
作業コピーは同じリポジトリのディレクトリを指しているが、リポジトリ自身の 場所が移った場合には svn switch --relocateを使う。
svn unlock — 作業コピーパスまたは URL をアンロックします
TARGET
それぞれをアンロックします。
TARGET
のどれかが他のユーザによってロックされて
いたり作業コピー中に正常なロックトークンが存在しない場合は警告を出して
残りの TARGET
のアンロックを続けます。
他のユーザまたは作業コピーに属するロックを破壊するには --force
を使ってください。
--targets ARG --username ARG --password ARG --no-auth-cache --non-interactive --config-dir ARG --force
作業コピー中の二つのファイルをアンロックする:
$ svn unlock tree.jpg house.jpg 'tree.jpg' unlocked. 'house.jpg' unlocked.
現在別のユーザによってロックされている作業コピー中のファイル をアンロックする:
$ svn unlock tree.jpg svn: 'tree.jpg' is not locked in this working copy $ svn unlock --force tree.jpg 'tree.jpg' unlocked.
作業コピーには無関係にファイルをアンロックする:
$ svn unlock http://svn.red-bean.com/repos/test/tree.jpg 'tree.jpg unlocked.
より詳細は ロック項を見てください。
svn update — 作業コピーの更新。
svn update は、リポジトリの修正を
作業コピーに反映します。リビジョンを指定しなければ、HEAD
リビジョンの最新
の内容が反映されます。そうでなければ、--revision
スイッチ
で指定されたリビジョンに作業コピーを同期します。同期処理の一部として、
svn updateは作業コピーに存在する未完了のロックを
取り除きます。
更新されるアイテムごとに、どのような動作を起こしたかを示す文字で始まる 行が表示されます。この文字は以下のような意味です:
追加
削除
更新
衝突
マージ
最初のコラムの文字は実際のファイルの更新を示しますが、 ファイルの属性の更新状況は二番目のコラムで示します。
--revision (-r) REV --non-recursive (-N) --quiet (-q) --diff3-cmd CMD --username USER --password PASS --no-auth-cache --non-interactive --config-dir DIR --ignore-externals
最後の更新後に起きたリポジトリの修正を取り込みます:
$ svn update A newdir/toggle.c A newdir/disclose.c A newdir/launch.c D newdir/README Updated to revision 32.
もっと古いリビジョンで作業コピーを更新することもできます。 (Subversion は CVS のような「張り付き」 ファイル の概念を持ちません。 付録 A. CVSユーザのためのSubversionを見てください):
$ svn update -r30 A newdir/README D newdir/toggle.c D newdir/disclose.c D newdir/launch.c U foo.c Updated to revision 30.
一つのファイルの古いバージョンを調べたいときには svn catを使いたくなるかも 知れません。
svnadmin は Subversionリポジトリを監視したり修復したりするための管理ツールです。 詳しくはsvnadmin項を見てください。
svnadminは直接リポジトリに対するアクセスに より動作するので(そして、リポジトリが存在するマシン上でのみ利用することが できるので)、URLではなく、パス名によってリポジトリを参照します。
--bdb-log-keep
(Berkeley DB 固有) データベースログファイルの 自動ログ削除機能を無効にします。
--bdb-txn-nosync
(Berkeley DB 固有) データベーストランザクション コミット時に fsync をしません。
--bypass-hooks
リポジトリフックシステムを迂回します。
--clean-logs
利用していないBerkeley DB ログを削除します。
--force-uuid
デフォルトではリポジトリに対して既に存在しているリビジョンを
ロードする場合、svnadminはダンプストリーム
にあるUUID
を無視します。このスイッチは
リポジトリの UUID
をストリームからの
UUID
に設定します。
--ignore-uuid
デフォルトでは空のリポジトリをロードする場合svnadmin
はダンプストリームからの UUID
を利用します。
このスイッチはダンプストリームからの UUID を無視します。
--incremental
リビジョンの全体をダンプするのではなく、以前のリビジョンに対する差分として ダンプします。
--parent-dir
DIR
ダンプファイルをロードするときルートパスとして/
のかわりにDIR
を使います。
--revision
(-r
)
ARG
操作対象となる特定のリビジョンを指定します。
--quiet
通常の進行状況を表示しません—エラーのみ表示します。
--use-post-commit-hook
ダンプファイルをロードする時、新規にロードされたそれぞれのリビジョンの完了 処理の後でリポジトリのpost-commitフックを実行します。
--use-pre-commit-hook
ダンプファイルをロードする時、新規にロードされたそれぞれのリビジョンの完了 処理の前にリポジトリのpre-commitフックを実行します。フック処理に失敗した 場合、コミットは中断されてロード処理は終了します。
svnadmin create — 新規の空のリポジトリを作ります。
指定したパスに新規に空のリポジトリを作ります。
パスが存在しなければ自動的に作られます。
[49]
Subversion 1.2 では svnadminはデフォルトで
fsfs
ファイルシステムのバックグラウンドで
新しいリポジトリを作成します。
svnadmin deltify — あるリビジョン範囲にある変更パスを差分化します
svnadmin dump — ファイルシステムの内容を標準出力にダンプします。
ファイルシステムの内容を「dumpfile」可搬可能形式でダンプし、進行状況
を標準出力に表示します。
リビジョン
LOWER
から、
UPPER
までをダンプします。リビジョンが指定
されなければすべてのリビジョンツリーをダンプします。
LOWER
だけが
指定された場合は一つのリビジョンツリーのみダンプします。
実際の使い方についてはリポジトリの移行項 を見てください。
デフォルトでは、Subversion ダンプファイルの内容は 以下のようになります。まず要求されたリビジョン範囲の最初のリビジョン の内容が出力されます。ここにはそのリビジョンに含まれるすべてのファイルと ディレクトリが、すべて一度にリポジトリに追加されたかのような形式に なります。その後に、(要求されたリビジョン範囲内の)引き続くすべての リビジョンの内容が続きます。ここにはそれぞれのリビジョンで修正された ファイルとディレクトリの情報だけが含まれます。修正されたものがファイルの 場合には、そのファイルの完全な内容と、属性が出力されます。 ディレクトリの場合には、そのすべての属性が出力されます。
ダンプファイル生成する際に有用な二つのオプションがあります。
一つ目は --incremental
オプションで、これを指定すると
ダンプファイル出力中の最初のリビジョンが、そのリビジョンを示す新しいツリー
全体ではなく、そのリビジョンで修正のあったファイルとディレクトリのみに
なります。それ以降のリビジョンについてもまったく同様です。これは
ダンプ元のリポジトリに存在しているファイルとディレクトリをすでに含んで
いる別のリポジトリにロードするためのダンプファイルを生成する場合に便利です。
もう一つの有用なオプションは --deltas
です。
このスイッチは、ファイルの内容と属性についての完全なテキスト表現を出力
するかわりに、それぞれのリビジョンの直前のリビジョンとの差分だけを
出力するよう svnadmin dump に指示します。これは
svnadmin dump が生成するダンプファイルのサイズを
(場合によっては劇的に)減らします。欠点としてはこのオプション—差分化
ダンプファイルの指示—は生成にあたって CPU により大きな負荷が
かかること、svndumpfilter によって処理できなくなって
しまうこと、そして、サードパーティー製のgzip や bzip2
を使う場合には、差分化しないものに対するほど圧縮されない傾向があること、
があります。
リポジトリ全体のダンプ:
$ svnadmin dump /usr/local/svn/repos SVN-fs-dump-format-version: 1 Revision-number: 0 * Dumped revision 0. Prop-content-length: 56 Content-length: 56 …
リポジトリの一つのトランザクションの 差分ダンプ:
$ svnadmin dump /usr/local/svn/repos -r 21 --incremental * Dumped revision 21. SVN-fs-dump-format-version: 1 Revision-number: 21 Prop-content-length: 101 Content-length: 101 …
svnadmin hotcopy — リポジトリのホットコピーを作ります。
svnadmin list-dblogs — 指定した Subversion リポジトリにどのような Berkeley DB ログファイルが
あるか問い合わせます。(bdb
バックエンドを利用しているリポジトリの場合だけです)。
Berkeley DB は障害から復旧できるようにリポジトリの
すべての変更点のログをとります。 DB_LOG_AUTOREMOVE
を有効にしない限りログファイルは蓄積されていきますが、そのほとんどは
それ以上利用されることはなく、ディスク領域を確保するために削除可能な
ものです。詳細はディスク領域の管理項を見てください。
svnadmin list-unused-dblogs — Berkeley DB にどのログファイルが安全に削除可能かを問い合わせます。
(bdb
バックエンドを使っているリポジトリの場合だけです)。
Berkeley DB は障害から復旧できるようにリポジトリの
すべての変更点のログをとります。 DB_LOG_AUTOREMOVE
を有効にしない限りログファイルは蓄積されていきますが、そのほとんどは
それ以上利用されることはなく、ディスク領域を確保するために削除可能な
ものです。詳細はディスク領域の管理項を見てください。
svnadmin load — 標準入力から「ダンプファイル」形式 のデータを読み出します。
--quiet (-q) --ignore-uuid --force-uuid --use-pre-commit-hook --use-post-commit-hook --parent-dir
これはバックアップファイルからリポジトリをロードする最初の 部分です(もちろんあらかじめsvnadmin dumpでダンプして おいたものです):
$ svnadmin load /usr/local/svn/restored < repos-backup <<< Started new txn, based on original revision 1 * adding path : test ... done. * adding path : test/a ... done. …
あるいはサブディレクトリにロードしたい場合は:
$ svnadmin load --parent-dir new/subdir/for/project /usr/local/svn/restored < repos-backup <<< Started new txn, based on original revision 1 * adding path : test ... done. * adding path : test/a ... done. …
svnadmin lslocks — すべてのロック状況を表示します。
/svn/repos
にあるリポジトリ中でロックされている
唯一のファイルを一覧表示しています。
$ svnadmin lslocks /svn/repos Path: /tree.jpg UUID Token: opaquelocktoken:ab00ddf0-6afb-0310-9cd0-dda813329753 Owner: harry Created: 2005-07-08 17:27:36 -0500 (Fri, 08 Jul 2005) Expires: Comment (1 line): Rework the uppermost branches on the bald cypress in the foreground.
svnadmin lstxns — コミットされていないすべてのトランザクションの名前の表示。
コミットされていないすべてのトランザクションの名前を表示します。 コミットされていないトランザクションはどのように作られ、どのように 扱うべきかについてはリポジトリのお掃除項 を見て ください。
svnadmin recover — リポジトリデータベースの一貫した状態への復帰。
(bdb
バックエンドを使っているリポジトリの場合だけです)。
さらにrepos/conf/passwd
が存在しなければデフォルトの
パスワードファイルも作ります。
ハングしてしまったリポジトリの修復:
$ svnadmin recover /usr/local/svn/repos/ Repository lock acquired. Please wait; recovering the repository may take some time... Recovery completed. The latest repos revision is 34.
データベースの修復にはリポジトリを排他的にロックする必要があります。他 のプロセスがリポジトリにアクセスしている場合、svnadmin recoverはエラーになります:
$ svnadmin recover /usr/local/svn/repos svn: Failed to get exclusive repository access; perhaps another process such as httpd, svnserve or svn has it open? $
しかし --wait
オプションを指定すると svnadmin
recoverは他のプロセスの接続が切れるまで待ちつづけます:
$ svnadmin recover /usr/local/svn/repos --wait Waiting on repository lock; perhaps another process has it open? ### time goes by... Repository lock acquired. Please wait; recovering the repository may take some time... Recovery completed. The latest repos revision is 34.
svnadmin setlog — リビジョンにログメッセージを設定します。
svnlook はSubversionリポジトリの 別の部分を調べるためのコマンドラインツールです。このコマンドは リポジトリには何の変更も加えません—単に「調べる」ため に利用されます。svnlookはリポジトリフックで利用されるのが 典型的ですが、リポジトリ管理者は診断の目的にも利用できることに気づくかも 知れません。
svnlook は直接リポジトリにアクセスする形で実行される ので(そして、それが理由でリポジトリの存在するマシン上でのみ利用することが できるのですが)、URLではなく、パス名称によってリポジトリを参照します。
リビジョンやトランザクションが指定されなければ、 svnlook はリポジトリの最新リビジョンを使います。
svnlook 中のスイッチは svn やsvnadminなどと一緒で グローバルに働きますが、ほとんどのスイッチは一つのサブコマンドに しか効果がありません。それはsvnlookの機能の 有効範囲が(意図的に)限られているからです。
--no-diff-deleted
svnlookが削除されたファイルの差異を表示しないようにします。 トランザクション/リビジョン中でファイルが削除されたときのデフォルト 動作は、そのファイルが空のファイルとして残っているときと同じに なります。
--revision
(-r
)調べたい特定のリビジョン番号を指定します。
--revprop
ファイルまたはディレクトリを特定した Subversion の属性のかわりに
リビジョン属性に対して処理をします。このスイッチを使う場合、
--revision
(-r
)スイッチも一緒に
指定してやる必要があります。バージョン化されない属性についての
詳細は バージョン化されない属性項を見て
ください。
--transaction
(-t
)調べたい特定のトランザクション番号を指定します。
--show-ids
ファイルシステムツリー中の、それぞれのパスごとのファイルシステム ノードリビジョン番号を表示します。
svnlook cat — ファイルの内容を表示します
以下は/trunk/README
にあるトランザクション
ax8
中のファイルの内容を表示しています:
$ svnlook cat -t ax8 /usr/local/svn/repos /trunk/README Subversion, a version control system. ===================================== $LastChangedDate: 2003-07-17 10:45:25 -0500 (Thu, 17 Jul 2003) $ Contents: I. A FEW POINTERS II. DOCUMENTATION III. PARTICIPATING IN THE SUBVERSION COMMUNITY …
svnlook changed — 変更されたパスを表示します。
「svn update-style」 の第一ステータス文字と同じように 特定のリビジョンやトランザクションで変更されたパスを表示します:
A
'アイテムはリポジトリに追加されました
D
'アイテムはリポジトリから削除されました
U
'ファイル内容が変化しました
_U
'アイテムの属性が変化しました
UU
'ファイルの内容と属性が変化しました
ディレクトリパスの最後には '/
' がつくのでファイルと
ディレクトリは区別することができます。
テストリポジトリのリビジョン99で修正したすべてのファイルの 一覧を表示します:
$ svnlook changed -r 39 /usr/local/svn/repos A trunk/vendors/deli/ A trunk/vendors/deli/chips.txt A trunk/vendors/deli/sandwich.txt A trunk/vendors/deli/pickle.txt U trunk/vendors/baker/bagel.txt _U trunk/vendors/baker/croissant.txt UU trunk/vendors/baker/pretzel.txt D trunk/vendors/baker/baguette.txt
svnlook diff — 変更されたファイル、ディレクトリの差分を表示します。
これは、新しく追加されたファイル(空のファイル)、削除されたファイル、コピーされた ファイルを表示します:
$ svnlook diff -r 40 /usr/local/svn/repos/ Copied: egg.txt (from rev 39, trunk/vendors/deli/pickle.txt) Added: trunk/vendors/deli/soda.txt ============================================================================== Modified: trunk/vendors/deli/sandwich.txt ============================================================================== --- trunk/vendors/deli/sandwich.txt (original) +++ trunk/vendors/deli/sandwich.txt 2003-02-22 17:45:04.000000000 -0600 @@ -0,0 +1 @@ +Don't forget the mayo! Modified: trunk/vendors/deli/logo.jpg ============================================================================== (Binary files differ) Deleted: trunk/vendors/deli/chips.txt ============================================================================== Deleted: trunk/vendors/deli/pickle.txt ==============================================================================
ファイルが非テキスト的な
svn:mime-type
属性を持っている場合、差分は明示的には表
示されません。
svnlook history — リポジトリ中のパスの履歴に関する情報を表示します (あるいはパスが指定されなかった場合にはルートディレクトリになります)。
以下は例として作ったリポジトリのリビジョン20 で見た
パス/tags/1.0
の履歴表示です。
$ svnlook history -r 20 /usr/local/svn/repos /tags/1.0 --show-ids REVISION PATH <ID> -------- --------- 19 /tags/1.0 <1.2.12> 17 /branches/1.0-rc2 <1.1.10> 16 /branches/1.0-rc2 <1.1.x> 14 /trunk <1.0.q> 13 /trunk <1.0.o> 11 /trunk <1.0.k> 9 /trunk <1.0.g> 8 /trunk <1.0.e> 7 /trunk <1.0.b> 6 /trunk <1.0.9> 5 /trunk <1.0.7> 4 /trunk <1.0.6> 2 /trunk <1.0.3> 1 /trunk <1.0.2>
svnlook tree — ツリーを表示します。
svnserve はsvn
ネットワー
クプロトコルによって Subversion リポジトリにアクセスすることを可
能にするものです。独立したサーバプロセスとしても起動できますし、
inetd、xinetd あるいは
sshdのような別のプロセスを使って起動すること
もできます。
クライアントが URL を送ることでリポジトリを選択すると
svnserveはリポジトリディレクトリにある
conf/svnserve.conf
という名前のファイルを読んで
どのような認証用データベースを使い、またどのような認証方法を使うかの
ような設定をリポジトリごとに決めます。
svnserve.conf
ファイルの詳細はsvnserve, 専用サーバ項を見てください。
既に説明してきたコマンドとは違い、 svnserveはサブコマンドがありません— svnserveはスイッチによって排他的に制御されます。
--daemon
(-d
)svnserveがデーモンモードで実行 するようにします。svnserve自身がバックグラウンドで 実行され、svn ポート(通常は 3690)上に TCP/IP 接続を受け付け、接続を 用意します。
--listen-port
=PORT
デーモンモード時にPORT
で
待ち受けるように指定します。
--listen-host
=HOST
svnserveが
HOST
で指定されるインターフェー
ス上で待ち受けるように指定します。ホスト名か IP アドレスの
いずれかで指定できます。
--foreground
-d
と一緒に利用すると
svnserveがフォアグラウントで待機するよ
うにできます。このスイッチは主にデバッグ時に利用されます。
--inetd
(-i
)svnserveが標準入力/標準出力のファ イル記述子を利用するように指定します。inetdと共に 利用する場合に適しています。
--help
(-h
)利用方法の概略を表示し抜けます。
--version
バージョン情報と、利用可能なリポジトリバックエンドモジュール一覧を 表示してから終了します。
--root
=ROOT
(-r
=ROOT
)svnserveによって提供されるリポジ トリの仮想的なルートを設定します。クライアントによって指定される URL 中のパス名はこのルートに相対的なものと解釈され、その外にアクセスするこ とを許しません。
--tunnel
(-t
)svnserveがトンネルモードで実行す るように指定します。inetdと(標準入出力を使って接続 するという意味で)同様ですが、現在の uid に対応したユーザ名であらかじめ 認証されていると考えます。このフラグは sshのような トンネル用エージェント越しに実行するときクライアントによって指定される ものです。
--tunnel-user NAME
--tunnel
スイッチと一緒に使うとsvnserve は svnserveプロセスの
UID のかわりに NAME
が認証されたユーザであると見なします。SSH 越しに
一つのシステムアカウントを共有しながら、コミットの主体としては分離して
管理したいようなユーザ間では便利です。
--threads
(-T
)デーモンモードで実行される場合、接続ごとに svnserveがプロセスを起動するかわりに スレッドを起動するように指定します。 svnserve自身は やはり起動時にバックグラウンドに常駐します。
--listen-once
(-X
)svnserveが svn ポート上の接続を ひとつだけ受け入れ、サービスを提供後抜けるようにします。この オプションは主にデバッグ時に利用されます。
svnversion — 作業コピーのローカルリビジョンについて簡単に表示します。
svnversion は作業コピーの混合リビジョン状況を表示します。 リビジョン番号またはリビジョン範囲が標準出力に出力されます。
TRAIL_URL
を指定した場合は、
WC_PATH
自身がスイッチされた場合の
URL の終わりの部分として利用されます。(WC_PATH
内部でのスイッチの検出は
TRAIL_URL
にはよりません)。
svnserve と同様 svnversion に サブコマンドはありません。スイッチがあるだけです。
--no-newline
(-n
)通常は出力する末尾の改行文字を省略します。
--committed
(-c
)現在の(つまりローカルで一番新しい)リビジョンのかわりに 最終的な更新があったリビジョンを使います。
--help
(-h
)簡単なヘルプを表示します。
--version
svnversionのバージョンを表示してから プログラムを正常終了します。
作業コピーが完全に単一リビジョン状態にある場合(たとえば update コマンドの 直後など)、リビジョンは以下のように表示されます:
$ svnversion . 4168
TRAIL_URL をつけて自分が思っている場所から作業コピーが スイッチされていないことを示すこともできます:
$ svnversion . /repos/svn/trunk 4168
混合リビジョンの作業コピーの場合には、リビジョン範囲が 表示されます:
$ svnversion . 4123:4168
作業コピーに修正がある場合には "M" を追加して表示します:
$ svnversion . 4168M
作業コピーがスイッチされた場合には "S" を追加して表示します:
$ svnversion . 4168S
それで、たとえば混合リビジョンであり、作業コピーはスイッチされて いて、さらにローカルな修正があった場合には以下のようになります:
$ svnversion . 4212:4168MS
作業コピーではないディレクトリで実行されると、 svnversion はそれがエクスポートされた 作業コピーであると仮定し "exported" と表示します:
$ svnversion . exported
mod_dav_svn
設定ディレクティブ
—
Apache の HTTP サーバを通じて Subversion リポジトリを管理する場合の
Apache の設定ディレクティブです。
この節では Subversion に関係した Apache の設定ディレクティブをそれぞれ 簡単に説明します。(Subversion 利用時の Apache の設定についてのより詳しい説明は httpd, Apache HTTP サーバ項を見てください。)
DAV svn
このディレクティブは Subversion リポジトリのあるすべての
Directory
あるいは Location
ブロックに
含めなくてはなりません。すべての要求の処理にたいして mod_dav のバックエンドとして
Subversion を使うよう httpd に指示します。
SVNAutoversioning On
このディレクティブは WebDAV クライアントからの書き込み要求を認め、
それが不分割なコミットになるようにします。一般的なログメッセージが
自動生成されリビジョンごとに付与されます。自動バージョン化を有効に
する場合、おそらく ModMimeUsePathInfo On
も
設定したくなるかも知れません。これによって mod_mime
は
自動的に正しい mime-type を svn:mime-type
に設定
できるようになります(もちろん mod_mime
が可能な
範囲で、です)。より詳細は 付録 B. WebDAV と、自動バージョン化
を見てください。
SVNPath
このディレクティブは Subversion リポジトリが使うファイルを置くための
ファイルシステム中の場所を指定します。Subversion リポジトリのための
設定ブロック中では、このディレクティブか、SVNParentPath
のどちらか一方が存在しなてくはなりません。しかし両方存在してはいません。
SVNSpecialURI
Subversion 用の特殊なリソースのための URI 名(名前空間)を指定します。
デフォルトは 「!svn
」 で、ほとんどの
管理者は実際にこのディレクティブを使うことはないでしょう。
リポジトリ中で !svn
という名前のファイルを
使う特殊な事情がある場合にだけ設定します。サーバ上ですでに利用している
値を変更したりすれば、外部にあるすべての作業コピーが壊れてしまい、
あなたはユーザに捕らえられ、何か恐ろしい目にあうでしょう。
SVNReposName
HTTP GET
要求で利用する Subversion リポジトリの
名前を指定します。この値はすべてのディレクトリ一覧表示のタイトル
として利用されます(これは Web ブラウザで Subversion リポジトリを
閲覧するときに使われます)。このディレクティブはオプションです。
SVNIndexXSLT
ディレクトリインデックスのための XSL 変換の URI を指定します。 このディレクティブはオプションです。
SVNParentPath
そのディレクトリのサブディレクトリが Subversion のリポジトリである
ような親ディレクトリの、ファイルシステム中での位置を指定します。
Subversion リポジトリの設定ブロック中には、このディレクティブか
SVNPath
のどちらかが存在しなくてはなりません。
しかし両方存在してはいません。
SVNPathAuthz
パス名にもとづいた認可を許可したり禁止したりするのに使います。 詳しくは パス名にもとづいたチェックの禁止項を見てください。
目次
この補遺はSubversionになじみのないCVSユーザへのガイドです。 この章は基本的に、「10キロくらい離れた」二つのシステム間の違い についての一覧です。それぞれの節で、できるだけ関連した章への 参照を用意しました。
Subversionの目標は現在と未来のCVSユーザを乗っ取ることですが、 CVSで「問題」となっている振る舞いを改良するために いくつかの新しい機能と、設計の変更が必要でした。これは CVSユーザとしての、いままでの習慣を断ち切る必要があるかも知れない ことを意味します—それは最初からおかしかったのですから。
CVSでは、リビジョン番号はファイルごとについていました。理由は、CVSはRCS ファイルにデータを格納していたからです。それぞれのファイルは RCSファイルをリポジトリに持ち、そのリポジトリは大雑把に言って、プロジェクト ツリーの構造と一致するようなレイアウトでした。
Subversionでは、リポジトリは一つのファイルシステムのように見えます。 それぞれのコミットはまったく新しいファイルシステムツリーを作ります。 要約して言うと、リポジトリとは、そのようなツリーが一列にたくさん並んだ もののことです。このようなツリーそれぞれは、一つのリビジョン番号でラベル 付けされています。誰かが「リビジョン 54」 と言うとき、彼らは特定 のツリー(そして間接的に、54番目のコミット後のファイルシステムの見え方) について語っています。
技術的には、「foo.c
のリビジョン 5」
という言い方は正しくありません。そうではなく、
「リビジョン 5 に出てくるfoo.c
」
と言うべきです。同様に、ファイルの変化についての前提に気をつけて
ください。CVS では、リビジョン 5 とリビジョン 6 の
foo.c
は常に異なっていました。Subversionでは
リビジョン 5 と 6 では、たいていの場合foo.c
は変更されていません 。
これについての詳細はリビジョン項を見てください。
Subversion はツリーの構造を追いかけるのであって、それはファイルの内容 だけにはとどまりません。これはCVSを置き換えるために Subversionが書かれた 大きな理由の一つです。
CVSユーザとしてのあなたに、これが何を意味するかをここで挙げておきます:
svn add と svn delete コマンドは ファイルだけではなく、ディレクトリに対しても動作します。 svn copy とsvn moveもそうです。 しかし、これらのコマンドは、リポジトリに対して直接の変更を加える ことはありません。そのかわりに、作業アイテムは単に、追加または削除 の「予告」 を受けるだけです。svn commit が実行されるまで、リポジトリはいっさい変更されません。
ディレクトリはもう、ただの入れ物ではありません。それはファイルと
同じように、リビジョン番号を持っています。(あるいはもっと適切には
「リビジョン 5 の中にある、ディレクトリfoo/
」という言い方が正しいのですが)。
最後の点についてもっと説明します。ディレクトリのバージョン管理は 難しい問題です。それは、混合リビジョンの作業コピーを認めたいので、 このモデルを乱用することに対する制限が必要になります。
理論的な見地からすると、
「
ディレクトリ foo
の
リビジョン 5
」
というのは、ディレクトリエントリと属性の、ある特定のあつまりを
意味します。foo
のファイルを追加したり削除
し、コミットしたとします。リビジョン 5 のfoo
がまだあるといえば嘘になります。しかし、コミット後に
foo
のリビジョン番号を上げたとすれば、
これもやはり嘘になります。まだ更新してはいないので、
foo
に、まだ受け取っていないほかの人の変更が
加えられたかも知れないからです。
Subversion はこの問題を、.svn
の領域に
コミットされた追加と削除を静かに記録することで取り扱います。
svn updateを実行すると、
すべての変更点がリポジトリに反映され
ディレクトリの新しいリビジョン番号は正しく設定されます。
そのため、更新後においてだけ、ディレクトリの「完全な」
リビジョンを手にしている、と安全に言うことができます。
ほとんどの場合、作業コピーは「不完全な」 ディレクトリ
リビジョンを含んでいます。
同様にして、もしディレクトリ上の属性変更をコミットしようとした ときに問題が起こります。普通、コミットは作業ディレクトリの ローカルなリビジョン番号を上げます。しかし、やはり、それは 嘘です。というのは、更新がかかっていないことにより、ディレクトリ がまだ受け取っていない追加や削除があるかも知れないからです。 それで、ディレクトリが最新の状態になければ、ディレクトリ上の 属性変更をコミットすることはできません。
ディレクトリのバージョン管理の制限についての詳細は、 混合リビジョン状態の作業コピー項を見てください。
最近では、ディスク容量は非常に安く豊富になりましたが、ネットワークの 帯域はそうではありません。そのためSubversionの作業コピーはこの貴重な資源に ついて最適化されてきました。
.svn
管理ディレクトリは、CVS
ディレクトリと同じ目的のために用意されていますが、例外は、
ファイルの「修正元コピー」を読み出し専用で保存してある
ことです。これを使っていろいろな作業をオフラインでやることができます:
ローカルに起きたすべての変更点を表示します(svn status項参照)
変更点の詳細を表示します(svn diff項参照)
変更点を取り消します(svn revert項参照)
さらに、キャッシュされた修正元ファイルを使うと、Subversion クライアントは、コミット時に差分のみを送信することができるよう になります。これはCVSにはできません。
このリストの最後のサブコマンドは新しいものです。それは単にローカル の修正を削除するだけではなく、追加や削除の予告操作も取り消すことが できます。ファイルの修正取り消しのためのおすすめの方法です。 rm file; svn update を実行しても動作しますが、 更新の意味をあいまいにしてしまいます。そして、われわれはまだこの 問題と格闘しているのですが…
Subversionでは、cvs status と cvs update コマンドの間にあるたくさんの混乱 をなくそうとしてきました。
cvs status コマンドは二つの目的があります:
まず、作業コピー中のローカルな変更をユーザに示すこと、二番目に
どのファイルが最新ではなくなっているかをユーザに示すこと。
不幸にも、CVSの非常に読みにくい状態表示のために、たくさんのCVSユーザは
このコマンドをまったく生かしていません。そのかわりに、変更点を見る
のに、cvs update、あるいは cvs -n update
を実行する癖をつけてしまいました。-n
オプションを忘れ
ると、まだ扱う準備ができていないリポジトリ上の変更もマージしてしまいま
す。
Subversion では、svn status の出力を 人間が読むにも、プログラムで扱うにも簡単になるように改良 しました。また、svn updateは更新されたファイル についての情報のみを表示し、ローカルの変更は表示 しないように しました。
svn status はローカルに修正されたすべての ファイル を表示します。デフォルトではリポジトリにアクセスしません。このコマンド はいろいろなオプションをとりますが、以下は最もよく利用されるものです:
-u
過去の情報を取得してから表示するためにリポジトリに アクセスします。
-v
バージョン管理下にあるすべての 情報を表示します。
-N
非再帰的に実行します(サブディレクトリに降りていきません)。
statusコマンドには二つの出力形式があります。 デフォルトの「短い形式」では、ローカルの変更は以下のように 表示されます:
$ svn status M foo.c M bar/baz.c
--show-updates
(-u
) スイッチを指定すると
もっと長い出力形式が利用されます:
$ svn status -u M 1047 foo.c * 1045 faces.html * bloo.png M 1050 bar/baz.c Status against revision: 1066
この場合、二つの新しいコラムが表示されます。二番目のコラムは
ファイルやディレクトリが最新でない場合にはアスタリスク('*')が表示
されます。三番目のコラムはアイテムの作業コピーリビジョン番号です。
上の例では、アスタリスクはもし更新しようとすれば
faces.html
はパッチされ、
bloo.png
はリポジトリに新規追加されるだろう
ことを示しています。(bloo.png
の前にリビジョン番号が
表示されていないのは、作業コピーにはまだ存在していないからです)
最後に、最もよく表示されるステータスコードの簡単なまとめを載せておきます:
A リソースは追加予告されています
D リソースは削除予告されています
M リソースはローカルに変更されています
C リソースは衝突しています(変更箇所がリポジトリと作業コピーとの
間でまだ完全にはマージされていません)
X リソースはこの作業コピーから見て外部のものです(他のリポジトリから
来たものです。svn:externals
項を参照してください)
? リソースはバージョン管理下にはありません。
! リソースは失われたか、不完全です(Subversion 以外の別のツールによって削除
されました)
Subversion は CVSのP
とU
コードを連結し、単にU
を表示します。
マージや衝突が起こるときには、Subversionはそれに関するすべての
内容を表示するかわりに単にG
または C
を表示します。
svn statusに関する詳細はsvn status項 を参照してください。
Subversion はファイルシステムの空間と「ブランチ」 の空間を 区別しません。ブランチとタグはファイルシステム中の普通のディレクトリ です。これは多分CVSユーザが乗り越えなくてはならない一番大きい心理的な 障害です。 これについては章 4. ブランチとマージ全体を読んでください。
Subversion はブランチとタグを通常のディレクトリのように扱うので、
いつもプロジェクトのtrunk
(http://svn.example.com/repos/calc/trunk/
)
をチェックアウトし、プロジェクト自身(http://svn.example.com/repos/calc/
)
をチェックアウトしないように注意してください。プロジェクト自身をチェック
アウトすると、作業コピーはすべてのブランチとタグを含むプロジェクト全体
になってしまいます。
[50]
Subversionの新しい機能の一つに、ファイルやディレクトリに任意のメタデータ (あるいは 「属性」)を結びつけることができます。属性は任意の 名前/値のペアで作業コピーのファイルやディレクトリに結び付いています。
属性名を設定したり、取得したりするには、 svn propset と svn propget サブコマンドを使ってください。あるオブジェクト上のすべての属性を一覧表示 するにはsvn proplistを使ってください。
より詳しくは属性項を参照してください。
CVS はファイル中の「衝突マーカ」を使って衝突を知らせ、
更新時にはC
を表示します。歴史的にはこれは
問題を起こしてきました。それはCVSが十分に取り扱わなかったからです。
たくさんのユーザは、端末が警告した後に、C
に
ついて忘れてしまいます(あるいは見もしません)。しばしば衝突マーカが
依然として存在していることを忘れてしまい、衝突マーカを含んだファイルを
間違ってコミットしてしまうことがありました。
Subversion はこの問題を、衝突マーカをもっと良く見える形で設定する ことによって解決しています。Subversion はファイルが衝突状態にある ことを憶えていて、svn resolvedを実行するまで、 あなたの変更点をコミットすることを許しません。 詳細は 衝突の解消(他の人の変更点のマージ)項 を見てください。
一番一般的な意味で、Subversion はバイナリファイルを CVS よりももっと 適切に扱います。CVS は RCS を利用するので、変更されたバイナリファイルの 完全なコピーを、常に格納するしかありませんでした。しかし Subversion はバイナリ差分アルゴリズムを使ってファイル間の相違を 表現します。そのファイルがテキストなのかバイナリなのかによらず そうします。これはすべてのファイルがリポジトリ中に差分の形として( 圧縮されて)格納されるということを意味します。
CVS ユーザは、-kb
フラグを使ってバイナリファイルを
マークする必要がありましたが、それはデータが文字化けすることを
防ぐためです。(キーワード展開や行末変換によってこのようなことが
起こります)。このことはときどき忘れられてしまいます。
Subversion はもっと神経質な方法をとります—まず、キーワード展開や
行末変換は、明示的にそのような指示を出さなければ実行されません
(詳細はsvn:keywords
項 と
svn:eol-style
項 を見てください)。
デフォルトでは、Subversion はすべてのファイルデータを文字通り
単なるバイトの並びとして扱い、ファイルは常に、無変換の状態で
リポジトリに保存されます。
次に、Subversion はファイルが「テキスト」 であるか 「バイナリ」 であるかの内部的な記録を管理しますが、 この記録は、作業コピー中にしか ありません。 svn update実行中、Subversion は、ローカルに 修正のあったテキストファイルについて文脈マージをやりますが、 バイナリファイルに対してはそうしません。
文脈マージが可能かどうかを決めるのに、Subversion は
svn:mime-type
属性を調べます。もしファイルが
svn:mime-type
属性を持たないか、テキストを
示すような内容であれば(たとえば、text/*
)、Subversion はそれを
テキストであると判断します。それ以外の場合、ファイルはバイナリ
であるとみなされます。Subversion はsvn import
とsvn add 実行時に、バイナリ検出アルゴリズムを
実行することでユーザを助けます。これらのコマンドは、良い推測を
行い、(可能なら)バイナリのsvn:mime-type
属性
を追加されるファイルに設定します。(もし Subversion の推測が間違って
いた場合は、ユーザはいつでも手でその属性を削除することができます)
CVSとは違い、Subversionの作業コピーはモジュールとしてチェックアウトされた ことを記録しています。これは誰かがモジュールの定義を(たとえば、部品を 追加したり削除することで)変更してから svn updateを呼び出した場合、部品を追加したり削除す ることで、作業コピーを正しく更新することを意味します。
Subversion はモジュールをあるディレクトリ属性のあるディレクトリ の集まりとして定義します。外部定義項を見てください。
CVS の pserver では読み出し、書き込み操作の前に必ずサーバに「login」 しなくてはなりませんでした—匿名操作のためにログインする場合でもそうでした。 サーバに Apache httpdまたは svnserve を使った Subversion リポジトリの場合には処理の前に 認証確認をする必要はありません—認証が必要な処理を実行するときになって 初めてサーバはあなたの認証しようとします(それがユーザ名、パスワードの方式 であっても、クライアント証明書であっても、両方であっても、です)。それで もしリポジトリが不特定多数の人に対して読み出しアクセス権限を与えている場合 は読み出し操作のために認証する必要は一切ありません。
CVS と同様、Subversion でも--no-auth-cache
スイッチを使って
明示的に禁止しない限り、やはりあなたの認証情報をディスク上に保存します。
(自分の ‾/.subversion/auth/
ディレクトリ配下になります。)
しかしこの動作には例外があり、それはsvn+ssh://
URLスキー
マを使って SSH トンネル越しにsvnserveにアクセ
スした場合です。この場合にはsshプログラムはト
ンネルを使った通信を開始するにあたって無条件に認証を要求します。
おそらく CVS ユーザが Subversion に慣れる一番重要な方法は既存の プロジェクトを新しいシステムを使って継続することです。これには 抽出した CVS リポジトリを Subversion リポジトリに単にインポート することでもある程度達成できますが、さらに徹底した方法としては データの最新の状態だけではなく、それ以前の履歴全体を旧システムから 新システムに移すことになります。これは解くのが極端に難しい問題です が、それは不分割の性質を持たない CVS データの変更からチェンジセット を求めること、ブランチについて全く別の考え方を持っている両システム 間でデータ変換すること、その他の複雑な問題があるためです。それでも 少なくとも部分的には既存の CVS リポジトリを Subversion リポジトリ に変換するためのツールがあります。
そのようなツールのひとつにcvs2svn (http://cvs2svn.tigris.org/)が ありますが、これはもともと Subversion 自身の開発メンバによって作られた Python のスクリプトです。他にはChia-liang Kaoが作ったVCP ツール (http://svn.clkao.org/revml/branches/svn-perl/) のプラグインである Subversion コンバータやLev Serebryakovの作ったRefineCVS (http://lev.serebryakov.spb.ru/refinecvs/) があります。これらのツールの完成度はさまざまで CVS リポジトリの履歴の扱い方に ついて全くことなる考え方にもとづいているかも知れません。どのツールを使う場合 でも変換結果について納得がいくまで十分な確認をしてください— ようするに この履歴を作り上げるにはかなり労力が必要になります。
知られている変換ツールへのリンクの最新情報については Subversion ウェブサイト (http://subversion.tigris.org/project_links.html) のリンクページを見てください。
目次
WebDAV はHTTPの拡張で、ファイル共有のための標準として ますます一般的なものになっていっています。今日のオペレーティング システムは極端に Webを意識していて、多くのOSはWebDAVサーバによって 公開された「共有」 をマウントするための仕組みを組み込みで サポートしています。
もし Apache/mod_dav_svn をSubversionネットワークサーバとして 利用するなら、ある程度 WebDAVサーバも実行しなくてはなりません。 この補遺は、このプロトコルの性質についてのいくつかの背景を与え、 Subversionがどのようにそれを利用し、WebDAVを考慮しているほかのソフト とどのようにうまく協調するかを示します。
この節はWebDAVの背後にあるアイディアについての、とても簡単で 一般的な概要を示します。それはクライアントとサーバの間のWebDAV の互換性に関する問題を理解するための基礎になります。
RFC 2518 はいくつかの概念と、それにともなうHTTP 1.1 の 拡張メソッドを定義しています。それはweb をもっと普遍的な読み書き 可能な仕組みにするものです。基本的なアイディアはWebDAV互換のウェブ サーバは、一般的なファイルサーバのように振る舞うことができるという ことです。クライアントはWebDAVの「共有」をマウントする ことができ、NFSや、SMB共有のように動きます。
しかしながら、RFC 2518 は、DAVの文字列中の「V」にもかかわらず、 どんなタイプのバージョン管理のモデルも提供してはいない ということを知っておくのは重要です。基本的な WebDAVクライアントとサーバは ファイルやディレクトリの一つのバージョンのみが存在するのが前提となっていて、 繰り返し上書きすることができます。
基本的な WebDAVで導入された新しい概念とメソッドは:
WebDAV の世界ではサーバ側にあるすべてのオブジェクト (それは URI によって記述されるものですが)は、 リソースと言われます。
標準的なHTTP PUT
メソッドに
加えて(それはwebリソースを作ったり上書きしたりしますが)、WebDAV
は新しいCOPY
と MOVE
メソッドを定義し、リソースを複製したり移動したりすることができます。
集合 は WebDAV の用語では
ひとまとまりのリソースのことを言います。ほとんどの場合、それは
ディレクトリのようなものになります。ファイルリソースは
PUT
メソッドで書き込まれたり作られたりしますが、
集合リソースは新しい MKCOL
メソッドで作られます。
これはSubversionに出てるのと同じアイディアです—
ファイルと集合に付随したメタデータです。クライアントは新しい
PROPFIND
メソッドを使ってリソースに付随
した属性を一覧表示したり抽出したりできます。そして、
PROPPATCH
メソッドを使って変更できます。
いくつかの属性は完全にユーザによって作られ制御されます(
たとえば、「color」と呼ばれる属性)、また他のものは
完全にWebDAVサーバによって作られ制御されます(たとえば、ファイル
の最後の修正時刻を含む属性)。最初のものは「死んだ」
属性と呼ばれ、あとのものは「生きた」 属性と呼ばれます。
WebDAVサーバはクライアントに対するロックの機能を与える
ことができます。
—この機能は任意です。ほとんどのWebDAVサーバはこの機能を
提供していますが。もし存在すれば、クライアントは新しい
LOCK
と UNLOCK
メソッドを
使ってリソースへのアクセスを調停することができます。
ほとんどの場合、これらのメソッドは排他的な書き込みロックを作る
ために利用されます(ロック・修正・ロック解除の解法項で議論した
ように)、ただしサーバの実装によっては共有書き込みロックも可能です。
より最近の仕様(RFC 3744)では WebDAV リソースに対するアクセス制御 リスト(ACL)を定義するためのシステムを規定しています。クライアントや サーバによってはこの機能を実装し始めているものもあります。
RFC 2518 はバージョン化の概念がないので、 他の機能グループは RFC 3253 にまかされました。それは、 WebDAVにバージョン化の機能を追加したものです。この部分は「DeltaV」 と呼ばれます。WebDAV/DeltaV クライアントとサーバはしばしば単に「DeltaV」 クライアントとサーバと呼ばれます。DeltaVは基本的なWebDAVの 存在を含んでいるからです。
DeltaV はまったく新しい単語を導入しましたが、 びっくりしないでください。考え方は非常に直接的です:
CVSや他のバージョン管理システムのようにDeltaVはそれぞれのリソースは
無限の数の状態をとりうると仮定しています。クライアントは新しい
VERSION-CONTROL
メソッドを使ってリソースを
バージョン管理下に置くことによって始めます。これには新しい
VERSION-CONTROL
メソッドを使います。
DeltaV サーバによっては仮想的な作業スペースをサーバ上に作る能力が
あります。すべての作業はそこで実行されます。クライアントは
MKWORKSPACE
メソッドを使ってプライベートな領域を
作り、作業スペースに「チェックアウト」することで
特定のリソースを変更したいということを示し、編集した後、もう一度
「チェックイン」します。
HTTPの言葉で言えば、メソッドの
流れとしては、
CHECKOUT
, PUT
,
CHECKIN
となります。
DeltaV サーバによってはクライアントがローカルディスク上にプライベート
な作業コピーを持つこともできるという考え方をサポートします。
クライアントがサーバに変更点をコミットしたい場合、まず MKACTIVITY
メソッドによって一時的なサーバトランザクション( アクティビティー
と呼ばれます)を作ることで処理を開始します。
それからクライアントは変更したいリソースごとにCHECKOUT
を実行し、PUT
要求を送ります。最後にクライアントは
リソースに対する CHECKIN
を実行するか
MERGE
要求を送ってすべてのリソースを一度に
チェックインします。
DeltaV では「設定」と呼ばれるリソースの 汎用的な集まりを定義することができますが、かならずしもそれは特定の ディレクトリに対応する必要はありません。設定はファイルの特定のバージョン を指し示すのに作成したり、「ベースライン」のスナップショット を作ったりできます。後者はタグによく似たものです。
DeltaV は新しいメソッドREPORT
を定義しますが
それはクライアントとサーバが独自データ交換を実行するのを許す
ものです。DeltaV はクライアントが要求可能な標準化された履歴情報
をいくつも定義してありますが、さらに自由にカスタム情報を定義することも
できます。クライアントはREPORT
要求を
独自のデータのある属性ラベルの付いたXMLのボディーをともなって
送信します。サーバがこの特定のレポート型を理解できることを
仮定して、それはやはり独自のXMLボディーを応答します。この技術は
XML-RPCとよく似ています。
当初の WebDAV 標準は幅広く成功をおさめました。現在利用されている コンピュータのオペレーティングシステムは一般的な WebDAV クライアント を組み込みで持っています(詳しくは後述します)、また良く知られたさまざまな スタンドアロンのアプリケーションも WebDAV を話すことができます— 例をあげれば Microsoft Office, Dreamweave, Photoshop などがあります。 サーバ側では Apache ウェブサーバが 1998 年以降 WebDAV の機能を提供できる ようになり事実上のオープンソース標準と考えられています。他にもさまざまな 商用の WebDAV サーバが利用可能であり、それには Microsoft 自身の IIS も 含まれます。
しかし不幸にも DeltaV の方はそれほど成功をおさめていません。DeltaV の クライアントやサーバの実装をみつけるのはとても困難なことです。 わずかに存在するものは比較的知られていない商用製品ですし、そのため 相互運用性をテストするのも非常に困難です。人によっては、それは単に 仕様が複雑すぎるからだと言いますし、別の人は WebDAV の機能は大衆受け する(最小限度の技術的な知識しか持っていないユーザでもネットワークの ファイル共有は喜んで利用します)のに対して、多くの人にとってバージョン 制御機能は興味がないか、あるいは不要であるのが理由だと言います。 さらに最後の意見として、DeltaV はそれを実装しているオープンソースの サーバ製品がまだ存在しないから人気がないのだと言うものもあります。
Subversion がまだ設計段階にあったとき Apache httpd を主要なネットワーク サーバとして利用するというのは素晴らしいアイディアに思えました。 それはすでに WebDAV サービスを提供するモジュールを持っていたからです。 DeltaV は比較的新しい仕様でした。Subversion のサーバモジュール (mod_dav_svn) は最終的にはオープンソースの DeltaV の標準的な実装に 進化できるのではないかという期待がありました。しかし不幸なことに DeltaV は非常に特殊なバージョンモデルであり Subversion のモデルとは それほど親和性が良いとは言えません。概念的には対応させることが可能だと 言う人もいますし、いやダメだという人もいます。
結論としては
Subversion クライアントは完全な DeltaV クライアントを実装している わけではない。
クライアントは DeltaV では提供することのできないようなサーバからある種の情報
を得る必要があり、そのため Subversion 特有の REPORT
に幅広く依存していて、それはmod_dav_svn にしか理解できないような性質のものである。
mod_dav_svn は DeltaV サーバの完全な実装ではない。
DeltaV 仕様の多くの部分は Subversion には無関係であり実装され ずに放置されている。
このような状況にきちんと対応すべきかどうかについては開発者の間でまだ 議論があります。Subversion の設計を DeltaV に合うように変更することは およそ現実的ではないので、おそらくクライアントは一般的な DeltaV サーバ から必要なすべての情報を得ることはできないでしょう。いっぽう mod_dav_svn はすべての DeltaV を実装ためにさらに開発を進めるかも 知れませんが、本当にそうしようと言う強い動機は見当たらないのが現状です — それと協調して動作する DeltaV クライアントがほとんどひとつも存在 していないのですから。
Subversion クライアントはまだ完全な DeltaV クライアントではありませんし Subversion サーバも完全な DeltaV サーバではありませんが、 WebDAV 協調動作できるうれしい機能があります: それは自動バージョン化と 呼ばれるものです。
自動バージョン化は DeltaV 標準ではオプションで実装することのできる機能
として定義されているものです。典型的な DeltaV サーバは単純なWebDAV ク
ライアントがバージョン管理下にあるファイルに対して
PUT
命令を実行してすることを拒否します。バージョン管
理下にあるファイルを変更するにはサーバに対して適切なバージョン要求が必
要になります: それはたとえば MKACTIVITY
,
CHECKOUT
, PUT
,
CHECKIN
のような感じの命令です。しかし DeltaV サーバ
が自動バージョン化をサポートすると基本的な WebDAV クライアントからの書き込み
要求も受け付けられるようになります。サーバはクライアントが適切なバージョン要求
のコマンド列を発行した*かのように*振舞い、内部的にコミットを実行します。
言い換えると DeltaV サーバは通常の WebDAV クライアントと協調動作できる
ようになります。
すでに非常にたくさんのオペレーティングシステムが WebDAV クライアント機能 を備えているのでこの機能は非常に広範囲にわたって利用できることに なります: 通常のユーザが Microsoft Windows や Mac OS を実行しているような オフィスを考えてみてください。それぞれのユーザは Subversion リポジトリを 「マウント」し、しかもそれは通常のネットワークフォルダのように 見えます。通常やっているような共有フォルダを使うのと同じ感覚で操作できます: ファイルを開き、編集し、そして保存します。一方サーバは自動的にすべてを バージョン化します。管理者の側では(あるは知識のあるヘビーユーザは)依然として Subversion クライアントを使ってこの履歴を調べたり、古いバージョンのデータ を取得することができるのです。
この筋書きは架空のものではありません: Subversion 1.2 かそれ以降では
実際に動作するのです。mod_dav_svn で自動バージョン化機能を有効にする
にはhttpd.conf
の Location ブロック中で
SVNAutoversioning
ディレクティブを使ってください。
こんな感じです:
<Location /repos> DAV svn SVNPath /path/to/repository SVNAutoversioning on </Location>
SVNAutoversioning が有効な場合には WebDAV クライアントからの要求は 不分割なコミットとなります。一般的なログメッセージが自動生成され それぞれのリビジョンにつけられます。
しかしこの機能を有効にする前に本当にやろうとしていることを理解して
ください。WebDAV クライアントは たくさんの
書き込み要求を実行しがちであり、これは自動的にコミットされる非常に
たくさんのリビジョンが発生することを意味します。たとえば
データを保存する場合、たくさんのクライアントがゼロバイトのファイルの
PUT
を実行し、その後に別の PUT
が実際のデータをともなって実行されるでしょう。単一のファイル書き込み
が二つの別々のコミットになってしまいます。さらに多くのアプリケーション
では数分に一度の自動保存機能がはたらき、さらに多くのコミットが発生
してしまうでしょう。
たとえばメールを送信するようなpost-commitのフックプログラムがある
場合、email 生成を完全に禁止したいと思うか、リポジトリの特定の部分に
関して禁止したいと思うかも知れません; それは email の流入量が
意味のある通知と考えられるかどうかにかかっています。さらに、賢い
post-commitフックプログラムは自動バージョン化機能によって発生した
トランザクションと通常の svn
commitによって発生したトランザクションとを区別する
ことができます。これには svn:autoversioned
という
名前のリビジョンプロパティーを見るとうまくいきます。もし存在して
いればそのコミットは一般的な WebDAV クライアントによるものです。
すべての WebDAV クライアントは三つのどれかに分類されます— スタンドアロン・アプリケーション、ファイルエクスプローラ拡張、そして ファイルシステムの実装です。これらの分類はおおざっぱに言ってユーザに 対して提供できる WebDAV の機能の種類を決めます。 表 B.1. 「よく利用される WebDAV クライアント」 はその分類と、WebDAV が利用可能な ソフトウェアの共通部品の簡単な説明です。これらのソフトウェアが提供する機能の 詳細と一般的な分類についてはその後の節で見ることができます。
表 B.1. よく利用される WebDAV クライアント
ソフトウェア | 分類 | 説明 |
---|---|---|
Adobe Photoshop | スタンドアロン WebDAV アプリケーション | 画像編集ソフトで、WebDAV URL を直接開いたり書き込んだりすることができます。 |
Cadaver | スタンドアロン WebDAV アプリケーション | コマンドライン WebDAV クライアントで、ファイル転送、ツリー、排他操作をサポートしています。 |
DAV Explorer | スタンドアロン WebDAV アプリケーション | WebDAV 共有を閲覧するための GUI ツールです。 |
davfs2 | WebDAV のファイルシステム実装 | Linux ファイルシステムドライバで、WebDAV 共有をマウントできます。 |
GNOME Nautilus | ファイルエクスプローラの WebDAV 拡張 | WebDAV 共有上のツリー操作を可能にする GUI のファイルエクスプローラです。 |
KDE Konqueror | ファイルエクスプローラの WebDAV 拡張 | WebDAV 共有上のツリー操作を可能にする GUI のファイルエクスプローラです。 |
Mac OS X | WebDAV のファイルシステム実装 | WebDAV 共有をオペレーティングシステムに、ローカルにマウントする機能を組み込みでサポートしています。 |
Macromedia Dreamweaver | スタンドアロン WebDAV アプリケーション | WebDAV URL に対して直接の読み書き可能な Web ページ作成ツール。 |
Microsoft Office | スタンドアロン WebDAV アプリケーション | オフィスの生産性を高めるさまざまなコンポーネントからなる製品 で、WebDAV URL に対して直接読み書きすることが可能です。 |
Microsoft Webfolders | ファイルエクスプローラの WebDAV 拡張 | WebDAV 共有上のツリー操作を可能にする GUI のファイルエクスプローラ・プラグラムす。 |
Novell NetDrive | WebDAV ファイルシステムの実装 | Windows のドライブ識別文字をマウントされたリモート WebDAV 共有に 割り当てるための、ドライブマッピング・プログラムです。 |
SRT WebDrive | WebDAV ファイルシステムの実装 | 機能の一部として、Windows のドライブ識別文字を マウントされたリモート WebDAV 共有に割り当てることも可能な、ファイル転送ソフトウェアです。 |
WebDAV アプリケーションは WebDAV サーバと通信可能な WebDAV プロトコル の機能を組み込んだプログラムのことです。このような形での WebDAV を サポートしている最も有名なプログラムのいくつかを紹介します。
Windows 上では Microsoft Office のような、WebDAV のクライアント機能を 統合した有名なアプリケーションがいくつかあります。 [51] Adobe の Photoshop と Macromedia の Dreamweaver 。 両方とも直接 URL を開いたり保存したりすることができますが ファイルを編集するさい WebDAV の排他制御を頻繁に利用する傾向が あります。
Mac OS X 上にも同じようなたくさんのプログラムが存在しますが、 それらのプログラム上では直接 WebDAV がサポートされているようには見えません。じっさい Mac OS X 上では、
ダイアログは パスや URL の入力がまったく許されてはいません。これらのプログラムの Macintosh バージョンでは WebDAV の機能はわざと実装されていない ように見えますが、それは OS X 自身がすでに WebDAV 用のすばらしい 低レベルファイルシステムを提供しているからです。Cadaver は生の Unix コマンドラインプログラムで、WebDAV 共有を 閲覧したり変更したりすることのできるものです。Subversion クライアントと同様、 neon HTTP ライブラリが必要になります— しかしびっくりする必要はありません。 neon と cadaver は同じ作者によって書かれています。Cadaver はフリーソフトウェア (GPL ライセンス)で、http://www.webdav.org/cadaver/から取得できます。
cadaver を使うのは、ちょうどコマンドラインの FTP プログラムを使うような感じ なので、基本的な WebDAV 機能をデバッグするのにとても役立ちます。困った時には ファイルをアップロードしたりダウンロードしたりするのに使うことができますし、 プロパティーを調べたり、ファイルのコピー、移動、ロック、アンロックも やってのけます:
$ cadaver http://host/repos dav:/repos/> ls Listing collection `/repos/': succeeded. Coll: > foobar 0 May 10 16:19 > playwright.el 2864 May 4 16:18 > proofbypoem.txt 1461 May 5 15:09 > westcoast.jpg 66737 May 5 15:09 dav:/repos/> put README Uploading README to `/repos/README': Progress: [=============================>] 100.0% of 357 bytes succeeded. dav:/repos/> get proofbypoem.txt Downloading `/repos/proofbypoem.txt' to proofbypoem.txt: Progress: [=============================>] 100.0% of 1461 bytes succeeded.
DAV Explorer はもう一つのスタンドアロン WebDAV クライアントであり Java で書かれていますfree Apache-like license のもとで、 http://www.ics.uci.edu/‾webdav/から取得可能です。 DAV Explorer は cadaver でできるすべてのことができますが、より可搬性に すぐれ、ユーザに優しい GUI アプリケーションです。またこれは WebDAV アクセス制御プロトコル(RFC 3744) をサポートした最初のクライアントの 一つでもあります。
もちろん DAV Explorer の ACL サポートはこの場合やくには立ちません。mod_dav_svn
がサポートしていないからです。Cadaver と DAV Explorer がどちらも制限された
DeltaV コマンドをサポートしていても、あまり役には立たちません。
MKACTIVITY
要求が許されていないからです。しかし、とにかく
それは関係のないことです; ここで仮定しているのはこれらのクライアントの
すべては自動バージョン化されたリポジトリを操作できるということです。
いくつかの有名なファイルエクスプローラ GUI プログラムは WebDAV 拡張を サポートしていて、ユーザに、DAV 共有領域を、単にあたかもローカルコンピュータ 上にある別のディレクトリのように見せたり、その共有領域のアイテムに対する 基本的なツリー編集操作を可能にするものです。 たとえば Windows Explorer では、ひとつの「ネットワークプレース」と して WebDAV サーバを閲覧できます。ユーザはファイルをデスクトップ上で移動 したり、名称変更、コピー、削除などの処理を通常のやりかたで操作できます。 しかしそれはファイルエクスプローラの機能でしかないので、通常のアプリケーション には DAV 共有領域は見えません。すべての DAV 操作は、エクスプローラのインターフェース を通じて実行しなくてはなりません。
Microsoft は WebDAV 仕様の元来の支援者の一つであり、Windows 98 で最初の クライアントを出荷し始めました。これは「Webfolders」と言う 名前で知られています。このクライアントはまた Windows NT4 と 2000 でも 出荷されました。
もともとの Webfolder クライアントはエクスプローラの拡張であり、これは ファイルシステムを閲覧する際の主要な GUI プログラムでした。これはとても うまく動作しています。Windows 98 では 「マイコンピュータ」 の中に Webfolder がない場合には明示的にインストールする必要がありました。 Windows 2000 では単に新しい 「ネットワークプレース」を追加 し、URL を入力すれば WebDAV 共有が閲覧用にポップアップします。
Windows XP のリリースで、Microsoft は Webfolder の新しい実装を出荷し
始めましたが、これは 「WebDAV mini-redirector」という名前で
知られています。新しい実装はファイルシステムレベルのクライアントであり
WebDAV 共有をドライブ文字をつけてマウントできるようにしたものです。
残念なことにこの実装はかなりバグがあります。クライアントは通常 http
URL (http://host/repos
) を UNC 共有記法
(¥¥host¥repos
)に変換しようとします; また
Windows ドメイン認証を使ってHTTP 基本認証要求に応答しますが、このとき
ユーザ名には HOST¥username
が利用されます。
このような協調動作の問題は深刻なもので、多くのユーザに対する不満を
解消するための数えきれないくらいのドキュメントがネット上に存在して
います。Apache の WebDAV モジュールを最初に設計した Greg Stein で
すら Apache サーバに対して XP Webfolder を利用することを推奨
していません。
最初の 「エクスプローラ機能のみの」 Webfolder の実装は XP でもなくなってはいませんが、埋もれてしまっています。以下のような 方法を使っていまでも探すことはできます:
'ネットワークプレース' を選択します。
新しいネットワークプレースを追加します。
プロンプトが出たらリポジトリの URL を入力しますが
URL には ポート番号を含めます。例えば
http://host/repos
は、かわりに
http://host:80/repos
と指定します。
認証要求に正しく答えます。
この問題の回避策として他にもさまざまなうわさがありますが、Windows XP の すべてのバージョンとパッチレベルでうまく動作するものはなさそうです。 私たちのテストでは今示したアルゴリズムがどのシステムでも常にうまくいく ように思えます。WebDAV コミュニティーの一般的に合意されていることは、 新しい Webfolders の実装のかわりに古いものを使うべきであることと、 Windows XP 上で本当のファイルシステムレベルのクライアントが必要な場合 にはWebDrive や NetDrive のようなサードパーティー製のプログラムを使うこと です。
Nautilus は GNOME デスクトップの公式なファイルマネージャ/ブラウザ で(http://www.gnome.org)、Konqueror は KDE デスクトップの ファイルマネージ/ブラウザです(http://www.kde.org)。どちらの アプリケーションもエクスプローラレベルでの組み込み WebDAV クライアントで、 自動バージョン化されたリポジトリに対してもうまく動作します。
GNOME の Nautilus の場合、
で を 選択し、URL を入力します。これでリポジトリは他のファイルシステムと同じように 見えるはずです。KDE の Konqueror の場合は、ロケーションバーに URL を入力するさいに
webdav://
スキーマを使う必要があります。http://
の形の URL を入力すると、Konquerorは通常のウェブブラウザのように動作します。
たぶん mod_dav_svn によって生成される一般的な HTML のディレクトリ一覧が表示される
ことでしょう。
http://host/repos
のかわりに
webdav://host/repos
を入力すると、Konqueror は WebDAV
クライアントとなり、ファイルシステムとしてリポジトリを表示するようになります。
WebDAV ファイルシステムの実装は おそらく WebDAV クライアントの最もすぐれた ものの一つです。それは低レベルの ファイルシステム、典型的にはオペレーティングシステムのカーネル内部 に実装されます。これが意味することは、DAV 共有は他のネットワークファイル システムと同じように、たとえば Unix なら NFS や、Windows ならドライブ文字を つけた SMB 共有のような形でマウントすることができるということです。 結果として、この手のクライアントはすべてのプログラムに対して完全に 読み書き透過な WebDAV アクセスを提供できることになります。アプリケーションは 実際には WebDAV 要求が発生していることに気づきもしないでしょう。
WebDrive も NetDrive も非常にすばらしい商用製品であり、WebDAV 共有を ドライブ文字に対応することができます。これらの製品を使って接続を失敗 させることはどうしてもできませんでした。これを書いている時点で WebDrive はSouth River Technologies (http://www.southrivertech.com) から購入可能です。NetDrive は Netware に付属しており、それ自体は無料です。 「netdrive.exe」 のサイトをウェブで検索すると出てきます。 (奇妙な話にだと思うのはあなただけではありません。以下の Novell のウェプサイトを 見てください: http://www.novell.com/coolsolutions/qna/999.html)
Apple 社の OS X オペレーティングシステムには ファイルシステムレベルで統合された WebDAV クライアントがあります。 ファインダーの 52]
から アイテムを選択します。 この状態で WebDAV URL を入力すれば、他のマウントされたボリュームと 同じようにデスクトップ上のディスクとしてアクセスできるようになります。 [使っている mod_dav_svn がバージョン 1.2 よりも古い場合 OS X はマウント共有部分を読み書きモードでマウントするのを拒否し、 読み込み専用になります。OS X が読み書きモードでの共有を サポートしていますが、ファイルロックの機能は Subversion 1.2 で初めて サポートされたものだからです。
もう一点だけ: OS X の WebDAV クライアントは HTTP のリダイレクトに
対して必要以上に神経質に動作することがあります。リポジトリをまったく
マウントできない場合には、Apache サーバの httpd.conf
ファイルの、BrowserMatch ディレクティブを有効にする必要があるかも
知れません:
BrowserMatch "^WebDAVFS/1.[012]" redirect-carefully
Linux davfs2 は Linux カーネル用のファイルシステムモジュールで http://dav.sourceforge.net/ で開発されています。 一度インストールしてしまえば WebDAV ネットワーク共有は通常の Linux の mount コマンドによってマウントできます:
$ mount.davfs http://host/repos /mnt/dav
Subversion のモジュール化された設計(階層化されたライブラリ設計項で議論しました)と可能な言語連係 (C と C++以外の言語の利用項に記述があります)は他のソフトウェア の拡張やバックエンドとして利用することのできる選択子になります。 Subversion の機能を後ろで使うようなサードパーティー製のツール の一覧は、Subversion ウェブサイト (http://subversion.tigris.org/project_links.html) のリンクページにあります。
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