8 例


8.1 pure Python 配布物 (モジュール形式)

単に二つのモジュール、特定のパッケージに属しないモジュールを 配布するだけなら、setup スクリプト中で py_modules オプションを使って個別に指定できます。

もっとも単純なケースでは、二つのファイル: setup スクリプト自体と、 配布したい単一のモジュール、この例では foo.py について 考えなければなりません:

<root>/
        setup.py
        foo.py

(この節の全ての図において、 <root> は配布物ルートディレクトリ を参照します。) この状況を扱うための最小の setup スクリプトは 以下のようになります:

from distutils.core import setup
setup(name = "foo", version = "1.0",
      py_modules = ["foo"])

配布物の名前は name オプションで個々に指定し、配布される モジュールの一つと配布物を同じ名前にする必要はないことに注意して ください (とはいえ、この命名方法はよいならわしでしょう)。 ただし、配布物名はファイル名を作成するときに使われるので、 文字、数字、アンダースコア、ハイフンだけで構成しなければなりません。

py_modules はリストなので、もちろん複数のモジュールを 指定できます。例えば、モジュール foobar を 配布しようとしているのなら、 setup スクリプトは以下のようになります:

<root>/
        setup.py
        foo.py
        bar.py

また、セットアップスクリプトは以下のようになります.

from distutils.core import setup
setup(name = "foobar", version = "1.0",
      py_modules = ["foo", "bar"])

モジュールのソースファイルは他のディレクトリに置けますが、 そうしなければならないようなモジュールを沢山持っているのなら、 モジュールを個別に列挙するよりもパッケージを指定した方が 簡単でしょう。


8.2 pure Python 配布物 (パッケージ形式)

二つ以上のモジュールを配布する場合、とりわけ二つのパッケージに 分かれている場合、おそらく個々のモジュールよりもパッケージ全体を 指定する方が簡単です。たとえモジュールがパッケージ内に入っていなくても 状況は同じで、その場合はルートパッケージにモジュールが入っていると Distutils に教えることができ、他のパッケージと同様にうまく処理されます (ただし、__init__.py があってはなりません)。

最後の例で挙げた setup スクリプトは、

from distutils.core import setup
setup(name = "foobar", version = "1.0",
      packages = [""])
のようにも書けます (空文字はルートパッケージを意味します)

これら二つのファイルをサブディレクトリ下に移動しておいて、 インストール先はルートパッケージのままにしておきたい、例えば:

<root>/
        setup.py
        src/      foo.py
                  bar.py
のような場合には、パッケージ名にはルートパッケージをそのまま 指定しておきますが、ルートパッケージに置くソースファイルが どこにあるかを Distutils に教えなければなりません:

from distutils.core import setup
setup(name = "foobar", version = "1.0",
      package_dir = {"": "src"},
      packages = [""])

もっと典型的なケースでは、複数のモジュールを同じパッケージ (またはサブパッケージ) に入れて配布しようと思うでしょう。 例えば、foobar モジュールがパッケージ foobar に属する場合、ソースツリーをレイアウトする 一案として、以下が考えられます。

<root>/
        setup.py
        foobar/
                 __init__.py
                 foo.py
                 bar.py

実際、 Distutils ではこれをデフォルトのレイアウトとして想定して いて、setup スクリプトを書く際にも最小限の作業しか必要ありません:

from distutils.core import setup
setup(name = "foobar", version = "1.0",
      packages = ["foobar"])

モジュールを入れるディレクトリをパッケージの名前にしたくない 場合、ここでも package_dir オプションを使う必要があります。 例えば、パッケージ foobar のモジュールが src に 入っているとします:

<root>/
        setup.py
        src/
                 __init__.py
                 foo.py
                 bar.py

適切な setup スクリプトは、

from distutils.core import setup
setup(name = "foobar", version = "1.0",
      package_dir = {"foobar" : "src"},
      packages = ["foobar"])
のようになるでしょう。

また、メインパッケージ内のモジュールを配布物ルート下に 置くことがあるかもしれません:

<root>/
        setup.py
        __init__.py
        foo.py
        bar.py

この場合、 setup スクリプトは

from distutils.core import setup
setup(name = "foobar", version = "1.0",
      package_dir = {"foobar" : ""},
      packages = ["foobar"])
のようになるでしょう。 (空文字列も現在のディレクトリを表します。)

サブパッケージがある場合、packages で 明示的に列挙しなければなりませんが、package_dir はサブパッケージへのパスを自動的に展開します。 (別の言い方をすれば、 Distutils はソースツリーを走査せず、 どのディレクトリが Python パッケージに相当するのかを __init__.py files. を探して調べようとします。) このようにして、デフォルトのレイアウトはサブパッケージ形式に 展開されます:

<root>/
        setup.py
        foobar/
                 __init__.py
                 foo.py
                 bar.py
                 subfoo/
                           __init__.py
                           blah.py

対応する setup スクリプトは以下のようになります。

from distutils.core import setup
setup(name = "foobar", version = "1.0",
      packages = ["foobar", "foobar.subfoo"])

(ここでも、package_dir を空文字列にすると現在のディレクトリ を表します。)


8.3 単体の拡張モジュール

拡張モジュールは、ext_modules オプションを使って指定します。 package_dir は、拡張モジュールのソースファイルをどこで 探すかには影響しません; pure Python モジュールのソースのみに影響します。 もっとも単純なケースでは、単一の C ソースファイルで書かれた単一の拡張 モジュールは:

<root>/
        setup.py
        foo.c
になります。

foo 拡張をルートパッケージ下に所属させたい場合、 setup スクリプトは

from distutils.core import setup
setup(name = "foobar", version = "1.0",
      ext_modules = [Extension("foo", ["foo.c"])])
になります。

同じソースツリーレイアウトで、この拡張モジュールを foopkg の下に置き、拡張モジュールの名前を変えるには:

from distutils.core import setup
setup(name = "foobar", version = "1.0",
      ext_modules = [Extension("foopkg.foo", ["foo.c"])])
のようにします。

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